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失業保険の直近6ヶ月に休職が入ったら?賃金日額の計算

失業保険の直近6ヶ月に休職が入ると?無給の月を外して計算のイメージ写真

失業保険の直近6ヶ月に無給の休職の月があっても、その月は外して計算し、休職前の月までさかのぼって6か月をそろえます*1。傷病手当金は賃金ではないので、傷病手当金だけを受けていた月も数えません*2。数えるのは、賃金の支払の基礎になった日が11日以上ある月です*1。

6か月分の賃金を合計して180で割った額が、基本手当の額を決める賃金日額です*1。休職が長く離職前2年間に12か月そろわない人は、さかのぼる期間が最大4年まで延びます*1。退職の前に、どの月が外れるかを数えておいてください。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事のポイント

  • 無給で休職していた月は、6か月の数に入りません。休職前の、賃金が11日以上支払われた月までさかのぼって6か月をそろえます。
  • 傷病手当金は健康保険の給付金で、賃金とは扱われません。傷病手当金だけを受けていた月も、無給の月と同じく外れます。
  • 休職が長く離職前2年間に12か月そろわない人は、さかのぼる期間が最大4年まで延びます。退職後もすぐ働けない人は、受け取れる期間を延ばす申請ができ、延長は最長3年です。

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1. 無給の休職の月は6か月に数えない

直近6か月に無給の休職が入っていても、休職の月は計算に入りません。支払があった日が11日以上の月だけを数えるので、休職より前の月から6か月を集めます*1*2。集めた6か月の賃金の総額を180で割ると、賃金日額が出ます*1。休職の月の0円が平均に混ざって額が下がる仕組みではありません。

失業保険と呼ばれることが多い雇用保険の基本手当は、賃金日額(基本手当の1日あたりの額を決めるもとになる額)をもとに1日あたりの額が決まります。雇用保険法は、賃金日額を「最後の6か月間に支払われた賃金の総額を180で割った額」と定めています*1。その総額からは、臨時に支払われた賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与などが除かれます*1。

ただし、ここで言う「最後の6か月間」は、暦の上の直近6か月とは限りません。被保険者期間(雇用保険に入っていた期間のうち、受給資格の計算に数える月)として数えた月のうち、最後の6か月です*1。被保険者期間の1か月になるのは、賃金支払基礎日数(その月に賃金の支払の対象になった日数)が11日以上の月だけです*1*3。無給で休職していた月はこの日数が0日なので、6か月の並びには入りません。

そのため、休職の直前まで働いていた人の賃金日額は休職前の給与をもとに計算され、休職が長いほど計算に使う月は退職日から離れていきます。たとえば休職前の給与が毎月同じだった人なら、休職の長さが違っても賃金日額は変わりません。どの月が外れるかは、休職が始まった月と退職した月から数えられるので、先に紙に書き出しておいてください。

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2. 算定対象期間の延長と受給期間の延長は別の仕組み

休職のあとに退職する人は、手続きの中で「延長」という語に2回出会います。1つは離職の前の休職に関わる算定対象期間の延長で、もう1つは離職の後に働けないときの受給期間の延長です。名前が似ていても、延ばす期間も上限も違います。

算定対象期間の延長と受給期間の延長 算定対象期間の延長 離職の前の話 30日以上賃金が無い日数を2年に足す さかのぼれるのは最大4年 受給期間の延長 離職の後の話 30日以上働けない日数だけ延ばす 延ばせるのは最長3年 離職の前に休んだ人と、離職の後に働けない人で使う延長が変わる

算定対象期間(被保険者期間を数えるためにさかのぼる期間)は、原則として離職前の2年間です*1。基本手当を受けるには、この2年間に被保険者期間が通算で12か月以上要ります*1。休職が長いと、無給の月を外した結果として、2年間で12か月に届かない人が出てきます。

病気やけがなどで引き続き30日以上賃金の支払を受けられなかった人は、その日数を2年に加えた期間が算定対象期間です*1。加えた結果が4年を超えるときは、4年で止まります*1。当てはまるかどうかを決めるのは、離職票などを見たハローワークです。

一方、受給期間(基本手当を受け取れる期間)は、離職の後に病気やけがなどで30日以上続けて働けないとき、働けない日数だけ延ばせます*3。延ばせる期間は最長3年です*3。病気やけがですぐには就職できない間は基本手当を受けられないので、退職後も療養が続く人はこちらの延長を申請します*3。

つまり、休職のまま退職して退職後も療養を続ける人が申請するのは、受給期間の延長のほうです。算定対象期間の延長は受給資格の12か月をそろえるための仕組みで、受け取れる期間は延ばしません。受給期間の延長の申請先は住所地のハローワークで、代理人や郵送でも出せます*3。

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3. 傷病手当金だけを受けていた月も数に入らない

休職中の収入が傷病手当金だけだった人も、その月は6か月に数えません。厚生労働省の「雇用保険に関する業務取扱要領」は、健康保険法第99条の傷病手当金について「健康保険の給付金であって、賃金とは認められない」としています*2。傷病手当金を受けていても、会社からの賃金が出ていなければ、その月の賃金支払基礎日数は0日のままです。

ただし、休職中でも会社から給与の一部が出ていた月は別です。給与が出た日が11日以上あれば、その月も6か月に数えます*1。こうした月は賃金が少なくなりやすいため、病気で休んだ期間があって賃金が少ない場合の計算の特例が定められています*2。

実際に6か月を数えるときは、会社から賃金が支払われた日数だけを月ごとに見てください。傷病手当金の入金は健康保険の側から入るものなので、同じ月に並んでいても日数には入れません。給与明細と傷病手当金の通知を月ごとに分けて並べると、どの月が残るかが見えてきます。

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4. 離職日から区切って賃金日額を出す

賃金日額を出すまでの4段階 1 1か月ごとに区切る 離職日から1か月ごとに区切る 2 11日以上の月を残す 賃金の支払の基礎になった日が11日以上の月だけ残す 3 6か月を選ぶ 新しい月から6か月を選ぶ 4 180で割る 6か月の賃金の合計を180で割る 無給の休職の月は2段目で外れ、休職前の月が6か月に入る

まず、離職日から1か月ごとにさかのぼって期間を区切り、区切った期間ごとに賃金支払基礎日数を数えます*1。被保険者期間の1か月として残るのは、11日以上ある期間だけです*1*3。無給の休職の期間は、この2段目で外れます。残った月のうち離職日に近いほうから6か月を選び、その6か月の賃金を足して180で割るのが最後の段です*1。

なお、賃金日額の計算では、業務取扱要領が「完全な賃金月」という区切りを使います*2。完全な賃金月とは、賃金締切日の翌日から次の締切日までが満1か月あり、賃金支払基礎日数が11日以上ある月のことです*2。算定対象期間にこの月が6つ以上あれば、最後の6つの賃金月の賃金総額を180で割ります*2。

手元で数えるときは、給与明細を新しい月から順に並べてください。給与が出ていない月や、出た日が11日に届かない月に印を付けると、残りの月から6か月を選べます。休職の前に働いていた月の明細がそろっていれば、6か月の賃金の総額も手元で出せます。

5. 9月末に退職し7月から休職していた例

次の表は、仕組みを説明するための例で、実在の人の数字ではありません。9月30日に退職し、7月から9月までの3か月は無給で休職して、傷病手当金を受けていた人を置いています。月の区切りは、分かりやすいように暦の月で示しました。

休職が入ったときの数え方の例

月賃金の支払の基礎になった日6か月に数えるか
9月0日数えない
8月0日数えない
7月0日数えない
6月11日以上数える
5月11日以上数える
4月11日以上数える
3月11日以上数える
2月11日以上数える
1月11日以上数える(6か月目)

そのため、この例で6か月に数えるのは1月から6月までです。9月・8月・7月の3か月は賃金支払基礎日数が0日なので外れ、1月まで戻ると6か月がそろいます。賃金日額は、1月から6月までに支払われた賃金の合計を180で割った額です*1。

一方、7月の途中まで働いて賃金が出ていた場合は、7月に給与が出た日数で扱いが分かれます。11日以上あれば7月が6か月に入り、1月は外れて2月から7月までで計算します。11日に届かなければ、表のとおり7月は数えず、1月から6月までの6か月のままです。

6. ハローワークで休職の期間を伝えるときに手元に置くもの

休職が入った人は、どの月が無給だったかを窓口で説明できるように、次の3つを手元にそろえておくと話が進みやすくなります。

手元に置くもの

  • 離職票:賃金の支払状況が月ごとに書かれているので、無給の月がどこかを窓口で一緒に見られます。
  • 休職の始まりと終わりが分かる会社からの書面:無給の期間がいつからいつまでかを示せます。
  • 傷病手当金の支給が決まったときの通知(受けていた場合):その期間の収入が賃金ではなく健康保険の給付だったことを示す書類です。

離職票が届いたら、休職していた月の並びを会社からの書面と見比べてください。休職の始まった月と終わった月が書面と離職票で食い違っていると、6か月に数える月も変わってしまいます。食い違いを見つけたときは、ハローワークへ行く前に会社の人事の担当者へ問い合わせてください。

傷病手当金を受けていなかった人は、3つ目の通知は要りません。その場合は、休職中に会社から給与が出ていたかどうかを給与明細で示せます。給与明細を離職票と同じ月の並びで持っていくと、窓口で月ごとに照らし合わせられます。

7. よくある質問

Q1. 傷病手当金を受けていた月は賃金に入りますか?

A. 入りません。傷病手当金は健康保険から出る給付で、雇用保険の計算では賃金として扱われないためです*2。会社から給与が出ていなかった月は、その月ごと6か月の数から外れます。

Q2. 休職中に給与が少し出ていた月は数えますか?

A. 支払の対象になった日が11日以上なら数えます*1。11日に届かない月は、無給の月と同じ扱いです。数える月の賃金が少ないときの計算の特例もあり、当てはまるかはハローワークが決めます*2。

Q3. 休職が長く離職前2年間に12か月そろわないときはどうなりますか?

A. 離職前に病気やけがで30日以上続けて賃金が出なかった日数を2年に足し、さかのぼる期間を延ばします*1。延ばした期間の上限は4年です*1。当てはまるかは、休職の期間が分かる書面と離職票をもとに判断されます。

Q4. 退職後もすぐに働けないときはどうすればよいですか?

A. 働けない間は基本手当が出ないため、受給期間の延長を申請してください*3。延長できるのは働けない日数の分で、上限は最長3年です*3。算定対象期間の延長とは別の手続きなので、2つは分けて考えます。

Q5. 休職前と休職中のどちらの給与で計算されますか?

A. 休職前に働いていた月の給与です*1。無給の休職の月は外し、それより前の月から6か月を数えます。休職中でも11日以上の支払がある月は、その月の給与も含めます。

8. まとめ:無給の休職の月を外して休職前の6か月で計算する

押さえておくこと

  • 無給の休職の月は、賃金支払基礎日数が0日なので6か月に数えません
  • 傷病手当金は賃金ではないため、傷病手当金だけの月も外れます
  • 離職前の休職が長い人の算定対象期間は、最大4年です
  • 退職後もすぐ働けない人は、受給期間を最長3年まで延ばせます

失業保険の直近6ヶ月に休職が入る人は、退職日が決まったら、休職が始まった月から前へ6か月を数え、離職票と会社の書面を持ってハローワークへ行ってください。

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出典・参考情報

*1 雇用保険法(第13条・第14条・第17条)
*2 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(第5〜第8)」(令和8年4月改訂分を含む)
*3 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

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