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AI時代にエンジニアが目指すべきVPoEのキャリアパスとは|CTOとの違い・必要スキル・転職市場での評価を徹底解説

VPoEとは?役割・キャリアパス・年収を転職エージェントが解説【2026年版】

CTOを目指すべきか、技術を深掘りすべきか、マネジメントに進むべきか。エンジニアとして実績を積むほど、キャリアの選択肢はかえって見えにくくなることがあります。

その選択肢のひとつに、VPoEがあります。エンジニア組織を束ね、採用をつくり、人を育てる役割です。2026年の転職市場では、このキャリアへの需要が高まっています。

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この記事のポイント

  • VPoEは「エンジニア組織のマネジメント責任者」です。技術戦略を担うCTOとは役割が明確に異なります。
  • キャリアパスは「エンジニア → テックリード → エンジニアリングマネージャー(EM)→ VPoE」と段階的に進みます。
  • AIが普及する2026年の転職市場では、上流経験やマネジメント力を持つエンジニアが評価されやすくなっています。

1. VPoEとは?役割と仕事内容を整理する

VPoEの役割とエンジニア組織マネジメントのイメージ

VPoE(Vice President of Engineering)とは、エンジニア組織全体のマネジメントに責任を持つ役職です。採用・育成・評価・組織設計を統括し、CTOが立案した技術方針を実現するための組織体制を構築します。経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)では、2030年に最大約79万人のIT人材が不足すると予測されています*1。さらに同省の「2040年の就業構造推計(改訂版)」(2026年3月公表)では、AI・ロボット等の利活用を担う専門人材が2040年時点で約340万人不足する見込みと示されました*2。AIの普及が進んでも、エンジニアを含む専門人材の需要はむしろ拡大しており、その確保・定着・育成を組織レベルで担うVPoEへの期待は続いています。

1-1. VPoEの役割と主な仕事内容

VPoEを一言で表すと「エンジニア組織の責任者」です。CTOが技術的な意思決定や社外への技術戦略発信を担うのに対し、VPoEはエンジニア組織の「内側」を整え、動かす役割を担います。

  • 採用設計と選考運用:エンジニアの採用要件の定義、選考フローの設計・改善、候補者評価への最終的な関与。
  • 育成・評価制度の構築:キャリアラダーや評価基準の策定、定期的な1on1と成長支援の仕組みづくり。
  • 組織設計と人材配置:チームの編成・規模設計、プロジェクトへの適切な人材アサイン。
  • 経営陣との連携:CTOやCEOと技術方針・採用方針をすり合わせ、エンジニア組織の方向性を経営戦略と整合させる。
  • 生産性・組織文化の改善:開発プロセスの最適化、チーム間の連携強化、エンジニアが力を発揮しやすい環境の設計。

自らコードを書く仕事ではなく、コードを書く人たちが最大限の力を発揮できる環境をつくることが、VPoEの本質的な役割です。

1-2. VPoEが2026年に注目される背景

リモートワークや業務委託の定着によるエンジニア組織の分散化、そして生成AIの普及という2つの変化が、VPoEへの注目を高めています。エンジニア向け転職メディア「エンジニアtype」では、2026年の採用市場を「縮小ではなく選別へ」と位置づけ、生成AIが設計・コーディング業務の一部を担うようになったことで、企業がより慎重に人材を見極めるようになったと分析しています*3。実装そのものの価値が失われるわけではありません。AIとの協働を前提に、設計・判断・組織づくりといった領域の比重が高まり、その結果として「エンジニア組織をマネジメントできる人材」への期待が増しています。

2. VPoEへの典型的なキャリアパス【2026年版】

VPoEへの道は、段階的な積み上げが前提となります。技術力を磨き、リーダーシップを身につけ、組織マネジメントを経験する。それぞれのステップで求められるスキルと実績が異なります。

ステージ目安経験年数主なミッション習得すべきスキル
ジュニア〜ミドルエンジニア3〜5年技術力の習得・実務経験の積み上げ設計力・コーディング力・問題解決力
シニアエンジニア / テックリード2〜3年技術的意思決定・コードレビュー・チームへの技術的影響力アーキテクチャ設計・技術選定・メンタリング
エンジニアリングマネージャー(EM)3〜5年チームマネジメント・採用育成評価の実務経験ピープルマネジメント・1on1・目標設定・評価設計
シニアEM / エンジニアリングディレクター2〜3年複数チームの統括・全社的な組織設計への関与組織設計・戦略的人材配置・経営層との連携
VPoEエンジニア組織全体のマネジメント責任組織戦略・採用ブランディング・経営視点

エントリーレベルのエンジニアからVPoEに到達するまでには、一般的に10〜15年程度の経験を要するとされます。ただしスタートアップ環境では、EM経験2〜3年でVPoEに就くケースもあり、年数そのものよりも各ステージで積んだ実績の深さが重視されます。テックリード・EM・シニアEMという各ステップで異なる次元のマネジメント経験を積むことが、VPoEとしての実力の土台になります。

ステップ1:エンジニアとして技術力の土台をつくる

VPoEへのキャリアは、エンジニアとしての実務経験から始まります。後のステップでエンジニアから信頼されるためには、「この人は現場の苦労を知っている」という実感が欠かせません。それは自分がエンジニアとして本気で仕事をした経験からしか生まれません。

ステップ2:テックリードとしてチームに影響力を持つ

シニアエンジニアまたはテックリードの段階では、技術的な意思決定をチームのために担えるかどうかが問われます。コードレビューの質、アーキテクチャ設計の視点、技術選定の根拠説明。これらを通じてチームの技術的方向性に影響を与えた実績を積むことが重要です。

ステップ3:EMとして組織を動かす経験を積む

エンジニアリングマネージャー(EM)の経験は、VPoEへのキャリアにおいて最も重要なステップです。「メンバーの離職率が下がった」「採用の書類通過率が向上した」「スプリント速度が改善した」。こうした定量的な変化を、自分の意思決定と結びつけて語れることが、VPoEとして転職する際の差別化ポイントになります。

ステップ4:複数チームを統括し、VPoEへの最終ステップを踏む

シニアEMまたはエンジニアリングディレクターとして、複数のチームを横断してマネジメントする経験を積みます。CTOや経営陣との折衝経験、採用ブランディングへの関与、評価制度の全社設計。これらを経験したVPoE候補者は、転職市場でも高い評価を受けます。

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3. VPoEに求められる5つのスキル

VPoEに必要なのは、技術力だけではありません。エンジニア組織全体を統率するために求められるスキルを、5つの領域に整理します。

スキル1:エンジニアリングマネジメント能力

VPoEの中核となるスキルです。複数のエンジニアリングチームを統括し、各チームが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう環境を整えます。「自分のチーム」ではなく「組織全体」を最適化の対象とするシステム思考が、VPoEには欠かせません。

スキル2:採用・育成・評価のスキル

採用要件の定義から選考設計、オンボーディング、評価制度の構築・運用まで、一連の人材マネジメントを主導します。技術ブログの監修や社外イベントへの登壇など、採用ブランディングもVPoEの仕事の一部です。

スキル3:技術的な基礎知識と現場感覚

「なぜ開発に時間がかかるのか」「どのリファクタリングを優先するか」。こうした判断は技術への理解なしには成り立ちません。現場のエンジニアから信頼を得るためにも、自ら手を動かした経験から来る技術への敬意が、VPoEには必要です。

スキル4:経営視点とビジネス感覚

事業戦略をエンジニア組織の方針に落とし込む力、開発ロードマップの優先順位を判断する力、エンジニアリングへの投資対効果を経営陣に説明できる力。これらを指して「エンジニア組織のCFO的な役割」と表現されることもあります。

スキル5:ステークホルダーとのコミュニケーション能力

経営層には技術的な状況を分かりやすく伝え、エンジニアチームには経営方針を納得感のある言葉で届ける。この双方向の翻訳能力が、VPoEとしての評価に大きく影響します。「正確に理解され、行動に移されている」という状態をつくれるかどうかが、評価の分かれ目になります。

4. VPoE・CTO・EMの違いを比較表で整理する

VPoEを語るうえで、CTOやEMとの違いを明確にしておくことは重要です。これらの役職は連携して機能しますが、責任範囲とフォーカスが異なります。

比較項目VPoECTOエンジニアリングマネージャー(EM)
主な責任領域エンジニア組織の運営・人材マネジメント技術戦略の立案・外部への技術的意思決定担当チームのマネジメント・開発進捗管理
フォーカス組織・人材・カルチャー技術・製品ロードマップ・外部連携個々のチームの生産性と成長
対象範囲組織全体のエンジニア技術部門全体担当チームのメンバー
採用への関与度非常に高い(戦略・最終判断の責任者)高い(技術職採用に関与)担当チームの採用に関与
経営層との距離近い(経営戦略と連動)非常に近い(取締役・CEOと協議)VPoEやCTOを通じて連携
年収の目安1,000万円〜1,500万円*41,500万円〜(企業規模による)700万円〜1,200万円

表の年収はあくまで目安です。VPoEの年収相場は、IT・Web業界専門の人材紹介会社ギークリーの調査でも1,000万〜1,500万円程度とされています*4。実際の金額は企業の規模・業種・資金調達状況によって変わり、特にスタートアップではストックオプションを含む総報酬での判断が必要です。日本ではCTOがVPoEを兼務するケースもありますが、エンジニア組織が50名規模を超えると技術戦略と組織マネジメントの分業が生まれ、VPoEを独立して設置する企業が増える傾向にあります。

5. AI時代に「VPoEというキャリア」を目指す意味|転職エージェントの視点から

ここからは、転職エージェントとして日々の現場で感じていることをお伝えします。

コードが書けるだけでは、転職市場で届かない場所がある

2026年の転職市場で明確になってきたのは、「エンジニアとしての価値の重心の移動」です。

厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和7年11月分)によると、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.43倍で、全職業を示す「職業計」の1.12倍を上回る水準が続いています*5。エンジニアは依然として売り手市場です。一方で、その内訳を見ると、市場は「選別型の売り手市場」へと姿を変えつつあります。

実装に強みを持つエンジニアの価値が下がるわけではありません。ただ、GitHub CopilotやCursor、Claude Codeといったコーディング支援AIの精度が急速に向上し、実装作業の多くをAIと分担できるようになりました。その結果、「何を作るべきかを決める力」「エンジニア組織を動かす力」に、人間ならではの価値の重心が移りつつあります。

転職市場で「上流エンジニア」が採用決定しやすい理由

転職エージェントとして日々感じるのは、VPoE・EM・テックリードといった上流経験のある候補者が、採用決定率において大きな差を見せているということです。企業側の変化として、次の3点があります。

  • 採用が「拡大」から「選別」へ:AIで開発効率が上がった企業は、量よりも「組織を動かせる人材」を厳選するようになっています。
  • VPoE・EM職の希少性:VPoE経験者は転職市場で数が限られ、候補者同士の競合が起きにくい状況です。
  • マネジメント実績の再現性:「何名のチームを、どのように動かしたか」という具体的な実績は、AIには代替しにくい人間の価値として評価されます。

AIリテラシー・マネジメント力・企画力が、2026年に評価されるエンジニア像をつくる

VPoEは「AIを使ってコードを書く」役割ではありません。しかし、「AIを活用したエンジニア組織をどう設計するか」「AI時代に必要なエンジニア人材をどう採用・育成するか」。こうした問いに答えられる人材こそが、2026年以降に価値を持つVPoEです。

企画力(何を作るかを決める力)、マネジメント力(誰にどう動いてもらうかを設計する力)、そしてAIリテラシー(AIを組織にどう組み込むかを理解する力)。この3つを兼ね備えたVPoEへの需要は、今後さらに高まると見ています。コードが書けることは前提です。その先に何を持てるか。VPoEというキャリアは、その問いへの一つの答えだと考えています。

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6. VPoEを目指す方のためのリモートワーク転職戦略

リモートワーク対応のVPoE求人が増えている理由

リモートワークの定着により、エンジニア組織自体が分散型になっているケースが増えています。フルリモートのエンジニアが在籍する企業では、VPoE自身がリモートで組織を統括することが前提となっています。リラシクに掲載されているエンジニアリングマネジメント系の正社員求人でも、ハイブリッドまたはフルリモート対応の求人が増えています*6

転職活動で意識したい3つのポイント

1. 「組織設計の実績」を数値・事例で語れるようにすること

「何名のチームをマネジメントしたか」「どんな評価制度をつくったか」「採用でどんな成果を出したか」を、具体的な数値や事例とともに語れる状態にしておくことが、書類・面接での第一歩です。

2. CTOとの役割分担を明確に言語化しておくこと

面接では「VPoEとCTOの役割をどう分けていましたか」という質問が頻出します。自分がどの領域でCTOを補完し、何を独立して判断していたかを整理しておくと、VPoEとしての実力を伝えやすくなります。

3. リモートワーク対応求人を積極的に検討すること

リラシクでは、エンジニアリングマネジメント系を含むリモートワーク対応の正社員求人を掲載しています。掲載求人のうち約4割がフルリモート対応で*6、残りもハイブリッド勤務が中心です。あなたのキャリアステップに合う求人が見つかるかもしれません。

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7. まとめ:VPoEへのキャリアパスを着実に歩むために

この記事のまとめ

  • VPoEとは、エンジニア組織の採用・育成・評価・組織設計を統括するマネジメント責任者です。
  • 典型的なキャリアパスは「エンジニア → テックリード → EM → シニアEM → VPoE」の流れで、総経験年数の目安は10〜15年です。
  • 必要なスキルは、マネジメント能力・採用育成スキル・技術的知見・経営視点・コミュニケーション力の5領域に整理できます。
  • AIが普及する2026年の転職市場では、上流経験やマネジメント実績を持つエンジニアが評価されやすくなっています。
  • VPoEを目指す方にも、リモートワーク対応の正社員求人という選択肢があります。

管理職になるか、エンジニアとして技術を極め続けるか。そのどちらでもない第三の道として、VPoEというキャリアがあります。AI時代に人間が担うべき仕事の核心、すなわち組織を動かし、人を育て、方向性を決める力を磨くことは、長期的な市場価値への投資になります。

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出典・参考情報

*1 経済産業省・みずほ情報総研「IT人材需給に関する調査」(2019年4月公表)
*2 経済産業省「2040年の就業構造推計(改訂版)」(2026年3月公表)。AI・ロボット等の利活用を担う専門人材が2040年時点で約340万人不足する見込み(需要782万人/供給443万人)。
*3 久松剛「2026年 ITエンジニア転職・採用市場予測『採用は縮小ではなく選別へ』」エンジニアtype(転職type、2026年)。
*4 株式会社ギークリー「VPoEの仕事内容と年収は?必要なスキルと求人を解説」(2026年)。VPoEの年収相場を1,000万〜1,500万円と記載。年収は目安であり、企業規模・業種・地域・個人の経験等により変動します。
*5 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年11月分)」
*6 リラシク掲載求人のフルリモート対応比率:全体の約4割(株式会社LASSIC調べ)。最新の件数・比率は求人検索ページをご確認ください。

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