Head of Engineeringの求人|肩書きと職責のずれ
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

Head of Engineeringという肩書きの求人票を見かける機会が増えていますが、同じ肩書きでも会社によって、採用に関わるか、組織の運営を担うか、技術方針を決めるかは異なります。肩書きの英語表記だけでは、この範囲まで読み取れません。求人票の言葉と面談で確かめる視点を整理します。
確かめておきたいのは、採用・組織運営・技術方針のどこまでを持つかという1点です。年収レンジや組織の人数には、検証済みの数値がないため触れません。
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この記事のポイント
- Head of Engineeringという肩書きは、採用・組織運営・技術方針のどこまでを持つかを示していません
- DX推進人材が不足と回答した企業は85.5%、うち大幅に不足と回答した企業は50.1%です*1
- 求人票の言葉と面談で、持つ範囲を確かめられます
1. Head of Engineeringという肩書きは、職責の範囲を示していません
Head of Engineeringという肩書きだけでは、採用・組織の運営・技術方針のどこまでを持つかは分かりません。DX推進人材が不足と回答した企業は85.5%、うち大幅に不足と回答した企業は50.1%です*1。持つ範囲は、求人票の言葉と面談で確かめる必要があります。
海外由来の役職名がそのまま使われる求人票は、Head of Engineering以外にも見られます。役職名だけを見て応募すると、実際に持つ範囲を入社後に知ることになります。
同じ肩書きでも、採用に関わる範囲や技術方針を決める権限は会社によって異なります。求人票の書き方だけでは、この違いを読み切れないことがあります。
求人票に書かれた報告先も、持つ範囲を読み解く手がかりになります。技術責任者に直接報告する立場と、事業側の責任者に報告する立場とでは、日々の判断で重視される軸が変わります。報告先が明記されていない場合は、面談で確認しておくと、入社後の実務を具体的にイメージしやすくなります。
前職でも同じ肩書きを持っていた場合でも、持つ範囲がそのまま引き継がれるとは限りません。会社が変われば、採用や評価の権限がどこにあるかという前提も変わるため、経験があるからといって範囲の確認を省略できるわけではありません。
Head of Engineeringという肩書きは、VP of EngineeringやCTOなど、近い立場の肩書きと並んで使われることもあります。肩書きの並びだけを見るのではなく、実際に持つ範囲を求人票の言葉から確認する視点が欠かせません。
DX推進人材が不足と回答した企業が85.5%に上るという状況は、技術の意思決定を担う立場をどう定義するかにも関わります。人材の確保が課題であるほど、肩書きに求められる範囲は会社ごとに揺れやすく、募集要項の言葉にも幅が出やすくなります。
2. 持つ範囲は、2つの軸で分かれます
Head of Engineeringが持つ範囲は、技術の方針を扱うか組織の運営を扱うかという軸と、現場に近い立場か経営に近い立場かという軸の、2つで整理できます。
同じHead of Engineeringという肩書きでも、右上に近い会社では採用や評価制度まで持ちますが、左下に近い会社では設計判断が中心にとどまります。
肩書きの英語表記からは、会社がどちらの象限を想定しているかは読み取れません。求人票に書かれた個別の職務内容を読み、どちらの軸に重心があるかを確かめる作業が必要になります。
1つの会社のなかでも、事業のフェーズが変われば重心は動きます。入社時点の重心だけでなく、今後どちらへ動く可能性があるかも、面談で確認できる観点です。
新しく組織を立ち上げる段階にあるか、既に体制が整った段階にあるかによって、どちらの象限に重心が近づきやすいかは変わります。立ち上げの段階では採用や体制設計の比重が増え、体制が整った段階では技術的な判断が中心に戻ることがあります。
組織の規模が小さい場合は、技術方針と組織の運営の両方を1つの肩書きが引き受ける形になりやすく、規模が大きくなるほど、役割が分かれて1つの象限に絞られやすくなります。
3. 求人票の言葉から、確かめる項目を割り出す
求人票に書かれる言葉から、含まれることがある職責と、応募前に確かめておける項目を整理します。
求人票の言葉と確かめる項目
| 求人票でよく使われる言葉 | 含まれることがある職責 | 応募前に確かめること |
|---|---|---|
| 「エンジニア組織の立ち上げ」 | 採用計画や体制設計への関与 | 何名規模を想定した立ち上げか |
| 「技術方針の策定」 | アーキテクチャや技術選定の最終判断 | 誰と合意して決める仕組みか |
| 「チームマネジメント」 | メンバーの評価や育成 | 評価の権限を持つ範囲 |
| 「経営層への報告」 | 事業側との連携や説明の役割 | 報告先が誰で、頻度はどの程度か |
表の左列は、求人票で目にする機会がある言い回しです。同じ言い回しでも、右列に挙げた職責の一部だけを指す場合と、複数を合わせて指す場合があります。
「含まれることがあります」と幅を持たせているのは、会社によって範囲が変わるためです。求人票の1行だけで判断せず、面談で範囲を確かめる材料として使えます。
確かめる項目は、面談の早い段階で聞いても不自然ではない内容です。範囲を先に確かめておくことで、その後の選考でも自分の経験と照らし合わせやすくなります。
求人票に複数の言葉が並んでいる場合は、複数の職責を合わせて求めていることが多く、1つだけの場合よりも持つ範囲が広くなりやすくなります。反対に、言葉が1つだけに絞られている求人票では、範囲も限定されている可能性があります。
4行のうち複数の言葉が求人票に含まれている場合は、該当する行をすべて確認したうえで、応募前の質問リストを作っておくと、面談で聞き漏らしを防ぎやすくなります。
求人票の表現が具体的であるほど、面談前に絞り込める質問の数は少なくて済みます。表現が抽象的な求人票ほど、面談の冒頭で確認しておきたい質問の数は増えます。
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4. 採用と評価を持つかどうかで、日々の中身が変わります
採用に関わる立場かどうかで、日々の時間の使い方は変わります。採用を持つ場合は、候補者との面談や採用計画の調整に時間を割く比重が増え、書類選考の基準を作る役割まで担うこともあります。
評価を持つ立場かどうかも、同じように日々の中身を左右します。評価を持つ場合は、メンバー個々の目標設定や評価面談が定期的な業務に組み込まれます。あわせて、採用や外部委託にかける予算を自分で判断できるかどうかも、意思決定にかかる時間を左右する要素です。
採用も評価も持たない立場であれば、日々の時間は技術的な判断や設計レビューに多く割かれます。同じ肩書きでも、この違いによって求められる強みは変わり、面談で聞かれる内容も採用や評価に関わる質問より、技術的な判断の実例に寄ります。
求人票に「採用」「評価」という言葉が明記されていない場合、その職責を持つかどうかは、面談で確認するまで判断がつかないことがあります。担当する範囲を早い段階で確認しておくと、入社後に想定していた業務と実際の業務がずれるリスクを減らせます。
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5. 入社してからの3つの時期で、期待される動きが移ります
肩書きに持つ範囲が同じでも、入社してからの時期によって、期待される動きは移ります。
最初の時期に求められるのは、自分の判断を急いで示すことではなく、既存の体制と技術方針を把握することです。持つ範囲を面談で確かめていれば、この時期に何を優先して観察すればよいかも見通しやすくなります。
半年前後になると、採用や評価など、実際に持つ範囲での実務が本格化します。持つ範囲が求人票の想定と異なっていた場合、この時期にずれが表面化しやすく、担当する業務の再確認が必要になることもあります。
1年前後の時期には、技術方針や体制そのものの見直しに関わる場面が増えます。ここまでの2つの時期を経て、持つ範囲の重心がどちらの象限にあるかがはっきりし、次に何を任されるかも見えてきます。
3つの時期をまたいで持つ範囲が変わることもあります。入社時に説明されなかった職責が、半年後や1年後に加わる場合は、そのタイミングで役割の見直しについても確認できます。
6. 面談で確かめておける3つの点
Head of Engineeringの求人に応募する際、面談で確かめておける項目を3つに整理します。
面談で確かめておける3つの点
- 採用の権限:採用計画や候補者の合否に、どこまで関わるかを確かめておきます
- 技術方針の決定:設計や技術選定を、誰と合意して決めるかを確かめます
- 評価の範囲:メンバーの評価や育成を、どこまで担うのかを確かめておきます
3つの項目は、求人票の言葉だけでは判別しにくい内容です。面談の早い段階で聞いても、選考において不自然な質問ではありません。
3つのうち、どれか1つでも会社の想定と自分の理解がずれていると、入社後に担う実務の内容も変わってきます。
同じ会社でも、面談する相手によって説明の詳しさが変わることがあります。複数回の面談を通じて聞いた内容を照らし合わせておくと、より確からしい像に近づきます。
面談で確認した内容は、口頭のままにせず、オファー時の書面にどこまで反映されているかも確認しておくと、入社後の認識のずれを防ぎやすくなります。
3つの点を確認する順番にも意味があります。採用の権限から先に聞くと、面談の相手が答えやすい流れになりやすく、技術方針の決定や評価の範囲へと話を広げやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. Head of Engineeringという肩書きは、どの会社でも同じ職責を指しますか。
A. 同じ肩書きでも、会社によって採用や組織運営、技術方針のどこまでを持つかは異なります。求人票の言葉と面談で範囲を確かめる必要があります。
Q2. 求人票にはどのような言葉が使われますか。
A. 「エンジニア組織の立ち上げ」「技術方針の策定」「チームマネジメント」などの言葉が使われます。同じ言葉でも指す範囲は会社によって異なります。
Q3. 入社後すぐに、技術方針や体制の見直しに関わりますか。
A. 最初の時期は既存の体制と技術方針を把握することが中心になります。見直しに関わる場面は、この時期を終えてから増えていきます。
Q4. Head of Engineeringの求人は、リモートワーク対応の求人にも含まれますか。
A. 含まれます。持つ範囲や出社の頻度は求人ごとに異なるため、募集要項の記載を確認することが必要です。
8. まとめ:肩書きではなく職責の範囲で選べます
この記事の要点
- Head of Engineeringという肩書きは、採用・組織運営・技術方針のどこまでを持つかを示していません
- DX推進人材が不足と回答した企業は85.5%、うち大幅に不足と回答した企業は50.1%です*1
- 持つ範囲は、技術の方針と組織の運営、現場に近いか経営に近いかという2つの軸で整理できます
- 求人票の言葉から、含まれることがある職責と確かめる項目を割り出せます
- 採用の権限・技術方針の決定・評価の範囲という3つの点を、面談で確かめられます
肩書きの英語表記を読み替えるのではなく、求人票の言葉と面談で持つ範囲を確かめることが、Head of Engineeringの求人を選ぶ最初の一歩になります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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