FastAPIの経験を転職で活かす|対象と目的で語る
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

データ処理や分析の仕事でPythonを使ってきたエンジニアが、Web APIを担当する求人へ応募しようとすると、職務経歴書には「FastAPIを使った経験があります」としか書けないことがあります。読み手が知りたいのは、フレームワークの名前ではなく、何を対象にAPI化し、どんな判断をしてきたかという中身です。
中心になるのは、何をAPI化してきたかを、対象を軸に説明するという視点です。書き方の解説や年収の相場、他フレームワークとの比較には立ち入りません。
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この記事のポイント
- FastAPIの経験は、コードの書き方よりも何をAPI化してきたかで読まれます
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1
- 分析の延長で使ってきたか、サービスの一部として使ってきたかで、次に狙う求人の中心が変わります
1. FastAPIの経験は、API化した対象で読まれます
FastAPIの経験は、コードの書き方そのものよりも、何をAPI化してきたかで読まれます。情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。分析や集計の対象をAPIとして外部に開いた経験を、職務経歴書ではその対象を軸に説明します。
職務経歴書に「FastAPIを使った経験があります」とだけ書いても、読み手が思い浮かべる範囲は限られます。Web開発の実務経験なのか、社内の分析ツールをAPI化した経験なのか、その一文だけでは判別できません。
データ処理や分析の仕事でPythonを使ってきた人がAPIの担当へ職域を広げる場合、伝えるべきは「FastAPIを使えること」ではなく「何を対象にAPI化してきたか」です。集計処理なのか、モデルの出力なのか、社内ツールの機能なのか、対象によって求人側が期待する範囲も変わります。
対象が明確になれば、応募先の求人がその対象に近い経験を求めているかどうかも判断しやすくなります。
読み手となる採用担当者の多くは、FastAPI自体の実装経験よりも、応募者がこれまでどんなデータや処理を扱ってきたかを先に確認します。対象が具体的であるほど、次の工程で聞かれる質問も的を絞りやすくなります。
2. 分析の仕事からAPIの担当へ、4つの段でつながります
データ処理や分析の仕事から、API開発の担当へ職域が広がる流れを4つの段に分けて見ておきます。
4つの段は、必ずしも順番どおりに一人で経験する必要はありません。分析・集計までを担当してきた人もいれば、内部提供やAPI公開まで担った人もいます。職務経歴書には、どの段までを自分が担ってきたかを明記します。
特に見落とされやすいのが、内部提供の段階です。ファイルや画面での提供から、APIでの提供に切り替わる場面には、呼び出す相手が社内の限られたチームから、複数のシステムへ広がるという変化があります。この変化に自分がどう関わったかを書けると、単なる実装経験以上のことが伝わります。
どの段を担当してきたかによって、職務経歴書に書く内容の重心も変わってきます。
分析・集計の段階までしか担ってこなかった場合でも、職務経歴書ではその段階を丁寧に書くことに意味があります。どの段までを担ってきたかを正直に示す方が、内部提供やAPI公開の段階を無理に大きく見せるより、読み手には一貫して伝わります。
3. 同じ実装経験でも、書き方で受け取られ方が違ってきます
FastAPIで実装した経験を、書き方を変えて並べてみます。担当した作業そのものは同じでも、読み手が受け取る情報には差が出ます。
書き方による受け取られ方の違い
| 職務経歴書の書き方 | 読み手が受け取る情報 | 足すと伝わること |
|---|---|---|
| FastAPIでAPIを実装した経験があります | フレームワークを扱った経験があるという事実のみ | API化した対象が分析処理か社内ツールかという中身 |
| エンドポイントを設計し、リクエストを処理した | 実装の作業内容のみ | 呼び出す相手が社内チームか外部システムかという範囲 |
| Pydanticで入出力の型を定義した | 型を書いたという作業内容のみ | 型を固定した理由(呼び出し元との認識のずれを防ぐ目的など) |
表の左列は、職務経歴書によくある書き方です。作業として間違っているわけではありませんが、中央列のとおり、読み手に伝わる情報は限られます。
右列を足すと、同じ経験が対象や範囲、判断の理由まで含めて伝わるようになります。3行すべてに足す必要はなく、実際に判断した場面を思い出せる行だけ詳しく書く形でも構いません。
面談では、右列に書いた内容の背景を聞かれる場面があります。あらかじめ言葉にしておくと、書類と面談で同じ説明がそのまま使えます。
3行はいずれも、FastAPIの実装で判断が伴う場面を選んで並べたものです。担当してきた実装のすべてがこの3行に当てはまるとは限らないため、自分の経験の中から近い場面を選んで言い換える使い方ができます。
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4. 非同期と型は、目的から説明します
非同期処理を選ぶ理由は、複数のリクエストを同時に受けても、処理待ちで応答が止まらないようにするためです。分析処理を1件ずつ順番に返す設計と比べ、呼び出す相手が増えても応答が遅れにくくなります。職務経歴書には、非同期処理を使ったという事実よりも、複数の呼び出し元を想定していたという目的を書く方が伝わります。
型を定義する理由も同じように目的から説明できます。入力と出力の型を固定するのは、呼び出す側との間で数値や項目の解釈がずれることを防ぐためです。分析結果を別のシステムに渡す場面では、桁数や単位の認識が合っていないと、受け取った側で誤った判断につながります。
どちらの選択も、機能の名前を書くだけでは判断の中身が伝わりません。何のためにその設計を選んだかを一文添えると、実装した処理の重みが変わって読まれます。
この考え方は、担当してきた処理の規模が小さくても使えます。呼び出す相手が少なかったとしても、なぜその設計にしたかという判断は、規模とは別に評価される部分です。
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5. 分析の延長で使うか、サービスの一部として使うか
FastAPIの使われ方は、大きく2つに分かれます。担当してきたのがどちらに近いかを確認しておきます。
2つは、どちらが優れているという関係ではありません。分析の延長で使ってきた経験は、データの正しさや説明のしやすさを重視する求人と相性が良く、サービスの一部として使ってきた経験は、応答速度や可用性を重視する求人と相性が良い傾向があります。
自分がどちらに近いかは、これまで呼び出してきた相手の数と、求められていた応答の速さを思い出すと整理しやすくなります。社内の限られたチームからの呼び出しであれば左側に近く、不特定多数からの呼び出しであれば右側に近い経験です。
応募する求人の募集要項にも、どちらの用途に近いAPIを扱うのかが書かれている場合があります。自分の経験と募集要項の用途を照らし合わせておくと、面談で聞かれたときにも同じ言葉で説明できます。
どちらか一方だけを担ってきた人ばかりではありません。分析用のAPIから始めて、後にサービス向けのAPIも任されるようになったという経験も珍しくありません。その場合は、時期を分けてどちらの用途を担ってきたかを書くと、経験の広がりも伝わります。
6. 職務経歴書に足せる3つの要素
FastAPIの実装経験を職務経歴書に書くとき、足せる要素を3つに整理します。
職務経歴書に足せる3つの要素
- API化した対象:分析や集計のどの処理を外部に開いたかを明記します
- 設計の理由:非同期処理や型定義をなぜ選んだかを一文添えます
- 呼び出し元の範囲:社内チームか外部システムかという利用範囲を書きます
3つはいずれも、実装した機能を並べるだけでは書けず、その裏にあった判断を思い出す作業が必要です。時間はかかりますが、書類の見え方を変える効果があります。
3つを全ての経験に対して書く必要はありません。特に判断の理由を説明しやすい場面を選び、そこに絞って書く方が読み手には伝わりやすくなります。
書き終えたら、3つがそれぞれ別の場面を指しているかを確認します。同じ処理から3つとも書いてしまうと、経験の幅が狭く見えることがあります。
3つの要素は、面接で聞かれる内容ともつながっています。職務経歴書に書いた基準や範囲について、なぜそう判断したのかを面談で聞かれる場面が多いため、書類の時点で言葉にしておくと、面談での説明もしやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. FastAPIの実務経験がなくても、転職の応募は検討できますか。
A. 応募の可否は求人ごとの募集要項によります。FastAPIそのものの実装経験を必須とする求人もあれば、Pythonでの分析・処理の経験を評価する求人もあります。募集要項に書かれた必須条件と、自分が説明できる経験の範囲を照らし合わせてから応募先を選ぶと、選考の過程でずれが少なくなります。
Q2. 分析用に書いたAPIと、サービス向けに書いたAPIは、職務経歴書で分けて書く必要がありますか。
A. 分けて書くかどうかは経験の内容によります。呼び出す相手や求められる応答速度が異なる場合は、分けて書くことで担ってきた範囲が伝わりやすくなります。同じ設計の考え方で扱ってきた場合は、まとめて書いても情報は欠けません。用途ごとに分けて書くと、どちらの経験の比重が大きいかも読み手に伝わりやすくなります。
Q3. 他のWebフレームワークの経験しかない場合、FastAPIの求人に応募できますか。
A. 応募の可否は求人ごとの募集要項によります。特定のフレームワークの経験を必須とする求人もあれば、API設計の考え方を重視する求人もあります。募集要項の必須条件を確認したうえで、自分が説明できる設計上の判断を照らし合わせて応募先を選ぶ方法があります。面談では、これまで扱ってきたAPI設計の考え方まで踏み込んで聞かれることが多く、フレームワーク名の一致だけでは答えきれない場合があります。
Q4. 職務経歴書には、API化した処理の技術的な詳細をどこまで書けばよいですか。
A. 技術的な詳細をすべて列挙するより、何を対象にAPI化したか、なぜその設計を選んだかを中心に書く方が伝わりやすくなります。詳細な実装内容は、書類には要点だけを残し、面談で補う前提で整理しておく方法もあります。
8. まとめ:FastAPIの経験は、対象と目的で語れます
この記事の要点
- FastAPIの経験は、コードの書き方よりも何をAPI化してきたかで読まれます
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1
- 分析の仕事からAPIの担当へは、収集・整形から分析・集計、内部提供、API公開という段階でつながります
- 非同期処理や型定義は、機能の説明ではなく選んだ理由まで書くと判断が伝わります
- 分析の延長で使ってきたか、サービスの一部として使ってきたかで、次に狙う求人の中心が変わります
職務経歴書に書くのは実装した機能の名前ではなく、何を対象にどう判断してAPI化したかです。この軸を整理しておくと、面談でもそのまま説明の土台として使えます。書き終えた内容は、応募する求人の募集要項と照らし合わせながら、伝える順番や比重を調整して使えます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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