板挟みの調整に疲れたら|役割の線引きと転職の判断軸
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

複数の相手から板挟みのように感じる場面では、自分の対応の仕方に問題があると考えたくなります。実際に確かめられるのは、決める役目が複数の相手に重なっていないかということです。決める役目を自分が持っているかを先に確かめる、相手同士が直接やりとりできる経路があるかを確かめる、勤務先の人事・上長に相談するという進め方で見分けられます。
板挟みに見える場面は、対応の仕方ではなく決める役目が重なっていることに出ます。決める役目が自分にあるかを面接で聞けば、置き直す手がかりが見つかります。
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この記事のポイント
- 板挟みだと感じる場面は、性格や対応の仕方の問題ではなく、決める役目が重なっていることから起きます
- 重なりやすい役目は、決める・まとめる・伝える・進めるの4つに整理でき、面接や勤務先の人事・上長への相談で確かめられます
- 一般労働者の賃金は55〜59歳で396.2千円、60〜64歳で329.3千円です*1。年齢による賃金水準の前提として示すもので、ここでの話とは別に扱います
1. 板挟みは性格ではなく役目の重なりから起きます
間に立って板挟みになる状態は、我慢や対応の仕方の問題ではなく、決める役目が複数の相手に重なっていることから起きます。自分がその役目を持っているかを確かめると、状況の見え方が変わります。
間に立つ人が板挟みだと感じる場面では、原因を自分の伝え方や性格に探したくなります。ですが同じ人が、そう感じる場面と感じない場面の両方を経験しており、性格だけでは説明がつきません。
そうした場面が生まれやすいのは、複数の相手がそれぞれ決める立場にあると受け止めているときです。決める役目がひとつに定まっていなければ、間に立つ人が両方の言い分を受け止める形になります。
求職者がこの点を確かめるには、決める役目を自分が持っているかを先に確かめる、相手同士が直接やりとりできる経路があるかを確かめる、勤務先の人事・上長に相談するという進め方があります。結果として表れる板挟みではなく、その手前にある役目の重なりに目を向ける進め方です。
面接で聞くときは、板挟みという言葉を使わずに、決める役目が自分にあるのかをそのまま尋ねる言い方にすると、答えやすくなります。求人票に記載がなくても、面接で進め方を聞けば、役目が重なっていないかどうかの手がかりが得られます。
決める役目が重なったまま置かれていると、間に立つ人は同じ調整を繰り返す形になります。役目を先に確かめておくと、次に似た場面が来たときの動き方が変わります。
役目の重なりは、新しい仕組みを試すときや、担当の入れ替わりが起きたときに気づかれやすくなります。どちらも一時的に役目があいまいになりやすい場面ですが、そこで役目を確かめておけば、あいまいさが長く続くことは避けられます。
2. 役目を手放せている度合いを数字で示します
板挟みだと感じた場面でも、役目をどこまで手放せているかは、その時点でははっきりしないことがあります。
役目を手放せている度合いは、決める役目が自分に残っているかという軸の上でも位置づけられます。位置はそのつど動くもので、固定された評価ではありません。
位置を動かす主な要因は、決める役目が自分に残っているかどうかです。役目が自分に残っている間は、手放せている度合いは低いままになりやすくなります。
位置を確かめる方法は、決める役目が自分にあるかを直接尋ねる、相手同士が直接やりとりできる経路があるかを確かめるという2つが挙げられます。どちらも、間に立つ人の対応の仕方を変える方法ではありません。
位置が低いことは、会社の良し悪しを示すものではありません。役目を手放す途中にある状態を示しているだけなので、その時点の位置をもって職場を評価する必要はありません。
同じ位置に見えても、要因は一様ではありません。決める役目が自分に残っていることが要因の場合もあれば、役目は手放せていても、相手同士が直接やりとりできる経路がまだない場合もあります。どちらの要因かによって、次に確かめる相手は変わってきます。
3. 重なりやすい役目を4つに整理します
重なりやすい役目を4つに整理すると、確かめる順番を決めやすくなります。
重なりやすい役目・確かめること・相談する相手
| 重なりやすい役目 | 確かめること | 相談する相手 |
|---|---|---|
| 決める役目 | 誰が最終的に決めるのかがひとつに定まっているか | 面接での確認 |
| まとめる役目 | 複数の意見をまとめる担当が置かれているか | 勤務先の人事・上長 |
| 伝える役目 | 決まった内容を伝える順番が決まっているか | 勤務先の人事・上長 |
| 進める役目 | 決まった内容をどこまで進めるかが定まっているか | 面接での確認 |
4つの役目はいずれも、間に立つ人の能力を評価するための項目ではなく、決める役目がどこにあるかを確かめるための項目です。役目のどれかが空いていると、間に立つ人がその分を引き受ける形になり、そうした状況につながりやすくなります。
決める役目とまとめる役目が別の人に置かれている職場もあれば、ひとりが両方を兼ねている職場もあります。どちらであっても、役目そのものが決まっているかを確かめれば、手がかりが得られます。
伝える役目と進める役目が定まっていないと、決まった内容が関係者に伝わる前に、間に立つ人が個別に説明する形になります。
4つをすべて一度に確かめる必要はありません。決める役目とまとめる役目を優先して確かめ、残りは入社後に確かめる進め方もあります。
決める役目とまとめる役目が同じ人に集まっている場合もあります。ひとりが両方を兼ねているかどうかも、面接で確かめられる点です。
4つの役目の名前は、職場によって違う呼び方が使われていることもあります。呼び方が違っても、確かめたい内容は変わらないため、質問の言い方を職場の言葉に合わせて調整して構いません。
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4. 決める役目が空くと負荷が集まります
間に立つ人に負荷が集まりやすいのは、決める役目が自分に残っているときです。役目が自分になければ、間に立つ人は情報を渡す役目に留まりますが、役目が自分に残っていると、間に立つ人自身が判断を迫られる場面が増えます。
板挟みという言葉は、間に立つ人の性格や忍耐を指しているように見えますが、実際に起きているのは役目の空白を誰かが埋めている状態です。埋めている人が変われば、見え方も変わります。
負荷が集まる場面は、決める役目だけでなく、まとめる役目が空いているときにも生まれます。複数の意見を並べたまま誰もまとめずにいると、間に立つ人が結果的にまとめる役目まで引き受けることになります。
この負荷を減らす手がかりは、間に立つ人の対応の仕方を変えることではなく、決める役目とまとめる役目がどこにあるかを先に確かめることです。確かめる相手は、面接での確認や勤務先の人事・上長への相談が挙げられます。
負荷が集まる期間は、役目が定まるまでの一時的な状態であることも珍しくありません。役目が置き直された後は、間に立つ人が引き受ける範囲がもとの大きさに戻ることもあります。
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5. 役目の有無と経路の有無で位置づけます
決める役目を自分が持っているかと、相手同士が直接やりとりできるかという2つの軸で、位置を捉え直せます。
右上に近いほど、決める役目が自分に残ったまま間に立つ場面が続き、左上に近いほど、間に立ち続けなくてよい場面が増えます。
今の場面がどの位置に近いかは、決める役目が自分にあるかを直接尋ねる、相手同士が直接やりとりできる経路があるかを確かめるという2つの動きで、ある程度見えてきます。
位置は一度確かめて終わりではなく、担当が変わるたびに動きます。確かめ直す機会を、面接だけでなく入社後にも持っておくと、位置の変化に早く気づけます。
6. 置き直すときの伝え方を3つ並べます
置き直すときの伝え方をそろえておくと、確かめられる内容が増えます。次の3つを順に使います。
聞くときの3つの言い方
- 役目の有無を聞く:決める役目が自分にあるかを直接尋ねます
- 経路の有無を聞く:相手同士が直接やりとりできるかを尋ねます
- 相談先を聞く:判断に迷ったときに相談できる相手を尋ねます
3つの言い方は、役目の有無・経路の有無・相談先という3つの角度に対応しています。どれか1つだけを聞くより、順に聞いておくと、答えの抜けに気づきやすくなります。
面接の場で聞きにくいと感じる場合は、内定後に受け取る資料の中に、同じ内容の記載があるかを確かめる進め方もあります。
3つを聞いたあとに、板挟みだと感じていた場面の見え方が変わることもあります。役目が自分になければ、間に立つ人が引き受ける範囲は変わります。
聞けなかった項目は、次の面接や入社後の確認に回せば十分です。すべてを一度に確かめる必要はありません。
3つの言い方を一度に使う必要はなく、場面に応じて順番を入れ替えても構いません。役目の有無を先に聞けない場合は、相談先から聞き始めても、同じ手がかりにたどり着けます。
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7. よくある質問|板挟みを感じたときに確かめます
Q1. 板挟みを感じるのは、自分の伝え方に問題があるからでしょうか。
A. そうとは言えません。決める役目が複数の相手に重なっていることが背景にある場合が多く、伝え方を変えるだけでは解消しないことがあります。決める役目を自分が持っているかを先に確かめる、相手同士が直接やりとりできる経路があるかを確かめるという進め方があります。
Q2. 板挟みになりやすい役目は、入社前に見分けられますか。
A. ある程度見分けられます。決める役目とまとめる役目がどこにあるかを、面接で進め方を聞くことで確かめられます。求人票の記載だけで判断がつかない場合は、勤務先の人事・採用担当に確かめる進め方もあります。
Q3. 決める役目が自分にあるかまだ分からない場面では、どう動けばよいですか。
A. 決める役目が自分にあるかを確かめることを優先します。直接尋ねて分からない場合は、相手同士が直接やりとりできる経路を作れないか、勤務先の人事・上長に相談する進め方があります。面接の場で結論が出なくても、確かめた内容は入社後の手がかりとして残ります。
Q4. 入社後にそうした場面が続く場合、どこに相談すればよいですか。
A. 勤務先の人事・上長に相談する進め方が挙げられます。決める役目を自分が持ち続けているかを確認し直すことで、間に立つ人が引き受ける範囲が変わることがあります。
8. まとめ:決める役目を先に置き直します
この記事の要点
- 板挟みだと感じる場面は、性格や対応の仕方の問題ではなく、決める役目が複数の相手に重なっていることから起きます
- 重なりやすい役目は、決める・まとめる・伝える・進めるの4つに整理でき、面接や勤務先の人事・上長への相談で確かめられます
- 位置を捉える軸は、決める役目が自分にあるかと相手同士が直接やりとりできるかの2つで、左上に近いほど間に立ち続けなくてよい場面が増えます
- 置き直すときは、役目の有無・経路の有無・相談先という3つの角度を順に聞くと、答えの抜けに気づきやすくなります
- 一般労働者の賃金は55〜59歳で396.2千円、60〜64歳で329.3千円です*1。年齢による賃金水準の前提として示すもので、ここでの話とは別に扱います
板挟みかどうかは、間に立つ人の力量では判断できません。決める役目が誰にあるかを、面接で進め方を聞く、勤務先の人事・上長に相談するという進め方で確かめられます。分からない点が残るときは、面接で聞き直すか、勤務先の人事・上長に確かめる進め方があります。役目が置き直された場面と、まだ重なったままの場面を比べてみると、間に立つ人が引き受けている範囲の違いに気づきやすくなります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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