手順書が更新されない職場|運用ルールとエンジニアの負担
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

手順書が更新されない職場を見て、書き手の意識が低いと考えるのは早計です。実際に確かめられるのは、直す担当が誰か、そしていつ直すかという契機が決まっているかどうかです。求人票の記載を読む、面接で運用を聞く、勤務先の人事・採用担当に確かめるという進め方で、更新が続く仕組みかどうかを見分けられます。
手順書が更新されないのは、書き手の怠慢ではなく、直す担当と直す契機が決まっていないことに出ます。誰がいつ直すのかを聞けば見分けられます。
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この記事のポイント
- 手順書の更新が止まるのは、書き手の意識の問題ではなく、直す担当と直す契機(いつ直すか)が決まっていないことに出ます
- 直す担当が決まっているかどうかで、面接で次に聞くことが変わります
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍、全職業は1.26倍です*1。転職市場の前提として示すもので、更新の話とは別に扱います
1. 手順書の更新が止まる理由と確かめ方
手順書の更新が止まるのは、書き手の意識の問題ではなく、直す担当と直す契機(いつ直すか)が決まっていないことに出ます。誰が直すのか、いつ直すのかを面接で聞けば、更新が続く仕組みかどうかの手がかりになります。
手順書が古い記載のまま残っている職場を見ると、書いた人の姿勢の問題だと考えがちです。ですが実際に確かめられるのは、直す担当が誰かということと、いつ直すかという契機が決まっているかということです。
担当と契機のどちらかが決まっていなければ、記載が実際の作業とずれても、直す動きが始まりにくくなります。ずれに気づいた人がいても、直す担当が定まっていなければ、誰が対応するかを探すところから始まってしまいます。
求職者がこの点を確かめるには、求人票の記載を読む、面接で運用を聞く、勤務先の人事・採用担当に確かめるという進め方があります。担当者一人の力量を尋ねる質問ではなく、更新を続ける仕組みがあるかどうかを尋ねる質問です。
面接で聞くときは、更新が止まっている理由を問い詰める言い方ではなく、担当と契機がどこに決まっているかを尋ねる言い方にすると、答えやすくなります。求人票に記載がなくても、面接で運用を聞けば、更新が続く仕組みかどうかの手がかりが得られます。
2. 直す担当が決まっているかで次に聞くことが変わります
直す担当が決まっている場合は、次にいつ直すかという契機を聞くと、更新が続く仕組みかどうかの手がかりが増えます。決まっていない場合は、担当そのものをまず聞く形になります。
面接でどちらの答えが返ってきても、担当者一人を評価するための質問ではありません。直す仕組みがどこにあるかを確かめるための質問です。
答えが分からないという返答があった場合は、求人票の記載を先に確かめる、あるいは勤務先の人事・採用担当に改めて確かめるという進め方があります。
分岐は、担当と契機のどちらが先に確認できるかを整理するためのものです。両方が同時に分かるとは限らないため、聞けた順に次の質問へ進めば手がかりが増えます。
3つの分岐のうち、どれに近い答えが返ってきても、そこから先に聞くことは決まります。分岐そのものを覚えておけば、面接の場でも迷わずに次の質問へ進められます。担当と契機のどちらも決まっている職場であれば、更新が続く仕組みがすでにあると考えられます。
3. 更新が止まるのは契機が決まっていないことに出ます
手順書は、整備された最初の時点では実際の作業に合った内容で書かれています。ここで更新が止まる理由を、書き手一人の姿勢の問題として捉えると、確かめる項目が定まりません。書かれた時点の内容が正しいかどうかではなく、その後に更新が続く仕組みがあるかどうかが、ここでの確認の対象です。
直す担当が決まっていても、直す契機が決まっていなければ、記載が実際の作業とずれても、気づかれるまでに時間がかかります。何かが起きたときに直すのか、決まった周期で見直すのか、どちらの形になっているかで、更新が続きやすいかどうかが変わります。契機が決まっている職場では、リリース後の点検や、一定期間ごとの棚卸しといった機会に合わせて直す運びになります。契機が決まっていない職場では、誰かが気づいたときに直すという形になりやすく、気づく人がいなければそのままになります。
求職者がこの点を確かめるには、求人票の記載を読む、面接で運用を聞く、勤務先の人事・採用担当に確かめるという進め方があります。担当者一人を評価するための質問ではなく、直す契機が仕組みとして決まっているかを確かめる質問です。面接で聞きにくい場合は、内定後に受け取る資料の記載を確かめる進め方もあります。
引き継ぎを受ける側が手順書をどう読むかについては、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 引き継ぎを受ける側の仕事|分からないを形にする
4. 確かめることと聞き方を4点に整理します
確かめる項目を4点に整理すると、面接で聞く順番を決めやすくなります。
確かめること・どこで分かるか・聞き方の例
| 確かめること | どこで分かるか | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 手順書を直す担当が決まっているか | 求人票や面接での説明 | 「更新は誰が担当していますか」 |
| 直す契機(いつ直すか)が決まっているか | 面接での運用の説明 | 「更新はどのタイミングで行いますか」 |
| 更新の記録が残っているか | 変更履歴欄の有無 | 「更新履歴はどこで確認できますか」 |
| 置き場が周知されているか | 社内規程や案内文書 | 「置き場はどこで案内されていますか」 |
4点はいずれも、担当者本人を評価するための項目ではなく、直す仕組みがどこにあるかを確かめるための項目です。担当・契機・記録・置き場のどれが抜けているかで、次に聞くことは変わります。
記録が残っているかという項目は、記載が残る職場を見分けるときの手がかりとも重なります。職場全体の記録の残し方については、別の記事で扱っています。
聞き方の例は、そのまま質問文として使える形にしてあります。面接で聞きにくい場合は、内定後に受け取る資料の中に、同じ内容の記載があるかどうかを確かめる進め方もあります。
4点をすべて一度に聞く必要はありません。面接の時間が限られている場合は、担当と契機の2点を優先して聞き、残りの2点は入社後に確かめる進め方もあります。
面接で聞いた内容と、内定後に受け取る資料の記載が食い違う場合は、勤務先の人事・採用担当に改めて確かめる進め方があります。聞いた内容をメモに残しておくと、あとで比べるときの手がかりになります。
あわせて読みたい | ドキュメントが残る職場の見分け方|求人と面接で
5. 面接で聞く言い方をそろえます
更新の仕組みを面接で聞くときは、聞き方をそろえておくと、聞き取れる内容が増えます。次の3つを揃えておきます。
聞くときの3つの言い方
- 担当を聞く:更新は誰が担当しているかを聞きます
- 契機を聞く:いつ直すかという契機を聞きます
- 記録を聞く:更新の記録がどこに残っているかを聞きます
3つの言い方は、担当・契機・記録という3つの角度に対応しています。どれか1つだけを聞くより、3つを順に聞いておくと、答えの抜けに気づきやすくなります。
面接の場で聞きにくいと感じる場合は、内定後に労働条件通知書や社内規程を受け取った段階で、同じ3つの角度から記載を確かめる進め方もあります。
聞いた内容は、その場でメモに残しておくと、あとで社内規程や案内文書の記載と見比べるときの手がかりになります。3つの言い方をメモしておくと、次の面接でも同じ形で聞けます。会社ごとに答えの詳しさを比べる材料にもなります。
3つの言い方をひとつずつ確認していくと、面接の時間が短くても、抜けなく聞き取りやすくなります。聞けなかった項目は、次の面接や入社後の確認に回せば十分です。
手順書を書くときに何を書けばよいか迷う場合の観点は、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | ドキュメントが書けないとき|読み手を決めてから書く
6. 置き場・担当・契機の順に積み上がります
3段は、下から積み上がる関係にあります。置き場が分からなければ、担当や契機を聞いても手がかりが増えません。置き場が分かったうえで、誰が直すのか、いつ直すのかを順に聞くと、更新が続く仕組みかどうかが見えてきます。
3段のどこかで答えが得られなくても、次の段で別の手がかりが見つかる場合があります。答えが得られた段までを、いったんメモに残しておくと、あとで見返しやすくなります。
面接の時間が限られている場合は、置き場だけでも先に聞いておくと、入社後に自分で確かめる手がかりになります。担当と契機は、入社後に社内規程で確かめる進め方もあります。
3段の関係は、置き場が最初に確かめられる項目であることを示しています。担当と契機は、置き場が分かったあとに聞く項目として位置づけられます。面接の時間配分を考えるときの目安になります。
7. よくある質問|更新の仕組みが手がかりです
Q1. 手順書の更新が止まっている職場は、避けるべきでしょうか。
A. 避けるべきとは言えません。更新が止まる理由は職場によって異なるため、直す担当と直す契機が決まっているかを面接で聞く、求人票の記載を確かめるという進め方があります。面接で聞きにくい場合は、求人票の記載を先に確かめる進め方もあります。聞けた段階までを手がかりとして扱えば十分です。
Q2. 手順書の更新の担当は、誰に聞けば分かりますか。
A. 面接の場や、勤務先の人事・採用担当に確かめる進め方があります。求人票に記載がある場合は、その内容も手がかりになります。担当が分かれば、次に契機を聞く進め方に移れます。
Q3. 直す契機が決まっていない場合、そのまま入社してよいのでしょうか。
A. 契機が決まっていないことだけで判断はつきません。入社後に社内規程や運用の説明を確かめる、面接で運用の見直し予定を聞くという進め方があります。分からない点が残る場合は、入社後に改めて確かめる機会を作ることもできます。焦って結論を出す必要はありません。
Q4. 更新の頻度は、求人票に書かれているものですか。
A. 記載がある場合とない場合があります。記載がない場合は、面接で運用を聞く、勤務先の人事・採用担当に確かめるという進め方があります。
8. まとめ:直す担当と契機を確かめます
この記事の要点
- 手順書の更新が止まるのは、書き手の意識の問題ではなく、直す担当と直す契機が決まっていないことに出ます
- 直す担当が決まっているかどうかで、次に聞くことは変わります
- 確かめる進め方は、求人票の記載を読む、面接で運用を聞く、勤務先の人事・採用担当に確かめるという3つです
- 置き場・担当・契機の順に確かめると、抜けが少なくなります
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍、全職業は1.26倍です*1。転職市場の前提として示すもので、ここでの話とは別に扱います
更新が続いているかどうかは、書き手の意識では判断できません。直す担当と、直す契機がどこに決まっているかを、求人票の記載を読む、面接で運用を聞く、勤務先の人事・採用担当に確かめるという進め方で確かめられます。分からない点が残るときは、面接で聞き直すか、勤務先の人事・採用担当に確かめる進め方があります。面接で聞いた内容と求人票の記載が異なる場合は、勤務先の人事・採用担当に確かめ直す進め方もあります。分かった段階までを、いったんの手がかりとして扱えば十分です。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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