年度の切替がある求人で同じ日に乗る2つの作業
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

エンジニアが転職を考えるとき、求人票だけでは、年度をまたぐ日に何が起きるかまでは分かりません。前年度の作業を締める日と、新しい年度の準備を始める日が同じ日に重なる会社は少なくなく、どちらを先に通すかが決まっているかどうかで、入社後の忙しさの感じ方が変わります。
前年度の後始末と新しい年度の準備、どちらを先に通すかが決まっているかを、求人を選ぶ段階で確かめる方法を整理します。
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この記事のポイント
- 年度をまたぐ日は、前の期の作業と次の期の準備が同じ日に乗ります。どちらを先に通すかが決まっているかどうかは、求人票だけでは分かりません。
- IPAの調査では、DX推進人材が「大幅に不足」と回答した企業は50.1%でした*1。人手が薄い体制ほど、前の期と次の期の作業が同じ担当者に集中しやすくなります。
- 確認する項目を、担当・記録・聞き方まで整理しておくと、入社前の面接でも聞きやすくなります。
1. 年度をまたぐ日は、前の期の作業と次の期の準備が重なります
年度をまたぐ日に、前年度の作業と新しい年度の準備のどちらを先に通すかが決まっているかどうかは、求人を選ぶ段階で確かめられます。IPAの調査では、DX推進人材が「大幅に不足」と回答した企業は50.1%でした*1。人手が薄い体制ほど、前の期の後始末と次の期の準備が同じ担当者・同じ日に集中しやすくなります。
前年度の後始末には、締めの処理や記録の整理といった作業が含まれます。新しい年度の準備には、新しい設定や引き継ぎの整備が含まれます。この2つが同じ日に並ぶ会社は、珍しくありません。担当する範囲が広いほど、2つの作業を1人で抱えることになりやすくなります。
どちらを先に通すかが決まっていない場合、前の期の後始末が終わる前に次の期の作業が始まり、確認の順番が入れ替わることがあります。順番が決まっているかどうかは、担当者の負担にも関わる観点です。
求人票には、この順番までは書かれていません。面接で聞く、あるいは入社後に確かめるという進め方があります。まず確かめられるのは、順番が決まっているかどうかという1点です。
確認する範囲は、面接の残り時間によっても変わります。時間が限られている場合は、まず締める基準だけを尋ね、担当の分かれ方は入社後に確かめるという進め方もあります。
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2. 切替の日にやることを、配分の目安で分けます
切替の日に何をするかを、3つに分けて考えます。実際の配分は求人によって変わるため、ここでは考える順番を整理するための目安として示します。
前の期の後始末と次の期の準備は、どちらも欠かせない作業です。ここに、どちらを先にするかの調整という3つ目の要素を加えると、切替の日の全体が見えてきます。
調整の役割が明確な会社では、前の期の後始末を担当する人と、次の期の準備を担当する人が分かれている場合があります。役割が分かれていれば、同じ担当者に作業が集中する場面は少なくなります。
調整の役割が定まっていない会社では、前の期と次の期の作業が同じ担当者に重なりやすくなります。配分の目安を知っておくと、面接で聞く内容も絞りやすくなります。
この目安は、切替の日を迎える前に自分の状況を当てはめて考えるための枠組みです。実際の配分を求人票から読み取ることはできませんが、面接で担当の分かれ方を尋ねれば、目安との違いが見えてきます。
3. どちらを先に通すか、判断の分かれ目を整理します
前の期の後始末を先に終わらせるか、次の期の準備を先に始めるかは、業務の依存関係によって決まります。前の期の記録が確定していないと、次の期の数字が正しく積み上がらない場面があります。
依存関係が明確な会社では、前の期の後始末を終える基準が決まっています。基準が決まっていれば、次の期の準備をいつ始めてよいかも自然に決まります。
依存関係が明確でない会社では、前の期の後始末と次の期の準備が並行して進み、どちらを優先するかの判断が担当者に委ねられます。委ねられた判断は、担当者によって差が出ます。
期末に予算を使い切る動きがある求人では、この判断の分かれ目がさらに増えます。予算の処理と次の期の準備が同じ時期に重なるためです。
判断の分かれ目が整理されているかどうかは、入社前に確かめられる観点の1つです。整理されていれば、入社後に迷う場面を減らせます。
会計システムを新しく入れた求人では、判断の分かれ目そのものが変わっている場合があります。導入した直後は、前の期の後始末を新しいシステムで行い、次の期の準備は以前の方法のまま進める会社もあります。
確認した内容は、口頭で聞いただけで終わらせず、メモとして残しておくと、入社後に見比べる材料になります。担当者が変わったときにも、同じ説明を繰り返さずに済みます。
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4. 確認することを、担当と記録まで一覧にします
切替の日に確認しておきたい項目を、担当・記録・聞き方の例まで並べます。
【表1】切替の日に確認する項目と聞き方の例
| 確認すること | どこで分かるか | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 前の期を締める基準 | 社内規程や引き継ぎ資料の記載 | 前の期の締めは、何を基準に完了としますか |
| 次の期の準備を始める時期 | 業務フローや面接での説明 | 次の期の準備は、いつから始まりますか |
| 前の期と次の期を担当する人 | 組織図や面接での確認 | 前の期と次の期は、同じ担当者が兼ねますか |
| 判断が割れた場合の確認先 | 社内規程や人事への確認 | 順番の判断が割れたとき、どこに確認できますか |
表の4項目は、締める基準・始める時期・担当する人・確認先という順に並んでいます。順に確かめると、聞き漏らしが減ります。
締める基準が明確な会社では、前の期の後始末が終わったことを、誰が確認するかまで決まっています。基準が曖昧な会社では、この確認自体が担当者の判断に任されます。
担当する人が同じか分かれているかは、負担の集中に直結します。同じ担当者が前の期と次の期を兼ねる場合、切替の日の忙しさが1人に乗ります。
確認先が複数の部署に分かれている会社では、判断が割れたときにどこへ確認するかを事前に把握しておくと、入社後に迷う場面を減らせます。確認先が1つに決まっている会社では、この点を確かめる手間そのものが小さくなります。
5. 転職後の賃金の変化を、参考の数字で示します
切替の日の進め方を確かめる作業とは別に、転職に関する検証済みの数字を1つ挙げます。
厚生労働省の調査では、転職入職者のうち賃金が増加した人の割合は40.5%でした*2。切替の日の進め方を確かめる作業とは、直接の関係はありません。
それでも、切替の日の進め方を面接で確認する場面と、転職後の賃金を確認する場面は、同じ面接のなかで並んで出てくることがあります。両方を別々の観点として持っておくと、確認が混ざりにくくなります。
この数字だけで、個々の転職の結果を判定することはできません。参考の数字として、切替の日の確認とは別に扱っておく程度で十分です。
切替の日の進め方を確かめる作業に時間をかけたことは、面接の場でそのまま伝えられます。確認した項目を具体的に話せば、業務の進め方を理解しようとする姿勢として受け取られやすくなります。
6. 年度をまたぐ日を迎える前に、整えておく点を確認します
切替の日を迎える前に、確かめておきたい点を整理します。
切替日を迎える前に確認する点
- 締める基準:前の期の後始末を、何をもって完了とするかを確認します。
- 始める時期:次の期の準備を、いつから始めてよいかを確認します。
- 担当の分かれ方:前の期と次の期を、同じ担当者が兼ねるかどうかを確認します。
- 確認先:順番の判断が割れたとき、どこに確認できるかを把握します。
4つの点は、締める基準・始める時期・担当の分かれ方・確認先という順に並んでいます。順番に確認すると、面接での聞き方も自然に決まります。
参考として、厚生労働省の調査では、一般労働者の賃金のうち40〜44歳の月額は364.3千円でした*3。切替の日の進め方を示す数字ではありませんが、キャリアの中盤にあたる年齢層の賃金水準として挙げておきます。
会計システムを新しく入れた求人では、切替の日の運用そのものが変わっている場合があります。導入の時期によって、確認する内容が変わることもあります。
4つの点は、入社前の面接で確認できる範囲です。確認できなかった点は、入社後に人事や上長へ確かめる進め方もあります。
4つをまとめて聞く時間がない場合は、締める基準と担当の分かれ方の2点に絞って確認する進め方もあります。残りの2点は、入社後に人事や上長へ確かめることもできます。
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7. よくある質問|切替日の進め方
Q1. 年度をまたぐ日に、前の期と次の期の作業が重なるのは珍しいことですか。
A. 珍しくありません。前の期の後始末と次の期の準備は、業務の性質上、同じ時期に並びやすい作業です。どちらを先に通すかが決まっているかどうかが、負担の感じ方を左右します。
Q2. 面接で、切替の日の進め方を確認しても失礼になりませんか。
A. 業務の進め方を確認する質問であり、失礼にはあたりません。締める基準や担当の分かれ方を尋ねる形であれば、業務理解を示す質問として受け取られやすくなります。
Q3. 前の期と次の期を同じ担当者が兼ねる場合、負担はどう変わりますか。
A. 兼ねているだけで負担が大きくなるとは限りません。締める基準と始める時期が明確であれば、同じ担当者でも作業の順番に迷いが生じにくくなります。基準が曖昧な場合は、判断そのものを担当者が抱え込む形になりやすくなります。
Q4. 切替の日の運用は、入社後に変えられますか。
A. 運用を変える権限は、担当者の立場によって異なります。まずは現在の運用を確認し、必要であれば上長や関係者に相談する進め方があります。運用を変える前に、変えた場合の影響を関係者に確認しておくと、後から手戻りが生じにくくなります。
8. まとめ:切替日の進め方は、決まっているかで変わります
この記事の要点
- 年度をまたぐ日は、前の期の後始末と次の期の準備が同じ日に重なりやすい時期です。
- どちらを先に通すかが決まっているかどうかは、求人票だけでは分かりません。IPAの調査では、DX推進人材が「大幅に不足」と回答した企業は50.1%でした*1。
- 締める基準・始める時期・担当の分かれ方・確認先の4点を順に確認すると、面接での聞き方も定まりやすくなります。
- 転職後に賃金が増えた人の割合は40.5%です*2。切替の日の進め方とは別に、参考の数字として扱えます。
切替の日の進め方は、会社によって決まっている場合も、決まっていない場合もあります。求人を選ぶ段階で、締める基準や担当の分かれ方を確認しておくと、入社後に迷う場面を減らせます。確認した内容は、面接だけでなく、入社後の引き継ぎでも使える材料になります。1人で抱え込まず、確認できることから順に確かめていく進め方が、切替の日を乗り切るための土台になります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 IPA「DX動向2026」
*2 厚生労働省「雇用動向調査」(令和6年)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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