承認が止まる原因と経路|エンジニアがそろえる材料
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

承認待ちが長く感じるとき、原因を担当者の姿勢に求めたくなりますが、実際には承認までに通る経路の数と、判断に使う材料が揃っているかどうかという2つの要因で説明できることが多くあります。ここでは、この2つの見立て方と、待つ間にできることに絞って整理します。
承認待ちの長さを分けているのは担当者の姿勢ではなく、通る経路の数と判断材料の揃い方であり、待つ間はこの2つを見立てる材料にできます。
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この記事のポイント
- 承認待ちの長さは、通る経路の数と、判断に使う材料が揃っているかどうかで大きく変わります
- 経路や材料の状況にかかわらず、承認を待たずに進められる作業を切り出すことで、待ち時間の使い方を変えられます
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。承認待ちの話とは別の前提として押さえます
1. 承認待ちの長さは、経路の長さと材料の揃い方で見立てられます
承認待ちが長く感じるとき、その長さは担当者の姿勢ではなく、承認までに通る経路の数と、判断に使う材料が揃っているかどうかという2つの要因で見立てられます。この2つを分けて考えると、待ち時間の性質が具体的に見えてきます。
承認待ちという状況は、エンジニアに限らず働くうえでたびたび起こります。ただ、待っているあいだに「なぜ長いのか」を担当者の意欲や熱心さに結びつけて考えると、実際の事情とずれることがあります。
承認という手続きは、多くの場合、一人の判断だけで完結しません。複数の立場の人が関わる分だけ、待つ側からは経緯が見えにくくなり、長さの理由もつかみにくくなります。
承認待ちの長さを説明する要因は、大きく分けて2つあります。ひとつは承認までに通る経路の数、もうひとつは判断に使う材料が揃っているかどうかです。この2つは互いに独立しており、どちらか一方だけを見ても全体は説明できません。
経路の数と材料の揃い方は、それぞれ別の場面で効いてきます。経路が短くても材料がそろっていなければ止まりますし、材料がそろっていても経路が長ければ、それだけ承認までの段数が増えます。どちらか一方だけを見ていると、見立てがずれることになります。
次に、承認が止まって見える場所ごとに、考えられる事情とできることを表で見ていきます。
2. 止まっている場所によって、考えられる事情は変わります
承認待ちのあいだ、実際に止まっているように見える場所は一つではありません。
場所ごとに考えられる事情と、そのときにできることを4行に分けて並べます。
止まっている場所・考えられる事情・できること
| 止まっている場所 | 考えられる事情 | できること |
|---|---|---|
| 最初の承認者の手元 | ほかの申請とあわせて確認している最中であること | その承認を前提にしない作業を先に進めます |
| 複数の承認者のあいだ | 経路の途中で担当が替わり、引き継ぎに時間がかかっていること | 経路のどこまで進んだかを把握できる範囲で確かめます |
| 差し戻し前の確認段階 | 判断に使う材料の一部がそろっておらず、追加の確認をしていること | そろっていなさそうな材料を自分の側で用意しておきます |
| 最終承認者の手元 | ほかの申請とまとめて判断する時期を待っていること | 結果が出たあとに必要になる作業を先に洗い出しておきます |
表の4行は、承認待ちのあいだに「止まっている」と感じやすい場所を、経路の前後で並べたものです。どの場所で止まっているように見えても、担当者が対応を怠っているとは限りません。
最初の承認者の手元で止まっているように見える場合、ほかの申請とあわせて確認している最中であることが考えられます。この段階では、承認を前提にしない作業を先に進めておくことができます。
複数の承認者のあいだで止まっているように見える場合は、経路の途中で担当が替わり、引き継ぎに時間がかかっていることが考えられます。経路のどこまで進んだかを把握できる範囲で確かめておくと、状況の見立てがしやすくなります。
差し戻し前の確認段階では、判断に使う材料の一部がそろっておらず、追加の確認をしていることが考えられます。そろっていなさそうな材料を自分の側で用意しておくと、次の確認がスムーズに進みやすくなります。
最終承認者の手元で止まっている場合は、ほかの申請とまとめて判断する時期を待っていることが考えられます。この段階でできるのは、結果が出たあとに必要になる作業を先に洗い出しておくことです。
表の右列にある「できること」は、いずれも承認そのものに手を加えるものではなく、自分の作業の進め方を調整するものです。承認の判断を早めることと、待つ間の時間の使い方を変えることは、別の話として分けて考えられます。
4つの場所に共通しているのは、いずれも承認そのものを早めることはできなくても、待つ間にできることは分けて考えられるという点です。次に、承認までの経路がどのように積み上がっているかを見ていきます。
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3. 承認待ちの見立ては、土台から3段で組み上がります
承認待ちを見立てる考え方は、土台から積み上がる3段で整理できます。
土台になるのは、承認までに通る経路をまず書き出す段階です。誰の承認を経て、最終的に誰が判断するのかを、思い出せる範囲で書き出します。
中段は、判断に使う材料が揃っているかどうかを見る段階です。承認者の手元に必要な情報が届いているかどうかで、止まって見える理由が変わります。
頂点は、承認を待たずに進む作業を切り分ける段階です。土台と中段を整理してから切り分けると、何を先に進めればよいかが具体的になります。
3段のうち、頂点だけを先に考えようとすると、何を切り出せばよいかがつかみにくくなります。土台の経路と中段の材料を先に書き出しておくことが、頂点の切り出しを具体的にする支えになります。
3段を土台から順に整理しておくと、承認待ちのあいだにできることが、漠然とした不安ではなく、具体的な作業として見えてきます。
4. 手が止まるかどうかは、切り出し方で分かれます
承認待ちのあいだ、進んでいないという感覚が強くなるのは、承認そのものだけでなく、承認待ちの申請に関わる作業までまとめて止めてしまうことが理由になっている場合があります。
承認の結果が出てから着手する作業と、結果に関係なく進められる作業は分けられます。結果に関係なく進められる作業を先に洗い出しておくと、待っているあいだの時間の使い方が変わります。
ここで、承認待ちの状況とは別に、前提となる数字を一つ確認します。情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。承認待ちの経路や材料の話には結びつけず、前提として押さえるにとどめます。
作業を切り出す考え方は、経路が短い場合でも長い場合でも変わりません。次に、経路の長さという軸で承認待ちの位置を見ていきます。
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5. 承認待ちの長さは、経路の長さという軸でも捉えられます
承認待ちの長さは、経路が短いか長いかという軸の上でも位置づけられます。
経路が短い職場では、承認者の数が少なく、判断が下されるまでの段階も少なくなります。経路が長い職場では、承認者の数が多く、それぞれの段階で材料の確認が入る分だけ時間がかかりやすくなります。
経路の長さそのものは、待っている本人の工夫だけで変えられるものではありません。今回の承認がどちらの位置に近いかは、経路を書き出した段階である程度見えてきます。
経路の長さは、会社の規模だけで決まるものでもありません。同じ規模の会社であっても、決裁の権限がどこまで現場に委ねられているかによって、経路の長さは変わります。
経路が短くても長くても、待つ間にできることを切り出すという考え方は変わりません。位置が右に近いほど、切り出せる作業を早めに見つけておく価値が大きくなります。
6. 転職先で確かめる問いは、3つに絞り込めます
承認待ちの経路や材料の揃い方は、いまの職場だけでなく、次の職場を見るときの観点にもなります。
転職先で確かめる3つの問い
- 経路の数:承認までに何人の判断を通るのかを聞きます
- 材料の集め方:判断に使う材料をどの段階で集めるのかを聞きます
- 結果の伝え方:承認の結果がいつ、誰から伝えられるのかを聞きます
3つの問いは、いずれも承認待ちの長さそのものではなく、承認の仕組みを知るための問いです。仕組みが分かれば、承認待ちが長い場面に出会っても、見立てがしやすくなります。
経路の数を聞くと、承認までに何段階の判断が必要かが見えてきます。段階が多いほど、材料の確認が入る回数も増える傾向があります。
材料の集め方を聞くと、判断に必要な情報がどの段階でまとまるかが見えてきます。早い段階で材料が集まる仕組みであれば、承認までの見通しも立てやすくなります。
結果の伝え方を聞くと、承認が下りたあと、いつ・誰から連絡が来るかが見えてきます。連絡のタイミングが決まっていれば、待つあいだの計画も立てやすくなります。
3つの問いに対する答えが、実際の運用と細部まで一致するとは限りません。答えを聞いたうえで、入社後に運用がどう変わるかも合わせて見ていく姿勢が必要です。
3つの問いは、面接で聞いても差し支えありません。承認の仕組みは、働き方そのものに関わる内容であり、確かめておく価値があります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 承認待ちが長いことは、担当者のやる気の問題ですか。
A. 必ずしもそうとは言えません。経路の長さや材料の揃い方によって、担当者の姿勢とは関係なく時間がかかることがあります。
Q2. 承認待ちのあいだ、催促の連絡をしたほうが早く進みますか。
A. 催促によって早まるかどうかは会社や状況によって異なります。承認そのものを早めることよりも、承認を待たずに進められる作業を切り出すことで、待ち時間の負担を減らせます。
Q3. 承認を通す経路が長いことは、避けられないのですか。
A. 経路の長さそのものは、会社の意思決定の仕組みによって決まっており、個人の工夫だけで変えられるものではありません。経路が長い場合でも、待つ間にできることを切り出す考え方は変わりません。
Q4. 材料がそろっていないと、承認は必ず止まるのですか。
A. 必ず止まるとは限りません。担当者によって、そろっていない材料を確かめながら判断を進める場合もあれば、材料がそろうまで判断を保留する場合もあります。
8. まとめ:承認待ちの長さは経路と材料で決まります
この記事の要点
- 承認待ちの長さは、通る経路の数と、判断に使う材料が揃っているかどうかで大きく変わります
- 止まっている場所ごとに考えられる事情は異なり、担当者の姿勢だけが理由とは限りません
- 承認を待たずに進められる作業を切り出しておくと、待つあいだの時間の使い方が変わります
- 経路が短くても長くても、作業を切り出す考え方は同じです
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。承認待ちの話とは別の前提として押さえます
承認待ちが長く感じるときも、原因は担当者の姿勢だけとは限りません。経路の長さと材料の揃い方という2つの軸で見立て、承認を待たずに進められる作業を切り出しておくと、待つあいだの時間の使い方が変わります。承認の仕組みについてさらに確かめたい点は、専任エージェントに相談しながら整理することもできます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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