フルリモートで月1出社とは?求人票の書き方と交通費

求人票の「フルリモート(月1出社あり)」は、ふだんは自宅などで働き、月に1回オフィスへ出社する求人と読めます。出社日の交通費の扱いは、就業規則や労働条件通知書の費用負担の定めを読めば分かり、定めが見当たらないときは面接で聞きます。
テレワークが通常想定される求人では、その場所が労働契約のときに明示(書面などで示すこと)されます*1。令和6年4月からは、就業の場所の変更の範囲も、全ての労働契約で示す必要があります*3。急な出社を求められた日の移動時間も、場合によっては労働時間です*1。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 月1出社の求人でも、テレワークを行う場所は、労働契約のときに就業の場所として示されます*1。令和6年4月からは、変更の範囲(将来の配置転換などで変わり得る就業場所や業務の範囲)も、全ての労働契約で示す必要があります*3。
- 出社日の交通費を含む費用負担について、厚生労働省のガイドラインは、会社と労働者が話し合ったうえで就業規則等に定めておくことを望ましいとしています*1。定めの有無と中身は、入社前に書面で読んでおけます。
- 会社の指示で急きょ出社した日の移動時間は、条件によっては労働時間に当たります*1。通勤手当は月15万円まで非課税で、超える部分は給与として課税されます*5。
リラシクの強み
月1回の出社を受け入れられるかは、住んでいる場所や出社先までの距離で人によって違います。リラシクが扱うのは、リモートワーク対応の正社員求人です。「地方フルリモートOK」「海外フルリモートOK」「週1日以上の出社」などの条件で絞り込めます。「社内イベントでの出社可能性あり」「リモートワーク手当て有り」も、条件に選べます。
1. 月1出社の求人は出社頻度と交通費の扱いが書面に出る
「フルリモート(月1出社あり)」の求人では、出社の頻度と出社日の交通費の扱いを、就業規則と労働条件通知書で読んでおきます*1。テレワークの費用負担の取扱いは、企業ごとの業務内容や物品の貸与状況などにより異なります*1。厚生労働省のガイドラインは、費用負担について、会社と労働者が十分に話し合って就業規則等に定めておくことが望ましいとしています*1。求人票の「月1出社」の一言だけでは、交通費の扱いは分かりません。
求人票の「フルリモート(月1出社あり)」という一行だけでは、分からないことが3つあります。出社する日を会社が指定するのか本人が選べるのか、出社先がどの事業所なのか、出社日の交通費と移動時間をどう扱うのかの3つです。この3つは、入社前に渡される労働条件通知書と、就業規則(会社が職場のルールを定めた書類)に書かれているかを入社前に読みます。
ガイドラインは、テレワーク可能日(労働者の希望、当番制、頻度等)、申請などの手続、費用負担を、あらかじめ話し合ってルールにしておくことが重要としています*1。費用負担では、どちらがどのように負担するかや、会社が負担する場合の限度額、労働者が会社に請求する場合の方法が論点に挙がっています*1。出社日の交通費は、この費用負担の定めに入っているのか、通勤手当として別に定められているのかを、書面で探します。
令和7年度のテレワーク人口実態調査では、情報通信業の雇用型テレワーカー(雇用されて働くテレワーカー)の割合が、業種別で最も高い74.1%でした*6。この割合はテレワークをしている人の割合であり、月に何日出社しているかを示す数字ではありません。月1回の出社の扱いは会社ごとに書面で読む必要があります。
2. 月1出社の求人で書面にある項目と面接で聞く項目

月1出社の求人について、入社前に書面で読む項目と、面接で聞く項目を分けました。
書面で読む項目の1つめは、就業の場所です。雇入れ直後からテレワークを行わせることが通常想定される場合は、自宅やサテライトオフィスなどの場所を、就業の場所として明示する必要があります*1。月1回出社するオフィスが、就業の場所や出社先として載っているかを、労働条件通知書の就業の場所の欄で読みます。
2つめは変更の範囲です。変更の範囲とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所や業務の範囲のことです*3。令和6年4月からは、全ての労働契約の締結のときに、雇い入れ直後の就業場所や業務とあわせて、この変更の範囲も示す必要があります*3。この欄に、出社先のオフィスが将来変わる可能性が載っているかを読みます。
面接で聞く項目は、書面に定めが見当たらないものです。出社日が会社の指定なのか、本人の希望で選べるのか、出社先は1か所なのか、交通費は出るのかを、出社の頻度とあわせて聞きます。ガイドラインでも、テレワーク可能日は労働者の希望によるのか、当番制なのかが例に挙がっています*1。聞いた内容は、内定後に受け取る労働条件通知書と読み合わせて、同じ内容になっているかを見ます。
3. 急きょ出社を求められた日の移動時間は労働時間に当たる
テレワーク中に、会社が具体的な業務のために急きょオフィスへの出勤を求めることがあります。このように会社が業務のために必要な移動を命じ、その間の自由利用が保障されていない場合の移動時間は、労働時間に当たります*1。月1回の出社を前提にした求人でも、これとは別に、急な呼び出しがあるかどうかは書面から読み取れないことが多い項目です。
月1回の定例の出社日と、急な呼び出しは、分けて読みます。定例の出社日は、出社の日にちと頻度の記載を、就業規則や労働条件通知書で読みます。急な呼び出しについては、月に何回ほど想定されているのか、連絡は何日前までに来るのかが面接での質問です。
あらかじめ決まっている出社日の移動時間を、勤務時間として扱うかどうかも、面接で聞く項目に入れます。出社日の始業時刻と終業時刻が在宅の日と違うかは、就業規則の勤務時間の定めで読めます。出社日に会議のほか、機器の受け渡しや入館証の手続きなど、オフィスでしかできない用事があるかも質問の候補です。
4. 就業の場所と費用負担と通勤手当の書面での扱い

月1出社の求人で出てくる6つの項目を、書面のどこで読むかと、資料での扱いで並べました。
月1出社の求人で読む6つの項目
| 項目 | 書面で読む場所 | 資料での扱い |
|---|---|---|
| 就業の場所 | 労働条件通知書の就業の場所の欄 | テレワークを行う場所を明示する必要がある*1 |
| 変更の範囲 | 労働条件通知書の変更の範囲の欄 | 令和6年4月から全ての労働契約で明示が必要*3 |
| 出社の日と頻度 | 就業規則のテレワークの定め | 会社と労働者があらかじめ話し合いルールを定めることが重要*1 |
| 費用負担 | 就業規則の費用負担の定め | 就業規則等に規定しておくことが望ましい*1 |
| 急な出社の移動時間 | 就業規則の勤務時間の定め | 自由利用が保障されない移動時間は労働時間*1 |
| 通勤手当 | 就業規則の賃金の定め | 月15万円まで非課税*5 |
通勤手当や通勤定期券は、通常の給与に加算して支給する場合に、一定の限度額まで非課税(所得税がかからないこと)です*5。最も経済的かつ合理的な経路と方法による金額が、1か月あたり15万円を超えるときは、15万円が非課税の限度額になります*5。限度額を超えて支給する場合は、超える部分が給与として課税されます*5。
出社日の交通費を、毎月の通勤手当として払う会社なのか、出社した日の分だけ実費で払う会社なのかは、書面の支給の条件に出ます。出社した日の分だけ払う交通費が、税金の上でどう扱われるかは、会社の給与担当に聞きます。
在宅勤務に通常必要な費用を、実費相当額で精算する方法で会社が支給する金銭は、給与として課税する必要がありません*4。これは在宅勤務の費用についての扱いで、出社日の交通費とは別の論点です。在宅勤務手当と通勤手当を同じ欄に書く会社もあるため、手当の名前と中身を分けて読みます。
あわせて読みたい | 在宅勤務手当の対象費用|支給形態による違い
5. 応募前に面接で聞く5つの質問
1つめは、出社が月1回と定められているのか、月1回程度という書き方なのかです。就業規則やテレワークの定めに頻度が書かれていれば、その文言のとおりに読みます。記載がなければ、1か月に出社する日数の上限と下限を聞きます。
2つめは、出社先の事業所です。本社だけなのか、複数の拠点があって配属で変わるのかを聞きます。入社後に出社先が変わる可能性があるなら、変更の範囲の欄にその旨の記載があるかを、労働条件通知書で読みます。
3つめは、出社日の交通費の払い方です。全額を払うのか、上限があるのか、月ごとの通勤手当にして払うのか、出社した日の分を実費で払うのかを聞きます。定期券の購入を求められるのか、1回ごとの切符代を精算するのかも、払い方によって変わります。
4つめは、出社先から遠い場所に住んでいる場合の扱いです。前の日から泊まる必要があるときの宿泊費や、出社日が1日で終わらないときの扱いを聞きます。住む場所を変えるときに、出社先までの経路が変わった場合の交通費の扱いも、聞いておけます。
5つめは、出社日に行けなくなったときの扱いです。体調不良や私用で出社日に行けないときに、別の日へ振り替えられるのか、オンラインで参加できるのかを聞きます。出社日の予定がいつまでに決まるのかも、あわせて聞きます。
出社が週に1回の求人については、出社頻度の読み方を別の記事にまとめています。月1回の求人とは、交通費の負担が積み上がる回数が違います。
あわせて読みたい | 週1出社の求人とは?出社頻度の決め方と見直し時期
6. よくある質問
Q1. 月1出社の求人で出社日の交通費は会社が払いますか?
A. 会社ごとの就業規則などの定めによります。同じテレワークでも、費用の取扱いは会社の事情によって分かれます*1。
Q2. 出社日の交通費は法令で決まっていますか?
A. 支給の有無や額は、就業規則や労働条件通知書の定めで分かります。ガイドラインは、費用負担を就業規則等に定めておくことが望ましいとしています*1。
Q3. 急きょ出社を求められたときの移動時間は労働時間ですか?
A. 会社の指示で出社し、移動中に自由に過ごせない場合は、労働時間に当たります*1。
Q4. 通勤手当にかかる税金はどうなりますか?
A. 通勤手当や通勤定期券は、1か月あたり15万円まで非課税です。超える部分は給与として課税されます*5。
Q5. 月1出社は労働条件通知書のどこに書かれますか?
A. 就業の場所の欄と、変更の範囲の欄を読みます*1*3。出社の頻度は、就業規則のテレワークの定めに書かれていることもあります。
Q6. 面接で出社の頻度や交通費を聞いてもよいですか?
A. 聞いてかまいません。テレワーク可能日の頻度や費用負担は、あらかじめ話し合っておくことが重要とされる項目です*1。
Q7. 求人票に「フルリモート」とあるのに出社の記載もあるのはなぜですか?
A. 「フルリモート」の表記と、月1回の出社の定めを両方書く求人があります。どちらの書き方でも、出社の頻度と交通費は書面で読みます。
Q8. 在宅勤務手当と出社日の交通費は同じものですか?
A. 別のものです。在宅勤務の費用を実費で精算する方法の扱いは*4、出社日の交通費とは分けて読みます。
7. まとめ:月1出社は書面の定めと面接での質問で分かる
この記事のまとめ
- 月1出社の求人でも、テレワークを行う場所は就業の場所として示される*1
- 令和6年4月から、変更の範囲も全ての労働契約で示す必要がある*3
- 費用負担は、就業規則等に定めておくことが望ましい*1
- 急きょ出社した日の、自由に過ごせない移動時間は労働時間*1
- 通勤手当は月15万円まで非課税で、超える部分は課税される*5
応募する前に、求人票の出社の記載を読み、面接で出社が月に何回かと交通費の払い方を聞いておきましょう。聞いた内容は、内定後の労働条件通知書と就業規則で同じになっているかを読み合わせます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚生労働省)
*2 令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A(厚生労働省)
*3 2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました(リーフレット・厚生労働省)
*4 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)(国税庁)
*5 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当(国税庁タックスアンサー)
*6 令和7年度テレワーク人口実態調査 調査結果(国土交通省)
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