転職の面接で会社を休むとき、理由は何と伝えればいい?

在職中の転職活動で、面接が平日の昼に入ることは珍しくありません。そのとき使うのは年次有給休暇ですが、「面接に行くので」とは言えず、休む理由で手が止まる人は多いはずです。
先に結論を書くと、有給休暇を何に使うかは働く人の自由で、会社は使い道を理由に休みを断れません*2。申請に理由が要るかどうかで悩む必要はなく、気にするべきなのは「いつ申し出るか」のほうです。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 面接で休む日は年次有給休暇を使えます。申請の理由欄には「私用のため」と書けば足り、面接とまで書く必要はありません*2。
- 会社が休みの日をずらせるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます*1。「忙しいから」だけでは、ずらす理由になりません*4。
- 当日の朝の申し出は、理由を聞かれて休めなかった判例があります*2。面接の日が決まった時点で申し出ておくのが確実です。
1. 有給休暇の使い道は会社に説明しなくてよい
転職の面接で会社を休む理由は、「私用のため」で十分です。年次有給休暇は、会社の許可をもらって取る休みではなく、働く人が日を決めて取る休みです*3。何のために休むかを会社に伝える決まりもありません*2。
厚生労働省は、有給休暇をどんな目的で取るかは労働者の自由であり、会社はその目的によって取得を拒めないと説明しています*2。有給休暇は、会社の承認を得て初めて取れるものでもありません*2*3。働く人が「この日に休む」と日を指定すれば、その日が休みになります*3。
ですから、申請書に理由の欄があっても、面接と書く必要はありません。「私用のため」で十分です。嘘の理由を作るより、何も具体的に書かないほうが、あとで話のつじつまを合わせる手間もかかりません。
申請の文面は、たとえば次の例くらいの短さで十分です。「○月○日(○)、私用のため年次有給休暇をいただきます。担当している○○の件は、前日までに○○さんへ引き継いでおきます。」理由を短くする代わりに引き継ぎの予定を添えておくと、休む日の仕事の心配を先に片づけられて便利です。
2. 会社が日にちを変えられるのは限られた場合だけ
会社にも、休みの日を別の日に変えてもらう権利があります。ただしこれが使えるのは、その日に休まれると「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます*1。休みそのものを取り消す権利ではなく、あくまで別の日に振り替えてもらう権利です*1。
どんな場合がこれに当たるかは、個別の事情を客観的に見て判断されます*2*3。例として挙げられているのは、年末のような繁忙期や、同じ日に多くの人の休みが重なった場合です*3*4。反対に、「業務が忙しいから」というだけでは、日にちを変える理由として認められません*4。
面接の日程は動かせないことが多いので、この権利を使われないように、繁忙期や同僚の休みが重なる日を避けて申し出るのが現実的です。
それでも日を変えてほしいと言われたときは、面接の日程を応募先と組み直すことになります。面接の候補日を2〜3日持っておけば、会社にも応募先にも話を早く通せます。
3. 当日の朝に申し出るのは避ける
「理由を言わなくてよい」と書きましたが、どんな場面でも一切聞かれないわけではありません。当日の朝に有給休暇を申し出た人に会社が理由を尋ね、答えなかったために休みを認めなかったことを、最高裁判所が適法とした例があります(此花電報電話局事件)*2。
一方で、休みの目的を見て、配慮もせずに日にちを変えさせることは許されないとした判例もあります(弘前電報電話局事件)*3。
休んだ日の過ごし方にも注意が要ります。有給休暇を取った日に急な仕事で呼び出され、途中から会社に出勤すると、その日は有給休暇を取ったことになりません*2。面接の日に呼び出されずに済むよう、前の日までに仕事の引き継ぎを済ませておくと安心です。
面接の予定が決まった時点で、できるだけ早く申し出る。これがいちばん確実です。
4. 半日や1時間単位で休みたいとき
面接が午前か午後だけで済むなら、半日単位の休みを取りたくなります。ただ、会社には半日単位の申し出に応じる義務はありません*3。就業規則で半日単位の休みが決まっていればそれに従って取れますが、決まりがなければ1日単位で申し出ることになります。自分の会社の就業規則を一度見ておくと、面接の組み方を考えやすくなります。
半日より短く、面接の前後の2〜3時間だけ抜けたいなら、時間単位の有給休暇という仕組みもあります。会社が労使協定(会社と働く人の代表とで結ぶ書面の取り決め)を結んでいれば、有給休暇を1時間単位で取れます*4。ただし時間単位で取れるのは、1年で5日分までです*3*4。
労使協定がある職場でも、時間単位で取るか1日単位で取るかは、働く人が決めます*3。オンラインの面接なら、自宅で受ける前後の1〜2時間だけを時間単位で休む、という使い方もできます。半日や時間単位の休みが使えるかは職場によって違うので、勤怠の申請画面にその選択肢があるかを先に見ておくと、面接の時間を決めやすくなります。
あわせて読みたい | 面接練習を一人でする|想定質問に結論から答える4つの手順
5. 有給休暇の日数は法律の最低が入社半年で10日
労働基準法は、入社から6か月続けて働き、出勤すべき日の8割以上出勤した人に、少なくとも10日の有給休暇を与えるよう会社に求めています*1*2*4。そのあとは1年ごとに増えていきます。
この日数は法律が定める最低の基準で、会社がこれより少なくすることはできません*1*2。多く与えることは差し支えないので、会社によっては就業規則でこれより多い日数や、早い時期からの付与を決めていることがあります*1。自分の日数は、就業規則や勤怠の記録で見ておくのが確実です。
法律が定める有給休暇の最低の付与日数(通常の労働者の場合*4)
| 勤続年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 0.5年 | 10日 |
| 1.5年 | 11日 |
| 2.5年 | 12日 |
| 3.5年 | 14日 |
| 4.5年 | 16日 |
| 5.5年 | 18日 |
| 6.5年以上 | 20日 |
表の日数は、週5日以上働く人の場合です。パートタイムで働く人でも、週の所定労働時間が30時間以上か、所定労働日数が週5日以上なら、同じ日数が付きます*2。それより短い働き方の人は、所定労働日数に応じた少ない日数になります*2。
日数を数えるときは、前の年度の残りも入れます。有給休暇は付与された日から2年間有効で、使わなかった日は翌年度に繰り越せます*2*4。就業規則に繰り越しを認めないと書かれていても、2年のあいだは権利が消えません*3。
一方で、自分では日を選べない分もあります。労使協定があれば、有給休暇のうち5日を超える部分は、会社が計画的に休む日を割り振れます*3*4。事業場全体を休みにして一斉に取らせる方式などがあり、少なくとも5日は働く人が自由に取れるように残す決まりです*3。
また、年10日以上の有給休暇がある人には、会社が年5日について日を指定して取らせる義務があります*4。会社は日を指定するとき、働く人の意見を聞き、それを尊重するよう努めなければなりません*4。すでに自分で5日以上取っていれば、会社の指定は要りません*4。面接のために取った日も、この5日の中に入ります。
転職する人が見落としやすいのは、退職すると、残っていた有給休暇はその日で消えることです*3。面接が何度も続くと、有給休暇は思ったより早く減ります。一次面接から最終面接まで平日に何回休みそうかを数え、退職の前に使いたい日数とあわせて、残りの日数と見比べておくと安心です。
あわせて読みたい | 有給消化の日数は平均12.1日|退職前に使い切るための数え方
6. 休んだことで不利に扱われることはない
有給休暇を取ったことを理由に、賃金を減らすなどの不利な扱いをすることは禁じられています*1*4。休んだ理由が転職の面接だったとしても、有給休暇として取った以上、それを理由に扱いを悪くされる筋合いはありません。
休んだ日の賃金も、決まった方法で支払われます。会社が払うのは、平均賃金、所定労働時間働いたときの通常の賃金、健康保険の標準報酬月額の30分の1のうちいずれかです*4。どれにするかは、就業規則などで決めておかなければなりません*4。
さらに、有給休暇を取った日は、次の有給休暇が付くかどうかを決める出勤率の計算で、出勤したものとして扱われます*3。面接のために休んだことで、翌年の日数が減る心配はありません。
7. よくある質問
Q1. 申請の理由を書かないと有給休暇を断られますか?
A. 使い道を書かないことを理由に、会社が休みを断ることはできません*2。ただ、当日の朝に申し出て理由を答えなかった人の休みを認めなかったことが、適法とされた判例もあります*2。前もって申し出ておけば、この心配はほぼなくなります。
Q2. 上司に「忙しいから別の日にして」と言われたらどうなりますか?
A. 業務が忙しいというだけでは、日にちを変える理由として認められません*4。会社が日を変えられるのは法律が定める「事業の正常な運営を妨げる場合」だけで、そのときも休みがなくなるのではなく、別の日に振り替わります*1。
Q3. 入社して半年たっていなくても有給休暇はありますか?
A. 法律が会社に義務づけている最初の付与は、入社から6か月たち、出勤率が8割以上のときです*1。会社が前倒しで与えるのは自由なので、入社した日から休みが付く会社もあります*1。自分の会社の決まりは就業規則に書かれています。
Q4. 面接のために休んだと分かったら不利に扱われますか?
A. 年次有給休暇の取得を理由に賃金を減らすなどの不利益な取扱いは、法律で禁じられています*1*4。休んだ日に何をしていたかで、扱いが変わることはありません。
Q5. パートタイムで働いていても有給休暇で面接に行けますか?
A. 行けます。パートタイムで働く人にも、週の労働日数や労働時間に応じた日数の有給休暇があり、使い道が自由なのも正社員と同じです*2。申請の理由は「私用のため」で足ります*2。
8. まとめ:理由は「私用のため」でよく早めに申し出る
この記事のまとめ
- 有給休暇の使い道は自由で、会社は目的を理由に断れない。申請の理由は「私用のため」でよい*2
- 会社が日にちを変えられるのは、事業の正常な運営を妨げる場合だけ。「忙しいから」だけでは認められない*1*4
- 当日の朝の申し出では理由を聞かれることがある。面接が決まったらすぐ申し出る*2
- 半日単位で休めるかは就業規則しだい*3
- 法律の最低は入社半年で10日、6年半以上で20日(会社によってはこれより多い)。面接の回数と残りの日数を見比べておく*1*4
面接の日が決まったら、その日のうちに有給休暇の申請を出し、引き継ぎの予定もあわせて伝えておくと、当日は落ち着いて面接だけに集中できます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 労働基準法 第39条・附則第136条(e-Gov法令検索)
*2 確かめよう労働条件 年次有給休暇Q&A(厚生労働省)
*3 確かめよう労働条件 年次有給休暇(厚生労働省)
*4 リーフレットシリーズ労基法39条(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
テレワーク実施率の業種別ランキング|IT企業の割合
令和7年度テレワーク人口実態調査で、雇用型テレワーカーの割合が最も高い業種は情報通信業の74.1%です*1。次いで学術研究、専門・技術サービス業が54.0%、最も低いのは宿泊業・飲食業の6.0%です*1。雇用型には、正社 […] -
内定の比較表|年収と休日と働き方を並べる書き方
内定の比較表は、会社ごとに同じ行で並べ、行の名前を労働条件通知書の項目にします*4。契約期間、就業場所と変更の範囲、業務と変更の範囲、始業と終業の時刻、休日、休暇、賃金、退職は、会社が書面で示す項目です*1。年収と休日と […] -
土日休みでフルリモートの正社員|年間休日と休日出勤の決まり
土日休みかどうかは、求人票の週休二日制の欄が「毎週」かどうかと、休日の欄で見分けます*4。「毎週」は完全週休2日制のことで、休みの曜日までは決まっていないため、土曜と日曜かどうかは面接で聞きます。フルリモートの正社員求人 […] -
インフラエンジニアの資格一覧|サーバーとネットワークとクラウド
インフラエンジニアの資格は、情報処理推進機構(IPA)の国家試験と、各社・各団体が認定するベンダー資格の2系統に分かれます。国家試験は基本情報技術者からITサービスマネージャまで7つ、ベンダー資格は6つです。ベンダー資格 […]