モブプログラミングの経験|エンジニア転職での伝え方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

複数人で同じ画面を見ながら開発を進めた経験は、何を決め、意見が割れた場面をどう収めたかという『決め方』の形で相手に伝わります。転職の場面でその決め方をどんな言葉に置き換えるかに絞って整理します。
複数人で進めた仕事で問われるのは、何を決め、意見の割れをどう収めたかです。転職の場面では、それを言葉にすることが整理の中心になります。
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この記事のポイント
- 複数人で同じ画面を見て進めた仕事で鍛えられるのは、決め方を言葉にする力です
- 面接で聞かれやすいのは、何を決め、意見が割れた場面をどう収めたかという具体的な中身です
- 経験の棚卸しは、役割整理・決定記録・対立記録・表現調整の4手順で進めます
1. 複数人で進めた経験は、決め方の形で伝わります
複数人で同じ画面を見ながら開発を進めた経験は、何を決め、意見が割れた場面をどう収めたかという『決め方』の形で伝わります。この決め方を、転職の場面でどんな言葉に置き換えるかが整理の中心になります。
複数人で同じ画面を見ながらコードを書き進める仕事では、誰か一人がその場で判断するのではなく、その場にいる全員で決めながら進める場面が増えます。一人で書いていたときには意識しなかった、決め方そのものが経験として残ります。
転職の場面でこの経験を話すときに問われるのは、何を決め、意見が割れた場面をどう収めたかという具体的な中身です。参加していたという説明だけでは、決め方の中身は伝わりません。
たとえば、仕様の解釈で二通りの実装案が浮かんだ場面では、どちらを選ぶかをその場で声に出して決める必要があります。この判断の積み重ねこそが、複数人で進めた経験に固有の材料になります。
2. 一人で書いた経験との差は、決め方が言葉になっているかどうかに現れます
情報通信業のテレワーク実施率は56.3%、正社員全体では22.5%です*1。働く場所がどこであっても、ここで扱うのは、複数人で同じ画面を見ながら進めた経験を、どう言葉にするかという点です。
一人で書いていた経験と、複数人で進めた経験の違いは、実装の速さではなく、決め方が言葉になっているかどうかに現れます。一人で書いているときは、途中の判断を誰にも説明せずに進められますが、複数人で同じ画面を見ているときは、その場で判断した理由を声に出す場面が生まれます。
この声に出す場面こそが、転職の場面で話せる材料になります。判断した理由をその場で説明していた経験は、面接で「なぜそう決めたのですか」と聞かれたときに、答えを持っている状態につながります。
声に出した判断は、その場にいたメンバーの記憶には残りますが、時間が経つと本人の記憶からも薄れていきます。棚卸しは、その判断が薄れないうちに書き出しておく作業でもあります。
次の項目では、複数人で進めた仕事で実際にやっていたことを、面接で伝わる言い方に置き換えて整理します。
3. やっていたことは、伝わる言い方に置き換えます
複数人で同じ画面を見ながら実際にやっていたことを、面接で伝わる言い方に置き換えます。表の左列がやっていたこと、中央が言い換えた形、右列が聞かれやすい問いです。
経験の言い換えと、聞かれることの対応
| やっていたこと | 伝わる言い方 | 面接で聞かれること |
|---|---|---|
| 画面を共有しながら実装した | 「担当を交代しながら、その場で判断した理由を声に出して共有していました」 | 判断はどう分担していましたか |
| 意見が割れたときに収めた | 「案が割れた場面では、判断基準を先に決めてから選ぶようにしていました」 | 割れた場面ではどう収めましたか |
| 決めたことを記録した | 「その場で決めた設計判断を、あとで追えるように残していました」 | 記録はどんな形で残しましたか |
| 役割を交代した | 「書く役と見る役を交代しながら、視点を変えて確認していました」 | 役割はどう交代していましたか |
表の4行は、複数人で同じ画面を見ながら実際にやっていたことを、面接で伝わる言い方に置き換えたものです。左列の「やっていたこと」だけを話しても、そこでの判断の中身までは伝わりません。
「画面を共有しながら実装した」という経験は、共有していたという説明だけでは終わりません。担当を交代しながら、その場で判断した理由を声に出して共有していた、という部分まで話すと、実装の中身が具体的に伝わります。
「意見が割れたときに収めた」場合も同じです。割れたという事実だけでなく、判断基準を先に決めてから選ぶようにしていた、という収め方まで話すことで、対立を整理する力が伝わります。
決めたことを記録した経験や、役割を交代した経験も、同じ構造です。やったことそのものより、それをどんな形にして進めたかを話すと、面接官は具体的な問いを返しやすくなります。
右列の問いは、実際に聞かれやすい形です。答えを準備しておくと、面接での受け答えに具体性が出ます。
表の右列にある問いに対して、うまく進めていましたというような答え方では、判断の中身は伝わりません。決めた基準と、それを収めた過程まで具体的に話すことが、この表の狙いです。
4つの場面をすべて一度に話す必要はありません。直近の経験のなかで、もっとも具体的に思い出せる場面を1つか2つ選び、そこを深く話すほうが、面接では伝わりやすくなります。
表で挙げた4つの場面は、一人で書いていた経験では語りにくい種類の話です。決めた基準を誰かに渡し、実際にその通りに使われたかどうかまで確かめられるのは、複数人で進めていたからこそです。
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4. コードを書く時間の配分は、人によって差が出ます
ここまでの経験を言葉にする前に、一人で書く時間と複数人で進める時間の配分を確認しておきます。この配分は、担当した役割や期間によって変わります。
一人で書く時間が長い時期もあれば、複数人で同じ画面を見ながら進める時間が長い時期もあります。この配分は、担当したチームやプロジェクトの期間によって変わります。
面接で問われるのは、この配分そのものではありません。どちらの時間が長かったとしても、そこでどんな判断をし、どう言葉にして伝えてきたかという中身が、確かめられる材料になります。
配分が複数人で進める時間に寄っている場合は、次の項目からの棚卸しがそのまま使えます。一人で書く時間が長かった場合でも、判断を振り返って言葉にすれば、同じように棚卸しの材料になります。
配属されたチームの方針によって、複数人で進める時間の配分が最初から決まっていることもあります。自分で選べなかった場合でも、その時間のなかでどう動いたかが、棚卸しの対象になります。
面接で配分の数字そのものを尋ねられることはほとんどありません。尋ねられるのは、その配分のなかでどんな役割を担い、何を判断してきたかという経過です。
次の項目では、この経験をどんな手順で棚卸しするかを整理します。
5. 棚卸しは、4つの手順で進めます
複数人で進めた経験の棚卸しを、4つの手順に分けて整理します。
1つ目の役割整理では、複数人で進めていたときに自分が担っていた役割を思い出します。書く役だったのか、見る役だったのか、その場面によって役割が変わっていた場合は、代表的な場面を1つ選びます。
2つ目の決定記録では、その役割のなかで実際に決めた場面を書き出します。何を、どんな根拠で決めたかまで書いておくと、あとの整理で使いやすくなります。たとえば、変数の命名規則を決めた場面であれば、複数の案のうちどれを選び、その根拠は何だったかまで残しておきます。
3つ目の対立記録では、意見が割れた場面を書き出します。誰と誰の意見が、どんな理由で割れたか、そしてどう収めたかまでを書いておきます。設計方針で意見が分かれた場面があれば、対立記録の材料としてそのまま使えます。
4つ目の表現調整では、書き出した内容を、面接で伝わる言い方に整えます。ここまでの3つの手順で書き出した内容が、次の項目で使う型の材料になります。
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6. 書き出すときは、3つの型を使います
棚卸しで書き出した内容を、面接で使える形に整えるための型を、3つに整理します。
経験を書き出す3つの型
- 決めた場面を書く型:どんな場面で、何を、誰と決めたかを具体的に書き出します
- 割れた場面を書く型:意見が分かれた場面と、それをどう収めたかを書き出します
- 役割の交代を書く型:書く役と見る役をどう交代していたかを書き出します
3つの型は、いずれも複数人で進めた経験を、そのままにせず具体的な言葉に変えるための型です。順番に使う必要はなく、経験の性質に応じて選びます。
決めた場面を書く型は、面接で最も使いやすい型です。決めていましたで終わらせず、どの場面で、何を、誰と決めたかまで書き出しておきます。
割れた場面を書く型は、対立をどう収めたかを話すための型です。割れた事実だけでなく、判断基準を先に決めてから選んだ、という収め方まで書いておくと、対立を整理する力が伝わります。
役割の交代を書く型は、視点を変えて確認していた経験を話すための型です。書く役と見る役をどちらも経験していれば、その両方の視点から話せます。
3つの型は、1つの経験に組み合わせて使うこともできます。たとえば、仕様の解釈で意見が割れ、判断基準を先に決めてから選んだ経験があれば、決めた場面を書く型と割れた場面を書く型を組み合わせて話せます。
対立の記憶があいまいな場合は、割れた場面を書く型を無理に使う必要はありません。決めた場面を書く型だけでも、判断の中身は十分に伝わります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 複数人で進めた経験は、面接でどう伝えればよいですか。
A. 何を決め、意見が割れた場面をどう収めたかを、具体的な場面とあわせて話す進め方が基本です。担当していたプロジェクト名や期間を添えると、話の輪郭がより明確になります。
Q2. 一人で書いていた期間しかない場合、この経験は使えませんか。
A. 一人で書いていた期間の判断も、決めた基準を言葉にすれば棚卸しの材料になります。複数人での経験がなくても、同じ手順で整理が可能です。
Q3. 意見が割れた場面は、面接で話さないほうがよいですか。
A. 割れた場面とその収め方を話すことは、判断の過程を示す材料になります。隠す必要はなく、むしろ具体的な収め方まで話すほうが伝わります。
Q4. 役割を交代していなかった場合、経験としては弱くなりますか。
A. 役割の固定・交代のどちらであっても、そこで何を決めたかを言葉にできれば棚卸しの材料になります。役割の形そのものは評価の基準ではありません。
8. まとめ:決め方の伝え方を、転職の言葉に変えます
この記事の要点
- 複数人で同じ画面を見て進めた経験で鍛えられるのは、決め方を言葉にする力です
- 経験は「やっていたこと」ではなく「伝わる言い方」に置き換えて話します
- 一人で書く時間と複数人で進める時間の配分は、担当や期間によって変わります
- 棚卸しは、役割整理・決定記録・対立記録・表現調整の4手順で進めます
- 割れた場面は隠さず、収め方まで含めて話します
複数人で進めた開発の経験は、何を決め、意見の割れをどう収めたかを言葉にすることで、転職の場面でも伝わる経験に変わります。書き出す手を止めずに、思い出せる場面から少しずつ言葉にしていくことが、棚卸しの近道です。
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出典・参考情報
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