雇用保険の賃金に有給は含む?離職票の賃金日額

雇用保険の賃金には、有給休暇の日に支払われる給与も含まれます*2。離職票の賃金支払基礎日数にも、有給休暇の日数が入ります*3。基本手当(失業保険)の賃金日額は、離職前の最後の完全な6賃金月について、賃金を合計して180で割った額で、賞与などは含みません*2。
賃金日額は、基本手当の1日あたりの額を出す計算のもとになる額です*2。賃金支払基礎日数とは、賃金の支払の基礎となった日数のことで、現実に働いた日でなくても数えます*3。賃金日額に入らない賃金には、離職後に支払義務が確定したものもあります*2。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 有給休暇日に対して支払われる給与は賃金とされ、賃金日額を出す6賃金月の合計にも入ります*2。賞与などは、この合計に含めません*2。
- 離職票の賃金支払基礎日数には、有給休暇の日数も入れて書きます*3。有給休暇の日は、現実に労働した日でなくても、賃金の支払の基礎となった日に数えるためです*3。
- 雇用保険に加入していた被保険者期間は、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1か月として数えます*1。11日以上の月が合計12か月未満のときは、80時間以上の月で数えます*1。
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1. 有給休暇の日の給与は賃金で離職票の日数にも入る
有給休暇の日の給与は、雇用保険の賃金に含まれます*2。離職票に書く賃金支払基礎日数には、有給休暇の日数も数えます*3。賃金日額は、最後の完全な6賃金月に支払われた賃金を足し、180で割って出す額です*2。賞与などの臨時に支払われる賃金は、この合計に入りません*2。
賃金日額は、基本手当(失業保険)の1日あたりの額を決める計算の出発点です*2。原則は、離職した日の直前6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割る計算で、賞与などは除きます*4。雇用保険に関する業務取扱要領(厚生労働省)では、完全な賃金月が6以上あるときに、その最後の6賃金月の賃金の総額を180で割ります*2。完全な賃金月とは、賃金支払基礎日数が11日以上ある賃金月のことです*2。
業務取扱要領は、有給休暇日に対して支払われる給与を賃金と定めています*2。有給休暇を使った月の給与は、働いた日の給与と同じように、6賃金月の合計に入ります。退職の前に有給休暇をまとめて使った月があっても、その月の給与は賃金日額の計算から外れません。雇用保険の賃金として数えるかどうかで、有給休暇の日と働いた日に差は付きません。
自分の賃金日額の見当は、離職前の給与明細から付けられます。最後の完全な6賃金月の給与明細を6枚そろえ、賞与などを除いた支給額を足して180で割ります。有給休暇を使った月は、有給休暇の日の分も足す側に入れて計算してください。
2. 有給休暇の日が入る場所は金額と日数の2つ

有給休暇の日は、金額を数える場面と、日数を数える場面の2か所で出てきます。
金額の側では、有給休暇日の給与が賃金なので、賃金日額の合計に入ります*2。賞与などの臨時の賃金は、この合計から除かれます*2。有給休暇の日の給与は臨時の賃金ではないので、除かれる側には入りません。
日数の側では、賃金支払基礎日数に数える日が、現実に労働した日であることを要しません*3。有給休暇がある場合は、その日数が賃金支払基礎日数に算入されます*3。労働基準法第26条の休業手当が支給された場合も、その休業手当の支給の対象となった日数が算入されます*3。
日給者についても、数える日には、休業手当支払の対象となった日や有給休暇日が含まれます*3。働いた日だけを数える形にはなっていないので、有給休暇を使った月の日数を、出勤日だけで数え直す必要はありません。
3. 賃金日額と被保険者期間の数え方の比較
表は、離職票と賃金日額にかかわる数え方を、数えるものごとに並べたものです。
賃金日額・完全な賃金月・被保険者期間の数え方(雇用保険に関する業務取扱要領)
| 数えるもの | 数え方 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 賃金日額 | 賃金(賞与などを除く)を最後の完全な6賃金月ぶん足し、180で割る*2 | 基本手当の1日あたりの額の計算*2 |
| 完全な賃金月 | 賃金支払基礎日数が11日以上ある賃金月*2 | 賃金日額に使う6賃金月を選ぶ*2 |
| 被保険者期間(原則) | 賃金支払基礎日数が11日以上ある期間を1か月として数える*1 | 雇用保険に加入していた期間の長さ*1 |
| 被保険者期間(特例) | 離職日以前の2年間に11日以上の月が12か月未満のときは、賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある期間を1か月として数える*1 | 雇用保険に加入していた期間の長さ*1 |
被保険者期間は、離職日からさかのぼって1か月ごとに区切った期間で数えます*1。区切った期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある期間が1か月です*1。働いた日が少ない月でも、有給休暇の日数が賃金支払基礎日数に入るので*3、11日以上になる月があります。
80時間以上で数える特例は、離職日が令和2年8月1日以降の場合のものです*1。基本手当のハローワークの案内には、11日以上または80時間以上の月を1か月と計算すると書かれています*4。業務取扱要領の条件を合わせて読むと、80時間以上の月が数えられるのは、11日以上ある月が12か月に届かない場合です*1。
賃金日額の側の完全な賃金月も、被保険者期間の側の1か月も、数える基準は賃金支払基礎日数が11日以上であることです*1*2。基準が同じなので、有給休暇の日数を含めた離職票の日数が、両方の数え方にそのまま使われます。
自分の離職票で数える手順は3つです。まず、賃金支払基礎日数の欄が11日以上の月を、離職日の直前から順に数えます。次に、最後の完全な6賃金月の賃金を、賞与などを除いて足します。最後に、足した額を180で割った額が、賃金日額の見当です*2。
4. 離職票の賃金支払基礎日数の見方

離職票の賃金支払基礎日数の欄(⑨欄)に書かれるのは、賃金支払の基礎となった日数です*3。業務取扱要領の離職票の記載要領では、この日は現実に労働した日でなくてよい決まりです*3。休業手当が支給された場合はその対象となった日数、有給休暇がある場合は有給休暇の日数が、日数に算入されます*3。
離職票を受け取ったら、有給休暇を使った月の⑨欄の日数を、その月の給与明細と見比べます。出勤日だけの日数しか書かれていなければ、有給休暇の日数が落ちている可能性があります。記載要領では有給休暇の日数も入れる扱いなので、会社の担当者に、有給休暇の日数も入れた数かどうかを聞いてください。
⑨欄の日数が11日以上の月を12か月そろえられない場合は、日数が10日以下の期間について、その間に賃金支払の基礎となった時間数が記載されます*3。この時間数が、被保険者期間を80時間以上の月で数える場面で使われる数字です*1*3。日数が10日以下の月でも、時間数が80時間以上なら被保険者期間の1か月に数えられます*1。
有給休暇を使い切ったあとに退職する人は、最後の数か月の給与明細で、有給休暇の日数を数えておきます。給与明細に有給休暇の日数が書かれていれば、⑨欄の日数と同じかどうかを見比べるのが先です。数字がずれていれば、会社に離職票の記載を聞き直すときの手がかりになります。
5. 賃金日額の合計に入らない賃金と離職後に確定した賃金
賃金日額の合計から除かれるのは、臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金です*2。賞与はこのうち、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金にあたります。毎月きまって支払われる給与は、有給休暇の日の分も含めて、すべて合計に入ります*2*4。
離職後に事業主の支払義務が確定した賃金は、賃金日額の算定の基礎となる賃金に算入しません*2。事業主とは、賃金を支払う側の会社のことです。支払義務が確定した時期が離職の後であるかどうかで、合計に入る賃金かどうかが分かれます。
賃金日額は、離職前6か月の賃金を足し、180で割って出す額です*2*4。合計に入れる賃金と入れない賃金を、離職票の記載と手元の給与明細で見比べておくと、ハローワークから示される額と自分の見当との差が分かります。差が大きいときは、賞与などの臨時の賃金を含めていないか、有給休暇の日の給与を落としていないかの2点を見ます。
あわせて読みたい | 雇用保険の延長申請の必要書類|受給期間延長等申請書と離職票
6. よくある質問
Q1. 有給休暇を取った日の給与は雇用保険の賃金に入りますか
A. 入ります。業務取扱要領が、有給休暇日の給与を賃金と定めています*2。賃金日額の合計にも、その分が入ります*2。
Q2. 離職票の賃金支払基礎日数に有給休暇の日数は入りますか
A. 入ります。賃金支払基礎日数には、実際に働いていない有給休暇の日も算入されます*3。
Q3. 賃金日額はどう計算しますか
A. 最後の完全な6賃金月を選び、その賃金を合計して、180で割ります*2。賞与などは、足す賃金に入れません*4。
Q4. 賞与は賃金日額に入りますか
A. 入りません。賞与のような臨時の賃金は、計算の合計に入れません*2。
Q5. 働いた日が11日未満の月も被保険者期間に数えますか
A. 原則は数えません。賃金支払基礎日数が11日以上ある期間が1か月です*1。ただし、11日以上の月が12か月未満のときは、時間数が80時間以上の期間も1か月に数えます*1。
Q6. 退職後に支払いが決まった賃金は賃金日額に入りますか
A. 入りません。離職の後に会社側の支払義務が確定した分は、算入されません*2。
7. まとめ:有給休暇は賃金にも日数にも入り賞与などは入らない
有給休暇と賃金日額の押さえどころ3点
- 有給休暇日に支払われる給与は賃金で*2、離職票の賃金支払基礎日数にも有給休暇の日数が入ります*3。
- 賃金日額は、賃金(賞与などを除く)を最後の完全な6賃金月ぶん合計し、180で割る計算です*2*4。
- 被保険者期間は、賃金支払基礎日数が11日以上ある月で数えます*1。11日以上ある月を12か月数えられないときは、80時間以上の月で数えます*1。
あわせて読みたい | 失業保険の直近6ヶ月に休職が入ったら?賃金日額の計算
離職票が手元にあるときは、有給休暇を使った月の欄の数字を、給与明細と比べてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 雇用保険に関する業務取扱要領「一般被保険者の求職者給付 第1〜第3」(厚生労働省)
*2 雇用保険に関する業務取扱要領「第5 賃金日額の算定の基礎となる賃金の範囲」〜「第6 基本手当日額の決定」(厚生労働省)
*3 雇用保険に関する業務取扱要領「適用関係」(離職票の作成及び記載要領 21503 を含む)(厚生労働省)
*4 基本手当について(ハローワークインターネットサービス)
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