閑散期に何をする求人かで自分に合う先が変わります
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

エンジニアの転職では、忙しい時期にどれだけ働くかがよく話題になります。ですが実際に入社してから気になるのは、それ以外の時期に何をしているかです。手を止めているのか、別の作業に回っているのか。求人票を読むだけでは伝わりにくいところに、職場ごとの違いが表れます。
IT業界では、DX推進人材が『大幅に不足』と回答した企業が50.1%にのぼります*1。忙しい時期に手が回らない分だけ、そうでない時期の使い方に企業ごとの違いが出やすくなっています。
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この記事のポイント
- そうでない時期の過ごし方は、手を入れる時期にしている・溜めていたものを片付けている・ただ静かになる、の3つに分かれます。
- IT業界では、DX推進人材が『大幅に不足』と回答した企業が50.1%にのぼります*1。忙しい時期に手が回らない分だけ、そうでない時期の使い方に差が出やすくなっています。
- 求人票では業種の波と『改善』『整備』という語を、面談では去年の実際の過ごし方を確認しておくと、入社後の『思っていた内容と違う』を減らせます。
1. 閑散期の過ごし方に、その職場の性格が表れます。
閑散期に何をしているかを聞けば、その職場が波のある仕事にどう向き合っているかが分かります。IT業界では、DX推進人材が『大幅に不足』と回答した企業が50.1%にのぼります*1。忙しい時期に手が回らない分だけ、そうでない時期の使い方に企業ごとの違いが出やすくなっています。忙しい時期の話は面接でもよく語られますが、応募する側が本当に知りたいのは、そうでない時期に何をしているかです。
波のある仕事には、必ず忙しくない時期があります。求人票や面接では忙しい時期の話がよく語られますが、そこだけでは入社後の働き方は見えてきません。そうでない時期に何をしているかのほうが、日々の働き方に近い情報です。
閑散期の過ごし方は、大きく3つに分かれます。忙しい時期に触れられなかったところへ手を入れる時期にしている職場、後回しにしていた頼まれごとを片付けている職場、そして次の忙しい時期を待つだけの静かな時期にしている職場です。
どれが優れているという話ではありません。手を入れる時期にしている職場では、その時期に入る前から『次はここを直す』という話が出ます。静かな時期にしている職場では、その話が出ません。合う先は、自分で決めて動くのが得意かどうかで変わります。
同じ業種でも、企業の規模や取引先の数によって、この3つの分かれ方は変わります。取引先が1社に集中している職場と、複数の取引先を抱える職場とでは、忙しくない時期の来方そのものが違うこともあります。
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2. IT業界全体の人材不足が、静かな時期の使われ方を左右します。
IPAの調査では、DX推進人材が『大幅に不足』と回答した企業が50.1%でした*1。2023年度の62.1%からは下がっていますが、なお半数の企業が大幅な不足を感じています。
人手が十分でない状態が続くと、忙しい時期にできることは限られます。手が回らなかった作業は、そうでない時期に回すしかありません。そうした事情は、忙しい時期の人手不足の裏返しでもあります。
ただし、人手が十分でないことと、閑散期に何をするかは同じ話ではありません。同じ50.1%のなかにも、その時期に手を入れる職場と、ただ静かに過ごす職場の両方が含まれています。
人手不足そのものは業界全体の傾向であり、1社だけの事情ではありません。だからこそ、忙しくない時期の使い方は、企業の姿勢を見分ける手がかりとして機能します。
3. 忙しい時期の話はよく語られても、静かな時期の話は語られません。
面接や求人票では、依頼が増える時期や納期が近い時期の話が中心になります。応募する側もその話に引かれやすく、そうでない時期の話は後回しになりがちです。
厚生労働省の調査では、転職して賃金が『変わらない』人が28.4%います*2。給与の額だけで職場を選んでも、4人に1人以上は入社前と変わらない結果になります。閑散期の中身のような、給与以外の判断材料を持っておく意味がここにあります。
そうした過ごし方の違いは、先に述べたとおり大きく3つに分かれます。手を入れる時期にしている職場、溜めていたものを片付けている職場、ただ静かになる職場です。求人票の文面だけでは、この3つを見分けにくいことがあります。
どちらが優れているという話ではありません。手を入れる時期にしている職場に向いている人と、ただ静かになる職場に向いている人は別です。自分で決めて動くのが得意かどうかで、合う先が変わります。
面接の場では、どうしても直近の忙しさが話題の中心になりやすくなります。応募する側から、そうでない時期の話を尋ねる姿勢を持っておかないと、この情報は自然には出てきません。
4. 3つの過ごし方を、表で比較します。
そうでない時期の過ごし方を、3つの型に分けて比較します。どの型に当たるかによって、その時期に入る前の職場の様子も変わってきます。
【表1】閑散期の過ごし方・3つの型
| 型 | そうでない時期にしていること | 忙しい時期との関係 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 手を入れる時期にしている | 忙しい時期に触れなかった部分を直す。やることが先に決まっている | その時期に入る前から『次はここを直す』という話が出る | 計画に沿って動くのが得意な人 |
| 溜めていたものを片付けている | 後回しにしていた頼まれごとを消化する | 決まった計画はないが、やることはある | 頼まれた作業を着実に進めるのが得意な人 |
| ただ静かになる | 次の忙しい時期を待つ。学ぶ時間に使えることもある | その時期に入る前の話は特に出ない | 自分で何をするか決めて動くのが得意な人 |
表のとおり、過ごし方は3つの型に分かれます。どの型かによって、その時期に入る前の職場の様子も変わってきます。
手を入れる時期にしている職場では、その時期に入る前から次にどこを直すかという話が出ます。ただ静かになる職場では、その話自体が出ません。話の有無は、優劣ではなく、その職場が閑散期をどう位置づけているかの表れです。
3つの型は、はっきりと分かれているわけではありません。ひとつの職場のなかでも、部署や担当する仕事によって型が混ざっていることもあります。表は、傾向をつかむための目安として使ってください。
5. 面談では、去年の様子を具体的に聞きます。
閑散期の中身は、求人票の文面だけでは分かりません。確かめるには、面談で直接聞く方法があります。
聞く順番は、波の形から始めます。業種としてどれくらいの周期で忙しい時期とそうでない時期が来るかを先に確認し、そのうえで静かな時期に何をしているかを尋ねます。
最後に、去年の閑散期に実際に何をしていたかを聞きます。予定ではなく実績を聞くことで、『次はここを直す』という話が出る職場かどうかが見えてきます。
この順番で聞くのは、いきなり実績だけを聞くと、答える側も何を基準に話せばよいか分かりにくいためです。波の形から順に確認していくことで、質問の意図も伝わりやすくなります。
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6. 求人票で確認する3つの視点を整理します。
面談の前に、求人票の文面から確認できることを整理します。
求人票で確認する3つの視点
- 業種の波:受注や稼働が時期によって変わる業種かどうかを確認します。
- 言葉の有無:仕事の内容として『改善』『整備』という語が書かれているかを確認します。
- 閑散期の記述:そうでない時期に何をするかが、具体的に書かれているかを確認します。書かれていない場合は、面談で確認します。
業種に波があるかどうかは、求人票の事業内容や取引先の記載から推測できます。特定の時期に業務が集中する業種であれば、その反動として、そうでない時期も存在すると考えられます。
『改善』『整備』という語が仕事の内容として書かれている求人は、そうでない時期を手を入れる時期にしている可能性があります。この語が見当たらない求人では、その位置づけを面談で確認したほうが確実です。
厚生労働省の調査では、一般労働者の賃金は55〜59歳で月396.2千円となり、全年齢のなかで最も高くなっています*3。長く働くほど賃金が積み上がっていく前提で考えると、閑散期をどう使うかは、目先の忙しさだけでなく、数年先の働き方にも関わってきます。
そうでない時期の使い方を求人票と面談で確認しておくと、入社後に『思っていた内容と違う』というずれを減らせます。給与の条件と同じくらい、その中身も確認しておく価値があります。
3つの視点は、どれか1つだけでは判断材料として不十分です。業種の波・言葉の有無・具体的な記述をあわせて確認することで、面談で聞くべきことも絞りやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 閑散期という言葉が求人票に出てこない場合、どう判断すればよいか。
A. 業種に波があるかどうかを先に確認します。取引先や事業内容の記載から、時期によって業務量が変わりやすい業種かどうかがある程度分かります。この語がなくても、波のある業種であれば、そうでない時期は存在すると考えられます。
Q2. 閑散期にただ静かになる職場は、避けたほうがよいか。
A. 避ける必要はありません。ただ静かになる職場では、その時期に何をするかを自分で決めることになります。自分で決めて動くのが得意な人には合いますが、決まった指示を待ちたい人には合わない場合があります。良し悪しではなく、向き不向きの問題です。
Q3. 面談で閑散期のことを聞くのは、印象が悪くならないか。
A. 波のある仕事について尋ねることは、業務内容の確認の一部です。『去年の閑散期は何をしていましたか』という聞き方であれば、具体的な事実を尋ねる質問になり、不自然な印象にはなりにくいです。
Q4. 『改善』『整備』という語がある求人は、忙しさが少ないという意味か。
A. そうとは限りません。忙しい時期と、改善や整備に取り組む時期の両方がある職場を示していることがあります。語の有無は、働き方を推測する手がかりのひとつです。
Q5. 学べる時間があると書かれた求人は、良い職場だと判断できるか。
A. それだけでは判断できません。学ぶ時間を用意しているのは、ただ静かになる型の職場に多い特徴です。学ぶ内容を自分で決められる環境が合うかどうかは、応募する側の向き不向きによって変わります。
8. まとめ:閑散期の使い方は、企業の性格を映します。
この記事の要点
- そうでない時期の過ごし方は、手を入れる時期にしている・溜めていたものを片付けている・ただ静かになる、の3つに分かれます。
- IT業界では、DX推進人材が『大幅に不足』と回答した企業が50.1%にのぼります*1。人手が十分でない分だけ、そうでない時期の使い方に企業ごとの差が出やすくなっています。
- 手を入れる時期にしている職場では、その時期に入る前から『次はここを直す』という話が出ます。ただ静かになる職場では、その話が出ません。
- 合う先は、自分で決めて動くのが得意かどうかで変わります。求人票では業種の波と『改善』『整備』という語を、面談では去年の閑散期の実際を確認しておくと、入社後のずれを減らせます。
そうでない時期の中身は、求人票の文面だけでは見えにくい情報です。業種の波と仕事内容の語を求人票で確認し、去年の閑散期に実際に何をしていたかを面談で聞く。この2つを積み重ねることで、忙しくない時期にどう過ごす職場なのかが、入社前にある程度見えてきます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 IPA(情報処理推進機構)「DX動向2026」(2026年公表)
*2 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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