仕訳の自動化は残った例外を誰が持つかで求人が変わる
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

仕訳の自動化を進める求人には、「型が決まった分」しか自動にできないという共通点があります。同じ形で毎回届く分は、仕組みに任せられます。ところが、前例のない種類の取引が現れたとき、相手からの情報がまだ届いていないとき、金額や条件によって扱いが分かれるとき、自動化の網からその分だけが外れます。外れた分をどう扱うかで、求人の中身は変わります。
DX推進人材が「大幅に不足」と回答した企業は50.1%です*1。仕訳の仕組みを自動化しても、担当する人手の不足そのものは解消されません。型から外れた分を誰が見るかを決めておかないと、自動化が進むほど、その分だけが個人の手元に積み重なります。
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この記事のポイント
- DX推進人材が「大幅に不足」と回答した企業は50.1%です*1。仕訳を自動化する仕組みを入れても、型から外れた分を扱う人手そのものは増えません。
- 一般労働者の賃金は40〜44歳で月364.3千円です*2。判断を任される年代の賃金水準は、この数字に近い位置にあります。
- 転職して賃金が増加した人の割合は40.5%です*3。自動化を運用してきた経験は、求人票の言葉だけでは伝わりにくいため、面談で具体的に伝える必要があります。
1. 仕訳は、型が決まった分だけ自動になります。
仕訳の自動化は、届く内容の形が決まっている分にしか及びません。形が決まっていない分は、自動化の網から必ず外れます。DX推進人材が「大幅に不足」と回答した企業は50.1%です*1。仕組みを入れても、外れた分を見る人手そのものは増えません。求人票に「自動化の推進」だけが書かれている場合、外れた分を誰が引き受けているかは書かれていないことがあります。
仕訳という作業は、決まった形で届くものを、決まった形に振り分ける仕事です。取引の内容と金額が読み取れれば、割り振る先はルールで決まります。ここまでは、仕組みに任せられる範囲です。
ところが、届く内容の全部がこの形に収まるわけではありません。前例のない種類の取引が来たとき、相手からの情報がまだ届いていないとき、金額や条件によって扱いが分かれるとき、この3つの場面では、決まりだけでは仕分け先が決まりません。
自動にできる分がどれだけ増えても、この3つの場面は残ります。求人を見るときに大事なのは、残った分をいま誰が見ているかという点です。見る人が決まっていない職場では、その分がそのまま積み重なります。
取引の種類が増えるほど、この3つの場面に当たる分も増えます。求人票を読むときは、自動化の実績だけでなく、残った分をどう運用しているかという説明があるかどうかも見ておく必要があります。実績の数字だけを並べた求人票では、その説明が省かれていることがあります。
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2. 自動になる分と、人が見る分の内訳を示します。
届く取引を1件ごとに見ると、内訳はおおまかに3つに分かれます。決まった形で来る分と、そうでない分の比率を確認します。
自動になる分は、取引の形が事前に決まっていて、金額や項目がそのまま読み取れる分です。ここは仕組みに任せて、人が毎回目を通す必要はありません。
判断が要る分は、金額や条件によって扱いが分かれる分です。決まりだけでは仕分け先が決まらず、人が内容を見て決める必要があります。
情報待ちの分は、相手からの情報がまだ届いていないために確定できない分です。届くまで、仕組みの外に置いておくしかありません。
この2つを合わせた4割ほどは、自動化が進んでも人の手に残ります。求人票を見るときは、この4割を誰が見ているかを確認する視点が役に立ちます。
3. 残る分が生まれる理由は、3つあります。
自動にできる仕訳が増えても、残る分がゼロになることはありません。理由は3つに分けられます。
1つ目は、新しい種類の取引が出てくることです。前例のない取引には、どこに振り分けるかを決めたルールがまだありません。ルールができるまでの間、この分は人が扱うことになります。
2つ目は、片方の情報が十分ではないことです。相手側から届くはずの情報が届いていないと、扱いを確定できません。届くまで保留にする判断も、人が下す必要があります。
3つ目は、判断が要ることです。金額や条件によって扱いが分かれる取引は、決まりだけでは仕分け先が決まりません。基準の近くにいる人が、そのつど判断することになります。
この3つはどれも、仕組みを直せば消える種類の問題ではありません。取引の相手や状況が変わり続ける限り、新しい形は繰り返し出てきます。
自動化について話すとき、関心はどうしても「何割を自動にできるか」に向かいます。ところが実際に困るのは、残った分を毎日誰かが見続けることになったときです。見る人が決まっていなければ、その分は溜まります。
求人票の「自動化の推進」という語だけでは、この3つの理由がどこまで想定されているかは分かりません。例外を扱う仕事が書かれているかどうかが、応募する側から見える数少ない手がかりになります。書かれていない求人ほど、面談で直接確認する必要が高くなります。
4. 残る分の理由を、表で確かめます。
自動にならない3つの理由を、起きる状況と対応の観点で表にまとめます。
【表1】仕訳が自動にならない3つの理由
| 理由 | 起きる状況 | 対応 |
|---|---|---|
| 新しい種類が出てくる | 前例のない取引が届く | ルールができるまで人が判断する |
| 片方が十分ではない | 相手側の情報が届いていない | 情報が届くまで保留にする |
| 判断が要る | 金額や条件で扱いが分かれる | 基準に沿って人が判断する |
表のとおり、3つの理由はいずれも、仕組みを直せば消えるものではありません。取引の相手や状況が変わり続ける限り、同じ理由で人の判断が必要になる分が出てきます。
3つの理由に共通するのは、判断の基準や情報が、その場では揃っていないという点です。基準や情報が揃うまでの間、その分は人が扱うことになります。
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5. 機械と人の境目を、位置で確認します。
取引を、機械が振り分けられる分と、人が判断する分の間で見てみます。DX推進人材が「大幅に不足」と回答した企業は50.1%です*1。人の判断が要る分は、自動化が進んでも軽くなりません。
機械に任せられるのは、型が決まっていて、金額や項目がそのまま読み取れる分です。読み取った内容をそのまま先に進めても、間違いが起きにくい範囲です。
人の判断に残るのは、新しい種類の取引、情報が届いていない取引、金額や条件で扱いが分かれる取引です。ここは、機械の判定だけでは仕分け先が決まりません。
求人票に「自動化の推進」という語だけが書かれている場合、この境目がどこにあるかまでは分かりません。境目の位置と、その先を見る人が誰かを、面談で確認する必要があります。
境目の位置は固定ではありません。取引の種類が増えれば、人の判断に残る側が広がり、ルールが整えば、機械に任せられる側が広がります。求人票を1度読むだけでは、この動きまでは分かりません。
6. 求人票で見ておきたい点をまとめます。
自動化に関わる求人を選ぶときに、求人票と面談で確認しておきたい点を整理します。
確認しておきたい4点
- 残った分の扱い:型から外れた仕訳を、誰が見ているかを確認します。
- 新しい種類への対応:前例のない取引が来たとき、誰がルールを決めるかを確認します。
- 情報が届くまでの扱い:相手側の情報が届いていない分を、どこに置いているかを確認します。
- 判断の基準:金額や条件で扱いが分かれる分の、判断の基準が文書として残っているかを確認します。
面談で聞くなら、「自動にならなかった分は、いま誰が見ていますか」という質問が具体的です。即答できる職場は、残った分の扱いを把握しています。
「自動化の推進」という語だけが求人票に書かれている場合、残った分の話が抜けていることがあります。募集の背景に、例外を扱う仕事が含まれているかを確認しておく必要があります。
4つの確認点はどれも単独では判断材料として不十分です。残った分の扱い、新しい種類への対応、情報が届くまでの扱い、判断の基準をあわせて確認することで、その仕事にどこまで人の判断が残っているかが見えてきます。
求人票に書かれている言葉が「自動化の推進」だけで止まっているか、それとも残った分の扱いまで説明されているかは、応募先を選ぶときの分かれ目になります。書かれていない場合は、その場で質問して答えを確かめる姿勢が役に立ちます。
転職して賃金が増加した人の割合は40.5%です*3。自動化を運用してきた経験を、求人票の言葉だけに頼らず面談で具体的に伝えることが、評価につながる一歩になります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 仕訳の自動化を導入すれば、人の確認はいらなくなりますか。
A. いらなくなりません。型が決まっている分は自動になりますが、新しい種類の取引や、情報が届いていない取引、判断が要る取引は残ります。残った分を見る担当を決めておく必要があります。
Q2. 残った分を、誰が見るかはどう決まりますか。
A. 職場によって異なります。担当を固定している職場もあれば、都度手が空いた人が見ている職場もあります。求人票だけでは分からないため、面談で確認します。
Q3. この仕事に、専門的な知識は必要ですか。
A. 求人ごとに異なります。判断の基準を作る仕事もあれば、決められた基準に沿って確かめるだけの仕事もあり、求められる範囲は求人票と面談で確認する必要があります。
Q4. 面談では、この経験をどう伝えればよいですか。
A. 「自動にならなかった分は、いま誰が見ていますか」と自分から質問し、これまで残った分をどう扱ってきたかを具体的に話すと伝わりやすくなります。
Q5. 新しい種類の取引に、ルールがまだないとき、どう対応しますか。
A. 前例のない取引はいったん人が扱い、扱った内容を基準にルールを作ります。ルールができるまでの間は、その扱いが個人の判断に頼ることになります。
8. まとめ:仕訳は、残った分を誰が持つかで決まります。
この記事の要点
- 仕訳の自動化は、型が決まっている分にしか及びません。新しい種類の取引、片方の情報が十分ではない取引、判断が要る取引は、自動化の網から外れます。
- DX推進人材が「大幅に不足」と回答した企業は50.1%です*1。自動化する仕組みを入れても、残った分を見る人手そのものは増えません。
- 一般労働者の賃金は40〜44歳で月364.3千円です*2。判断を任される年代の賃金水準は、この数字に近い位置にあります。
- 転職して賃金が増加した人の割合は40.5%です*3。自動化を運用してきた経験は、次の求人でも評価につながる可能性があります。
仕訳の自動化を扱う求人を見るときは、自動になる分ではなく、残った分を誰が見ているかを確かめることが出発点になります。求人票と面談の両方で、その担当がどこにあるかを見極めてから、応募先を選んでいきましょう。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」(2026年公表)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*3 厚生労働省「雇用動向調査」(令和6年)
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