排他制御の経験は求人票の3つの言葉で書かれています
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

「排他制御」という言葉は、求人票にほとんど出てきません。同じデータを2人が同時に触ったときにどうするかを決めた経験は、求人票では別の3つの言葉に置き換わって書かれています。どの言葉で書かれているかによって、入社後に見る仕事の中身が変わります。
情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍です*1。求人が多い分野でも、排他制御の経験を職務経歴書でどの言葉に翻訳するかによって、書類選考の通過率は変わります。
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この記事のポイント
- 排他制御という言葉は求人票にほとんど出てこず、「同時実行」「整合性」「締め処理」という3つの言葉で書かれています。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍です*1。
- ①同時実行は動く前に決める仕事、②整合性は起きたあとを直す仕事、③締め処理は時間割を守る仕事で、対応する経験が変わります。
- 自分の排他制御の経験が3つの言葉のどれに当たるかを選び、職務経歴書の言葉を求人票に合わせることが、書類選考を通す準備になります。
1. 排他制御は、求人票では別の言葉に置き換わっています。
排他制御という言葉は求人票にほとんど出てこず、代わりに「同時実行」「整合性」「締め処理」という3つの言葉で書かれています。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍で、他職種より採用側の動きが速い分野です*1。求人票の言葉と自分の経験の言葉がずれたままだと、応募の候補から外れてしまう場面があります。
同じデータを2人が同時に触ったときにどうするかを決めた経験は、面接で「排他制御をやりました」と言っても、それだけでは伝わりません。求人票に「排他制御」という語がそのまま載ることは少なく、別の言葉に姿を変えて出てきます。
代わりに現れる言葉は主に3つあります。「同時実行」「多重実行」は、同じ処理が重なっても壊れないようにする仕組みを指します。「整合性」「不整合の解消」は、結果が食い違ったときにそれを直す仕事を指します。「締め処理」「夜間処理」は、決まった時間に走る処理と、人が触る時間が重ならないようにする仕事を指します。
求人倍率が1.65倍という数字は*1、経験のある人を採る側が急いでいることを示します。急いでいるからこそ、求人票の言葉を自分の経験の言葉に読み替える作業を、応募する側が先にやっておく必要があります。
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2. テレワークも、導入の数字と実施の数字は一致しません。
求人票の言葉と実際の仕事がずれる場面は、他にもあります。テレワークという同じ言葉でも、企業側の数字と働く側の数字は一致しません。
企業の導入率は47.3%で、正社員全体の実施率は22.5%です*2*3。導入している企業の割合と、実際に働く人がテレワークをしている割合は、同じ言葉を使っていても指す数字が違います。
求人票に書かれた言葉を鵜呑みにせず、実際に何をする仕事かを確認する姿勢は、テレワークの数字にも、排他制御が別の言葉で書かれている場面にも共通して必要になります。
テレワークという言葉は、企業が制度を持っているかどうかと、その制度を実際に使っているかどうかの、2つの段階を1つの言葉で表しています。段階を分けずに数字だけを見ると、どちらの割合を指しているのか取り違えます。
3. 同時実行という言葉は、決める前の仕事を指します。
「同時実行」「多重実行」という言葉は、同じ処理が重なっても壊れないようにあらかじめ決めておく仕事を指します。排他制御の経験のうち、設計の段階で仕組みを決めた経験は、この言葉で書かれていることが多くあります。
この種類の経験は、システムを作る前に判断した内容です。何を先に処理して、何を後回しにするかを決めるルールを、動く前に用意しておく仕事にあたります。
「整合性」「不整合の解消」という言葉は、これとは逆に、すでに起きたことを追いかける仕事を指します。結果が食い違った状態を見つけて、原因を特定し、直す経験がここに当たります。
「締め処理」「夜間処理」という言葉は、決まった時間に走る処理と、人が日中に触る時間が重ならないようにする仕事です。時間割を守る仕事であり、決める仕事とも直す仕事とも性質が異なります。
自分の経験が、この3つの言葉のどれに当たるかを選ぶことで、職務経歴書に書く言葉と、求人票に書かれた言葉を合わせられます。
入社後に見る仕事の中身も、3つのどれに近いかで変わります。①同時実行に近い経験を積んだ人は、設計レビューや仕様検討の場に呼ばれる場面が多くなります。②整合性に近い経験を積んだ人は、障害対応や不整合の調査を扱う場面に多く関わります。③締め処理に近い経験を積んだ人は、夜間バッチや運用のスケジュールを扱う場面に関わります。
4. 3つの言葉を、仕事の性質で並べて比べます。
求人票に現れる3つの言葉を、何をする仕事か、どの場面で問われるかで並べて確認します。同じ経験でも、得た場面によって当てはまる言葉が変わります。
【表1】求人票に現れる3つの言葉と、仕事の性質の対応
| 求人票の言葉 | 何をする仕事か | 経験が問われる場面 | 近い職務経歴書の書き方 |
|---|---|---|---|
| 同時実行/多重実行 | 処理が重なっても壊れない仕組みを、動く前に決める仕事 | 新しい機能や新しいシステムを設計する場面 | 「同時実行時の不具合を防ぐ設計を行った」 |
| 整合性/不整合の解消 | 結果が食い違った状態を見つけて直す仕事 | すでに動いているシステムを保守する場面 | 「データの不整合を調査し解消した」 |
| 締め処理/夜間処理 | 決まった時間に走る処理と、人が触る時間の重なりを避ける仕事 | 日次・月次の締めがあるシステムの運用場面 | 「夜間処理と日中の処理が重ならない設計に関わった」 |
表のとおり、3つの言葉は指す仕事の性質がそれぞれ異なります。同じ排他制御の経験でも、どの場面で得たかによって、当てはまる言葉が変わります。
職務経歴書を書くときは、この対応を先に決めておくと、求人票の言葉と自分の経験の言葉がずれにくくなります。
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5. 経験は、決め方・直し方・防ぎ方の3層で積み重なります。
この経験がどの層に当たるかで、次の職場で見る仕事の範囲が変わります。土台にある「先に決めておく経験」は、新しい仕組みを作る場面で問われます。
中段にある「起きたときに直す経験」は、すでに動いているシステムを保守する場面で問われます。すでに起きた不整合を追いかける仕事に近く、設計そのものをやり直す仕事ではありません。
頂点にある「起きない形にする経験」は、直したあとにルール自体を変えた経験です。排他制御という1つの言葉の中にも、この3層の違いがあることを、職務経歴書を書く前に整理しておくと役立ちます。
3層のどこに経験が集まっているかは、人によって偏りがあります。土台の経験しかない人もいれば、頂点の経験まで積んだ人もいます。どの層まで経験したかを自分で把握しておくと、求人票に書かれた言葉の重みを読み取りやすくなります。
6. 職務経歴書では、経験をどの言葉に合わせるかで伝わり方が変わります。
自分の経験を、求人票の言葉に合わせて書くときに確認しておきたい点を整理します。
職務経歴書に書く前に確認する点
- 場面:設計する場面だったか、すでに動いているシステムを保守する場面だったかを区別します。
- 言葉:「同時実行」「整合性」「締め処理」のどれに近い経験かを1つ選びます。
- 結果:重なりが起きなくなったのか、起きたときに早く直せるようになったのかを分けて書きます。
- 時期:設計時に決めた経験か、運用中に直した経験かを、時系列で示します。
- 面接での言い方:どの言葉に近いかを先に伝え、続けて場面と結果を話す順番にします。
「排他制御をやりました」という書き方だけでは、3つの言葉のどれに近い経験なのかが伝わりません。場面と結果を添えることで、求人票の言葉と結び付きます。
設計する場面での経験であれば、「同時実行」「多重実行」という言葉を使う求人に近づきます。保守する場面での経験であれば、「整合性」「不整合の解消」という言葉に近づきます。
決まった時間に走る処理を扱った経験であれば、「締め処理」「夜間処理」という言葉に近づきます。時間割を守る仕事であることを添えると、求人票の書き手にも伝わりやすくなります。
一般労働者の賃金は40〜44歳で月364.3千円です*4。経験を重ねた年代の賃金の目安を踏まえたうえで、自分の経験がどの言葉に当たるかを整理してから、待遇の話に進むことができます。
面接で聞かれる前に、自分から3つの言葉のどれに近いかを伝えておくと、質問の的が絞られ、話が噛み合いやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 排他制御という言葉を使わずに職務経歴書を書いても伝わりますか。
A. 伝わります。「同時実行」「整合性」「締め処理」のどれに近い経験かを場面とともに書けば、その言葉を使わなくても内容は伝わります。
Q2. 求人票に「同時実行」と書かれていた場合、どの経験が近いですか。
A. 動く前に重なりへの対応を決めた経験が近くなります。すでに起きた不整合を直した経験よりも、設計時に決めた経験のほうが求人票の意図に合います。
Q3. 締め処理の経験しかない場合、他の2つの言葉の求人には応募できませんか。
A. 応募自体はできます。ただし面接では、時間の重なりを避ける仕事に限られていた点を先に伝えると、期待とのずれを防げます。
Q4. 情報処理・通信技術者の求人倍率が高いなら、言葉を合わせなくても採用されますか。
A. 求人倍率が1.65倍と高くても*1、書類選考では言葉のずれがそのまま不利に働きます。求人が多いことと、選考を通ることは別の話です。
Q5. 求人票にこの3つの言葉のどれも書かれていない場合はどうすればよいですか。
A. 面談で確認します。「重なったときの扱いを事前に決める仕事か、起きたあとに直す仕事か」を尋ねると、担当する仕事の性質を早い段階で把握できます。
8. まとめ:排他制御という言葉より、経験の内容を伝えます。
この記事の要点
- 排他制御という言葉は求人票にほとんど出てきません。代わりに「同時実行」「整合性」「締め処理」という3つの言葉で書かれています。
- ①は動く前に決める仕事、②は起きたあとを直す仕事、③は時間割を守る仕事で、それぞれ性質が異なります。
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍です*1。求人が多い分野でも、言葉のずれは書類選考でそのまま不利になります。
- 自分の経験がどの言葉に当たるかを選び、場面と結果を添えて職務経歴書に書くことで、求人票の言葉と結び付きます。
排他制御という言葉を使うかどうかより、どの場面でどんな経験を積んだかを、求人票の言葉に合わせて伝えることが、選考の入り口になります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分)」(2026年公表)
*2 総務省「通信利用動向調査」(令和6年)(2025年6月公表)
*3 パーソル総合研究所「第十回テレワークに関する調査」(2025年)
*4 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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