エンジニアは体力的にきつい?負荷の原因と転職での見直し
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

エンジニアの仕事で体力がきついと感じるとき、原因は年齢だけとは限りません。勤務時間の長さ、移動にかかる負担、突発的な対応が入るかどうかなど、複数の要素が重なって消耗を生んでいます。何が負荷を生んでいるかを分けてから考えると、働き方の条件で下げられる部分も見えてきます。
分けておきたいのは、勤務時間・移動・対応の突発性という3つの要素です。長さだけを見て判断すると、条件次第で下げられる部分を見落としてしまいます。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
この記事のポイント
- 体力の消耗は、勤務時間の長さだけでなく、移動の負担や対応の突発性によっても変わります
- 一般労働者の賃金は55〜59歳で396.2千円、60〜64歳で329.3千円です*1。この数字は体力や働き方との関係を示すものではありません
- 働き方の条件で下げられる部分は、出社頻度や当番の有無など、勤務時間以外にもあります
1. 体力の消耗は、勤務時間の長さだけでは決まりません
エンジニアの体力の消耗は、勤務時間の長さだけで決まるわけではありません。移動にかかる負担や、突発的な対応が入るかどうかも消耗を左右します。まず何が負荷を生んでいるかを分けてから、働き方の条件で下げられる部分を考えると、見直しやすくなります。
体力がきついと感じるとき、多くの場合は勤務時間の長さにばかり目が向きます。ですが、同じ勤務時間でも、移動の負担や対応の突発性によって、感じる消耗の重さは変わります。
移動には、通勤だけでなく、客先への訪問や社内での移動も含まれます。移動そのものの負担は、勤務時間の長さとは別に積み重なっていきます。
対応の突発性とは、あらかじめ予定できない依頼や連絡が、勤務時間の内外を問わず入り込んでくることです。予定が立てにくいこと自体が、消耗を大きくする要因になります。
3つの要素は、それぞれ別の理由で生じます。どれか1つだけを見て「体力的にきつい」と判断すると、実際に負担を生んでいる部分を見誤ることがあります。
働き方を見直す際は、まずこの3つに分けて捉えることが出発点になります。長さだけを見て判断すると、移動や突発性という、条件次第で変えやすい部分を見落としてしまいます。
負荷の感じ方には個人差があり、どの要素を重く感じるかも人によって異なります。他人の感じ方をそのまま当てはめるのではなく、自分にとって何が負荷になっているかを確かめることが出発点になります。
勤務時間・移動・対応の突発性の3つは、いずれも個人の頑張りだけで変えられる部分ではありません。勤務先ごとの制度や求人の条件によって差がある部分だという前提で見ておくと、比べる視点を持ちやすくなります。
体力の消耗を減らす工夫は、本人の心がけだけに委ねられるものではありません。勤務先がどのような体制を用意しているかによって、実際に下げられる範囲は変わってきます。
2. 負荷がかかる時間帯は、1日のうちで移り変わります
体力の消耗は、1日を通じて均等にかかるわけではありません。負荷がかかりやすい時間帯には偏りがあります。
始業前後は、身支度や移動が重なる時間帯です。移動にかかる時間が長いほど、始業前にかかる負荷も大きくなります。
日中は、会議や依頼が重なる時間帯です。予定されている会議だけであれば見通しが立ちますが、突発的な依頼が挟まると、休憩を取るタイミングを崩されることがあります。
終業前後は、対応が長引いた分だけ、退社の時刻が後ろにずれる時間帯です。突発的な対応が入った日ほど、終業時刻の見通しが立てにくくなります。
3つの時間帯を並べると、負荷は勤務時間の途中だけでなく、始業前と終業後にもかかっていることが分かります。時間帯ごとの負荷を分けて捉えると、どの時間帯を軽くしたいかが見えてきます。
出社を伴う働き方と、リモートワークを中心とした働き方では、始業前にかかる負荷の大きさが変わります。移動そのものが短ければ、始業前の時間帯にかかる消耗も小さくなります。
3. 消耗の中身は、3つの要素に分けられます
消耗の中身を分けると、次の3つの要素に整理できます。
消耗の中身と、条件で下げられる部分
| 消耗の中身 | 何で決まるか | 条件で下げられる部分 |
|---|---|---|
| 勤務時間の長さ | 所定労働時間と残業の有無 | 勤務時間の条件が明確な求人を選ぶ |
| 移動の負担 | 通勤や客先訪問の距離と回数 | 出社頻度や訪問の少ない求人を選ぶ |
| 対応の突発性 | 当番の有無と交代の仕組み | 当番が交代制になっている求人を選ぶ |
| 3つの重なり | 繁忙期に負荷が集中する時期の有無 | 重なる時期の有無を選考時に確認する |
表の1行目は、勤務時間の長さです。所定労働時間だけでなく、残業がどの程度発生するかによっても、消耗の度合いは変わります。
2行目の移動の負担は、通勤だけでなく、客先への訪問や、複数拠点を回る働き方も含まれます。移動の回数や距離は、求人の条件によって差があります。
3行目の対応の突発性は、当番の有無や交代の仕組みによって大きく変わります。当番が交代制になっているか、1人に負担が集中していないかも、感じ方に影響します。
3つの要素は独立していますが、繁忙期には重なって現れることもあります。勤務時間が長くなる時期に、突発的な対応も増えるようであれば、負荷は単純な合計以上に大きく感じられます。
求人票だけでは、当番の有無や交代の仕組みまで書かれていないこともあります。気になる場合は、選考の過程で確認しておくと、入社後の実感とのずれを防ぎやすくなります。
繁忙期に負荷が重なるかどうかは、担当する業務やプロジェクトの特性によって差があります。同じ職種でも、担当領域によって重なりやすさが変わることがあるため、応募先ごとに確かめておく価値があります。
対応の突発性を抑える仕組みには、当番制のほかに、一次対応を別の担当者が受ける体制なども挙げられます。求人票にこうした体制まで書かれていない場合は、選考の場で聞いておくと、入社後の見通しが立てやすくなります。
あわせて読みたい | ハイブリッド勤務の求人|「リモート可」では分からない出社頻度
4. 条件を比べるときは、賃金の目安を参考にとどめます
働き方の条件を比べるとき、この先も長く働き続けることを前提に考える場面があります。そうした場面では、賃金の目安が1つの参考になります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、一般労働者の賃金は55〜59歳で396.2千円、60〜64歳で329.3千円です*1。この数字は年齢による全国平均であり、体力や働き方との関係を示すものではありません。
この数字を使える場面は限られています。長く働くことを考えるとき、勤務時間や対応の突発性が抑えられた条件であれば、年齢を重ねても続けやすいかどうかを検討する材料にはなります。ただし、数字そのものが体力の変化を説明しているわけではない点には注意が必要です。
条件を見比べるときは、賃金の年齢別の目安と、実際に提示されている勤務条件を並べて確認しておくと、長く働くうえで譲れない条件を整理しやすくなります。
あわせて読みたい | 通勤時間が限界に近いとき|削る順番を決める
5. 働き方の見直し方は、2つの方向に整理できます
体力の消耗を減らす見直し方は、大きく分けると2つの方向があります。いまの働き方を調整する方法と、条件の違う職場に移る方法です。
いまの働き方を調整する方法は、転職をせずに検討できる点で取り組みやすい方法です。ただし、当番の割り振りや出社頻度は勤務先の制度や体制に左右されるため、個人の希望だけで変えられるとは限りません。
条件の違う職場に移る方法は、求人選びの段階で当番制の有無や出社頻度を確かめられる点が特徴です。入社してからではなく、選ぶ時点で条件を反映できます。
どちらか一方に決める必要はありません。まずいまの職場で調整できる範囲を確かめ、それでも消耗が残るようであれば、条件の違う職場もあわせて検討する進め方もあります。
調整するにしても、職場を移るにしても、確かめる項目は共通しています。勤務時間・移動・対応の突発性の3つに分けて、どの部分を優先して下げたいかを先に決めておくと、比べる基準がぶれません。
職場を移る方法を選ぶ場合は、選考の過程で当番制や出社頻度について具体的に質問しておくと、入社後の実感との差を減らしやすくなります。
6. 条件で下げられる部分は、3点に絞れます
条件で下げられる部分を書き出すとき、確かめる範囲を3点に絞ります。
条件で下げられる3点
- 勤務時間の条件:所定労働時間や残業の見込みが明確かどうかです
- 移動の条件:出社頻度や客先訪問の頻度が抑えられるかどうかです
- 対応の条件:当番制の有無や交代の仕組みがあるかどうかです
3点はいずれも、求人票や選考の場で確認できる項目です。書き出すときは一言で十分です。
勤務時間の条件は、所定労働時間だけでなく、残業がどの程度発生するかも含めて確認しておくと、実態に近い判断がしやすくなります。
移動の条件は、出社頻度や客先訪問の頻度によって差があります。求人票に記載がなければ、選考の過程で確かめておくとよいでしょう。
対応の条件は、当番制の有無だけでなく、1人に集中せず交代できる仕組みがあるかどうかも、負担の感じ方に影響します。
3点を書き出したメモは、求人票を読むときの確認リストとしても使えます。転職活動を進めるなかで優先順位が変わることもあるため、そのつど書き直してかまいません。
3点を確かめる順番に決まりはありません。自分にとって最も負荷が大きいと感じる要素から確認していくと、優先順位をつけやすくなります。
あわせて読みたい | 契約社員と正社員の違い|転職で確かめる5つの条件
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 体力がきついと感じたら、まず何をすればよいですか。
A. 勤務時間の長さ・移動の負担・対応の突発性の3つに分けて、何が消耗を生んでいるかを確かめると、下げられる部分を見つけやすくなります。
Q2. いまの職場で調整するのと、職場を変えるのでは、どちらを先に検討すべきですか。
A. いまの職場で調整する方法は転職をせずに検討できますが、調整できる範囲は勤務先の制度に左右されます。条件そのものを選びたい場合は、職場を変える方法も検討対象になります。
Q3. 対応の突発性は、求人票を見れば分かりますか。
A. 当番制の有無や交代の仕組みまでは、求人票に記載がないこともあります。気になる場合は、選考の過程で確認しておくとよいでしょう。
Q4. 年齢を重ねると、体力的な負荷は必ず増えますか。
A. 個人差があり、一律に断定できることではありません。勤務時間・移動・対応の突発性のうち、条件で下げられる部分を確かめておくことが、長く働くうえでの考え方になります。
8. まとめ:体力の消耗は、働き方の条件で考えます
この記事の要点
- 体力の消耗は、勤務時間の長さだけでなく、移動の負担や対応の突発性によっても変わります
- 負荷がかかる時間帯は1日のうちで移り変わり、始業前や終業後にも消耗はかかります
- 消耗の中身は、勤務時間・移動・対応の突発性の3つに分けると、条件で下げられる部分を見つけやすくなります
- 一般労働者の賃金は55〜59歳で396.2千円、60〜64歳で329.3千円です*1。体力や働き方との関係を示す数字ではなく、条件を考える参考です
- いまの働き方を調整する方法と、条件の違う職場に移る方法は、どちらも消耗を減らす選択肢になります
3つに分けて捉えることが、体力の消耗を働き方の条件で見直す最初の一歩になります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
見込みと確定を同じ画面に出す求人で必要になる印
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員) エンジニアの求人を見ていると、年収や採用予定人数のように動きそうな数字と、内定通知書に書かれてもう変わらない数字が、同じ画面に並んで出てきます。見込みの数字 […] -
廃番の品がある求人で3つの終了日をどう決めるか
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員) 求人票に「廃番」「生産終了」という言葉が並ぶ仕事があります。担当するのは、資産管理や保守管理のシステムに関わるエンジニアです。作られなくなった品は、ある日に […] -
点検の周期がずれた求人|次をいつにするかを決める
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員) 点検の周期は最初に決めた数字がそのまま残ります。3か月ごと、6か月ごとという間隔は求人票にも書かれますが、その間隔が実際にずれたあと、次の予定をどう数え直す […] -
色の使い分けだけに頼る求人|伝わらない場面が残る
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員) 求人票や社内の資料では、重要な部分を目立たせるために色を使う場面がよくあります。ですが目立たせ方が一種類しかないと、同じ画面を見ても同じ意味が伝わっていると […]