退職金がもらえない条件|退職金規程と勤続年数

退職金が出るかどうかと、何年勤めれば出るかは、その会社の退職金規程が決めます。労働基準法第89条は、退職金(法律では退職手当)を定める会社に記載を求める条文で、払う義務を置いてはいません*1。
退職金や退職年金の制度がない企業は、令和5年の調査で24.8%です*2。中小企業退職金共済に入っている会社でも、掛金納付月数が12月に満たなければ支給されません*3。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 退職金(法律の用語では退職手当)を払う義務を置く条文は、労働基準法第89条にありません*1。第89条は、退職手当の定めを置く会社が就業規則に書く事項を挙げた条文です*1。
- 勤続何年から出るかの線は、規程を作った会社ごとに違います*1。中小企業退職金共済に入っている会社では、掛金納付月数(掛金が納められた月の数)が12月に満たないと支給されません*3。
- 退職手当の請求権は、請求できる時から5年で時効にかかります*1。根拠は、第115条の本則ではなく附則第143条第3項です*1。
リラシクの強み
退職金の条件を調べたうえで入社先を選ぶ人は、入社の時期や働き方も同じころに決めることになります。リラシクが扱う求人は、すべてリモートワークに対応した正社員求人です。内定後の条件交渉では、リモートワークに入る時期についての交渉もエージェントが手伝います。
リモートワーク対応の正社員求人|Relasic(株式会社LASSIC運営)
退職金の有無を聞いて応募先を選ぶときも、リモートワーク対応の正社員求人から探せます。
1. 退職金が出るかどうかは会社の規程で決まる
退職金が出るかどうか、勤続何年から出るかは、会社の退職金規程で決まります*1。労働基準法第89条第3号の2は、退職手当(退職金のこと)の定めをする場合に、就業規則へ書く事項を挙げています。書く事項は、適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期です*1。条文の上では、退職手当の定めを置くのは「定めをする場合」です*1。退職手当そのものを払う義務を置く条文は、第89条にはありません*1。
就業規則とは、会社が働き方の決まりを書いた規則です。常時10人以上の労働者を使う会社には、就業規則を作って行政官庁へ届け出る義務があります*1。退職手当の定めを置く会社は、その内容を就業規則に載せます*1。退職金の条件を読むときの資料は、求人票よりも、就業規則に書かれた退職手当の定め(退職金規程)です。
退職金の制度そのものがない会社もあります。令和5年の就労条件総合調査では、退職給付(退職一時金と退職年金)の制度がある企業は74.9%で、ない企業は24.8%です*2。従業員が30〜99人の企業で制度がある割合は70.1%、1,000人以上の企業では90.1%です*2。規模の小さい会社ほど制度がある割合は低いので、応募先が小さい会社なら、退職金の有無を面接の前に求人票で調べておきます。
退職金を「もらえない」と感じる場面は、大きく2つに分かれます。会社に退職金の制度がなく、最初から支給が無い場合と、制度はあるものの、規程の条件に当てはまらない場合です*1。後者の条件は規程に書かれ、中身は会社ごとに違います*1。勤続年数の線も会社ごとに違うので、他社で聞いた条件を、応募先にそのまま当てはめることはできません。
2. 規程の有無と中退共の加入で出方が分かれる
退職金の出方は、就業規則に退職手当の定めがあるかと、中小企業退職金共済(中退共)に加入しているかの組み合わせで、4つに分けて読めます。中退共は、会社が掛金を納め、退職のときに勤労者退職金共済機構から本人へ退職金が支給される制度です*3。
退職一時金の制度がある企業の支払準備の形は、複数回答で、社内準備(会社が自分で用意する形)が56.5%、中小企業退職金共済制度が42.0%です*2。2つを併用する会社もあるので、応募先がどちらの形かで読む文書が変わります。社内準備なら就業規則の退職金規程を、中退共なら掛金納付月数を読みます*1*3。
規程も中退共もない会社では、退職金の根拠になる文書がありません。退職金を受け取ることを入社の条件にしたいなら、内定を受ける前に、退職金の有無を面接で聞きます。求人票に書かれていない場合は、労働条件を提示される場面でも質問できます。
規程だけがある会社では、受け取れる条件は規程の本文にあります*1。読む箇所は3つで、対象の労働者の範囲、退職手当の決定と計算の方法、支払の時期です*1。範囲の欄に正社員だけと書かれていれば、契約社員は適用の範囲に入りません。勤続の年数が条件として書かれているかどうかは、その会社の規程を読むまで分かりません。
中退共だけに入っている会社では、掛金を納めるのは会社で、退職金は中退共から本人へ支給されます*3。条件は掛金納付月数で、12月に満たないと退職金は支給されません*3。就業規則に書かれた退職金とは別の仕組みなので、規程が見つからなくても、中退共の退職金は別に調べます。
規程と中退共の両方がある会社では、2つの条件を別々に読みます。規程の条件は規程の本文で、中退共の条件は掛金納付月数で決まります*3。片方の条件に当てはまっても、もう片方にも当てはまるとは限りません。
あわせて読みたい | 退職金共済とは|中退共の掛金納付月数と転職時の通算
3. もらえない4つの形と調べる先

退職金をもらえない場面は4つあり、根拠になる条文や調査がそれぞれ違います。
退職金をもらえない4つの形と、根拠・調べる先
| もらえない形 | 根拠 | 調べる先 |
|---|---|---|
| 会社に退職金の制度がない | 退職金を払う義務を置く条文は、第89条に無い*1 | 求人票と面接で、退職金の有無を聞く |
| 規程の範囲や条件に入らない | 規程に、適用範囲と計算の方法が書かれる*1 | 退職金規程の、範囲の欄と計算の欄 |
| 中退共の掛金納付月数が12月未満 | 12月に満たないと退職金は支給されない*3*4 | 掛金が納められた月の数を、会社に聞く |
| 請求しないまま時効になる | 退職手当の請求権は、請求できる時から5年で消える*1 | 規程に書かれた支払の時期 |
4つのうち、前の3つは入社の前に調べられます。求人票で退職金の記載を探し、面接では就業規則(退職金規程)の閲覧を頼みます。3つ目は、中退共に入っている会社に限った話です。4つ目は、退職してからの手続きにあたります。
3行目の中退共は、規程の退職金とは仕組みが別です。月数の条件と、規程の勤続の条件は別々に調べます。中退共に加入しているかどうかは、面接で会社に聞きます。
4. 勤続年数の条件は規程と中退共の月数に書かれる
勤続年数の線は、会社の退職金規程で決まります*1。条文は、規程に書く事項を挙げていますが、年数の線を何年にするかは定めていません*1。同じ業界の会社でも、規程の書き方が同じとは限りません。
中退共に入っている会社では、勤続に近い条件が法律に書かれています。掛金納付月数が12月に満たないと、退職金は支給されません*3。12月以上23月以下は掛金の総額を下回る額、24月から42月(3年6か月)は掛金の総額と同じ額、43月(3年7か月)以上は総額を上回る額です*3*4。
実際、掛金納付月数が11月のまま退職日を迎えると、支給は0円になります*3。退職日を決める前の作業は、自分の掛金納付月数を会社に聞き、12月に届くかどうかを数えることです。届かない月数なら、退職日を翌月へずらせるかを上司へ先に相談します。
応募先の面接では、4つを順に聞きます。退職金の制度があるか、規程を見せてもらえるか、規程の適用範囲に自分の雇用区分が入るか、中退共に加入しているかです。聞く場面は、内定後の条件提示にも置けます。
5. 退職手当の請求権は5年で時効になる

退職手当の請求権は、請求できる時から5年で時効にかかります*1。時効とは、請求しないまま期間が過ぎると、請求する権利が消えることです*1。根拠は労働基準法の附則第143条第3項で、本則の第115条だけを読むと、退職手当以外の賃金と取り違えます*1。
第115条の本則は、賃金の請求権を5年と書いています*1。附則第143条第3項は、当分の間、この条文を読み替えて、退職手当の請求権を5年、退職手当以外の賃金の請求権を3年としています*1。退職金の5年と、給与など退職手当以外の賃金の3年は、期間が別です。
数え始めるのは、請求できる時からです*1。請求できる時がいつかは、規程に書かれた退職手当の支払の時期とあわせて読みます*1。退職するときは、規程の支払の時期の欄を写し、退職日と最後に給与を受け取った日もあわせて手元に残しておきます。
転職を決めたら、退職を伝える前に、いまの会社の就業規則で退職手当の定めを探します。見つかれば、範囲、計算の方法、支払の時期の3つが控える項目です。見つからなければ、会社に退職金の制度があるかどうかを聞きます。
あわせて読みたい | 退職金にかかる税金|退職所得控除と申告書の有無
6. よくある質問
Q1. 退職金は法律で払うことが決まっていますか
A. 払う義務を定めた条文は、労働基準法第89条にありません*1。第89条は、定めを置く会社が就業規則に載せる項目を挙げた条文です*1。退職手当の定めをするかどうかは、会社が選びます*1。
Q2. 勤続何年から退職金は出ますか
A. 会社の退職金規程ごとに違います*1。年数を何年にするかを定めた条文は、第89条にありません*1。応募先といまの会社の規程を、それぞれ読みます。
Q3. 会社に退職金の制度がないことはありますか
A. あります。令和5年の調査では、規模の小さい企業ほど制度がある割合が低くなっています*2。面接の前に、求人票に退職金の記載があるかを読みます。
Q4. 中退共に入っている会社で勤続が短いと退職金は出ませんか
A. 掛金納付月数が12月に満たないと、退職金は支給されません*3。12月以上なら支給され、額は掛金納付月数で変わります*4。
Q5. 退職金を請求できる期間はいつまでですか
A. 請求できる時から5年です*1。根拠は、労働基準法の附則第143条第3項です*1。退職手当以外の賃金は、当分の間3年で時効にかかります*1。
Q6. 退職金規程はどこで読めますか
A. 会社の就業規則に書かれています*1。応募前なら面接で、在職中なら会社に、規程を読ませてもらえるかを尋ねます。
7. まとめ:退職金が出る条件は規程と掛金納付月数
退職金がもらえない条件の3点
- 退職金を払う義務を置く条文は、労働基準法第89条にありません。出るかどうか、勤続何年からかは、会社の退職金規程で決まります*1。
- 中退共に入っている会社では、掛金納付月数が12月に満たないと退職金は支給されません*3。
- 退職手当の請求権は、請求できる時から5年で時効にかかります。根拠は附則第143条第3項です*1。
応募先には、制度の有無、規程の閲覧、中退共への加入を聞いてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 労働基準法(e-Gov法令検索)
*2 令和5年就労条件総合調査の概況・結果の概要(厚生労働省)
*3 中小企業退職金共済法(e-Gov法令検索)
*4 退職金の金額(中小企業退職金共済制度のしくみ・厚生労働省)
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
テレワーク実施率の業種別ランキング|IT企業の割合
令和7年度テレワーク人口実態調査で、雇用型テレワーカーの割合が最も高い業種は情報通信業の74.1%です*1。次いで学術研究、専門・技術サービス業が54.0%、最も低いのは宿泊業・飲食業の6.0%です*1。雇用型には、正社 […] -
内定の比較表|年収と休日と働き方を並べる書き方
内定の比較表は、会社ごとに同じ行で並べ、行の名前を労働条件通知書の項目にします*4。契約期間、就業場所と変更の範囲、業務と変更の範囲、始業と終業の時刻、休日、休暇、賃金、退職は、会社が書面で示す項目です*1。年収と休日と […] -
土日休みでフルリモートの正社員|年間休日と休日出勤の決まり
土日休みかどうかは、求人票の週休二日制の欄が「毎週」かどうかと、休日の欄で見分けます*4。「毎週」は完全週休2日制のことで、休みの曜日までは決まっていないため、土曜と日曜かどうかは面接で聞きます。フルリモートの正社員求人 […] -
インフラエンジニアの資格一覧|サーバーとネットワークとクラウド
インフラエンジニアの資格は、情報処理推進機構(IPA)の国家試験と、各社・各団体が認定するベンダー資格の2系統に分かれます。国家試験は基本情報技術者からITサービスマネージャまで7つ、ベンダー資格は6つです。ベンダー資格 […]