固定残業代は欠勤控除される?欠勤した月の計算と就業規則

固定残業代を欠勤控除するかを決めた法令の条文や厚生労働省の資料は見当たらず、答えは会社の就業規則(賃金規程)の定めを読んで探すことになります。欠勤控除とは、欠勤した日数や時間の分だけ賃金を差し引くことです*3。固定残業代とは、一定時間分の時間外労働などに対して定額で支払われる割増賃金です*1。
モデル就業規則の規定例は欠勤分を基本給から控除する形で、固定残業代には触れていません*3。欠勤した月の扱いを知りたいときは、応募先に就業規則の賃金規程の定めを聞いてください。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 欠勤などで働かなかった分の賃金は、支払う必要がありません*3。会社は欠勤の長さに合わせて、賃金を減らせます*3。
- 固定残業代は、通常の労働時間の賃金部分と区別できる形で定めます*4。法定の方法で計算した割増賃金の額を下回るなら、差額を払う必要があるとした判例も紹介されています*4。
- 固定残業代を採用する求人は、基本給の額、時間数と金額の計算方法、超えた分を追加で払う旨の3点を求人票に明示する必要があります*1。欠勤した月の扱いは、この3点に含まれません*1。
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固定残業代の扱いは、応募先ごとに就業規則を読んで見比べる場面が出てきます。リラシクが扱う求人は、すべてリモートワークに対応した正社員求人です。
求人は、「地方フルリモートOK」「週1日以上の出社」「リモートワーク手当て有り」などの条件で絞り込めます。働き方の条件を揃えたうえで、応募先ごとに固定残業代の扱いを聞けます。
1. 固定残業代の欠勤控除は就業規則の賃金規程が手がかり
欠勤した月に固定残業代まで減らせるかは、条文からも厚生労働省の資料からも読み取れないため、応募先の就業規則(賃金規程)の書き方を見ます。欠勤で働かなかった分の賃金は払わなくてよいと、モデル就業規則の解説にあります*3。規定例が控除の対象にしているのは基本給だけです*3。固定残業代の側に書かれているのは、通常の賃金との区別と、法定の計算額を下回れば差額を払うことです*4。
欠勤控除とは、欠勤で労働しなかった日や時間の分の賃金を、給与から差し引くことです*3。固定残業代は、時間外・休日・深夜の労働に対する割増賃金を、あらかじめ定額の手当として、あるいは基本給の一部として払う仕組みです*4。名称は会社ごとに違っても、一定時間分の割増賃金を定額で払うものを指します*1。
就業規則を読むときは、欠勤の扱いを書いた条と、固定残業代の手当を書いた条を並べて見ます。手当として払う場合は、それが残業手当の定額払いであることを就業規則等に明記することが必要です*4。手当の名前が分かれば、欠勤の条にその名前が出てくるかどうかを探せます。
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2. 欠勤した月の固定残業代を調べる4つの手順

最初に読むのは求人票です。固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票に3つの内容をすべて明示することが求められています*1。3つとは、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代の時間数と金額などの計算方法、固定残業時間を超えた分の割増賃金を追加で払う旨です*1。欠勤した月の扱いはこの3つに含まれないため、求人票から読めるのは、固定残業代の時間数と金額までです。
次に、応募先の就業規則で欠勤の条を読みます。モデル就業規則(厚生労働省・令和7年12月版)の第45条は、欠勤・遅刻・早退・私用外出の日数や時間の分を基本給から控除する規定例です*3。この条文に固定残業代は出てきません*3。応募先の欠勤の条が、控除の対象を基本給だけに書いているのか、手当まで含めて書いているのかを見ます。
3つ目は、求人票に書かれた固定残業代の時間数と金額が、労働基準法が定める方法で計算した割増賃金の額を下回っていないかを見ることです*4。比べる数字は、求人票に書かれた時間数と金額の2つです*1。下回る額なら、欠勤の話より先に、額そのものを応募先へ聞く必要があります。
4つ目は、応募先への質問です。聞くことは3つに絞れます。固定残業代は欠勤した月も同じ額か、欠勤した日数や時間に応じて変わるか、変わるなら計算方法がどの規程のどの条に書いてあるかです。返ってきた答えは、条の番号と一緒に控えておくと、入社後に就業規則と見比べられます。
3. 欠勤控除と固定残業代に関わる決まりの一覧
資料ごとに、欠勤と固定残業代にかかわる記述を並べました。
資料の記述と、読む側の動きの対応
| 項目 | 資料に書かれている内容 | 読む側の動き |
|---|---|---|
| 賃金の支払い方 | 賃金は全額を支払うのが原則で、法令に定めがある場合や労働者の過半数を代表する者との書面協定がある場合に限り、一部を控除して支払える*2*3*5 | 給与明細の控除欄に、どの名目の差し引きがあるかを見る |
| 欠勤した日・時間の賃金 | 働かなかった日・時間分は賃金を支払う必要がなく、減額できる*3 | 就業規則の欠勤の条を読む |
| モデル就業規則の規定例 | 欠勤・遅刻・早退・私用外出は、基本給から該当する日数・時間分を控除する*3 | 応募先の控除の対象が基本給だけか、手当を含むかを見る |
| 固定残業代の定め方 | 通常の賃金部分と区別する。手当なら、残業手当の定額払いであることを就業規則等に明記する*4 | 手当の名前と、明記された条を探す |
| 法定の計算額との関係 | 法定の計算額を下回るときは、差額を払う必要があるとする判例がある*4 | 求人票の数字を計算額と比べる |
| 減給の制裁 | 就業規則で定める場合、1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、総額は一賃金支払期の賃金総額の10分の1まで*2 | 欠勤の条とは別の条として、額と率を読む |
| 会社の都合による休業 | 所定労働日に休業させるなら、休業手当を支払う*3 | 欠勤とは別の扱いなので、休業の日を分けて見る |
表の欠勤控除の行と固定残業代の行は、別々の資料の別々の記述です。2つを足して「控除できる」「控除できない」と読むことはできません。モデル就業規則は欠勤控除の対象を基本給と書くだけです*3。固定残業代の説明のほうも、欠勤した月の扱いには及びません*4。
応募先ごとの答えは、右の列の動きで調べます。給与明細の控除欄の名目と、就業規則の2つの条を並べると、欠勤した月の手当がどの条に従うかが分かります。条の見出しが「欠勤等の扱い」か「減給の制裁」かでも、どちらの定めの話なのかを区別できます。
4. 固定残業代は通常の賃金と区別して定める
定額残業制は、法律に明文規定はありません*4。割増賃金にあたる分を、手当の名目で払う場合も、基本給の中に含める場合もあります*4。基本給に含めるなら、割増賃金にあたる部分とそれ以外の賃金部分を、はっきり区別することが必要です*4。
金額については、判例があります。割増賃金にあたる部分の金額が、労働基準法第37条などに定められた方法で算定した割増賃金の額を下回るときは、その差額を支払う必要があるとされています*4。医療法人康心会事件の最高裁判所平成29年7月7日判決が、その判例です*4。
固定残業代の額や時間数は、入社の前後で、求人票の記載と就業規則の定めを見比べます。求人票の時間数と金額が就業規則の手当の条と同じかを、労働条件の書面を受け取った時点で読みます。
固定残業代を超える時間外労働の扱いも、同じく求人票の3点のひとつです*1。固定残業時間を超えた分は、割増賃金を追加で支払う旨を書くことになっています*1。欠勤した月でも、この追加払いの定めが就業規則にあるかを読んでおきます。
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5. 欠勤した分は支払う必要がなく減給の制裁には上限がある

賃金は、通貨で、直接労働者に、全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うのが原則です*5。これを賃金支払いの5原則と呼びます*5。全額払いの例外は、所得税や住民税など法令に基づき労働者が負担すべきものと、労働者の過半数を代表する者と書面で協定したものです*3。
これとは別に、モデル就業規則の解説には、欠勤・遅刻・早退などで働かなかった日や時間は賃金を支払う必要がないとあります*3。使用者は、その日数や時間数に応じて賃金を減額することも可能です*3。給与から差し引かれた名目が、どちらの条に当たるのかを分けて見ます。
会社の都合で所定労働日に休業させる場合は、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません(労働基準法第26条)*3。平均賃金とは、労働基準法が定める、1日あたりの賃金の基準額です。本人の欠勤と会社の都合による休業では、賃金の扱いが異なります*3。欠勤した月の給与明細に、会社の休業の日が含まれていないかを見ます。
減給の制裁は、就業規則で定める、制裁としての賃金の減額です。労働基準法第91条は、その減給を、1回の額が平均賃金の1日分の半額以下、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1以下にするよう定めています*2。一賃金支払期とは、賃金を支払う1回ごとの期間のことです。欠勤控除の規定例は第45条の欠勤等の扱いに書かれていて、減給の制裁とは別の話として読みます*3。
6. よくある質問
Q1. 欠勤した月は固定残業代も減りますか
A. 減る場合も減らない場合も、法令の条文や行政の資料からは言い切れません。応募先の就業規則を開き、欠勤の条が何を控除の対象にしているかを見ます。欠勤の条に「基本給から」とだけ書かれているなら、その文言のとおりに読みます。
Q2. 欠勤した日の賃金は会社が支払わなくてもよいのですか
A. 支払う必要がありません*3。欠勤した長さに合わせて、使用者は賃金を減額できます*3。固定残業代のような手当まで減額できるかは、別の問いです。
Q3. 固定残業代が計算額より低いと差額は払われますか
A. 差額を払う必要があるとした判例が紹介されています*4。固定残業代として払う額が、割増賃金を法定の方法で計算した額より低いときの話です。額を調べるときは、求人票の固定残業代の欄から始めます*1。
Q4. 欠勤控除と減給の制裁は同じものですか
A. 別の話です。減給の制裁には労働基準法第91条の上限があります*2。欠勤控除の規定例は、モデル就業規則の第45条(欠勤等の扱い)に書かれています*3。
Q5. 求人票には欠勤した月の固定残業代の扱いが書かれますか
A. 求人票に明示するよう求められている3点には含まれていません*1。固定残業代の時間数と金額は、求人票への明示の対象です*1。欠勤した月の扱いは、面接や就業規則の写しで応募先に聞きます。
Q6. 会社の都合で休んだ日も欠勤と同じ扱いですか
A. 同じ扱いではありません。会社の都合による休業は、休業手当の対象です*3。所定労働日に会社が休ませた日は、欠勤とは分けて数えます。
7. まとめ:固定残業代の欠勤控除は就業規則で調べる
欠勤した月の固定残業代で押さえる3点
- 欠勤した月に固定残業代まで減らせるかは、法令の条文からも行政の資料からも言い切れません。応募先の就業規則で、欠勤の条と手当の条を並べて読みます。
- 規定例で欠勤分の控除の対象とされているのは基本給です*3。固定残業代の手当は、その条に出てきません*3。
- 固定残業代は通常の賃金と分けて定めます。法定の計算額より低いときの差額払いは、判例で示されています*4。求人票に載る3点は、基本給の額、計算方法、超過分の追加払いです*1。
応募先には、欠勤した月の固定残業代の扱いと、それが書かれた就業規則の条を聞いてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 若者の募集・求人の申込みをお考えの事業主の皆さまへ「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)
*2 労働基準法(e-Gov法令検索)
*3 モデル就業規則 令和7年12月版(厚生労働省労働基準局監督課)
*4 基本給に含めた割増賃金って何?(確かめよう労働条件 労働条件Q&A・厚生労働省)
*5 第5章 正当な賃金を確保せよ!(アニメで学ぶ労働条件・確かめよう労働条件)
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