代替案の提示ができる求人|できませんで終わらせない
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

エンジニアが「その仕様には対応できません」と伝えたとき、そこで会話が止まるか、次の一手に進むかは、断り方ひとつで変わります。求人票の「柔軟な対応力」や「調整力」という表現、面談で聞かれる想定外の依頼への対応は、いずれもできないと伝えたあとに代替案を出せるかどうかを見ています。
リモートワーク対応の求人にエントリーする場面でも、この力は同じように評価されます。正社員全体のテレワーク実施率は22.5%です*1。対面で確認できる機会が減るほど、代替案を言葉にして残す力の比重は増えます。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
この記事のポイント
- 「できません」で終える返答と、代替案を添えた返答では、聞き手に残る材料が変わります。代替案の提示とは、断ったうえで実行できる範囲を具体的に示すことです。
- 求人票の「柔軟な対応力」「調整力」という言葉は、この力を指している場合があります。面談では、想定外の依頼にどう応じたかを聞く質問で、代替案を出せるかどうかが確かめられます。
- 正社員全体のテレワーク実施率は22.5%です*1。対面で確認できない場面が増えるほど、代替案を言葉として残しておく必要が増します。
1. 「代替案の提示」は、断ったあとの一言で分かれます。
できないと伝えたあとに、実行できる範囲を示せるかどうかが、求人票にも面談にも表れます。「対応できません」で終える返答は、そこで話が止まります。同じ場面で、代替案をひとつ添えるだけで、相手は次の判断に進めます。厚生労働省の調査では、転職入職者のうち転職後に賃金が増加した人の割合は40.5%でした*2。賃金が上がるかどうかは転職理由や勤務先によって変わり、この数字自体が代替案を出す力を裏付けるものではありません。ただし、面談で交わす会話の質は、選考結果に直接関わります。
スケジュールが厳しい、指定された技術が使えない、必要な権限がない――エンジニアが「できません」と答える場面は珍しくありません。ここで会話が止まるか続くかを分けるのは、断る理由の説明ではなく、代わりに何ができるかという一言です。
求人票には「柔軟な対応力」「調整力」といった言葉が並びますが、具体的に何を指すかは書かれていません。多くの場合、これは依頼を断ったあとに、実行できる範囲を自分の言葉で示せる力を指しています。
面談でこの力を確かめる質問は珍しくありません。想定外の依頼を受けたときの対応を聞かれた場合、断る理由よりも、その先に何を提案したかを話すほうが、相手に伝わります。
求人票の表現だけでは判断がつかない場合、面談の場で、過去にどんな代わりの案を出した経験があるかを具体的に尋ねられることがあります。抽象的な言葉を、自分の経験に置き換えて話せるかどうかが、そこで問われます。
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2. テレワークが増えるほど、代わりの案は言葉で残す必要が増えます。
この記事の前半で触れた数字を、テレワークを実施している人としていない人の内訳で確認します。
テレワークを実施している正社員は22.5%で、実施していない正社員は77.5%です*1。実施していない働き方が多数派ですが、テレワークを選ぶ正社員も一定数存在します。
対面で相談できる環境では、断ったあとの表情や声の調子から、代わりの案があることが伝わる場合があります。画面越しやチャットでのやり取りが中心になると、この余地は減ります。
テレワーク対応の求人に応募する場面でも、この違いは意識しておく必要があります。文章だけで、断る理由と実行できる範囲の両方を、相手に分かる言葉で残す力が問われます。
チャットやドキュメントに残した言葉は、あとから読み返されます。話した内容が消える対面のやり取りとは違い、書き方の粗さがそのまま記録として残る点も、テレワークならではの特徴です。
3. 求人票の「柔軟な対応力」は、代わりの案を出す力を指す場合があります。
求人票に書かれた「柔軟な対応力」「調整力」という言葉は、具体的な行動を指していません。読み手は、自分の経験のどの場面を当てはめればよいか、判断に迷います。
面談で確かめられるのは、断る理由の丁寧さではなく、断ったあとに何を提案したかです。「対応できませんでした」で終わる説明と、「別のやり方を提案しました」で続く説明は、同じ経験でも伝わり方が変わります。
代わりの案を出すには、依頼した側が何を優先しているかを、自分の言葉で言い直す作業が要ります。技術的な理由をそのまま伝えるだけでは、相手が次に何を選べばよいか分かりません。
面談で過去の対応を話すときは、断った事実だけでなく、その場でどんな代わりの案を示したかをセットで話すと、求人票の「調整力」という言葉と結び付きやすくなります。
面接官は、代わりの案そのものの巧拙よりも、依頼の意図をどれだけ正確に汲み取れたかを見ています。相手の言葉をそのまま使わず、自分の理解で言い直せているかどうかが、判断の分かれ目になります。
4. 断り方と代替案の型を、表で並べて示します。
求人票や面談で語られる「対応力」を、具体的な場面に当てはめて比べます。
【表1】断る返答と、代わりの案を添えた返答の違い
| 場面 | 「できません」で終える返答 | 代わりの案を添えた返答 |
|---|---|---|
| 納期が厳しい | このスケジュールでは間に合いません | この範囲までなら期日内に仕上げられます |
| 指定の技術が使えない | その技術は扱った経験がありません | 近い構成のこの技術であれば対応できます |
| 権限がない | その環境にはアクセスできません | 権限を持つ担当者に確認したうえで進められます |
| 仕様の解釈が食い違う | この仕様には対応できません | 解釈が分かれた部分だけを先に確認して進められます |
表のとおり、代わりの案を添えた返答は、断る理由の説明で終わらず、実行できる範囲を具体的な言葉で示しています。相手が次に判断する材料が残るかどうかが、両者の違いです。
仕様の解釈が食い違う場面では、断る前に解釈の違いそのものを言葉にすることが、代わりの案につながります。技術的にできないのか、依頼者の意図と自分の理解がずれているのかを切り分けると、次に示す案の的が絞れます。
厚生労働省の調査では、60〜64歳の一般労働者の賃金は月329.3千円でした*3。この数字は年齢と賃金の関係を示すものであり、代わりの案を出す力を裏付けるものではありません。ただし、経験を重ねた年代でも、断ったあとに実行できる範囲を示す力は、面談で確かめられる点に変わりありません。
断る理由だけを説明する返答は、聞き手にとって次の一手が見えません。代わりの案を添える返答は、話を前に進める材料になります。
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5. 「断って終える」姿勢と、代わりの案を出す姿勢を比べます。
「断って終える」から「代わりの案を出す」までの間で、自分の受け答えがどのあたりにあるかを確かめます。
「断って終える」側にあるのは、依頼を受けられない理由や制約を説明して終わる受け答えです。「代わりの案を出す」側にあるのは、断ったうえで実行できる範囲を具体的に示す受け答えです。
実際の受け答えは、この2つの間のどこかに位置します。理由の説明だけで終わる場面が続けば、位置は左に寄ります。実行できる範囲を毎回添えていれば、位置は右に寄ります。
面談では、この位置を自分の言葉で説明できるかどうかが役立ちます。「代わりの案は出せていませんでした」と言い切れなくても、「実行できる部分だけを切り分けて伝えていました」のように、関わり方を具体的に言えれば十分です。
位置は、担当する仕事や相手によって変わります。指示された範囲だけをこなす仕事では左に寄りやすく、要件のすり合わせから任される仕事では右に寄りやすくなります。
リモートワーク対応の求人に応募する場面では、この位置を書類や面談の会話だけで伝える必要があります。対面のように表情で補えない分、位置を示す具体的な言葉があらかじめ用意できているかどうかが差になります。
6. 代わりの案を組み立てる手順を整理します。
できないと伝えたあとに、代わりの案を組み立てる手順を4つに分けて整理します。
代わりの案を組み立てる4つの手順
- 依頼の中身を言い直す:相手が本当に必要としている結果が何かを、自分の言葉で言い直します。
- できない理由を1つに絞る:期限・技術・権限など、断る理由を1つに整理して伝えます。
- 実行できる範囲を切り分ける:全部は無理でも、進められる部分がどこまでかを具体的に示します。
- 次の判断を相手に渡す:切り分けた範囲を踏まえて、相手がどちらを選ぶか判断できる形で伝えます。
この4つの手順は、順番を飛ばすと伝わりにくくなります。理由を先に説明しすぎると、聞き手は「言い訳」として受け取ります。
求人の選考で過去の対応を聞かれた場合も、この4つの手順に沿って話すと、断った経験を否定的な話として終わらせずに伝えられます。
4つの手順のうち、実務で最も抜けやすいのは3番目の「実行できる範囲を切り分ける」です。ここを飛ばすと、理由の説明から次の判断へ直接つながらず、相手に「結局どうするのか」が残ります。
この4つの手順を面談の前に一度書き出しておくと、想定外の質問を受けたときも、断ってから提案するまでの流れを崩さずに話せます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 「できません」と伝えるだけでは評価されませんか。
A. 断ること自体は問題になりません。断ったあとに、実行できる範囲や別のやり方を示せるかどうかで、伝わり方が変わります。理由の説明だけで終える返答と、その先を添える返答は、聞き手に残る印象が違います。
Q2. 代替案を考える時間がない場合はどうすればよいですか。
A. その場で完全な案を出せなくても、いつまでに代わりの案を示せるかを伝えるだけで、会話を止めずに続けられます。
Q3. 面談で「代替案の提示」を直接聞かれることはありますか。
A. 「調整力」「柔軟な対応力」という言葉で問われます。断った理由よりも、そのあとに何を提案したかを具体的に話すと伝わります。
Q4. リモートワーク対応の求人では、この力の重要度は変わりますか。
A. 対面で確認できる場面が減る分、断る理由と代わりの案の両方を、文章だけで伝える必要が増えます。
8. まとめ:代わりの案を出せるかどうかが、断ったあとの分かれ目です。
この記事の要点
- 「できません」で終える返答と、代わりの案を添えた返答では、聞き手に残る材料が変わります。
- テレワークを実施している正社員は22.5%、実施していない正社員は77.5%です*1。対面で確認できない場面が増えるほど、代わりの案は文章で残す必要が増えます。
- 60〜64歳の一般労働者の賃金は月329.3千円です*3。年齢を重ねても、代わりの案を示す力は面談で確かめられます。
- 転職入職者のうち、賃金が増加した人の割合は40.5%です*2。転職の結果は理由や勤務先によって変わり、この数字自体が代わりの案を出す力を裏付けるものではありません。
代わりの案を出す力は、実務の説明とは別に、面談のなかで確かめられます。断ったあとの一言を、日頃から言葉にしておくことが、次の一歩につながります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 パーソル総合研究所「第十回テレワークに関する調査」(2025年)
*2 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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