調整ばかりのエンジニアへ|転職で実績として語る言葉
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

エンジニアとして働くうち、日々の仕事が調整ばかりに見えてくることがあります。手を動かす時間より、人と人の間に立つ時間のほうが長いと感じる場面も少なくありません。ただ、これは役割の置き方によってそうなっている面が大きく、調整という仕事そのものの評価が低いわけではありません。
調整ばかりに見える仕事を実績に変えるには、手を動かしていない時間を、決めた記録として言葉にする側に絞ることが手がかりになります。
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この記事のポイント
- 調整が多いのは役割の置き方によるところが大きく、調整という仕事そのものの評価が低いわけではありません
- 実績として言葉にできるかどうかは、調整の量ではなく、決めた記録が残っているかどうかで変わります
- 転職者数は330万人、転職等希望者数は1023万人です*1。母数として押さえたうえで、判断は記録の有無に置きます
1. 調整ばかりに見える仕事は、役割の置き方で決まっています
調整が多く見える仕事は、能力の高さや評価の低さから生まれているわけではなく、役割をどう置くかという設計から生まれています。手を動かしていない時間も、決めた記録として言葉にすれば実績にできます。
「気づけば調整ばかりしている」という感覚を持つエンジニアは少なくありません。手を動かす時間よりも、人と人の間を行き来する時間のほうが長く感じられる場面もあります。
この感覚は、担っている技術力の水準や、仕事に対する評価の高さ低さから生まれているわけではありません。誰が何を決め、誰と誰の間を誰が繋ぐかという役割の置き方によって、調整が集まる場所は変わります。
役割の置き方によって調整が集まっているのだとすれば、次に見るべきは調整そのものの多さではなく、その調整の中に何が残るかという点です。
調整が集まる役割は、担当する範囲が変わるたびに入れ替わることもあります。今は調整が中心でも、次の場面では手を動かす作業が中心になることもあり、役割の置き方は固定されたものではありません。
2. 残る調整と、消える調整に分かれます
調整と一口に言っても、あとに何も残らない調整と、あとに記録として残る調整があります。
2つの調整は、どちらも仕事として必要な場面で行われており、優劣で語れるものではありません。違いが表れるのは、調整を終えたあとに何が残るかという点です。
伝えるだけの調整が必要な場面もあります。関係者が多く、まず状況をそろえること自体が優先される場面では、決めるところまで一気に進めるよりも、伝える調整を丁寧に重ねるほうが適していることもあります。
伝えるだけの調整は、その場でのやり取りが終わると同時に役目を終えます。決めるところまで持っていく調整は、選んだ理由や決めた内容が記録として残り、あとから参照できる形になります。
同じ人が両方の調整を担う場面もあります。1件ごとにどちらの調整だったかを見分けておくと、あとで実績として言葉にできる部分と、そうでない部分が分けやすくなります。
同じ職場の中でも、担当する業務の範囲によって、伝えるだけの調整が多い時期と、決めるところまで持っていく調整が多い時期が入れ替わることがあります。どちらの時期にいるかを把握しておくと、記録を残す優先順位もつけやすくなります。
残る調整を増やすには、決めた記録をどう残すかを具体的に考える必要があります。
3. 決めた記録が残ると、調整は実績に近づきます
調整の仕事を実績として言葉にできるかどうかは、調整にかけた時間の長さではなく、決めた記録が残っているかどうかで変わります。時間をかけて丁寧に伝えた調整であっても、記録が残っていなければ、あとから振り返って言葉にすることは難しくなります。
決めた記録とは、何を選び、なぜそれを選んだかという経緯を指します。結論だけを覚えていても、経緯まで言葉にできなければ、実績として語ったときに具体性を欠きます。
記録を残す機会は、調整のあとに限られていません。選択肢を比べた時点、決める人が意見を出した時点など、経緯が生まれた場面ごとに記録を残すことができます。
記録の形式は、特別なものである必要はありません。簡単なメモ書きであっても、何を選び、なぜそれを選んだかという経緯が追える形になっていれば、あとから言葉にするための材料になります。
複数の役割を兼ねている場合、調整がどちらの役割から生まれたかを分けておくと、記録も整理しやすくなります。役割ごとの優先順位の置き方については、別の記事で扱っています。
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4. 面接では、残した記録から話すと伝わります
調整の中身をそのまま話すと、聞き手には作業の説明にしか聞こえないことがあります。
やっていること・残す記録・面接での言い方を4行に分けて並べます。
やっていること・残す記録・面接での言い方
| やっていること | 残す記録 | 面接での言い方 |
|---|---|---|
| 複数の担当者の間で情報をそろえる | そろえる前後の食い違いの内容 | 食い違いを見つけて解消した経緯として話します |
| 進め方について意見が分かれた場面をまとめる | 出た意見と選ばなかった理由 | 選ばなかった理由まで含めて話します |
| 決まった内容を関係者へ伝える | 伝えた内容と伝えた順番 | 伝える順番を工夫した点として話します |
| 決めた内容をあとから振り返れるようにする | 振り返りに使った記録の形 | 残した記録がどう役立ったかを話します |
表の4行は、いずれも調整の中でよくある場面を並べたものです。共通しているのは、やっていることをそのまま話すのではなく、残した記録を経由して話す点です。
「情報をそろえる」だけを話すと、作業の説明にしか聞こえません。そろえる前後で何が食い違っていたかまで話すと、判断が加わった場面として伝わります。
「意見が分かれた場面をまとめる」も同様です。まとめた結果だけでなく、選ばなかった理由まで含めて話すと、進行役ではなく判断を担った場面として伝わります。
4行に共通する型は、やっていることの説明を、残した記録を通じて言い換えるという型です。型が分かれば、ほかの調整の場面にもそのまま当てはめられます。
この4行は、面接の前に箇条書きとして手元に用意しておくこともできます。並べておくと、その場で経緯を思い出しながら話すよりも、落ち着いて言葉を選べます。
話す相手によって伝え方を変える場面は、面接以外にもあります。相手が変わったときの言い方については、別の記事で扱っています。
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5. 棚卸しは、記録の有無で仕分けます
調整をまとめて実績にする前に、まず手元にある調整を仕分けておくと整理しやすくなります。
棚卸しの3つの観点
- 記録の有無:決めた経緯が残っているかを確認します
- 関わりの深さ:決めるところまで関わったかを確認します
- 言葉にできる形:経緯を文章として書けるかを確認します
棚卸しは、抱えている調整をすべて並べたうえで、3つの観点に沿って仕分ける作業です。仕分けた結果、記録が残っていて経緯まで言葉にできる調整だけが、実績として語れる形になります。
記録の有無を確認する段階では、決めた内容そのものよりも、決めた理由が残っているかを重視します。理由が残っていなければ、あとから経緯を補うことになり、実績として語る際の具体性が薄れます。
関わりの深さを確認する段階では、伝えるだけの調整と、決めるところまで持ち込んだ調整を分けます。前半で見た2つの調整の違いが、ここでの仕分けの基準になります。
言葉にできる形を確認する段階では、経緯を文章として書き出してみます。書き出してみて具体的な文章にならない調整は、記録の内容が十分でないと分かります。
棚卸しを終えたら、記録がそろっている調整から順に、面接で話す候補として並べておくと準備がしやすくなります。記録が薄い調整は、順番を後に回しておくと整理がしやすくなります。
3つの観点で仕分けたあと、社内での説明を経て進んだ調整は、伝わり方がさらに変わります。説明を通す際の順番については、別の記事で扱っています。
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6. 2軸で見ると、実績になる調整が絞れます
2つの軸で調整を並べると、実績として言葉にしやすい調整がどこにあるかが見えてきます。縦軸は記録が残るかどうか、横軸はどこまで関わったかを表します。
右上に近い調整は、決めるところまで関わり、経緯も記録として残っています。棚卸しで仕分けた調整のうち、この位置に近いものから優先して言葉にしていくと、実績としてまとめやすくなります。
左下に近い調整は、関わりが浅く記録も残っていないため、そのままでは実績として言葉にする材料が少ない状態です。同じような調整が発生した場面で記録を残す習慣をつければ、位置を右上に近づけていくことができます。
棚卸しは一度で終わらせず、新しい調整が発生するたびに位置を確認し直すと、実績として言葉にできる調整の数を少しずつ増やしていけます。
2軸の位置は固定されたものではなく、記録の残し方次第で動かせる位置だという点が、この整理の要点です。
位置を確認する作業は、一人で完結させることもできますが、上長や同僚に見え方を聞いてみると、自分では気づかなかった関わりの深さが見つかることもあります。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 調整ばかりの仕事は、技術力が伸びていないということですか。
A. 調整の多さと技術力の伸びは、直接結びつくものではありません。調整が集まるかどうかは役割の置き方によって変わるため、調整が多いことをもって技術力を判断することはできません。
Q2. 決めた記録は、どのタイミングで残せばよいですか。
A. 決めた瞬間や、選択肢を比べた場面など、経緯が生まれた時点で残すと具体性が保ちやすくなります。調整が終わったあとにまとめて振り返って残す方法もあります。
Q3. 伝えるだけの調整しかしていない場合、実績にできることはありませんか。
A. 伝えるだけの調整であっても、伝え方を工夫した点や、伝えた順番を選んだ理由があれば、記録として残すことで言葉にできる部分が生まれます。
Q4. 棚卸しをした結果、記録が残っている調整が少ない場合はどうすればよいですか。
A. 記録が少ない場合は、今後の調整で経緯を残す習慣をつけることが次につながります。過去の調整については、覚えている範囲で経緯を書き出しておくことも手がかりになります。
8. まとめ:決めた記録が実績に変わります
この記事の要点
- 調整が多く見えるのは役割の置き方によるもので、調整という仕事そのものの評価が低いわけではありません
- 実績として言葉にできるかどうかは、調整の量ではなく、決めた記録が残っているかどうかで変わります
- 面接では、やっていることをそのまま話すのではなく、残した記録を経由して話すと伝わります
- 棚卸しでは、記録の有無・関わりの深さ・言葉にできる形の3つの観点で仕分けます
- 転職者数は330万人、転職等希望者数は1023万人です*1。母数として押さえたうえで、判断は記録の有無に置きます
調整ばかりに見える仕事も、決めた記録が残っていれば、実績として言葉にする材料になります。棚卸しで仕分け、決めるところまで関わり記録が残っている調整から、面接での言い方を整えていくことができます。記録の残し方について気になる点は、専任エージェントに相談しながら整理することもできます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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