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固定残業代に休日出勤は含まれる?求人票の書き方と割増賃金

固定残業代に休日出勤は含まれる?求人票の書き方と割増賃金のイメージ写真

固定残業代に休日出勤の分が含まれるかは、その手当が休日労働の分まで含む決まりになっているかで変わります*1*2。決まっていれば、求人票や労働条件の書面に、時間数と金額の計算方法が書かれているはずです*1*2。

決められた時間を超えた休日労働や、含まれていない休日労働には、割増賃金が追加で払われます*1。法定休日の労働の割増率は3割5分以上です*4。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事のポイント

  • 固定残業代は、名前にかかわらず、一定時間分の時間外労働・休日労働・深夜労働に対して定額で払う割増賃金です*1。
  • 休日労働について定額にする場合も、計算方法・基本給の額・超えた分を追加で払う旨の3つを求人に書く必要があります*1。
  • 定額の額が法律どおりに計算した割増賃金に届かないときは、会社は差額を払う必要があります*2。

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1. 固定残業代に休日出勤が含まれるかは手当の内訳で分かる

休日出勤の分が定額に入るのは、手当の決まりの中に休日労働の時間が書かれている場合です*1*2。含めるなら、求人に時間数と金額の計算方法を書く必要があり、決めた時間を超えた分は追加で払われます*1。

固定残業代とは、名前にかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で払われる割増賃金のことです*1。「定額残業手当」や「みなし残業代」と呼ばれることもあります*2。定義の中に休日労働が入っているので、休日出勤の分を含める形も、含めない形もあり得ます*1。

基本給の中に組み込む形と、基本給とは別の手当として払う形があります*2。どちらの形でも、通常の労働時間の賃金に当たる部分と、割増賃金に当たる部分を分けて分かるようにしておく必要があります*2。

手当が残業などの対価として払われるものと言えるかは、契約書などの記載のほか、会社の説明の内容や、実際の労働時間などの事情を考えて判断されます*2。休日出勤の分が入っているかを知りたいときも、まずは契約書や求人票で、手当が何時間分の、どの労働に対するものとして書かれているかを見ます。

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2. 求人票に書かれる3つの項目と休日労働の書き方

定額の割増賃金を払う会社が求人で明示する項目と、休日労働を含める場合の書き方を並べました。

固定残業代を求人に書くときの3つの項目

明示する項目中身休日労働を含める場合
① 基本給の額定額の手当を除いた基本給の額*1同じく除いた額を書く*1
② 計算方法手当に関する労働時間数と金額*1休日労働の時間数と金額も書く*1
③ 超えた分の扱い超えた時間外・休日・深夜の労働に割増賃金を追加で払う旨*1休日労働の超えた分も追加で払う*1

この3つは、若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)に基づく指針や、職業安定法に基づく指針で、求人の段階で明示するよう定められている項目です*1*2。深夜労働や休日労働について定額にする場合も、同じように書く必要があります*1。書く場所は、求人票だけでなく募集要項なども含みます*1。

記載例では、「□□手当(時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給)」と書きます*1。別の行には、「○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給」と書きます*1。この例は時間外労働の分だけを定額にした場合の書き方です*1。

手当の名前に、定額の割増賃金以外のものも含めて払う場合は、割増賃金の分を分けて書くよう求められています*1。求人票に「○時間分の時間外手当」とだけあり、休日労働の時間の記載がなければ、休日出勤の分は手当に含まれておらず、別に払われると読めます。

3. 休日出勤の時間と手当の決まりで変わる割増賃金

手当の決まりに休日労働が入っているかと、働いた時間が決めた時間に収まるかで、4つに分けました。

手当に休日労働が入っていて時間内に収まるときだけ追加はない 含まない・超える 休日出勤の割増賃金を別に払う 含む・超える 超えた分を追加で払う 含まない・収まる 休日出勤の割増賃金を別に払う 含む・収まる 定額の中で払われる 時 間 を 超 え る 時 間 に 収 ま る 休日労働を含まない 休日労働を含む 定額の額が法律どおりの割増賃金に届かなければ差額を払う*2

休日労働を含まない決まりなら、休日出勤の分は定額の手当とは別に、割増賃金として払われます*1*3。決まりに入っていても、決めた時間を超えた分は追加で払われます*1。

休日労働を含む決まりで、決めた時間に収まっている月でも、会社は定額の額が法律どおりに計算した割増賃金に届いているかを見る必要があります*2。届かないときは、その差額を払う必要があります*2。

自分で検算するには、残業や休日出勤の時間を手帳などに付けておくことが必要とされています*5。休日出勤の日付と時間、その日が法定休日か所定休日かを書いておけば、あとで給与明細と見比べられます。

4. 休日出勤の割増率は法定休日と所定休日で違う

労働基準法は、会社に毎週少なくとも1回か、4週間に4日以上の休日を与えるよう定めています*3。この休日が法定休日で、法定休日に働かせた場合の割増賃金は、通常の賃金の3割5分以上です*3*4。

時間外労働の割増率は2割5分以上と決まっています*4。時間外労働が1か月に60時間を超えた場合は、その超えた時間に5割以上の割増賃金がかかります*3。たとえば、1時間あたりの賃金が2,000円の人が、法定休日に8時間働いたとします*4。割増賃金を含めた額は2,000円×1.35×8時間で、2万1,600円以上です*4。深夜(原則として午後10時から午前5時)に働いた分は、さらに2割5分以上の上乗せです*5。

週休2日の会社では、どちらか1日が法定休日で、もう1日は所定休日です*6。所定休日に働いた場合は、その週の労働時間が40時間を超えた分に25%以上の割増賃金がかかります*6。

所定休日の出勤で生まれた割増賃金を、定額の手当の中で払う決まりか、別に払う決まりかは、就業規則や労働条件通知書の賃金の欄に書かれています。

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5. 固定残業代の求人で休日出勤の扱いを聞く

ハローワークに寄せられる、求人票の記載と実際の労働条件の違いについての申出・苦情で、一番多いのは「賃金に関すること(固定残業代を含む)」です*1。民間の職業紹介を使って就職活動をした人の、求人条件と採用条件が違ったという不満でも、同じ項目が一番多くなっています*1。

応募する前に、求人票の賃金の欄で、定額の手当の時間数の内訳に休日労働の時間が入っているかを見ます。書かれていなければ、面接や内定後の面談で、休日出勤はあるか、あれば手当とは別に払われるかを聞いておきましょう。

入社のときは、労働条件通知書や就業規則で「賃金の決定、計算及び支払の方法」が書面で示されます*2。定額の手当の場合は、通常の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が分かる形で、就業規則や労働条件通知書に書いておく必要があるとされています*2。

ITエンジニアの仕事では、システムの切り替えや障害の対応で休日に出勤することがあります。休日出勤の多い職場かどうかと、そのときの賃金の払い方を、入社の前にそろえて聞いておくと、入社後の手取りの見通しが立ちます。

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6. 定額の割増賃金をめぐる裁判例で示されたこと

厚生労働省のリーフレットには、定額の割増賃金をめぐる裁判例が3つ載っています*1。平成24年3月8日の最高裁判決では、基本給を月41万円とし、月180時間を超えた分だけ別に払う契約が争われました*1。基本給のうち通常の賃金の部分と割増賃金の部分を判別できないため、180時間以内の時間外労働の割増賃金が払われたとは言えないとされています*1。

平成20年10月7日の東京地裁判決では、店舗の売上などに応じて払われる販売手当が、割増賃金と同じ性質を持つとは言いにくいとされました*1。会社が、その手当を時間外勤務手当の代わりだと説明した証拠もなく、販売手当を払ったことで割増賃金を払ったとは言えないと判断されています*1。

平成20年3月21日の東京地裁判決は、労働者が知ることができる範囲に着目しました*1。当月の時間外労働と、それに対していくら払われているかを概算でも知ることができなければ、賃金の合意は成り立たないとしています*1。

このほか、最高裁は平成29年7月7日の判決で、定額の額が法律の方法で計算した額を下回るときは、差額を払う必要があると示しています*2。その前提は、通常の賃金と割増賃金の区別がつくことです*2。手当が残業などの対価と言えるかは、契約書の記載や会社の説明、実際の労働時間などで判断するとした判決もあります(平成30年7月19日判決)*2。

7. よくある質問

Q1. 固定残業代があると休日出勤の手当は出ませんか?

A. 休日労働の時間を含む決まりでなければ、別に払われます*1。

Q2. 休日労働を含む決まりなら何時間でも追加はありませんか?

A. 決めた時間を超えた分は、追加で払われます*1。

Q3. 法定休日に出勤したときの割増率は?

A. 通常の賃金の3割5分以上です*4。

Q4. 休日出勤が深夜まで続いたら?

A. 深夜の時間には、さらに2割5分以上の割増がかかります*5。

Q5. 定額の手当が少なすぎるときは?

A. 法律どおりに計算した額との差は、会社が差額として払う必要があります*2。

Q6. 求人票のどこを見ればよいですか?

A. 基本給の額、手当の時間数と金額の計算方法、超えた分を追加で払う旨の3つです*1。

Q7. 所定休日に出勤した分はどう扱われますか?

A. 週40時間を超えた分に、25%以上の割増賃金がかかります*6。

Q8. みなし残業代と固定残業代は別のものですか?

A. 同じものを指す呼び方の1つで、「定額残業手当」と呼ばれることもあります*2。

Q9. 求人票に休日労働の時間数がないときは?

A. 休日労働を定額にする場合も記載が必要とされています*1。記載がないときは、面接で払い方を聞いておきます。

8. まとめ:固定残業代に休日出勤が含まれるかは書面の計算方法で分かる

この記事のまとめ

  • 固定残業代は、一定時間分の時間外・休日・深夜の労働に対する定額の割増賃金*1
  • 休日労働を含めるなら、求人に時間数と金額の計算方法を書く必要がある*1
  • 決めた時間を超えた分や、含まれていない休日出勤は、追加で払われる*1
  • 法定休日の労働の割増率は3割5分以上*4
  • 定額の額が足りなければ、会社は差額を払う*2

休日出勤のある職場を考えているなら、求人票と労働条件通知書の賃金の欄を入社前に読み、分からない点は面接で聞いておきましょう。

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出典・参考情報

*1 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)
*2 固定残業代を支払うこととすれば、残業や休日勤務をさせても別途に残業代を支払わなくてよいでしょうか(スタートアップ労働条件・厚生労働省)
*3 労働基準法 第35条・第37条(e-Gov法令検索)
*4 労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(e-Gov法令検索)
*5 残業、早出や休日出勤による割増賃金のチェック方法(確かめよう労働条件・厚生労働省)
*6 代休?振替休日?(山梨労働局)

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