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抽象的な指摘の受け止め方|基準を聞き直すエンジニアの型

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

指摘が抽象的なとき|基準を聞き直すのイメージ写真

「もう少し丁寧に」「分かりにくい」といった指摘は、何を直せばよいかが定まらないまま残ることがあります。ここで効くのは、その意味を推測することではなく、相手がどの基準で判断したのかをその場で聞き直す進め方です。基準が分かれば、直す範囲もその場で決まります。

抽象的な指摘は、相手の判断基準を聞き直すと具体になります。相手に、その場で確かめます。

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数字で見る聞き直す型 この記事の要約 聞き直す型 3 つの型 本文6で解説 対象→基準→確認 流れの段数 4 本文2で解説 言葉→対象→基準→形 転職者の前提*1 330 万人 転職等希望者は1023万人 前提として示すのみ 曖昧に見える言葉も、対象と基準を確かめると、直す範囲が見えてきます *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 抽象的な指摘を受けたとき、意味を推測するより、相手がどの基準で判断したのかをその場で聞き直すと、直す範囲がその場で決まります
  • 聞き直す言い方を3つの型にそろえておくと、抽象的な言い方を受けた場面でも聞き取れる内容が増えます
  • 転職者数は330万人、転職等希望者数は1023万人です*1。転職を考える場面の前提として示すもので、ここでの話とは別に扱います

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1. 抽象的な指摘は、聞き直して具体にする

抽象的な指摘を受けたとき、その意味を推測するのではなく、相手がどの基準をもとに判断したのかを、その場で聞き直す進め方が有効です。基準が分かれば、直す範囲がその場で決まり、直したあとの形を確かめる進め方にもつながります。

「もう少し丁寧に」「分かりにくい」といった指摘は、何を直せばよいかがその場で分からないことがあります。ここで意味を推測しても、直す範囲は絞れません。推測に頼らず、相手がどの基準で判断したのかを、その場で聞き直す進め方があります。

聞き直す対象は、伝えた相手がどの部分を見て、どの基準で判断したかという点です。相手の意図や性格を読み取る必要はありません。基準を言葉にしてもらえれば、直す範囲はその場で決まります。

その場で聞き直しにくい場合は、1on1や面談で改めて確かめる進め方もあります。基準が分かるまで直し始めない、という順番を守ると、直す範囲が二度目にずれることが少なくなります。

推測で直してしまうと、直した範囲が相手の見ていた部分と噛み合わず、同じような言い方を再び受けることがあります。基準を確かめる手順を先に置くと、そのずれを防ぎやすくなります。基準を聞く相手は、伝えた本人に限りません。同じ作業を見ているほかの担当者に、判断の基準を確かめる進め方もあります。

同じ言い方を繰り返し受ける場合は、聞き直す型を先に伝えておくと、次から同じ形で答えてもらいやすくなります。型を共有しておくことも、聞き直す進め方の一部です。

聞き直す進め方は、口頭だけでなく、チャットでのやり取りでも使えます。書き留めた言葉と聞いた基準を、そのままメッセージに残しておくと、あとで見返す手がかりになります。次に似た言い方を受けたときも、残したメッセージを見返せば、聞き直す手間が減ります。

2. 聞き直しは4段の流れで進める

聞き直す進め方は、4段の流れに分けられます。

聞き直しは4段の流れで進める 言葉を写す 受けた言葉をそのまま書き留め ます 対象を絞る どの部分を指しているか確かめ ます 基準を聞く 何を基準に判断したか聞きます 形を見せる 直した形を見せて確認します 言葉から形まで、4段のどこで止まっているかを確かめます

1段目は、受けた言葉をそのまま書き留めるところから始まります。書き留めておくと、あとで基準を聞き直すときに、最初の言葉に戻って確かめられます。

2段目では、その言葉がどの部分を指しているかを絞ります。全体に対する言い方なのか、一部分に対する言い方なのかで、次に聞く内容が変わります。

3段目で、判断の基準を聞きます。「もう少し」「もっと」という言葉には、基準が言葉として現れていないため、ここで基準を尋ねる進め方になります。

4段目は、直した形を見せて確認する段です。基準に沿って直したかどうかを、その場で確かめられます。基準が分かっていれば、直す作業と確認する作業を分けずに進められます。

4段の順番を入れ替えると、対象が絞られていないまま基準を聞くことになり、答えが噛み合わないことがあります。書き留める→絞る→聞く→見せるという順番を保つと、聞き取れる内容が安定します。4段のうち、書き留める段だけは、聞き直す前に一人でも進められます。残りの3段は、相手に確かめながら進める段になります。

4段を一度に終える必要はありません。基準を聞くところまでで時間が切れた場合は、直す作業を保留にして、次の面談や1on1で形を見せる段に進む進め方もあります。

3. よくある言い方を4つに整理する

よくある言われ方を4つに整理すると、聞き直す言い方を場面ごとに選べます。

よくある言われ方・聞き直す言い方・確かめること

よくある言われ方聞き直す言い方確かめること
もう少し丁寧に「丁寧に、というのは具体的にどの部分ですか」対象の部分
分かりにくい「分かりにくいと感じたのは、どの箇所ですか」対象の範囲
もっと工夫して「工夫というのは、どの基準で判断しますか」判断の基準
読みやすくして「読みやすい、という基準はどこにありますか」期待する形

4つの言われ方は、いずれも基準が言葉として示されていません。聞き直す言い方は、対象と基準のどちらが抜けているかで変わります。

確かめることの列は、聞き直したあとに得られる手がかりを示しています。対象の範囲が分かれば直す部分が決まり、判断の基準が分かれば直す形が決まります。

社内で承認を通すときも、伝える順番によって、同じように基準がはっきりしない場面があります。承認の場での伝え方は、別の記事で扱っています。

表の4行は、聞き方の例として使える形にしてあります。そのまま声に出して聞いても、言い方を少し変えて聞いても、確かめる内容は同じです。どの行に近いかが分からない場合は、受けた言葉をそのまま相手に伝え返し、どの行に近いかを一緒に確かめる進め方もあります。

あわせて読みたい | 社内の承認を通した経験|説明の順番で伝わる

4. 指摘を抽象的なまま受け取ると範囲が広がる

抽象的な指摘を、そのまま受け取って直し始めると、直す範囲が決まらないまま作業が進むことがあります。対象が絞られていない状態で直すと、伝えた側が見ていた部分とずれる場合があります。

基準が分からないまま直すと、直した後にもう一度同じような言い方を受けることがあります。これは直す力の話ではなく、基準を確かめる手順が抜けていたことに出ます。

手戻りが起きる場面を辿ると、基準を確かめる前に作業を始めていたことが多く見られます。どこで確かめると手戻りを減らせるかは、別の記事で扱っています。

抽象的な言い方を受けたときに範囲を決めるには、対象と基準の両方を聞き直す進め方があります。どちらか一方だけでは、直す範囲が半分しか決まりません。

あわせて読みたい | 手戻りが起きる場所|どこで確かめると減るか

5. 基準・対象・言葉の順に積み上がる

基準・対象・言葉の順に積み上がる 基準を言葉にする 判断の基準を言葉にして確かめます 対象と範囲を確認 どの部分を指しているか確認します 言葉を記録する 受けた言葉をそのまま書き留めます 言葉を記録してから、対象と基準の順に確かめると、抜けが少なくなります

3段は下から積み上がる関係にあります。受けた言葉を記録していなければ、対象や基準を確かめても、最初に言われた内容と食い違う場合があります。

対象と範囲を確認したうえで、判断の基準を言葉にしてもらうと、抽象的な言い方が具体の形に変わります。基準が分かった段階で、直す作業に進められます。

3段のどこかで答えが得られない場合は、その場で聞き直すか、1on1や面談で改めて確かめる進め方があります。分かった段までを手がかりとして扱えば十分です。

3段の関係は、記録が最初の段であることを示しています。記録がなければ、対象や基準を確認する段に進んでも、言われた場面の内容から離れてしまうことがあります。

3段を順に確かめる進め方は、面談の時間が短いときにも使えます。記録が済んでいる前提であれば、対象と基準の2段だけを聞く、という進め方に絞ることもできます。順番を守ると、聞く側と答える側の間で、どこまで確かめが進んだかを共有しやすくなります。

6. 聞き直す型を3つそろえる

抽象的な言い方を聞き直すときは、言い方をそろえておくと、聞き取れる内容が増えます。次の3つをそろえます。

聞くときの3つの型

  • 対象を聞く:どの部分を指しているかを聞きます
  • 基準を聞く:何を基準に判断したかを聞きます
  • 形を聞く:直した形をどう確かめるかを聞きます

3つの型は、対象・基準・形という3つの角度に対応しています。どれか1つだけを聞くより、3つを順に聞いておくと、聞き取りの抜けに気づきやすくなります。

その場で聞きにくい場合は、1on1や面談の時間に、同じ3つの角度から改めて確かめる進め方もあります。

聞いた内容はメモに残しておくと、直した後に基準と見比べる手がかりになります。3つの型をメモしておけば、次に同じような場面でも同じ形で聞けます。

テストを担当する人と組んで作業を進める場面でも、受け取り方が分かれることがあります。境目の作り方は、別の記事で扱っています。

3つの型は、聞く順番を固定するためのものではありません。答えやすい角度から聞き、抜けた角度を後から埋める、という使い方もできます。型をそろえておくと、聞く場面が変わっても、同じ手順で確かめられます。

3つの型を一度に聞けなかった場合は、聞けた型から先に直し始め、残りの型は次の機会に確かめる進め方もあります。順番を厳密に守る必要はありません。

あわせて読みたい | テストを担う人と組んだ経験|境目の作り方

7. よくある質問|基準を聞き直す場面で

Q1. 抽象的な指摘を受けたとき、その場で聞き直してもよいのでしょうか。

A. その場で聞き直して構いません。その意味を推測するより、どの部分を指しているか、どの基準で判断したかを確かめると、直す範囲がその場で決まります。聞きにくい場合は、1on1や面談で改めて確かめる進め方もあります。推測で直し始めるよりも、確かめてから進めるほうが、直す回数を減らせます。

Q2. その場で聞き直せなかった場合は、どうすればよいですか。

A. 1on1や面談の時間に、改めて確かめる進め方があります。受けた言葉を記録しておけば、時間が空いても、対象と基準を聞き直せます。面談の予定が先にある場合は、そちらで確かめる進め方でも十分です。

Q3. 聞き直しても基準がはっきりしない場合は、どうすればよいですか。

A. 基準がはっきりしない場合は、分かった範囲までを手がかりにして直し、直した形を見せて確認する進め方があります。分からない点が残るときは、勤務先の人事に相談する進め方もあります。焦って結論を出す必要はありません。

Q4. 同じような言い方を繰り返し受ける場合は、どう対応すればよいですか。

A. 対象と基準を確認するところまでを、毎回同じ順番で聞き直す進め方があります。繰り返し受ける場面が続く場合は、1on1や面談、または勤務先の人事に相談する進め方もあります。同じ順番で聞くことを続けていれば、聞き取れる内容は少しずつ増えていきます。

8. まとめ:基準を聞き直す形に変える

この記事の要点

  • 抽象的な指摘は、意味を推測するより、相手がどの基準で判断したのかを聞き直すと直す範囲が決まります
  • 聞き直す進め方は、言葉を写す・対象を絞る・基準を聞く・形を見せるという4段の流れです
  • よくある言われ方は、対象と基準のどちらが抜けているかで、聞き直す言い方が変わります
  • 聞くときは、対象・基準・形という3つの型をそろえておくと、抜けに気づきやすくなります
  • 転職者数は330万人、転職等希望者数は1023万人です*1。転職を考える場面の前提として示すもので、ここでの話とは別に扱います

抽象的な言い方は、受け取った側の力の話ではなく、対象と基準がその場で言葉になっていないことに出ます。その場で聞き直すか、1on1や面談で改めて確かめる進め方で、直す範囲を決められます。分からない点が残るときは、勤務先の人事に相談する進め方もあります。同じ進め方は、面談の場面に限らず、日々の作業のなかでも使えます。

基準を聞き直す進め方は、働く場所を変えても活かせます

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出典・参考情報

*1 総務省 労働力調査(詳細集計)

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