試用期間の退職は即日できる?会社が承諾すれば当日も可

試用期間の退職は、会社が承諾すれば即日、つまり申し入れた当日でも退職できます*1。試用期間も労働契約の中の期間なので、承諾が無くても、退職を申し入れてから2週間で契約は終わります*1*2。働き始めた時の条件が約束と違っていた場合は、承諾を待たずに即時の退職が認められています*1。
ただし、予告なしに辞めると会社の業務に支障が出かねず、予告期間を見込んだ手続が求められます*1。即日にするか2週間を待つかを決める前に、就業規則の退職の定めを読んでおいてください。出した退職届を取り下げるには、会社の同意が要る場合もあります*1。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 会社が退職を承諾すれば、試用期間中でもその時点で辞められます*1。承諾が無いときも、申し入れが届いてから2週間で契約が終わる決まりです*1。
- 入社時に示された労働条件と実際が違っていれば、労働基準法15条により即時に退職できます*1。労働条件通知書と給与明細を並べておくと、どこが違うのかを上司へ示せます。
- 決めた日に退職したいときは、退職の意思を明確に書いた退職届を出してください*1。出す前に、就業規則に書かれた退職の手続を読んでおきます。
1. 試用期間の退職は会社の承諾があれば即日もできる
試用期間中でも、会社の承諾があれば即日の退職はできます*1。試用期間とは、会社が働く人の適性を見るために設けた期間です*2。特段の事情がない限り、解約権(会社が契約を解く権利)を残した労働契約の期間と解されています*2。会社が承諾しなくても、申し入れてから2週間がたてば契約は終わります*1。
つまり、本採用の前でも労働契約はすでに結ばれているので、期間の定めのない労働契約なら、退職の申し入れには民法627条1項の決まりが当てはまります*1。この条文は、申し入れから2週間がたつと契約が終わると定めています*1。厚生労働省の説明では、申し入れが会社に届いて会社が承諾すれば、その時点で退職の効果が出ます*1。申し入れた日に会社が承諾すれば、その日のうちに退職できるのはこのためです。
実際、即日の退職を望むときは、会社が承諾したことを後から示せるようにしておきます。口頭で伝えるだけで終わらせず、承諾を得た日付と相手の名前を書き留めておいてください。承諾が得られず2週間を待つ場合も、申し入れた日付が分からなければ、契約が終わる日を数えられません。
一方、この期間の長さにも限りがあります。適性を見るのに必要な期間を超える長すぎる試用期間は、その限りで無効と解されています*2。労働条件通知書に書かれた期間の長さが、入社前に聞いた説明と同じかどうかも見比べておいてください。
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2. 合意退職と任意退職は効力が出る時点が違う
労働契約の終わり方には、合意退職(合意解約)と任意退職(辞職)などがあります*1。合意退職とは、労働者の退職の申し込みに会社が応じて、契約を終えることです*1。任意退職とは、労働者の側から一方的に労働契約の解約を申し入れることで、辞職とも呼ばれます*1。
実際に2つの違いが表れるのは、会社が退職をすぐには認めないときです。合意退職は会社の承諾で成り立つので、承諾が得られなければ退職日は決まりません。任意退職の申し入れであれば、会社が承諾しなくても2週間後には効力が出ます*1。退職日を話し合いで決めたいのか、日付を区切って辞めたいのかで、上司への伝え方を変えてください。
ただし、出したあとに取り消せるかどうかは、2つで同じではありません。合意退職の申し込みなら、会社が承諾するまでは撤回できます*1。任意退職を申し入れたあとや、合意退職を会社が承認したあとは、撤回するのに会社の同意が要ります*1。迷いが残っている段階では、日付を区切った退職届を出す前に、上司と退職の時期を話してください。
そのため、上司に切り出す前に、退職日を相談したいのか、日付を決めて退職を申し入れるのかを自分の中で決めておきます。相談として話すなら、退職日は会社との話し合いの中で決まっていきます。日付を決めて申し入れるなら、その日付と退職の意思を書いた退職届を用意してから話してください。
3. 労働条件が約束と違えば即時に退職できる
働き始めた時や初めての給料を受け取った時に、実際の労働条件が約束と違っていれば、それを理由に即時に退職できます*1。この決まりは労働基準法15条にあり、会社の承諾も2週間の経過も待たずに辞められます*1。ここでいう約束とは、入社前に労働条件通知書などで示された条件のことです。
そのため、最初に見るのは、手元の労働条件通知書と、実際に働いている条件の食い違いです。給与の額や勤務時間が書面と違っていれば、書面と給与明細を並べて上司に伝えてください。給与の額の違いは明細に数字で出るため、最初の給与明細は捨てずに取っておいてください。
一方、条件の違いを理由にしない退職では、労働基準法15条は使えません。通常の退職と同じく、会社の承諾を得るか、申し入れから2週間が過ぎるのを待ちます*1。条件の違いがあるかどうか分からないときは、書面のどの行と実際が違うのかを先に紙へ書き出しておいてください。
4. 試用期間中に辞めるときは就業規則から読む
まず、就業規則のうち退職について書かれた条文を読みます。退職を申し出る時期や、退職届の提出先と書式が定められていることがあります。定めがあれば、その手続に合わせて申し出てください。
次に、上司に退職の意思を伝えます。即日で辞めたいなら、その場で会社が承諾するかを聞き、承諾を得たら退職届の日付もその日にそろえてください。決めた日に辞めたいときは、合意退職の申し込みと受け取られない表現で、退職の意思をはっきり書いた退職届を出すのが無難です*1。
最後に、退職日と引継ぎの段取りを決めます。予告の期間を置かずに辞めると、会社は引継ぎや人員の手当てが間に合わず、業務に支障が出かねません*1。そのため、承諾を得て即日にする場合でも、担当していた作業の引継ぎ先は、退職の日までに上司と話して決めておいてください。
なお、2週間を数えるときは、退職の意思が会社に伝わった日の翌日を1日目にします*3。茨城労働局は、就業規則などに定めが無い場合、そこから14日が過ぎれば法律上は退職になると説明しています*3。退職届を郵送で出すなら、会社に届いた日があとから分かる送り方を選んでください。
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5. 辞め方ごとに退職の効力が出る時点
本採用の前に使える辞め方を3つ並べると、会社の承諾が要るかどうかと、効力が出る時点がそれぞれ違います。任意退職の効力は、会社の承諾があるときと無いときで2つに分かれます*1。入社した時点で労働契約は始まっているため、どの辞め方でも本採用の前だから辞められないということはありません*2。
辞め方と退職の効力が出る時点
| 辞め方 | 会社の承諾 | 効力が出る時点 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 合意退職(合意解約) | 要る | 会社が退職の申し込みに応じたとき | *1 |
| 任意退職(辞職) | 無くてもよい | 承諾があればその時点、無ければ申し入れの2週間後 | 民法627条1項*1 |
| 労働条件が約束と違う場合 | 要らない | 即時 | 労働基準法15条*1 |
つまり、承諾が無いまま辞める日を早められるのは、表の中では労働条件と約束が食い違っていたときです。任意退職では、会社が承諾しない限り、申し入れから2週間は契約が続きます*1。即日を望むなら、会社の承諾を得るか条件の違いを示すかの2つで、どちらを取るかによって上司に見せる書類も違います。
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6. 辞めるときに手元で見る4つの書類
上司と話す前に、日付と条件を示せる書類を4つ手元にそろえておいてください。
試用期間中に辞めるときに手元で見るもの
- 労働条件通知書:入社前に約束した給与や勤務時間を、実際の条件と比べるのに使う
- 就業規則の退職の定め:退職を申し出る手続と、退職届の提出先を知るのに使う
- 最初の給与明細:給与の額が約束と違っていないかを、数字で示すのに使う
- 出した退職届の控え:いつ退職を申し入れたかを、あとから示すのに使う
そのため、退職届は写しを取ってから出してください。会社が退職を認めないと言ってきたときも、申し入れた日が分かれば、2週間がいつ過ぎるかを自分で数えられます。労働条件通知書と最初の給与明細は、条件の違いを理由に辞める場合に、どの条件がどう違うのかを上司へ見せる書面です。
労働条件通知書が見つからないときは、入社前に会社から受け取った書面やメールのうち、給与や勤務時間が書かれたものを探してください。給与明細は、最初の月の分と直近の分を並べると、条件がいつから違っていたのかが分かります。退職届を郵送したときは、控えと一緒に送った記録も保管しておいてください。
7. よくある質問
Q1. 試用期間中でも退職は2週間前に言わないといけませんか
A. 会社が承諾すれば、2週間を待たずに即日でも辞められます*1。承諾が無いときは、退職の申し入れが会社に届いてから2週間が過ぎた時点で契約が終わります*1。解約権を残した期間であっても労働契約の中にあるので、本採用の前でもこの扱いは変わりません*2。
Q2. 会社に辞めさせないと言われたらどうなりますか
A. 退職届を出すなど退職の申し入れをしていれば、会社がいくら認めないと言っても、原則としてその後2週間で労働契約は終わります*1。会社の承諾は、任意退職の効力が生じるための条件ではないからです*1。申し入れた日付が残るよう、書面で伝えてください。
Q3. 出した退職届は取り下げられますか
A. 任意退職の申し入れとして出した退職届なら、取り下げには会社の同意が要ります*1。合意退職の申し込みとして出したものは、会社が承諾する前であれば撤回できます*1。会社が承認したあとに撤回したいときも、会社の同意を得なければいけません*1。
Q4. 就業規則に2週間より前に申し出るよう書かれていたら従うべきですか
A. 2週間という期間を就業規則で大幅に延ばす規定などは、無効とされています*1。東京地方裁判所の昭和51年10月29日の判決(高野メリヤス事件)で示された考え方です*1。それでも会社の業務に支障が出ないよう、予告期間を見込んで早めに申し出るのが無難です*1。
Q5. 労働条件が約束と違うと気づいたらその日のうちに辞められますか
A. 入社時に示された給与や勤務時間などが実際と違っていれば、会社の承諾を待たずに即時に退職できます*1。根拠は労働基準法15条です*1。上司に伝えるときは、通知書の項目と実際の条件を1つずつ並べて示してください。
8. まとめ:試用期間の退職は会社の承諾があれば当日も可能
この記事のまとめ
- 試用期間中でも、会社の承諾があればその日のうちに辞められる*1
- 承諾が得られなくても、申し入れの2週間後には労働契約が終わる*1
- 働き始めた時の労働条件が約束と違えば、労働基準法15条により即時に退職できる*1
- 取り下げの扱いは合意退職と任意退職で異なり、任意退職の撤回には会社の同意が要る*1
辞めると決めたら、まず就業規則を開いてから上司へ意思を伝え、退職届を出すときは控えを手元に残してください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「確かめよう労働条件:退職、解雇、雇止めなど」
*2 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例 3-4 試用期間
*3 茨城労働局「やめたいのにダメと言われて困ってる」
転職ノウハウ その他の記事
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