フルリモートのホワイト企業|残業時間と年間休日の基準

「ホワイト企業」を定める法律はなく、認定の基準と統計の数字で働きやすさを比べます。時間外労働は原則として月45時間・年360時間が上限で*2、情報通信業の有給取得率は66.9%です*1。フルリモートの求人でも、比べ方は同じです。
認定は4種類あり、基準はそれぞれ違います*3*4*5*6。企業の職場情報は、厚生労働省のしょくばらぼで検索できます*7。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 「ホワイト企業」に公的な定義はありません。働きやすさを数字の基準にしているのは、4つの認定制度です*3*4*5*6。
- 時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です*2。くるみんとえるぼしは、時間外・休日労働の時間に、各月ごとの基準を置いています*3*4。
- 情報通信業の有給取得率は66.9%で、全産業の年間休日は1企業平均で112.4日です*1。求人票の休暇の数字は、この平均と並べて読みます。
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1. ホワイト企業に公的な定義はなく認定と統計で比べる
「ホワイト企業」に公的な定義はなく、働きやすさは、公的な認定の基準・時間外労働の上限・有給取得率と年間休日の統計で比べます*1*2*3。認定にはくるみん・えるぼし・ユースエール・安全衛生優良企業の4つがあり、時間外労働や有給取得の基準は認定ごとに違います*3*4*5*6。時間外労働は、臨時的な特別の事情がなければ、月45時間・年360時間を超えられません*2。しょくばらぼでは、企業ごとの職場情報を検索して比べられます*7。
くるみんは、一定の基準を満たした企業が申請を行うと、厚生労働大臣の認定を受けられる制度です*8。認定を受けた企業は「子育てサポート企業」と呼ばれ、学生や求職者は企業研究の指標に使えます*8。認定は申請して受けるものなので、認定がないという事実だけでは、その企業が働きにくいとは言えません。フルリモートのホワイト企業を探すときも、認定の有無は最初の手がかりにとどまり、残業時間や有給取得は、数字で別に調べます。
ここで使う物差しは3つあり、役割が違います。認定の基準は、企業が一定の水準を満たしているかどうかを示すものです*3*4*5*6。時間外労働の上限は、法律が定めた、超えられない線です*2。統計は、求人票に書かれた有給取得率や年間休日を、全産業や情報通信業の平均と並べるときに使います*1。
2. 求人票から面接までに数字を比べる4つの場面
フルリモートのホワイト企業を調べる作業は、求人票を見る前後から面接の質問まで続きます。場面ごとに、使う資料と調べる数字が違います。
求人票で気になった企業は、くるみんの認定を受けているかどうかを、両立支援のひろばで企業名から検索できます*8。認定を受けていれば、時間外・休日労働の時間や男性労働者の育児休業等の取得率が、認定の基準を満たしていることになります*3。
次に、しょくばらぼで職場情報を検索します。しょくばらぼは、勤務実態などの働き方や採用状況を、企業ごとに検索して比べられるサイトです*7。
求人票やしょくばらぼで見つけた残業時間と有給取得率は、時間外労働の上限や、全産業・情報通信業の平均と並べます*1*2。平均より低い数字が出てきた求人は、理由を面接で聞く候補です。面接では、求人票の数字が何を数えたものかを聞きます。月平均の残業時間は所定外か法定時間外か、有給取得率は何年度の実績か、年間休日に祝日や年末年始が入っているかの3点です。
3. 4つの認定は労働時間と休暇の基準がそれぞれ違う

4つの認定は、いずれも厚生労働省が示す認定の基準です*3*4*5*6。どの認定を持っている企業かによって、比べられる数字が変わります。
下の表は、各認定が置いている労働時間や休暇に関する基準を並べたものです。
4つの認定の対象と、労働時間・休暇に関する基準
| 認定 | 何を評価するか | 労働時間の基準 | 休暇・離職などの基準 |
|---|---|---|---|
| くるみん | 子育てサポート企業として、厚生労働大臣が認定する*8 | 時間外・休日労働の合計が各月30時間未満(全フルタイム労働者)、または25〜39歳のフルタイム労働者は45時間未満*3 | 男性労働者の育児休業等の取得率にも基準がある*3 |
| えるぼし | 採用・継続就業・労働時間等の働き方・管理職比率・多様なキャリアコースの5つの基準*4 | 雇用管理区分ごとの法定時間外・法定休日労働の合計時間の平均が、各月45時間未満*4 | 5つの基準を満たす数で段階が分かれ、全て満たして実績を毎年公表すると3段階目*4 |
| ユースエール | 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業で、認定要件をすべて満たすもの*5 | 正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下で、法定時間外が月60時間以上の正社員がいない*5 | 直近3事業年度の離職率と有給取得率に基準があり、有給は平均70%以上または年間10日以上*5 |
| 安全衛生優良企業 | 労働者の健康保持増進、メンタルヘルス、過重労働防止、安全管理などの取り組み*6 | 過重労働防止対策が評価の分野の1つ*6 | 過去3年間の重大な法違反がないこと。分野別は6割以上、全体は8割以上の評価点*6 |
くるみんの時間外・休日労働の基準は、令和7(2025)年4月から、旧基準の月45時間未満が、全フルタイム労働者で月30時間未満に変わりました*3。25〜39歳のフルタイム労働者だけは、45時間未満のままです*3。男性労働者の育児休業等の取得率も、旧基準の10%以上から30%以上へ上がりました*3。
ユースエールの所定外労働時間と、えるぼし・くるみんの時間外・休日労働は、数える対象が違います*4*5。所定外は会社が決めた勤務時間を超えた分で、法定時間外・法定休日は法律が定める時間と休日を超えた分です。求人票の残業時間が、どちらを数えた数字なのかは、面接で聞くしかありません。えるぼしの労働時間の基準は、雇用管理区分ごとの平均で見るものです*4。区分の中に、45時間を超えて働く人がいないことまでは示していません。
4. 時間外労働の上限と有給・休日の平均を物差しにする

時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です*2。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内にする必要があります*2。フルリモートのホワイト企業の求人票でも、残業時間が月45時間を超えている企業は、臨時的な特別の事情を前提にした働き方をしていることになります。
有給休暇は、令和6(2024)年の1年間に、労働者が取得した割合を示す取得率が、全産業で66.9%でした*1。昭和59(1984)年以降で最も高い値です*1。情報通信業の取得率も66.9%で、全産業の平均と同じ値でした*1。
求人票に有給取得率が書かれている企業は、66.9%より高いか低いかで比べられます*1。取得率の記載がない求人は、面接で、直近の事業年度の取得率を聞くことになります。ユースエールは、有給の取得率が平均70%以上または年間取得日数が平均10日以上であることを要件にしています*5。
年間休日は、令和6(2024)年の1年間で、1企業平均が112.4日でした*1。この数字は全産業の平均で、情報通信業だけの年間休日は示せません。求人票の年間休日を比べるときは、全産業の平均として並べます。
あわせて読みたい | 年間休日の最低日数は法律で何日?105日の根拠
5. 認定は新旧の基準と平均の違いを知って読む
くるみんは、令和9(2027)年3月31日まで、旧基準で申請できる経過措置があります。そのため、認定を受けた企業が新旧どちらの基準かは、マークの違いでしか分かりません。時間外・休日労働の基準が各月30時間未満の新基準か、45時間未満の旧基準かで、中身が違います*3。2つのサイトは役割が別です。しょくばらぼは企業ごとの職場情報を、両立支援のひろばはくるみん認定企業を、それぞれ検索するためのものです*7*8。
認定の基準には、時間外労働や有給取得のほかに、離職率、男性の育児休業等の取得率、管理職比率などもあります*3*4*5。気になる企業が認定を受けているときは、自分が重視する数字が基準に入っているかどうかを、認定ごとの表で見ます。
リモートワークの可否や、出社が週に何日かは、認定とは別に、求人票の勤務形態の欄で読みます。勤務地や出社の頻度で候補を先に減らせるため、残業時間と有給取得率は、残った企業だけを調べます。
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6. よくある質問
Q1. ホワイト企業に法律上の定義はありますか
A. ありません。公的な認定の基準と、時間外労働の上限、有給取得率や年間休日の統計で、働きやすさを比べます*1*2*3。
Q2. 認定を受けていない企業は働きにくい企業ですか
A. 認定の有無だけでは分かりません。くるみんは申請して認定を受ける制度なので、申請していない企業には認定がありません*8。認定がない企業の残業時間や有給取得率は、求人票・しょくばらぼ・面接で別に調べます*7。
Q3. 時間外労働の上限は何時間ですか
A. 原則として月45時間・年360時間です*2。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内にする必要があります*2。
Q4. 情報通信業の有給取得率はどのくらいですか
A. 令和6(2024)年の1年間で66.9%です*1。全産業も同じ66.9%です*1。
Q5. 年間休日の平均は何日ですか
A. 令和6(2024)年の1年間で、全産業の1企業平均が112.4日です*1。
Q6. しょくばらぼでは何を調べられますか
A. 働き方の実態と採用状況を、企業を選んで検索し、並べて見られます*7。比べられる項目は、経験者採用等、女性の活躍推進、ワークライフバランス、育児と仕事の両立です*7。
7. まとめ:ホワイト企業は認定と統計の数字で比べる
働きやすさを数字で比べる3点
- 「ホワイト企業」に公的な定義はなく、4つの認定制度の基準が、働きやすさを数字で示します*3*4*5*6。
- 時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間で、情報通信業の有給取得率は66.9%、全産業の年間休日は1企業平均で112.4日です*1*2。
- 企業の職場情報はしょくばらぼで検索でき、くるみんの認定企業は両立支援のひろばでも検索できます*7*8。
気になる求人の企業名をしょくばらぼと両立支援のひろばで検索し、求人票の残業時間・有給取得率・年間休日を、上の平均と並べてから面接で聞いてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 令和7(2025)年就労条件総合調査の概況(厚生労働省)
*2 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(厚生労働省)
*3 くるみん・プラチナくるみん・トライくるみん 認定基準の改正リーフレット・パンフレット(厚生労働省)
*4 えるぼし認定、プラチナえるぼし認定の概要(厚生労働省)
*5 ユースエール認定制度(厚生労働省)
*6 安全衛生優良企業の認定基準・評価項目(厚生労働省)
*7 しょくばらぼ(厚生労働省 職場情報総合サイト)
*8 くるみんマーク等の説明ページ(厚生労働省)
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