「技術力があってもCTOになれない」エンジニアに共通する落とし穴|CTOのキャリアパスについて徹底解説

「テックリードまで来た。次は、CTOを目指したい」。そう思い始めたとき、多くのエンジニアが最初に感じるのは、「どこから動けばいいかわからない」という感覚ではないでしょうか。
CTOへの道は、技術力を磨き続ければたどり着くものではありません。経営視点、組織設計、技術戦略といった、求められるスキルセットが、ある段階から大きく変わります。この記事では、CTO(最高技術責任者)へのキャリアパスを段階別に整理し、転職市場の現状から、リモートワーク環境での転職という選択肢まで、具体的にお伝えします。
この記事のポイント
- CTOへのキャリアパスには「技術軸」と「マネジメント軸」の2つのルートがあり、いずれも段階的なスキルアップが求められます。
- 2030年には最大79万人のIT人材不足が見込まれており*1、CTO・技術リーダー人材への需要は転職市場で高まっています。
- リモートワーク対応の正社員求人を活用することで、居住地を問わず上位職種へのキャリアチェンジが現実的な選択肢になります。
目次
1. CTO(最高技術責任者)とは?技術戦略を統括する経営幹部の役割
2. CTOへのキャリアパスは「技術軸」と「マネジメント軸」の2ルート・5ステージ
3. 各ステージで求められるスキル:技術力に「経営言語への翻訳力」が加わる
3-1. Stage 1〜2(入社1〜6年):まず実装力と「任される信頼」を固める
3-2. Stage 3(7〜10年目安):チームの技術品質を高める力へ
3-3. Stage 4〜5(10年目以降):技術を経営言語に翻訳する力が問われる
4. CTO転職の市場動向:上流工程ほど年収が上がり、設計領域は平均820万円超
1. CTO(最高技術責任者)とは?技術戦略を統括する経営幹部の役割

CTO(Chief Technology Officer、最高技術責任者)とは、企業の技術戦略を統括する経営幹部です。技術的な意思決定、エンジニア組織のマネジメント、経営陣との連携を担い、事業成長を技術面から支えます。IPA「DX動向2024」によれば、DXを推進する人材が量・質の両面で不足していると回答した企業は8割を超え、特に従業員101人以上の企業では「大幅に不足している」との回答が6割を超えています*2。技術を事業に接続できる人材として、CTOへの需要は高い水準で推移しています。
「CTO(シーティーオー)」という肩書きは、企業規模やフェーズによってその実態が大きく異なります。スタートアップでは自らコードを書きながら技術の方向性を決める役割を担い、大企業では複数の開発組織を統括する戦略家としての機能が求められます。
CTOの主な職責は、以下の4つの領域に分類できます。
- 技術戦略の立案:事業目標を達成するための技術ロードマップを策定し、経営陣と技術投資の方向性を合意します。
- エンジニア組織の構築・運営:採用・評価・育成体制を設計し、開発チームが最大のパフォーマンスを発揮できる環境を整えます。
- 技術選定とアーキテクチャ意思決定:システムの将来性・拡張性・セキュリティを踏まえた技術スタックの選定を主導します。
- 経営との接点:取締役会や投資家に対して技術面での進捗・リスク・機会を説明し、全社戦略に技術視点を組み込みます。
混同されやすい役職との違いも整理しておきます。
| 役職 | 主な責任範囲 | 経営関与 | 主なスコープ |
| CTO(最高技術責任者) | 技術戦略・対外的な技術ブランド | あり(経営幹部) | 会社全体 |
| VPoE(VP of Engineering) | エンジニア組織のピープルマネジメント・採用・評価 | 部分的 | エンジニア組織全体 |
| テックリード | チームの技術方針・コードレビュー・アーキテクチャ設計 | なし | チーム・プロジェクト単位 |
| エンジニアリングマネージャー(EM) | チームの採用・育成・評価 | なし | 特定チーム(5〜10名程度) |
CTOはVPoEやテックリードとは経営への関与度とスコープの広さで明確に異なります。大規模な企業ではCTOとVPoEが役割を分担するケースも多く、スタートアップでは一人が両者を兼任するケースも見られます。自分が「技術戦略」と「経営との接点」に強みを持つタイプか、「組織設計」と「ピープルマネジメント」に適性があるかを見極めることが、キャリア設計の出発点になります。
2. CTOへのキャリアパスは「技術軸」と「マネジメント軸」の2ルート・5ステージ
エンジニアとしてキャリアをスタートしてから、CTOになるまでには、一般的に10年以上のキャリア形成が必要だとされます。ただし、これは一本道ではありません。「技術軸」で専門性を深めていくルートと、「マネジメント軸」で組織運営の経験を積むルートの2方向が存在し、最終的にどちらもCTOという経営ポジションに合流します。
| ステージ | 技術軸ルート | マネジメント軸ルート | 目安年数 |
| Stage 1(基礎) | エンジニア(実装・設計) | エンジニア(実装・設計) | 1〜3年 |
| Stage 2(中堅) | シニアエンジニア | テックリード / EM候補 | 4〜6年 |
| Stage 3(リーダー) | プリンシパルエンジニア / ITアーキテクト | エンジニアリングマネージャー(EM) | 7〜10年 |
| Stage 4(上位管理) | テックリード / VPoT | VPoE / エンジニアリングディレクター | 10〜14年 |
| Stage 5(経営) | CTO(技術戦略型) | CTO(組織設計型) | 15年〜 |
Stage 1〜2では、技術の基礎力を磨き、チームの中で「技術的に信頼できる人」としてのポジションを確立することが目標です。Stage 3からは、担当範囲が「チーム全体」「複数プロジェクト」へと広がります。ここで技術軸かマネジメント軸かの方向性が分かれますが、CTOを目指す場合、どちらの軸を選んでも「最終的に経営との接点を持つ経験」を積むことが必須になります。
スタートアップへの転職という選択肢も有効です。シリーズA前後の企業では、テックリードやEM経験者がCTO候補として採用されるケースがあります。大企業でのキャリアを積んだ後、スタートアップのCTOポジションに転職するルートは、転職市場でも一定の需要があります。
あわせて読みたい|【フルリモート】ITエンジニアの転職は可能?市場データと失敗しない5つの判断軸
3. 各ステージで求められるスキル:技術力に「経営言語への翻訳力」が加わる
CTOへのキャリアパスで重要なのは、技術力だけでなく「技術を経営言語に翻訳する能力」です。IPA「DX動向2024」(2024年公表)でも、技術と経営をつなぐ人材の不足は深刻で、量・質の両面で不足していると回答した企業は8割を超えています*2。技術力・マネジメント経験・経営視点の3つを段階的に積み上げることが、CTO転職を現実の目標にするための着実なルートです。
3-1. Stage 1〜2(入社1〜6年):まず実装力と「任される信頼」を固める
エンジニアとしてのキャリア初期(入社後1〜6年)は、まず技術的な実行力を身につけることが優先です。特定の言語・フレームワークでの開発経験を深めるとともに、クラウド環境(AWS・Azure・GCPなど)での設計・構築・運用経験を積むことが、後のキャリアの基盤になります。
この段階では、「技術の引き出しの多さ」よりも「任されたことを完遂する信頼」が評価の中心です。コードレビューへの積極的な参加、技術的な課題に対する自発的な提案、チーム内での知識共有。こうした日々の積み重ねが、次のステージへの扉を開きます。
3-2. Stage 3(7〜10年目安):自分が書く技術から、チームの技術品質を高める力へ
テックリードやエンジニアリングマネージャーの役割を担う段階では、「自分が書く技術」から「チームが生み出す技術の質を高める力」へとシフトが求められます。具体的には、以下の経験が重要です。
- アーキテクチャ設計の主導(スケーラビリティ・セキュリティ・技術負債の観点)
- 採用活動への参加と面接評価の実施
- エンジニアの育成・評価制度の設計または改善への貢献
- プロダクトマネージャー・デザイナー・ビジネス部門との横断的な連携
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年3月公表)によれば、システムコンサルタント・設計者の平均年収は820.2万円、ソフトウェア作成者は655.2万円で、上流工程を担う職種ほど年収レベルが高い傾向が確認できます*3。テックリードやITアーキテクトへのステップアップは、年収面でも明確な変化につながります。
3-3. Stage 4〜5(10年目以降):技術を経営言語に翻訳する力が問われる
VPoEやプリンシパルエンジニアとして組織全体の技術課題に向き合う段階では、「技術の深さ」に加えて、「経営に技術を説明する力」が問われます。この段階で多くのエンジニアが直面するのは、「技術的に正しい判断」と「経営的に優先すべき判断」が必ずしも一致しないという現実です。
CTOとして経営幹部に求められるのは、「投資対効果の視点で技術選定ができる」「技術的リスクをビジネス言語で取締役会に説明できる」「採用・育成・組織設計を経営計画と連動させられる」といったスキルセットです。技術的な意思決定だけでなく、IR・法務・事業部門との連携経験も、CTO候補としての評価に直結します。
4. CTO転職の市場動向:上流工程ほど年収が上がり、設計領域は平均820万円超
IT人材不足が続くなか、CTO・技術リーダー人材の転職市場は活発です。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年11月分)」(2026年1月公表)によれば、2025年11月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、労働市場は引き続き人手不足の状態にあります*4。また、経済産業省の試算では、2030年には最大79万人のIT人材が不足するとされており*1、上位職種ほど採用競争は激しくなっています。
| 職種区分 | 平均年収(万円) | 出典 |
| ITエンジニア全体平均 | 605.8 | 令和6年賃金構造基本統計調査*3 |
| ソフトウェア作成者 | 655.2 | 同上 |
| その他の情報処理・通信技術者 | 768.8 | 同上 |
| システムコンサルタント・設計者 | 820.2 | 同上 |
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では、上流工程・設計領域を担うエンジニア(システムコンサルタント・設計者)の平均年収が820.2万円で、ソフトウェア作成者(655.2万円)との差は約165万円です。CTO・技術役員クラスについては職種別の公的賃金統計が乏しく、報酬水準は企業規模・成長フェーズ・業界によって大きく異なります。上流工程の設計領域が平均820万円を超える点が、技術リーダー職の報酬水準を考える一つの目安になります。
特にスタートアップ(シリーズA〜B)では、ストックオプションを含む報酬設計を採用する企業も多く、キャッシュだけでなく事業成長への参加という観点でのキャリア設計が可能です。一方、大企業・上場企業のCTOポジションは安定性が高い反面、公募より内部昇格や紹介経由の採用が主流で、転職難度も高い傾向にあります。
転職を検討すべきタイミングのサイン
次のような状況があれば、CTO転職の検討を始めるタイミングとして参考にしてください。
- 現職でテックリード・EMとして2年以上の実績を積み、さらに上位の役割を求めている
- 自社の技術戦略や組織設計について、経営層と意見を出し合える環境がない
- スタートアップへの転職で、ゼロから技術組織を立ち上げる経験を積みたい
- リモートワーク環境で上位職種への転職を実現したいが、求人の探し方がわからない
5. リモートワーク時代のCTO転職:居住地を問わず上位職を目指せる時代へ
「東京本社でないとCTOや上位ポジションには就けない」という認識は、今や変わりつつあります。リモートワーク対応の正社員求人の広がりにより、地方在住のエンジニアや、移住を検討しているエンジニアがCTO・技術リーダー職に就く選択肢が生まれています。
リラシクが取り扱う求人は、すべてリモートワーク対応(リモートワーク求人率100%)です。出社を伴わないフルリモートの求人と、出社とリモートを併用するハイブリッド型の求人の双方を扱っており、CTO・技術リーダー候補向けのポジションも含まれます。
あわせて読みたい|リモートワークの種類を完全網羅|ワークモデルとワーカータイプを徹底解説
リモートCTOが増えている背景
DX推進の加速とエンジニア不足により、企業が求める技術リーダー像は「東京に在籍している人」から「成果を出せる人」へとシフトしています。特にスタートアップやITベンチャーでは、優秀なCTO・技術リーダーを確保するために、フルリモートでの役員採用を実施する事例が増えています。
リモートワーク対応のCTO転職では、以下のような点が選考で重視される傾向にあります。
- 非同期コミュニケーションでチームをリードした経験(テキスト・ドキュメント文化の醸成)
- リモート環境でのエンジニア採用・オンボーディングの設計・実行経験
- GitHubやConfluenceなどのツールを活用した、透明性の高い技術意思決定プロセスの設計
- 自律的な開発組織をつくるための評価制度・目標管理の設計経験
リモートワーク環境でのCTO・技術リーダー転職を具体的に進めたい場合、まずは現在の転職市場でどのようなポジションが存在するかを確認することが第一歩です。
あわせて読みたい|フルリモート|正社員エンジニア求人完全ガイド【2026年版】
6. まとめ:CTOキャリアは「いつか目指す夢」から「段階的に設計できる目標」へ
この記事のまとめ
- CTOは技術と経営をつなぐ役職です。技術力だけでなく、組織設計・経営視点・対外コミュニケーション力が求められます。
- キャリアパスには「技術軸(アーキテクト→VPoT→CTO)」と「マネジメント軸(EM→VPoE→CTO)」の2ルートがあり、いずれも10〜15年規模のキャリア形成が目安です。
- 2030年にはIT人材が最大79万人不足すると試算されており*1、技術リーダー人材への需要は高い水準で続いています。
- リモートワーク対応の正社員求人の広がりにより、居住地に関わらずCTO・上位職種への転職が現実的な選択肢になっています。
- 転職タイミングの見極めには、現職でのロール・権限・成長機会を棚卸ししたうえで、転職市場の現状を把握することが役立ちます。
CTOへのキャリアは、技術力の積み上げと、転職市場の動向を並行して確認することで、段階的に設計できます。次のステージへのスキルアップと市場の動きを、いまから一緒に確認していきましょう。
リラシク(株式会社LASSIC運営)について
リラシク(Relasic)は、株式会社LASSICが運営するリモートワーク対応の正社員求人に特化した転職支援サービスです。テックリード・EM・技術リーダー候補向けのポジションを含め、取り扱う求人はすべてリモートワーク対応(リモートワーク求人率100%)です。「今すぐ転職を決めていなくても、CTO・技術リーダー職の市場動向を把握したい」という方も、求人情報の確認からご利用いただけます。
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出典・参考情報
*1 経済産業省・みずほ情報総研「IT人材需給に関する調査 調査報告書」(2019年公表)
*2 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「DX動向2024」(2024年公表)
*3 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年3月公表)
*4 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年11月分)」(2026年1月公表)
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