残業なしでフルリモートの正社員|固定残業代と36協定

残業なしかどうかは、求人票の時間外労働の欄(月平均の時間)と、固定残業代(一定時間分の残業代を定額で払う手当)の有無で見分けます*4。「残業なし」という表示に公的な定義はなく、求人票の記載から読むことになります。
フルリモートでも、時間外労働の上限は出社の仕事と同じで、原則は月45時間・年360時間です*2*7。時間外・休日労働をさせるには、36協定(時間外労働と休日労働をさせるための労使協定)の締結と届出が要ります*2。
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この記事のポイント
- 残業なしかどうかは、求人票の時間外労働の欄にある月平均の時間と、固定残業代の有無で見分けます*3*4。2025年の所定外労働時間(早出・残業・臨時の呼出・休日出勤の時間)は、一般労働者の調査産業計で月13.2時間、情報通信業で月16.5時間です*1。
- 時間外労働の法の上限(原則月45時間・年360時間)と、求人票の記入ルール(1年360時間の36協定なら月平均30時間以内)は別のものです*2*3。月45時間の協定を結ぶ会社でも、求人票の月平均は30時間以内で書きます*3。
- 固定残業代は、基本給の額・含まれる時間数と金額・超えた分の追加支給の3点が求人に書かれているかを読みます*5。フルリモートでは、労働時間をパソコンの使用時間などの記録で把握するのが原則なので、面接で記録の取り方も聞けます*7。
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
リラシクの強み
求人票の残業時間を読み比べるときは、出社の頻度や手当ても同じ画面で並べると、働き方の全体が見えてきます。リラシクが扱う求人は、すべてリモートワークに対応した正社員求人です。「地方フルリモートOK」「週1日以上の出社」「リモートワーク手当て有り」などの条件で絞り込めます。フルリモートの求人だけを残して、時間外労働の欄を読み比べられます。
1. 残業なしの見分け方は月平均の時間と固定残業代
残業が少ない求人は、時間外労働の欄の月平均と、固定残業代に含まれる時間数の2つで比べられます*3*4。月平均の時間は、会社が結んだ36協定の時間以内で記入する数字です*3。固定残業代が含まれる求人は、含まれる時間数と金額、超えた分を追加で払うかの3点が書かれます*5。「残業なし」の言葉だけで応募を決めず、この2つの数字が書かれた求人を並べて読みます。
比べる基準として、2025年の所定外労働時間(早出・残業・臨時の呼出・休日出勤の実労働時間)の全国平均があります*1。一般労働者では、月平均で調査産業計が13.2時間、情報通信業が16.5時間です*1。情報通信業の16.5時間はリモート勤務者に限らない値で、フルリモートの残業時間そのものではありません。
求人票の「時間外」の欄は、早出出勤や残業のことで、36協定がある場合は「あり」と書かれます*6。統計の所定外労働時間には、休日出勤も含まれる点が、求人票の時間外との違いです*1。休日出勤の扱いが違うので、13.2時間は求人票の月平均と並べるときのおおよその目安として使います。
2. 求人票で残業を読む手順は4つ

1つ目は、時間外労働の欄の月平均の時間です。ハローワークの求人票では、1か月平均の時間外労働時間数を書き、その時間は締結・届出をしている36協定の月の時間以内にします*3。この記入ルールが対象にしているのはハローワークの求人票で、ほかの求人媒体が同じ書き方とは限りません。
2つ目は、36協定の内容です。月45時間を超える時間外労働は、臨時的な特別の事情があるときに限り、年6か月まで認められます*2。この定めが特別条項で、特別条項付きの36協定を結んでいる求人は、内容が分かるように書く決まりです*3。たとえば、受注が集中した場合に1か月何時間・1年何時間までできるかを、求人票に書く形が挙げられています*3。
3つ目は、給与欄の固定残業代です。含まれている求人は、基本給の額・時間数と金額の書き方・超過分の追加支給の3点が書かれているかを読みます*5。
4つ目は面接です。求人票の月平均は1か月の平均なので、時期によって残業時間に差があっても数字には出ません*6。繁忙期の残業が月何時間になるか、特別条項があれば最大で何時間まで働く可能性があるかを、面接で聞きます。
3. 法の上限と求人票の記入ルールは別のもの
時間外労働の法の上限、求人票の月平均の記入ルール、全国の統計の比較
| 比べるもの | 時間 | 何についての数字か |
|---|---|---|
| 時間外労働の法の上限(原則) | 月45時間・年360時間 | 会社が時間外労働をさせるときに超えてはならない時間。36協定が必要*2 |
| 特別条項を使う場合の法の上限 | 年720時間以内。月45時間超は年6か月まで | 臨時的な特別の事情があって労使が合意したときの上限*2 |
| 求人票の月平均の記入ルール | 月45時間・年360時間の協定なら月平均30時間以内 | 求人票に書く数字の決まり。特別条項があっても同じ*3 |
| 全国の所定外労働時間(2025年) | 一般労働者の月平均で調査産業計13.2時間・情報通信業16.5時間 | 毎月勤労統計調査の平均値で、法の上限でも求人票の記入ルールでもない*1 |
法の上限は、会社が超えてはならない時間で、原則は月45時間・年360時間です*2。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、時間外労働は年720時間以内で、月45時間を超えられるのは年6か月までです*2。
求人票の月平均は、別の決まりで書きます。1年360時間・月45時間の36協定を結んでいる会社は月平均30時間以内と書くため、法の上限の月45時間とは数字が違います*3。
法違反かどうかは、所定外労働時間ではなく、法定外労働時間(法律で定めた労働時間を超える時間)の超過で判断されます*2。統計の所定外労働時間には休日出勤なども入るので、13.2時間や16.5時間をそのまま法の上限と比べることはできません*1*2。
あわせて読みたい | 36協定の45時間とは|月の残業の上限で超過は年6か月まで
4. 固定残業代は3点が書かれているかを読む
固定残業代は、名称にかかわらず、一定時間分の時間外労働・休日労働・深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金です*4。時間外労働の有無にかかわらず支給される手当なので、給与に含まれている求人では、残業をしない月も同じ額が出ます*5。
令和5年6月の資料の記載例では、次の3点を求人に書くことになっています*5。1つ目は基本給の額で、固定残業代の手当を除いた額を書きます*5。2つ目は手当の書き方で、「時間外労働の有無に関わらず、●時間分の時間外手当として▲▲円を支給」の形です*5。3つ目は、●時間を超える時間外労働分の割増賃金を追加で支給する旨です*5。
3点がそろっていれば、固定残業代に含まれる時間数が分かります。時間数が書かれていない求人や、基本給の額が分からない求人は、給与のうちどこまでが固定残業代なのかが求人票から読めません。そのため、面接や問い合わせで時間数と金額を聞きます。「残業なし」と書かれた求人に固定残業代の記載があるときは、含まれる時間数を月平均の欄とあわせて読んでください。
5. フルリモートの残業は記録の取り方と3つの質問で見分ける

テレワークでも、時間外・休日労働には36協定の締結と届出、割増賃金の支払が要ります*7。深夜に働かせる場合は、深夜労働の割増賃金の支払も必要です*7。フルリモートだからといって、残業の決まりが緩くなることはありません。
労働時間は、パソコンの使用時間の記録など、客観的な記録を基礎に始業と終業の時刻を確認するのが原則です*7。自己申告で労働時間をつける場合も、申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなど、適正な申告を阻害する措置は取れません*7。面接では、勤務時間をどの記録で把握しているかを聞けます。
テレワークで長時間労働が生じる要因には、時間外等に業務の指示や報告がメール等で行われることが挙げられています*7。対策には、時間外のメールの自粛、深夜・休日にシステムへアクセスできないようにする設定があります*7。勤務間インターバル制度(終業から次の始業までに一定の休息時間を置く制度)も、長時間労働を抑える手段の1つです*7。面接では、時間外の連絡をどう扱っているかを聞けます。
求人票と面接で聞くことは、3つに絞れます。求人票の月平均の時間、36協定に特別条項があるかとあるときの月・年の時間数、固定残業代に含まれる時間数です。求人票に書かれていれば読み、書かれていなければ面接で聞きます。
あわせて読みたい | フルリモートのホワイト企業|残業時間と年間休日の基準
6. よくある質問
Q1. 固定残業代が含まれる求人で残業をしない月は手当が出ませんか
A. 手当は出ます。固定残業代は、残業の有無に関係なく、決まった時間分の時間外手当として払う形で求人に書かれます*5。
Q2. フルリモートでも36協定は必要ですか
A. 必要です。テレワークの時間外・休日労働にも、36協定の締結と届出が要ります*7。
Q3. 求人票の月平均は法の上限の月45時間まで書けますか
A. 書けません。月45時間・年360時間の36協定でも、求人票の月平均は30時間以内です*3。
Q4. 情報通信業の所定外労働時間はフルリモートの残業時間ですか
A. いいえ。2025年の情報通信業の月16.5時間は、一般労働者の全国の平均で、リモート勤務者に限った値ではありません*1。
Q5. フルリモートの労働時間はどう把握されますか
A. パソコンの使用時間などの客観的な記録を基礎に、始業と終業の時刻を確認するのが原則です*7。
7. まとめ:残業なしのフルリモート求人は2つの数字で読む
残業なしのフルリモート求人の見分け方のまとめ
- 残業なしかどうかは、月平均の時間(時間外労働の欄)と固定残業代の有無で見分けます*3*4。
- 法の上限は原則月45時間・年360時間で、求人票の月平均は1年360時間の協定なら30時間以内と、別の決まりで書きます*2*3。
- 固定残業代は、基本給の額・含まれる時間数と金額・超えた分の追加支給の3点を読みます*5。
- フルリモートでも36協定は必要で、労働時間は客観的な記録を基礎に把握するのが原則です*7。
- 月平均の時間、特別条項の有無、固定残業代の時間数の3つを、求人票で読み、書かれていなければ面接で聞きます。
気になる求人が見つかったら、求人票の月平均の時間と、給与欄の固定残業代を先に読みます。書かれていない数字は、面接の前に質問として用意しておきます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報(厚生労働省)
*2 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
*3 求人票の労働時間の適正な記入をお願いします(大阪労働局・ハローワーク)
*4 固定残業制を採用する場合は、募集要項や求人票などに次の①~③の内容すべてを明示してください(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)
*5 2024年4月から明示しなければならない労働条件が追加されます(厚生労働省)
*6 求人票(大卒等)の見方のポイント(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)
*7 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚生労働省)
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