フルフレックスのデメリット|労働時間の自己管理と給与の控除

フルフレックスで気を付けたいのは、労働時間を自分で管理することと、決められた時間に届かないと賃金が引かれる場合があることです*1。フルフレックスとは、コアタイム(全員が必ず働く時間帯)を設けず、出勤する日まで自由に決められるフレックスタイム制の運用を指します*1。
1か月より長い清算期間を置く求人では、月ごとの労働時間にも上限があります*1。応募の前に清算期間の長さと、時間が不足した月の賃金の扱いを聞いておくと、入社後に賃金が引かれて驚くことを防げます。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 清算期間(労働時間を数える期間)の総労働時間に届かないときは、不足分の賃金を引いて支払うか、次の期間へ繰り越します*1。
- 始業と終業の時刻を自分で決める制度でも、会社が労働時間の管理をしなくてよいわけではありません*1。実労働時間の記録は、会社と自分の両方が持っておくことになります。
- コアタイムを設けず出勤日を自由にしても、所定休日(会社が決めた休みの日)は前もって決めておく必要があります*1。導入している企業は8.3%です*2。
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1. 気を付けるのは賃金の控除と労働時間の管理
フルフレックスで働く側が気を付けるのは、総労働時間に届かないときの賃金の扱いと、労働時間の管理の2点です*1。総労働時間とは、清算期間の中で働くと決められた時間の合計のことです。届かなかった分は、賃金を控除されるか、次の清算期間へ繰り越されます*1。始業と終業の時刻は自分で決めますが、会社も実労働時間を把握して賃金を清算する必要があります*1。
フレックスタイム制は、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻と労働時間を自分で決める制度です*1。手引きは、私生活と仕事の間で時間を自由に配分でき、バランスがとりやすくなる点を、働く側の利点として挙げています*1。
その自由の裏側にあるのが、合計時間の責任です。1日の長さは日ごとに変えられても、清算期間の末には総労働時間と実労働時間が突き合わされ、過不足に応じた賃金の支払いが必要になります*1。たとえば、前半に休みを多めに取った月は、後半で取り戻せなければ、その差が給与に出ます。逆に、前半に多く働いた月は、後半を短くしても、合計が合えば問題になりません。
コアタイムを設けないフルフレックスは、出勤する日まで自由に選べる運用です*1。出勤日と時間帯の両方が自由になるぶん、日々の予定を組む手間は、本人の側に増えます。
手引きによると、フレキシブルタイム(出退勤の時刻を選べる時間帯)やコアタイムは、必ずしも設けなければならないものではありません*1。設けるかどうかは会社が決めるため、同じフレックスタイム制の求人でも、時間帯の自由度は求人ごとに違います。出勤日まで自由な求人は、その中でもいちばん自由度が高い形です。
あわせて読みたい | コアタイムなしのフレックスとは?求人票のどこに出るか
2. 総労働時間に届かなかったときの扱いは2通り

不足が出たときの扱いを、2通りに分けて並べました。
1つ目は、不足した時間の分だけ賃金を引いて支払う方法です*1。月給の求人でも、清算期間の末に実労働時間が総労働時間に届いていなければ、その分が給与から引かれます。毎日の勤務時間が自由でも、月の合計が決められた時間に届くように、自分で配分を見ておく必要があります。
2つ目は、不足した時間を次の清算期間の総労働時間に足して、そこで取り戻す方法です*1。今月の賃金は引かれませんが、来月の総労働時間が増えるため、来月の働き方に響きます。足した後の時間は、法定労働時間の総枠の範囲内に収めなければなりません*1。
総枠とは、法律が定める週40時間を、清算期間の日数に引き延ばした時間の上限のことです。繰越しが認められる幅は、この総枠から決まります*1。会社がどちらの方法を取っているかは、面接や内定後の条件の説明で聞いておきます。
3. 働く側が気を付ける4点と手引きの仕組み
手引きに書かれた仕組みと、それが働く側にとって何を意味するかを、4つの点に分けて表にしました。
フルフレックスの注意点と、手引きに書かれた仕組み
| 気を付ける点 | 手引きに書かれた仕組み | 働く側の動き |
|---|---|---|
| 総労働時間に届かない月がある | 不足分の賃金を控除するか、次の清算期間へ繰り越す*1 | 清算期間の途中で、実労働時間の合計を自分でも数える |
| 労働時間の管理が自分に寄る | 使用者は実労働時間を把握し、賃金を清算する必要がある*1 | 自分の記録と会社の記録を見比べる |
| 出勤日を選べても休みは決まっている | コアタイムがなくても、所定休日は前もって定める*1 | 所定休日がいつかを、入社前に聞く |
| 1か月を超える清算期間は月ごとにも見る | 月ごとに週平均50時間を超えた分は時間外労働になる*1 | 忙しい月に偏らせすぎない |
4つの点は、どれも「自由に決められる」という制度の特徴から出てきます。始業と終業の時刻を決めるのは労働者ですが、その結果としての賃金の清算は、会社が実労働時間を把握したうえで行います*1。手引きはこれらを、導入するときの留意事項として書いています*1。入社する側も、同じ項目を会社に聞けば、導入の準備が進んでいるかが分かります。
応募する側から見ると、求人票の「フルフレックス」の一語だけでは、清算期間の長さも不足時の扱いも分かりません。表の右の列は、そのまま面接で聞く項目です。求人票に書かれていない点は、応募の段階で人事の担当者や面接官に聞けます。内定後の条件提示の場でも、労働条件通知書の内容と照らして質問できます。
4. 自分で決める働き方でも会社は労働時間を把握する

フレックスタイム制は、始業と終業の時刻の決定を労働者に任せる制度です。ただし、使用者が労働時間の管理をしなくてよいわけではありません*1。実労働時間を把握して、適切な労働時間管理と賃金の清算を行う必要があります*1。
働く側にとっては、勤怠の記録が2つの目で見られることになります。出退勤の時刻を打刻する運用なら、自分でも日ごとの時間と清算期間の合計を数えておくと、月末の清算で食い違いに気づけます。会社の把握に任せきりにしない、という意味での自己管理です。
清算期間が1か月を超える場合、会社は1か月ごとに実際に働いた労働時間を労働者に通知するなどの対応に努めてください、と手引きは書いています*1。通知は努力義務の書き方なので、通知がない会社もありえます。その場合は、毎週の終わりに実労働時間を手元のメモや勤怠の画面で足しておくと、月の終わりに慌てずに済みます。清算期間の末に総労働時間との差が分かっても、取り戻せる日数は残っていません。
コアタイムを設けない場合は、出勤する日も労働者が自由に決められます*1。この場合でも、所定休日は前もって定めておく必要があります*1。所定休日とは、会社があらかじめ休みと決めた日のことで、出勤日を選べる求人でも、休みの日までが自由とは限りません。
所定休日がいつなのかは、求人票や労働条件通知書に書かれる条件です。フルフレックスの求人に応募するときは、コアタイムの有無とあわせて、所定休日の定め方も聞いておきます。入社後に予定を組むときの前提になる情報です。たとえば通院の予約を入れる日が、出勤日なのか休みの日なのかは、予定を組む前に分かっている必要があります。
あわせて読みたい | フルフレックスの求人票|コアタイムと清算期間の見分け
5. 導入企業は8.3%で1か月超の清算期間は月ごとに見る
令和7年1月1日時点の調査では、フレックスタイム制がある企業は全体の8.3%で、適用を受ける労働者は11.1%です*2。この数字は全産業の値で、情報通信業だけの値ではありません。
清算期間は最長3か月で、1か月を超える場合は、労使協定を労働基準監督署長に届け出る必要があります*1。この場合は、総労働時間が法定労働時間の総枠を超えないことに加えて、1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超えないことも守る必要があります*1。どちらかを超えた時間が時間外労働になり、繁忙月に偏った労働時間にはできません*1。
面接や条件提示の場で聞く内容は、3つあります。1つ目は清算期間が何か月か、2つ目は総労働時間に届かなかったときが控除か繰越しか、3つ目は所定休日がいつかです。3つとも就業の条件にあたるため、答えられない会社では、社内でも運用が固まっていない可能性があります。
働く側から見ると、清算期間が長い求人では、全体の合計だけでなく月ごとの時間も見ておくことになります。時間外労働の細かな数え方や割増賃金は、別の記事で扱っています。ここでは、1か月を超える求人には月ごとの上限が別にある点だけを押さえておきます。
6. よくある質問
Q1. フルフレックスで総労働時間に届かないと給与は減りますか
A. 会社の扱いによります。不足分の賃金を引いて支払う方法と、不足時間を次の清算期間へ繰り越す方法があります*1。
Q2. 清算期間が1か月を超えるとき月ごとの労働時間は会社から知らされますか
A. 知らされるとは限りません。会社の対応は努力義務です*1。
Q3. 労働時間の管理は本人だけが行いますか
A. 本人だけではありません。使用者にも、実労働時間をつかんで賃金を清算する必要があります*1。
Q4. コアタイムがなければ休みの日も自由に選べますか
A. 選べません。出勤日を自由にする場合でも、所定休日は前もって定めておく必要があります*1。
Q5. 清算期間が1か月を超えると何が変わりますか
A. 清算期間全体の総枠に加えて、月ごとの時間にも上限がつきます*1。会社には、労使協定の届出も必要になります*1。
Q6. フレックスタイム制を導入している企業はどれくらいですか
A. 令和7年の調査で、企業の8.3%、適用を受ける労働者の11.1%です*2。
7. まとめ:総労働時間に届かない分と労働時間の記録
フルフレックスで気を付ける3点
- 総労働時間に届かないときは、不足分の賃金を引いて支払うか、次の清算期間へ繰り越します*1。
- 労働時間は自分で決めますが、会社が管理しなくてよいわけではありません*1。
- コアタイムがなくても所定休日は決まっています*1。清算期間が1か月を超えるときは、月ごとの時間にも上限があります*1。
応募先には、清算期間の長さと、不足が出たときの扱いを聞いてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署。兵庫労働局掲載版)
*2 令和7(2025)年就労条件総合調査の概況(厚生労働省)
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