資料作成の割合は求人票に書かれない|見当のつけ方と質問
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

求人票には「資料作成が多い」とはほとんど書かれません。開発の仕事だと思って入社したら、資料を作る時間の比重が思ったより大きかったという声があります。担当する技術ではなく、承認の段数と提出先の数という組織の形を示す手がかりから、資料作成に使う時間の比重を推し量ることができます。
承認の段数と提出先の数を見ると、資料作成に使う時間の比重の見当がつきます。組織の形を示すこの手がかりは、求人票からも面談からも確かめられます。
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この記事のポイント
- 開発の求人だと思って入社しても、資料作成に使う時間の比重は部署によって大きく変わります。求人票にはこの比重が書かれないため、承認の段数と提出先の数という手がかりから見当をつけます。
- テレワークを導入している企業は47.3%です*1。在宅勤務が混ざる組織では口頭だけで決めにくい場面が増え、記録に残す運用が広がりやすくなります。
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍です*2。求人の数自体は多いため、承認の段数や提出先の数を確かめてから応募先を選ぶ余地があります。
1. 承認の段数と提出先の数が、資料作成の時間の比重を分けます。
資料作成に使う時間の比重は、求人票に書かれた技術要素からは分かりません。承認の段数、提出先の数、口頭で決められない決まりの有無という、組織の形を示す3つの手がかりから見当をつけることができます。テレワークを導入している企業は47.3%です*1。在宅勤務が混ざる組織ほど、口頭だけで進められる場面が減り、経緯を記録に残す運用が広がりやすくなります。
承認の段数が多い部署では、1つの提案を進めるために、上司だけでなく上の役職への説明を重ねて必要になります。説明のたびに、口頭で話した内容を資料にまとめ直す作業が挟まります。段数が浅い部署では、この重ね直しが少なく済みます。
提出先が複数ある仕事も同じ傾向を持ちます。社内の別部署向けと、取引先向けの両方に説明を出す場合、内容は同じでも見せ方を変えた資料作成が必要になります。1つの提出先だけで済む仕事より、この作業は増えやすくなります。
口頭で決められない決まりがある職場も、この作業量に直結します。会議で話しただけでは進められず、決定の経緯を残した文書が求められる場合、その都度この作業が発生します。決まりの有無は求人票には書かれませんが、応募資格の語や部署名から見当をつけることができます。
3つの手がかりは、どれも単独では言い切れません。承認の段数が浅くても提出先が多い部署もあれば、提出先が1つでも承認の段数が深い部署もあります。複数の手がかりを重ねて見ることで、実際の比重に近づけます。
面談で聞く際は、1つの質問に絞るより、承認の段数と提出先の数をあわせて尋ねるほうが、実際の比重に近づきます。求人票の言葉だけで判断を終わらせないことが、入社後のずれを減らす備えになります。
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2. テレワークの導入率は、決め方の記録にも表れます。
在宅勤務が混ざる組織で、決め方がどう変わるかを数字で見ておきます。
テレワークを導入している企業は47.3%です*1。数字が示すのは導入の有無であり、資料作成の量そのものではありません。ただし在宅勤務が混ざる組織では、口頭で終わらせられる相談が減り、経緯を記録に残す場面が増えます。
在宅勤務の当事者どうしが顔を合わせないまま決めるには、決めた内容を文章に残す手順が挟まれます。これは資料を作ることそのものが目的ではなく、記録を残すという別の目的から生じる作業です。
導入率だけでは、部署ごとの運用までは分かりません。同じ会社でも、対外的な調整が多い部署と、開発に専念できる部署とでは、決め方の記録の量が変わります。
導入している企業が半数近くにのぼる一方で、実施の程度は部署や役割によって差があります。数字はあくまで入口であり、実際の運用は面談で確かめる必要があります。
3. 求人票に書かれない組織の形は、語数から見えてきます。
募集の部署が「推進」「企画」を含む名称であれば、社内外の関係者に説明する機会が多く、資料作成に使う時間の比重は高くなりやすくなります。逆に「実装」「構築」だけが名称に並ぶ部署では、作る時間の比重が高くなりやすくなります。
応募資格の欄も同じ手がかりになります。「折衝」「調整」「報告」という語が並ぶ求人は、社内外との合意形成が業務の中心に含まれることを示しています。合意形成には経緯を残す作業が伴い、その分だけ資料を作る比重が上がります。
一方で「実装」「構築」だけが応募資格に並ぶ求人は、開発そのものに時間を使う比重が高くなります。求人票に書かれた語を数えるだけでも、部署の性格はある程度見当がつきます。
求人票の語を数える作業自体は難しくありません。部署名と応募資格の欄を読み、当てはまる語がいくつあるかを数えるだけで、比重のおおよその見当がつきます。
語数を数える視点は、応募する側にも使えます。自分に合った働き方を軸に、語の並びが少ない求人を選ぶという判断もできます。
4. 部署名と応募資格の語を、3つの観点で並べます。
部署名・応募資格の語・提出先の数という3つの手がかりを、求人票での表れ方とあわせて確認します。
【表1】求人票に表れる3つの手がかりと、比重の傾向
| 手がかり | 求人票での表れ方 | 見えてくる比重の傾向 |
|---|---|---|
| 部署名 | 「推進」「企画」を含む | 高くなりやすい |
| 応募資格の語 | 「折衝」「調整」「報告」が並ぶ | 上がりやすい |
| 提出先の数 | 社内の別部署と取引先の両方 | 伸びやすい |
3つの手がかりは、単独では十分な判断材料になりません。部署名だけ、応募資格の語だけで判断すると、実際の運用とずれることがあります。組み合わせて見ておくことが要になります。
承認の段数や提出先の数を確かめたら、賃金の水準もあわせて確認しておきます。一般労働者の賃金は東京都で月418.3千円です*3。資料作成に使う時間の比重が高い求人ほど、この水準を基準に条件を確認しておくと、比較の材料になります。
表の3つの傾向は、どれも組み合わせて見るための材料です。1つの手がかりだけで応募先を決めるのではなく、3つを並べて確かめる姿勢が実情に近づきます。
表に並べた3つの傾向は、あくまで見当をつけるための目安です。実際の比重は、部署や体制によって変わります。
5. 提出先の数と先週の実際は、面談で確かめられます。
4つの確認は、求人票を読む段階から面談まで順番に進めます。部署の名前と応募資格の語は、応募前に求人票だけで確認できます。
提出先の数と先週の実際は、面談で聞かないと分かりません。割合を尋ねると答えがぼやけやすいため、直近1週間の実際の時間を聞くほうが具体的な答えになります。
この順番で確認すると、資料作成に使う時間の比重を、部署名だけで決めつけずに見積もれます。
4つの確認を順番に進めると、求人票だけでは分からなかった部分が、面談で少しずつ埋まっていきます。順番を守ることで、聞き漏らしも減ります。
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6. 承認と提出先の見え方を、募集要項から拾って整理します。
求人票を読むときに、承認の段数と提出先の数をどう見ておくかを整理します。
求人票を読むときに見ておく3点
- 部署名:「推進」「企画」を含む名称かどうかを確認します。含む場合、資料作成の時間の比重は高くなりやすくなります。
- 応募資格の語:「折衝」「調整」「報告」が並ぶか、「実装」「構築」だけかを数えます。並ぶ語の種類で、比重の傾向が変わります。
- 提出先の数:社内の別部署向けと取引先向け、両方に出しているかを確認します。提出先が複数あるほど、比重は伸びやすくなります。
3点は単独では十分な判断材料になりません。部署名だけで決めつけると、実際の運用とずれることがあります。3点を組み合わせて見ることで、資料作成に使う時間の比重の見当がつきやすくなります。
組織の形は、技術力とは別の軸です。承認の段数が多く提出先が複数ある職場でも、身につく技術が低いわけではありません。どちらの比重で働きたいかを、自分の側から選ぶという整理のほうが実情に近くなります。
整理した3点は、応募先を選ぶ基準というよりも、比較のための材料です。複数の求人を並べて確認すると、組織の形の違いがはっきり見えてきます。
確認した内容は、面談ごとに書き残しておくと役立ちます。複数の求人を比べるときに、条件の違いを思い出しやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 求人票には、資料を作る時間の比重が書かれていますか。
A. ほとんど書かれません。承認の段数や提出先の数、口頭で決められない決まりの有無といった、組織の形を示す手がかりから見当をつけます。
Q2. 部署名だけで判断してよいですか。
A. 単独では判断材料になりません。「推進」「企画」を含む部署名は資料作成の時間の比重が高くなりやすい傾向がありますが、応募資格の語や提出先の数もあわせて確認します。
Q3. 面談では割合を聞くべきですか。
A. 割合ではなく、直近1週間の実際の時間を聞くほうが具体的な答えが返ってきます。「先週、資料を作るのに使った時間はどれくらいでしたか」という聞き方が有効です。
Q4. 資料を作る時間が長い職場は避けるべきですか。
A. 避けるべきとは言えません。承認の段数や提出先の数は組織の形によって必要になっており、量そのものを無駄と決めつけることはできません。自分の働き方に合うかどうかで判断します。
Q5. 「実装」「構築」だけが並ぶ求人を選べば、資料を作る時間は減りますか。
A. その傾向はあります。ただし配属先やプロジェクトの体制によって変わるため、面談で提出先の数や承認の段数を確認しておくと、実際の比重に近づけます。
8. まとめ:資料作成の時間の比重は、組織の形から見当がつきます。
この記事の要点
- 資料作成に使う時間の比重は、求人票の技術要件からは分かりません。承認の段数と提出先の数、口頭で決められない決まりの有無という3つの手がかりから見当をつけます。
- 募集の部署が「推進」「企画」を含む場合や、応募資格に「折衝」「調整」「報告」が並ぶ場合は、比重が高くなりやすくなります。「実装」「構築」だけが並ぶ場合は、作る時間の比重が高くなります。
- テレワークを導入している企業は47.3%です*1。在宅勤務が混ざる組織ほど、決めた内容を記録に残す運用が広がりやすくなります。
- 面談では割合を尋ねるより、直近1週間の実際の時間を聞くほうが具体的な答えが返ってきます。
- 資料を作る量そのものは、組織の形によって必要になっているものであり、無駄と決めつけることはできません。自分がどちらの比重で働きたいかで選びます。
承認の段数と提出先の数を確認しておけば、入社後に感じる資料作成の時間の比重のずれを減らせます。求人票に書かれない組織の形を、面談で確かめてから選んでいきましょう。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「通信利用動向調査」(令和6年)
*2 厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和7年12月分)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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