締め切りが決まらない職場|エンジニアが整える渡し方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

エンジニアとして働くなかで、締め切りがなかなか決まらず、作業を進めにくいと感じる場面があります。多くの場合これは担当者の力量の差ではなく、決める人と判断材料の両方がまだ揃っていないことが理由です。誰に何を渡すと決まりやすくなるのかという点に絞って見ていきます。
締め切りが動かないときに効くのは、決める人に、選択肢と影響、期限をそろえて渡すことであり、決まらない理由を数えたり、催促を重ねたりすることではありません。
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この記事のポイント
- 締め切りが決まらないのは、決める人と判断材料がそろっていないことが主な理由です
- 動かす順番は、決める人を確かめる、選択肢を並べる、影響を添える、期限を置いて返すの4段階です
- 一般労働者の賃金は25〜29歳で279.4千円、45〜49歳で377.9千円です*1。年齢によって賃金水準の前提が変わります
1. 締め切りが決まらない理由は、決める人と材料の有無で見分けます
締め切りが決まらないときに効くのは、担当者の力不足を疑うことではなく、決める人がはっきりしているか、選択肢や影響といった判断材料が渡されているかを見分けることです。両方がそろえば、返事は出しやすくなります。
締め切りが決まらないという状況は、エンジニアとして働くなかで一度は経験する場面です。担当する範囲が広がるほど、締め切りを他者の判断に委ねる場面も増えていきます。
ここでは、決まらない理由を4つに分けて整理したうえで、決める人がはっきりしているか、材料が揃っているかという2つの軸で、今の位置を確かめる方法を見ていきます。
締め切りが決まるまでの間、進められる作業とそうでない作業が混在する場面も出てきます。その場合も、決まらない状態そのものを避ける方法を探すのではなく、決める人に渡す材料をそろえ直すことが動かす手がかりになります。
配属されたばかりの段階では、決める人が誰かということ自体が、まだ十分に共有されていない場合もあります。この場合は、締め切りの中身について踏み込むより、決める人が誰かを確かめるところから始める方が動きやすくなります。
2. 決まらない理由は、渡す相手ごとに整理します
締め切りが決まらない理由は、何が足りていないかで4つに分けられます。
決まらないこと・足りていない材料・渡す相手の対応を、4行に分けて並べます。
決まらない理由・足りていない材料・渡す相手の対応
| 決まらない理由 | 足りていない材料 | 渡す相手 |
|---|---|---|
| 誰が決めるか分からない | 決定権を持つ人の特定 | 上長、またはその判断を任された人 |
| 選択肢が示されていない | 進め方の候補とその違い | 決定権を持つ人 |
| 遅れた場合の影響が見えない | 遅らせたときに生じる違い | 決定権を持つ人 |
| 返事の期限が区切られていない | いつまでに決めてほしいかという期限 | 決定権を持つ人 |
表の4行は、決める人が分からない状態から、期限が区切られていない状態まで、締め切りが決まらないときに考えられる理由を並べたものです。
1行目は、そもそも誰が決めるのかが分からない状態です。この場合は、上長か、その判断を任されている人かを先に確かめることになります。
2〜4行目は、決める人自体は分かっているものの、選択肢・影響・期限のいずれかが渡されていない状態です。渡す相手は同じでも、足りていない材料は行ごとに異なります。
4行に共通しているのは、決まらないことそのものを気にするより、何が足りていないかを先に見分けるほうが、次に渡すものが絞り込める点です。
複数の行が同時に当てはまる場合もあります。その場合は、決定権を持つ人に、足りていない材料をまとめて渡しておくと、やり取りの往復を減らせます。
渡す相手が同じであっても、行ごとに渡す材料は変わります。当てはまる行を先に確かめておくと、渡す前の準備がしやすくなります。
3. 決める人と材料の2軸で、今の位置を確かめます
締め切りが決まらない状況は、決める人がはっきりしているかと、材料が揃っているかの2軸で位置づけられます。
右上は、決める人がはっきりしていて、材料も揃っている位置です。ここでは、選択肢と影響、期限を添えて渡せば、返事が動きやすくなります。
右下は、決める人は明確でも材料がそろっていない位置です。この場合は、渡す前に選択肢と影響を用意しておくことが先になります。
左上は、材料はあっても、渡す相手である決める人が定まっていない位置です。この場合は、材料を整える前に、決める人を確かめることが先になります。
左下は、決める人も材料もそろっていない位置です。優先して確かめるのは決める人で、材料はそのあとに整えることになります。
どの位置にいるかは、締め切りが近づくにつれて変わることもあります。渡した後の反応を見ながら、位置をあらためて確かめ直すこともできます。
4. 締め切りが決まらないまま進めると、作業の順番が個人の判断に寄ります
締め切りが決まらない状態を放置すると、何を先に進めるかという判断が、その場にいる個人に委ねられていきます。決める人が定まらないまま作業だけが続くと、優先順位の基準がそのつど変わりやすくなります。
優先順位が個人の判断に寄ると、同じ作業でも担当が変わるたびに進め方が変わることがあります。これは担当者の力量の差ではなく、決める人と判断材料がまだ渡されていないことによる違いです。
この状態を動かすには、決まっていないことそのものを問題にするより、誰に何を渡せば決まるのかという点に絞って考えるほうが動きやすくなります。決める人が明確であっても、選択肢や影響が渡されていなければ、返事は出しにくいままです。
渡す内容がそろっているかどうかは、決める人に確かめる前に、自分でも点検できます。何を渡せば返事が出せるのかという観点で見直すと、次に取る行動が絞り込めます。
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5. 締め切りを動かす順番は、決める人を確かめることから始まります
決める人と材料がそろっていない状況を動かす順番は、4段階に分けられます。
4段階は、決める人を確かめる、選択肢を並べる、影響を添える、期限を置いて返すという順に進みます。段階ごとに何を用意するかを分けておくと、渡す内容が抜けにくくなります。
最初の段階では、誰が最終的に判断するかを特定します。これが曖昧なままだと、次の段階で選択肢を並べても、渡す相手を誤ることになります。
選択肢は、思いつく案をそのまま並べるのではなく、比較できる形にそろえておくと、決める人が判断しやすくなります。
影響を添える段階では、選んだ場合と選ばなかった場合の違いを、決める人が確認できる形で渡します。この違いが渡されていないと、材料がそろっていても判断が先送りになりやすくなります。
最後に期限を置いて返すことで、いつまでに返事が欲しいかが決める人に伝わります。期限を添えずに渡すと、他の判断より後回しにされることがあります。
4段階は一度で終わるとは限りません。返事が出ない場合は、どの段階が足りていないかを見直したうえで、あらためて渡し直すことになります。
4段階のうち、どこまで自分で用意できるかは、担当している業務の範囲によって変わります。用意できない段階がある場合は、その段階だけを決める人に確かめる形でも進められます。
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6. 転職先では、決める人と渡し方を尋ねておきます
決める人や材料の渡し方は、求人票だけでは分からないことが多く、面接で尋ねておくと入社後に迷いにくくなります。
転職先で確かめておきたい3つの問い
- 決める人:進め方や締め切りを最終的に判断するのは誰かを尋ねます
- 選択肢の渡し方:進め方の候補をどのような形で渡すと伝わりやすいかを尋ねます
- 返事の目安:期限を添えて渡した場合、どれくらいで返事が来るかを尋ねます
3つの問いは、求人票だけでは判断しづらく、面接の場で尋ねておくと入社後の見通しが立ちやすくなります。
決める人を尋ねておくと、入社後にどこへ渡せばよいかが先に分かります。選択肢の渡し方を尋ねておくと、比較できる形をどこまで整えればよいかの目安がつきます。
返事の目安を尋ねておくと、渡してからどれくらいで判断が返るかの見通しが立ち、進め方の計画を立てやすくなります。
面接で尋ねた内容は、入社後の状況でそのまま使えるとは限りません。配属が決まった段階で、あらためて渡し方を確かめ直すことになります。
3つの問いは、業務内容についての質問がひと通り終わったあとに、別枠として尋ねると聞きやすくなります。
入社前の段階では、決める人や渡し方の詳細まで確かめようとしても、配属先の業務がまだ具体的に決まっていないため、答えが出しにくい場合があります。その場合は、個別の詳細より、尋ねる先の窓口だけを確かめておくと、入社後の見通しが立ちやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 締め切りが決まらないのは、担当者の力不足が原因ですか。
A. 力不足ではなく、決める人と判断材料がまだ揃っていないことが主な理由と考えられます。誰に何を渡すと決まるのかを確かめることが、動かす手がかりになります。決まらない状態が続く場合も、担当者自身の評価に結びつけて考える必要はありません。
Q2. 決める人が誰か分からないときは、どうすればよいですか。
A. まず上長か、その判断を任されている人に、最終的に決めるのは誰かを確かめることになります。誰が決めるかがはっきりしないまま材料だけを整えても、渡す相手を誤ってしまうことがあります。
Q3. 選択肢を渡しても返事が来ない場合は、どうすればよいですか。
A. 選択肢に加えて、選んだ場合と選ばなかった場合の影響、そして返事の期限が添えられているかを見直すことになります。3つのうちどれが欠けているかは、渡した内容を見直すことで確かめられます。
Q4. この進め方は、どのような場面でも使えますか。
A. 決める人と判断材料の両方が関わる場面で使えますが、決定権を持つ人がすでに答えを出している場合は、進め方そのものより、その答えを確かめることが先になります。複数の決定権者が関わる場面では、誰の答えを優先するかも合わせて確かめることになります。
8. まとめ:締め切りは、誰に何を渡すかで動きます
この記事の要点
- 締め切りが決まらないのは、決める人と判断材料がそろっていないことが主な理由です
- 動かす順番は、決める人を確かめる、選択肢を並べる、影響を添える、期限を置いて返すの4段階です
- 決まらない理由は、誰が決めるか、選択肢があるか、影響が伝わっているか、期限があるかで整理できます
- 決める人がはっきりしているか、材料が揃っているかの2軸で、今の位置を確かめられます
- 転職先では、決める人と、選択肢の渡し方、返事の目安を確かめておくと入社後に動かしやすくなります
締め切りが決まらないときに大切なのは、催促を重ねることではなく、決める人に、選択肢と影響、期限を添えて渡すことです。何が足りていないのかを確かめたうえで、決める人がはっきりしているか、材料が揃っているかという2軸で今の位置を見直すと、次に渡すものが絞り込みやすくなります。渡す相手や渡し方に迷う場合は、専任エージェントに相談しながら整理することもできます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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