戻るを押されたときに何が起きるかを求人から読む方法
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

求人票や入力フォームでは、前の画面に戻るボタンを押す場面があります。画面は順番に進む前提で作られていますが、使う人はその順番のとおりには動きません。確かめたいとき、直したいとき、押し間違えたときに、前の画面へ戻ります。何が起きるかは、画面の作りによって変わります。求人票の言葉から、その作りの丁寧さを読み取る視点を整理します。
転職して賃金が『増加』した人は40.5%です*1。年収の水準に関心が向きやすい一方で、入社後に使う画面が想定外の操作にどう応えるかは、求人票の文面だけでは見えてきません。
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この記事のポイント
- 画面は順番に進む前提で作られていますが、使う人は前の画面に戻るボタンを押します。確かめたいから、直したいから、押し間違えたから、というのが主な理由です。
- 戻ったときに何が起きるかは、入力が残る・空になる・先に進んだ扱いになる、という3つの型に分かれます。3つ目は作った側から見えにくく、順路どおりに触れば起こりません。
- 求人票を読むときは、『テスト』『品質』という語とあわせて、使う人が社外かどうかを確認すると、入社後に使う画面がどこまで確かめられているかの見通しが立ちます。
1. 戻るボタンは、想定していない順路を運びます。
画面は順番に進む前提で作られていますが、使う人は前の画面に戻るボタンを押します。確かめたいとき、直したいとき、押し間違えたときに、前の画面へ戻ります。転職して賃金が『増加』した人は40.5%です*1。年収の水準だけでなく、入社後に使う画面がどこまで確かめられているかも、求人票を読むときの視点になります。
順番どおりに画面を進めば、戻るボタンは使われません。ところが実際の使い方はそうなりません。前の画面の内容を確かめたくなったとき、入力した内容を直したくなったとき、次へ進むボタンを押し間違えたときに、前の画面へ戻ります。
戻るボタンを押したあとに何が起きるかは、画面の作りによって変わります。入れた内容が残っている場合もあれば、空になっている場合もあります。長い入力を空欄からやり直すことになれば、途中でやめる人も出てきます。
もっとも厄介なのは、戻ったのに次へ進んだ扱いになっているケースです。同じ内容の登録が2つできることがあり、作った側からはこの動きが見えません。順番どおりに触れば起きないため、テストの手順に入っていないことがあります。
経歴や希望条件を入力する画面は、項目数が多くなりやすい部分です。名前や連絡先だけの画面と比べて、入力にかかる時間そのものが長くなります。時間をかけて入力したあとに前の画面へ戻る場面が来たとき、その時間が保たれるかどうかが、使う人の体感を左右します。
2. 起こることは、3つの型に分かれます。
前の画面に戻ると、この3つのどれかが起こります。
入れた内容が残る型は、期待される動きに近い型です。もう一度入力し直す手間がなく、戻る前と同じ状態から続きの操作に移れます。
入れた内容が空になる型は、入力し直しが発生します。入力が長いほど、途中でやめる人が出てきます。何度も同じ内容を打ち直す操作は、続ける理由を減らします。
先に進んだ扱いになる型は、作った側から見えません。順番どおりに画面を触れば起こらないからです。同じ内容の登録が2つできることがあり、後から問い合わせという形で見つかります。
3つの型のうち、どれに当たるかは、実際に画面を触ってみないと分かりません。面談で仕様書の有無を聞くよりも、想定していない順路を伝えたときにどう答えるかを見るほうが、作りの丁寧さが伝わってきます。
3. 入力が残るかどうかで、体験の質が変わります。
入力が残るかどうかは、画面を作るときの小さな判断の積み重ねで決まります。前の画面での操作を想定して作られていれば、入れた内容はそのまま残ります。想定されていなければ、空欄からやり直すことになります。
求人票のなかに『テスト』『品質』という語があるとき、対象が何かまでは書かれていない場合があります。順番どおりに画面を触るテストと、順路を外れて戻る操作を含めたテストとでは、見つかる不具合の種類が変わります。
使う人が社外かどうかも、確認しておきたい点です。社内の人だけが使う画面であれば、決められた順路で操作される前提が成立しやすくなります。一方、使う人が社外であれば、順路は守られません。確かめたいときも、直したいときも、押し間違えたときも、戻るという操作が起こります。
雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です*2。開発チームが同じ場所にいなくても、画面の確認をどこまで済ませているかを言葉で説明できる体制かどうかは、求人票を読むだけでは分かりにくい部分です。面談で聞いてみる価値があります。
求人票に『自動テスト』という語があっても、対象が入力チェックだけなのか、画面をまたぐ操作の確認まで含むのかは、語だけでは判断できません。範囲まで明記されている求人票ほど、読み手が具体的に判断しやすくなります。
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4. 3つの型を、表にして確認します。
3つの型を、表にして整理します。
【表1】前の画面に戻ったときに起こる3つの型
| 型 | 入力の状態 | 次の操作 |
|---|---|---|
| 入力が残る型 | 入れた内容がそのまま残る | 続きから操作できる |
| 空になる型 | 入れた内容が消えている | 入力し直しが必要になる |
| 進んだ扱いになる型 | 戻る前の登録が完了扱いになる | 同じ内容の登録が2つできる場合がある |
入力が残る型は、前の画面に戻る操作を想定して作られています。入れた内容を打ち直す手間がなく、続きの操作にそのまま移れます。
空になる型は、この想定が抜けています。入力が長いほど、もう一度入れ直す負担が大きくなり、途中でやめる人が出てきます。
進んだ扱いになる型は、戻ったのに次の処理が完了しているという状態です。同じ内容の登録が2つできることがあり、これは使う人からの問い合わせで初めて分かる場合があります。
表の3つの型は、優劣がはっきり決まっているわけではありません。空になる型でも、入力の項目数が少なければ負担は小さくなります。入力の量と型の組み合わせによって、実際の負担の大きさが変わります。
5. 押した直後から、後で分かるまでの流れがあります。
前の画面へ戻る操作を、時間の流れで見ていきます。押した直後・次へ進んだあと・後から分かるとき、という3つの地点です。
押した直後に見えるのは、画面の見た目だけです。入力が残っているか空になっているかは、この時点でおおむね分かります。
次へ進んだあとの状態は、操作した人には見えません。戻る前の情報がどう処理されたかは、画面の外側で決まります。
後から分かるときとは、使う人からの問い合わせが入ったときです。同じ内容の登録が2つあることに気づいた使う人から、確認の連絡が入ります。作った側は、この時点まで気づけないことがあります。
後から分かるタイミングが遅いほど、問い合わせの件数は積み重なりやすくなります。件数が積み重なる前に、順路を外れた操作を確かめる工程が入っているかどうかが、画面の作りの違いとして表れます。
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6. 求人票から、確認の仕組みを読み取ります。
面談で確認しておきたい視点を整理します。
面談で確認しておきたい視点
- テストの範囲:画面を順番どおりに動かす確認だけでなく、順路を外れた操作まで含めているかを確認します。
- 品質の説明:『品質』という語がどのような確認を指しているのか、具体的な内容を確認します。
- 使う人の範囲:使う人が社外かどうかを確認します。社外であれば、決められた順路だけを想定した確認では足りません。
- 入力の扱い:前の画面に戻ったときに入力内容がどう扱われるかを、確認しておきたい点として挙げます。
- 確認の時期:順路を外れた操作を、開発の段階と入社後の運用の段階のどちらで確かめているかを確認します。
面談で聞くとしたら、『順路を外れた操作は誰が確認していますか』という聞き方があります。担当者の名前まで分かる必要はなく、確認の仕組みがあるかどうかが分かれば十分です。
求人票に『テスト』『品質』という語があっても、対象が順番どおりの操作だけなのかは、書かれていないことがあります。書かれていない場合は、面談で聞く事柄になります。
転職を考えるとき、年収の水準に関心が向きやすくなります。一方で、入社後に使う画面の作りは、日々の作業の負担に直結します。求人票を読む視点を1つ増やすことで、入社後の見通しが立てやすくなります。
45〜49歳の一般労働者の賃金は月377.9千円です*3。年収の水準を確認する場面では、入社後に使う画面の作りまで質問を広げておくと、後から気づく負担を減らせます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 前の画面に戻る操作は、テストで確認されているものですか。
A. 求人票だけでは分かりません。順番どおりの確認と、順路を外れた確認とでは、対象の範囲が異なります。面談で確認の範囲を聞くと、対象が分かります。
Q2. 前の画面に戻ったときに入力が空になるのは、避けられない仕様ですか。
A. 作りによって変わります。想定して作られていれば、入れた内容は残ります。想定されていなければ、空欄からやり直すことになります。
Q3. 同じ内容の登録が2つできるのは、どのタイミングで気づかれますか。
A. 使う人からの問い合わせで気づかれる場合があります。順番どおりに画面を触れば起こらないため、社内の確認だけでは見つかりにくい状態です。
Q4. 使う人が社外かどうかは、なぜ確認する意味がありますか。
A. 社外の人が使う画面では、決められた順路が守られない前提で考える必要があります。確かめたいとき、直したいとき、押し間違えたときに、前の画面に戻ります。
Q5. 面談で、順路を外れた操作について聞くと、どのような答えが返ってきますか。
A. 会社によって答え方は分かれます。具体的な確認の手順を答えられる場合もあれば、想定していなかったと答える場合もあります。答え方そのものが、画面の作りへの向き合い方を示します。
8. まとめ:作った側から見えない順路を、確かめる視点を持ちます。
この記事の要点
- 画面は順番に進む前提で作られていますが、使う人は前の画面へ戻ります。確かめたいから、直したいから、押し間違えたから、というのが主な理由です。
- 戻ったときに起こることは、入力が残る型・空になる型・先に進んだ扱いになる型の3つに分かれます。3つ目は作った側から見えず、順番どおりに触れば起こりません。
- 求人票では『テスト』『品質』という語とあわせて、使う人が社外かどうかを確認すると、入社後の画面がどこまで確かめられているかの見通しが立ちます。
- 転職して賃金が増加した人は40.5%です*1。年収の水準とあわせて、入社後に使う画面の作りまで確認する視点を持つことが、後悔の少ない選び方につながります。
次の一歩は、求人票に書かれた『テスト』『品質』という語の中身を、面談で確かめることです。前の画面へ戻るという小さな操作の扱いから、開発の姿勢が見えてきます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
*2 国土交通省「テレワーク人口実態調査」(令和6年度調査・2025年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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