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フルフレックスの遅刻|会議の出席と労働時間の不足

自宅の作業部屋で、オンライン会議の画面のノートパソコンと数字の無い壁時計

フルフレックスは、コアタイムを置かず、全部をフレキシブルタイムにしたフレックスタイム制のことで、会社は毎日の勤務時間を決める権限を持ちません*2*3。始業の時刻は労働者が決めるため、決まった時刻に遅れたかどうかを毎日問う制度ではありません*1。会議についても、フレキシブルタイム中の出席は労働者の同意が前提です*3。

遅刻した場合に賃金がどうなるかは、就業規則と労使協定の文面を読んで調べる項目です。清算期間の総労働時間に満たない分の扱いは、賃金の控除か翌月への繰越しのどちらかです*1。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事のポイント

  • 始業・終業の時刻は労働者が決める制度で、会社はコアタイム(労使協定で定める時間帯)を除いて、勤務時間を1日ごとに決めて命じることができません*1*3。決めた退社時間に退社させず引き留める業務命令もできません*5。
  • フレキシブルタイム(労働者が自分で選んで働く時間帯)中の会議への出席は、労働者の同意を得て、本人の自発的な意思で勤務してもらうしかありません*3。会社が会議の時刻を決めて出席を命じる形は取れません。
  • 清算期間(総労働時間を定めて過不足を数える期間)の総労働時間に満たないときは、不足分の賃金を控除するか、翌月の総労働時間に加算するかのどちらかです*1。翌月へ繰り越す場合も、法定労働時間の総枠の範囲内に限られます*1。

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1. フルフレックスは始業時刻を労働者が決める制度

フルフレックスでは、始業と終業の時刻を労働者が決めるため、会社は勤務時間を日ごとに指定できません*2*3。コアタイム(労使協定で定める、働くことが決まっている時間帯)がないので、1日の全部がフレキシブルタイム(労働者が選んで働く時間帯)です*1*2。毎日の始業時刻ではなく、清算期間全体で働いた時間をもとに賃金を清算します*1。遅刻や会議への遅れの扱いは、就業規則と労使協定の条文を入社前に読んでおきたい項目です。

2. コアタイムとフレキシブルタイムが並ぶ1日の時間帯

数字の無い1日の予定表に、青いマーカーで真ん中の時間帯の帯を引く手

1日の時間帯は、コアタイムとフレキシブルタイムの組み合わせで決まります。コアタイムは労働者が1日のうちで働かなければならない時間帯で、設ける場合は開始と終了の時刻を労使協定で定めます*1。フレキシブルタイムは、労働者が自らの選択によって労働時間を決められる時間帯です*1。どちらも設けるかどうかは任意で、コアタイムを置かない形も認められています*1*2。

コアタイムを置かないことで、労働者が働く日も自由に選べるようにすることもできます*1。ただし、出勤日も労働者が決める形にする場合でも、所定休日は予め定めておく必要があります*1。反対に、コアタイムが1日の労働時間とほぼ同じ長さだと、フレックスタイム制とはいえません*1*2。フレキシブルタイムが極端に短い場合も同じで、労働者が始業・終業を自分で決めるという趣旨に反するからです*1。

1日の時間帯のうち、会社が勤務時間を指定できるのはコアタイムだけ 始業 労働者が選ぶ コアタイム 置く場合は協定 中抜け 可能 会議 同意による出席 終業 引き留め不可 フレキシブルタイム中は、始業も終業も中抜けも労働者が選べる

3. フレキシブルタイム中の会議は同意を得た自発的な勤務

大阪労働局のよくあるご質問は、フレキシブルタイム中に労働時間を指定して会議に出席させられるかという問いに、次のように答えています*3。使用者は、労使協定で定めたコアタイムを除き、労働者の各日の具体的な勤務時間を指定できません。会議に出席してもらうには、労働者の同意を得て、本人の自発的な意思で勤務してもらうしかありません*3。

言い換えると、会議の開始時刻を会社が決めて出席を命じる形は、各日の具体的な勤務時間の指定にあたります。フルフレックスにはコアタイムがないため、指定が認められる時間帯はありません*3。たとえば朝一番の会議を会社から求められたときは、命令ではなく出席の依頼であり、出るかどうかは同意によって決まります。

終業についても同じ考え方で、労働者が決めた退社時間に退社させず引き留める業務命令はできません*5。労働者が始業と終業を自分で決められることが、この制度の要件だからです。フレキシブルタイム中は勤務の中抜けも可能で*1、昼にいったん仕事を離れて夕方に戻る形も、その例のひとつです。

転職先を選ぶ側が聞いておく項目は3つあります。コアタイムの有無と、定例の会議が置かれる時間帯と、会議への出席をどのように依頼するかです。コアタイムは労使協定に、始業と終業を労働者の決定に委ねる旨は就業規則に定めが要るので*1*4、面接で聞くか、入社前に条文を見せてもらいます。

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4. 会社が決められることと労働者が決めることの分かれ目

場面ごとに、会社の側と労働者の側を分けると次のとおりです。コアタイムの行は、コアタイムを置く制度の場合です*1*3。

フレックスタイム制で、会社の側と労働者の側に分かれること

場面会社の側労働者の側
フレキシブルタイム中の始業・終業各日の具体的な勤務時間を指定できない*3始業・終業の時刻を決める*1
フレキシブルタイム中の会議同意を得て、自発的な勤務としてもらう*3同意のうえで出席する*3
決めた退社時間退社させず引き留める業務命令はできない*5決めた時刻に退社する*5
コアタイム(置く場合)開始と終了の時刻を労使協定で定める*1その時間帯は働く*1
出勤日(コアタイムなしの場合)所定休日は予め定めておく*1出勤日も選べる形にできる*1
総労働時間に満たないとき不足分の賃金を控除するか、翌月の総労働時間に加算する*1実際に働いた時間が清算の対象になる*1

5. 総労働時間に満たないときは賃金の控除か翌月への繰越し

早朝のテーブルで、罫線の勤務表の用紙と電卓、用紙を押さえる手

フレックスタイム制では、就業規則で始業・終業の時刻を労働者の決定に委ねたうえで、書面による協定で清算期間と、清算期間における総労働時間を定めます*4。清算期間の上限は3か月です*4。毎日の労働時間は日によってばらつくので、過不足は、期間全体の総労働時間と実際の労働時間を比べて数えます*1。

清算期間の実労働時間が総労働時間に満たないとき、賃金の扱いは2通りです*1。1つ目は不足した時間の分を賃金から控除する方法で、2つ目は不足した時間を翌月の総労働時間に加算して労働させる方法です*1。

控除を選ぶ会社では、不足した時間の分だけ、その期間の賃金が減ります。繰越しを選ぶ会社では、賃金は減らない代わりに、翌月に働く時間が不足分だけ増えます*1。翌月の総労働時間は、元の総労働時間に不足分を足した時間です*1。

ただし、翌月へ繰り越した場合も、加算後の時間は法定労働時間の総枠の範囲内に収まる必要があります*1。厚生労働省が示す労使協定の例では、不足時間の条文は「次の清算期間にその法定労働時間の範囲内で繰り越すものとする」です*1。どちらの扱いを定めているかは、自分の会社の協定の条文で読み取れます。

年次有給休暇を1日取得した日は、標準となる1日の労働時間を労働したものとして取り扱う必要があります*1。標準となる1日の労働時間とは、有給休暇を取得したときに支払われる賃金の算定基礎となる労働時間の長さです*1。

清算期間の終わりが近づいたら、その期間にすでに働いた時間を自分で数えておくと、不足が出るかどうかの見当が付きます。会社には実労働時間を把握して賃金を清算する必要があるので*1、勤怠システムの表示と自分のメモを毎月見比べておくと、清算のときの食い違いに早く気づけます。

面接や入社前の書類で調べる項目は3つです。清算期間が何か月か、清算期間の総労働時間がどれだけか、不足したときに控除と繰越しのどちらを定めているかです。3つめの答えによって、不足が出た月の手取りか、翌月の働き方のどちらが変わるかが決まります。

あわせて読みたい | フレックスタイム制度とは?コアタイムと清算期間をわかりやすく

6. よくある質問

Q1. フルフレックスでは始業時刻は誰が決めますか?

A. 労働者です。フレックスタイム制は、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、日々の始業・終業の時刻と労働時間を労働者が自分で決める制度です*1。就業規則には、その旨の定めが要ります*4。

Q2. フレキシブルタイム中に会議への出席を求められたら出なければなりませんか?

A. 同意なしに出席を命じることはできません。出席は、労働者の同意を得た、本人の自発的な勤務になります*3。

Q3. 決めた退社時間になっても上司に引き留められることはありますか?

A. 退社時間は労働者が決めるため、その時刻に退社させず引き留める業務命令はできません*5。引き留めを受けたときは、就業規則に制度の定めがあるかどうかを読んでおきます*4。

Q4. コアタイムが1日の大半を占める会社でもフレックスタイム制といえますか?

A. いえません。コアタイムが1日の大半を占めてフレキシブルタイムが短い形は、労働者が始業・終業を決める制度の趣旨に反します*1*2。

Q5. 総労働時間に満たなかった分は翌月に繰り越せますか?

A. 繰り越せます。ただし加算後の時間が法定労働時間の総枠の範囲内であることが条件で、賃金から控除する方法もあります*1。どちらを採るかは、労使協定の条文に書かれています。

Q6. コアタイムがなければ出勤する日も自由に選べますか?

A. 出勤日を労働者が決める形にすることも可能です*1。そのときも、休日とする日は会社が前もって決めておきます*1。

Q7. フルフレックスなら会社は労働時間の管理をしなくてよいのですか?

A. 管理は要ります。労働時間の管理をしなくてよいわけではなく、会社が実際の労働時間を把握したうえで、清算を行います*1。

7. まとめ:フルフレックスでは会社が勤務時間を指定できない

フルフレックスの遅刻と会議の要点

  • フルフレックスは、コアタイムがなく、始業と終業の時刻を労働者が決める形です*1*2
  • コアタイムを除き、会社は各日の具体的な勤務時間を指定できません*3
  • フレキシブルタイム中の会議は、労働者の同意を得た自発的な勤務によるしかありません*3
  • 総労働時間に満たない分は、賃金の控除か翌月への繰越しのどちらかです*1

遅刻や会議の扱いは、入社前に就業規則と労使協定の条文を読んでおくと、入社後の食い違いを減らせます。

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出典・参考情報

*1 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
*2 フレックスタイム制とは(厚生労働省)
*3 よくあるご質問(労働時間・休日)Q12(大阪労働局)
*4 労働基準法 第32条の3(e-Gov法令検索)
*5 アニメで学ぶ労働条件 第17章(厚生労働省 確かめよう労働条件)

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