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在宅で集中が続かないとき|環境と設計を分ける

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

在宅で集中が続かないとき|環境と設計を分けるのイメージ写真

在宅勤務で集中が続かないとき、原因を一つに絞ろうとすると対処も漠然としたものになります。集中を乱す要因は、物理的な環境・仕事の設計・チームの運用という3つの層に分かれており、自分で変えられる範囲もそれぞれ違います。原因を分けて確かめる考え方を整理します。

分けるのは、環境・仕事の設計・チームの運用という3つの置き場所です。層によって、打てる手も変わります。

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数字で見る在宅の集中と原因の分け方 この記事の要約 情報通信業 56.3 % テレワーク実施率 業種別で最高*1 正社員全体 22.5 % テレワーク実施率 *1 原因の層 3 環境・設計・運用 切り分けて確かめます この数字は在宅勤務の広がりを示すものであり、集中できるかどうかを説明するものではありません *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 在宅で集中が続かない原因は、物理的な環境・仕事の設計・チームの運用の3つに分けて確かめられます
  • 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%で業種別で最も高く、正社員全体では22.5%です*1
  • 原因のうち自分で変えられる部分と、職場側の運用に関わる部分を切り分けると、次に打てる手が見えてきます

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1. 在宅で集中が続かない原因は、環境・設計・運用の3つで確かめます

在宅で集中が続かないときは、原因を物理的な環境・仕事の設計・チームの運用の3つに分けて確かめます。情報通信業のテレワーク実施率は56.3%で業種別で最も高い水準です*1。自分で変えられる部分と、職場側の運用に関わる部分を切り分けることが、対処の起点になります。

在宅勤務そのものに向き不向きがあるわけではなく、集中が続かない場面には、それぞれ理由があります。原因を一つにまとめて考えると、対処も漠然としたものになりがちです。

先に「自分で変えられる部分」と「職場側の運用に関わる部分」を分けておくと、記録をとったあとに何を試すか、何を相談するかが決めやすくなります。

3つの層は、重なって起きることも珍しくありません。物音が気になる環境で、同時に細切れの予定が入っていると、原因がどちらにあるのか分かりにくくなります。分けて確かめる考え方を先に押さえておくと、あとの手順で迷いにくくなります。

2. 集中を乱す原因は、環境・設計・運用の3層に分けます

物理的な環境とは、作業する場所そのものに関わる要因です。物音が入る、机や椅子が作業に向いていない、照明が資料の確認に適さないといった点が当てはまります。これらは、家具の配置を変える、耳栓やヘッドホンを使う、作業する部屋を変えるといった形で、自分の判断だけで手を打てる範囲に収まりやすい原因です。

仕事の設計とは、1日の作業をどう組み立てるかに関わる要因です。細切れの予定の間に短い作業を挟む、優先順位が曖昧なまま複数の依頼を抱える、締め切りの近い作業と遠い作業を区別せずに並べるといった進め方は、集中を切りやすくします。ここは、自分でタスクの並べ方を変えられる部分と、上長やチームから割り振られる依頼の量に左右される部分の両方を含みます。

チームの運用とは、所属するチームや会社が決めている働き方の仕組みです。常時オンラインを前提にした連絡の慣習、返信までの時間を短く求めるやり取り、会議の入れ方や共有の頻度は、個人の工夫だけでは変えにくく、チーム全体の決め事に近い部分です。ここに原因がある場合、個人の工夫だけで解決しようとしても、対処が長続きしません。

3つを分けずに「集中できない」とまとめてしまうと、環境を整えても、原因が設計や運用にあった場合は変化が出ません。まず原因がどの層にあるかを確かめ、そのうえで自分の判断で変えられる部分と、チームに相談して初めて変わる部分を切り分けることが、対処の順番を決める土台になります。

3つの層は独立して働くわけではありません。仕事の設計が乱れていると、チームの運用面の負荷も増えやすく、逆に運用が落ち着いていれば、設計面の乱れも吸収されやすくなります。ただし対処を考える際は、まずどの層が最も強く関わっているかを1つ選ぶことが出発点になります。

3. 場面ごとに、原因の置き場所と打てる手は変わります

在宅勤務でよく挙がる場面を、原因の置き場所と打てる手に分けて整理します。

集中が切れる場面と対処の対応

集中が切れる場面原因の置き場所打てる手
家族や来客の物音で集中が切れる物理的な環境作業する部屋や時間帯を変える、耳栓で対処する
チャットの通知に反応して作業が止まる仕事の設計通知を確認する時間をまとめて決めておく
会議が1日の合間に散らばり作業がまとまらないチームの運用会議の入れ方をチームに相談する
複数の依頼を抱えて優先順位が定まらない仕事の設計依頼ごとに期限を確認し、着手順を決め直す

表の左列は、在宅勤務でよく挙がる、集中が切れる場面です。同じ「集中できない」という感覚でも、原因の置き場所は場面によって違います。

物音や作業スペースが原因の場合、対処は比較的シンプルです。作業する部屋を変える、耳栓やヘッドホンを使うといった手は、職場に相談しなくても、その日のうちに試せます。

通知への反応や依頼の抱え方は、仕事の設計に属する原因です。通知を確認する時間をまとめる、依頼ごとに期限を確認して着手順を決め直すといった手は、自分の作業の組み立て方を変えるだけで対処できる場合が多くあります。

会議の入り方は、チームの運用に属する原因です。ここは自分だけの工夫では変えにくく、チームに相談して初めて変わる部分になります。表の打てる手のうち、相談を前提にしている項目は、この違いを示しています。

会議の入れ方を仕事の設計ではなくチームの運用に置いているのは、個人がその日の予定として動かせる範囲を超え、チーム全体の慣習に近いためです。同じ「予定が多い」という悩みでも、自分の依頼の抱え方に原因があるのか、チームの会議文化に原因があるのかで、置き場所は変わります。

打てる手を並べてみると、自分の判断だけで完結するものと、相手に伝えて初めて動くものが混ざっていることが分かります。次に、この2つをどう見分けるかを整理します。

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4. 原因の位置を、自分側か職場側かで探ります

原因の位置を、自分側か職場側かで探ります 原因の位置 自分で変えられる 職場側で決まる 実際の位置は原因ごとに違い、決まった比率はありません 位置が職場側に寄るほど、個人の工夫だけでは変わりにくくなります

原因の位置は、環境・設計・運用のどこに当てはまるかによって、自分側に近いか、職場側に近いかが変わります。物理的な環境は自分側に近く、チームの運用は職場側に近い傾向がありますが、仕事の設計はその中間に位置することが多くあります。

自分側に近い原因は、気づいた時点で試せる手があります。作業する場所を変える、通知を確認する時間をまとめるといった手は、誰かの了承を待たずに動かせます。

職場側に近い原因は、個人の工夫だけでは動かせません。会議の入れ方や、返信までの時間の目安は、チームで共有されている決め事であるため、変えるには相談という手順が挟まります。

たとえば、同居する人の生活音が気になる場合は、自分側に近い原因です。作業する部屋や時間帯を変えるだけで、その日のうちに変化が出ます。一方、チーム全体が常時オンラインを前提にしている場合は、職場側に近い原因になり、自分の工夫だけでは位置が動きません。

原因の位置を先に確かめておくと、試す前から「これは自分で変えられる」「これは相談が要る」という見立てがつきます。位置を確かめずに手を打つと、自分側の工夫だけを重ねて、職場側に原因がある場合には手が届かないままになります。

5. 対処は、記録する・分ける・試す・相談するの4段で進めます

対処は、記録する・分ける・試す・相談するの4段で進めます 記録する 集中が切れた場面と時間帯を書 き残します 分ける 書き残した場面を、環境・ 設計・運用に振り分けます 試す 自分で変えられる部分から、 小さく試します 相談する 職場側に位置する部分は、 相談してから動かします 自分で変えられる部分から試し、職場側の部分は相談してから動かします

4つの手順は、原因を特定してから対処するまでの流れです。最初の「記録する」を飛ばして手を打つと、どの対処が効いたのか、あとから確かめにくくなります。

記録する段階では、集中が切れた時刻と、そのときに何が起きていたかだけを書き残します。理由を深く分析する必要はなく、事実を短く残す程度で足ります。

分ける段階では、記録した場面を環境・設計・運用のどれに当てはまるかで振り分けます。1つの場面が複数の層にまたがることもありますが、そのときは最も強く関わっている層を選びます。

試す段階は、自分で変えられる部分から始めます。環境に近い原因であれば、その日のうちに試せる手が多く、結果もすぐに分かります。

相談する段階は、職場側に位置する原因に対して行います。会議の入れ方や返信の目安といった運用面は、チームに現状を伝えたうえで、変える余地があるかを確認する形になります。

試した手の効果が出ない場合は、分ける段階まで戻ります。原因の層を選び直し、別の層に当てはまる手を試すという形で、記録・分ける・試すの3つを繰り返せます。相談する段階に進むのは、自分側で試せる手を一通り試したあとで十分です。

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6. 打てる手の判断基準は、3つに揃えられます

記録した場面から実際に何を試すかを決める際に使える基準を、3つに整理します。

手を選ぶときの3つの基準

  • 今日中に試せるか:自分の判断だけで、その日のうちに変えられる手かどうかを確かめます
  • 了承が要るか:チームの決め事に関わり、相談してから動かす必要があるかを確かめます
  • 繰り返せるか:一度で終わらせず、続けて再現できる手かどうかを確かめます

3つの基準は、記録した場面を分けたあとに、実際に何を試すかを決める際に使います。すべての場面に3つを当てはめる必要はなく、迷ったときの判断材料として使います。

今日中に試せるかどうかは、環境に近い原因ほど当てはまりやすい基準です。作業する場所を変える、耳栓を使うといった手は、了承を待たずに動かせます。

了承が要るかどうかは、運用に近い原因ほど関わってきます。会議の入れ方や返信の目安を変える場合は、チームに現状を伝えたうえで、変える余地があるかを確認してから進めます。

繰り返せるかどうかは、試した手を続けるかどうかを決める基準です。一度だけ効果があった手も、翌週に同じ場面で試して初めて、自分に合う対処かどうかが分かります。

3つの基準を組み合わせると、今日中に試せて、了承が不要で、繰り返せる手から優先して試すという順番が見えてきます。逆に、了承が要り、繰り返す前提の手は、相談してから時間をかけて試す対象として扱えます。

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7. よくある質問(Q&A)

Q1. 在宅勤務なら誰でも集中が続かなくなりますか。

A. 在宅勤務そのものが原因とは限りません。環境・設計・運用のどこに原因があるかによって、当てはまるかどうかは変わります。

Q2. 集中が切れる原因が複数の層にまたがる場合はどうしますか。

A. 最も強く関わっている層を1つ選び、そこから対処を試します。1つの場面をすべての層で同時に扱おうとすると、何を変えたかが分かりにくくなります。

Q3. 会議の入れ方など、運用に近い原因はいつ変わりますか。

A. チームの決め事に関わるため、変わる時期は、伝える相手や社内の意思決定の仕組みによって左右されます。個人の工夫だけで動かせる範囲ではありません。

Q4. 記録はどのくらいの期間続ければよいですか。

A. 決まった期間はありません。集中が切れる場面のパターンが見えてくるまで、数日から1、2週間ほど続ける進め方があります。

8. まとめ:在宅の集中は、原因の場所を先に決めます

この記事の要点

  • 在宅で集中が続かない原因は、物理的な環境・仕事の設計・チームの運用の3つに分けて確かめられます
  • 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%で業種別で最も高く、正社員全体では22.5%です*1
  • 原因の位置が自分側に近いほど、その日のうちに試せる手があります
  • 職場側に近い原因は、個人の工夫だけでは変わらず、相談が対処の前提になります
  • 記録する・分ける・試す・相談するの順で進めると、対処の優先順位が決めやすくなります

原因の場所を先に確かめることが、在宅の集中を整える最初の一歩になります。

在宅の働き方も、次の一歩にする

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出典・参考情報

*1 パーソル総合研究所「第十回テレワークに関する調査」

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