時短勤務で正社員は可能?制度の種類と使える期間

正社員のまま時短勤務で働けるかどうかは、会社が使っている制度の名前で変わります。育児や介護を理由にした短時間勤務、会社が独自に定める短時間勤務の制度、所定労働時間そのものが短い求人では、対象になる理由も、いつまで使えるかという期間の扱いも異なります。求人票に書かれた一文だけでは、どの制度に当たるかを判断できません。
転職によって働き方を変える人は、雇用動向調査で全体の9.7%です*1。時短勤務を続けられる会社を探して転職する道は、珍しい選択ではありません。制度の名前を先に聞いておけば、入社後に「対象外でした」と言われずに済みます。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 時短勤務にあたる制度は、育児・介護休業法にもとづく短時間勤務、会社独自の短時間勤務の制度、所定労働時間そのものが短い求人の3つに分かれます。対象になる理由も期間の扱いも、制度ごとに異なります。
- 転職によって働き方を変える人は、雇用動向調査で全体の9.7%でした*1。この働き方を続けられる会社かどうかは求人票だけでは分からず、面談での確認が欠かせません。
- テレワークを実施している正社員は全体で22.5%です*2。この制度とテレワークを組み合わせられるかどうかも、求人ごとに条件が異なります。
1. 時短勤務の正社員求人は制度の名前で変わります
正社員のまま時短勤務で働けるかどうかは、会社が使っている制度の名前で変わります。育児や介護を理由にした短時間勤務、会社が独自に定める制度、所定労働時間そのものが短い求人では、それぞれ対象になる理由も、いつまで使えるかも異なります。厚生労働省の雇用動向調査では、転職によって働き方を変える人は全体の9.7%でした*1。この働き方を続けられるかどうかは、求人票の一文だけでは分かりません。根拠になる制度の名前まで聞く必要があります。
「時短勤務」という言葉は、法律にもとづく制度と、会社が独自に定める制度の両方を指して使われます。対象になる理由や、いつまで使えるかという期間は、会社ごとの規定によって異なります。
所定労働時間そのものが短い求人なら、期間の定めはありません。この場合は「働き方を切り替える」のではなく、最初から短い時間を前提にした正社員の求人として募集されています。
制度の名前が同じでも、根拠が育児・介護休業法か会社独自の規定かで、対象になる理由も適用できる期間も同じではありません。求人票に書かれた言葉をそのまま受け取らず、根拠を確認する必要があります。
制度の名前が分からないまま応募すると、内定後に条件のずれに気づくことになります。求人票の記載だけで判断せず、早い段階で人事や採用担当に尋ねる姿勢が、入社後の見通しを立てやすくします。
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2. 時短勤務には3つの入り口があります
会社が採用している制度によって、入り口は3つに分かれます。
育児や介護を理由にする短時間勤務は、育児・介護休業法にもとづく制度です。育児を理由とする場合、対象は3歳未満の子を養育する労働者で、1日原則6時間です*4。ここは会社によって変わりません。会社ごとに違うのは、この下限をどこまで上回るかという部分です。
会社独自の制度は、対象になる理由を会社が広く定めている場合があります。育児や介護に限らず利用できる会社もあれば、対象を絞っている会社もあります。
所定労働時間そのものが短い求人は、切り替えが前提の制度ではありません。求人票に書かれた勤務時間が、最初から短い時間になっています。3つのどれに当たるかは求人票の表記だけでは分からないことも多く、面談で確認する必要があります。
求人票に対象理由が書かれていない場合は、会社独自の制度であっても対象を広く定めているとは限りません。面談で対象理由を確認せずに応募すると、入社後に対象外だったと分かるずれにつながります。
3. 会社の規定によって扱いが分かれます
育児・介護休業法にもとづく短時間勤務は、対象と時間が法律で決まっています。育児を理由とする場合は3歳に満たない子を養育する労働者が対象で、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むことが事業主に義務づけられています*4。会社の就業規則で決まるのは、この下限を上回る部分(対象を広げる、期間を延ばすなど)です。
会社独自の制度は、法律で定められた枠組みを上回る形で用意されていることがあります。適用できる期間や、対象になる理由の広さは会社によって異なり、共通の基準はありません。
「いつまで使えるか」は、根拠になる制度で答えが分かれます。育児・介護休業法にもとづく短時間勤務なら、育児を理由とする場合は子が3歳になるまでです*4。会社独自の制度や、所定労働時間そのものが短い求人には法律の定めがないため、期間を区切らずに運用している会社もあります。
子が3歳になったあとは、別の仕組みに変わります。2025年10月1日から、事業主は3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、次の5つから2つ以上を選んで用意する義務を負い、労働者はそのうち1つを選べます*4。
- 始業時刻等の変更(フレックスタイム制・時差出勤)
- テレワーク等(月10日以上)
- 保育施設の設置運営等
- 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
- 短時間勤務制度(1日原則6時間)
5つのうちどの2つを用意しているかは会社によって違うので、3歳以降も短い時間で働きたい場合は、短時間勤務制度が選ばれているかを面談で聞きます。あわせて2025年4月1日から、残業の免除を請求できる対象が3歳未満から小学校就学前まで広がりました*4。
求人票に「時短勤務相談可」と書かれていても、根拠になる制度が育児・介護休業法なのか、会社独自の規定なのかは書かれていないことがあります。面談で制度の名前を尋ねることが、確認の起点になります。
会社によっては、この働き方を選ぶと雇用形態が変わる場合もあります。正社員の身分のまま勤務時間だけを短くする制度なのか、契約社員やパートタイムへの転換を伴う制度なのかは、名称だけでは分かりません。雇用形態が変わるかどうかも、確認しておきたい点です。
4. 3つの制度を表で比べます
この3つの制度を、対象になる理由と期間の扱いで比べます。
【表1】時短勤務にあたる3つの制度の比較
| 制度 | 対象になる理由 | 期間の扱い | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 育児・介護の短時間勤務 | 子の養育や親族の介護など、法律が定める理由 | 育児は子が3歳になるまで*4(会社がこれを上回る期間を定めている場合もある) | 就業規則・人事 |
| 会社独自の短時間勤務の制度 | 会社が定める理由(育児・介護に限らない場合もある) | 会社の規定による | 就業規則・求人票 |
| 所定労働時間が短い求人 | 求人票の勤務時間欄で最初から短い時間 | 期間の定めがないことが多い | 求人票 |
表のとおり、対象になる理由も期間の扱いも、制度によって異なります。同じ言葉が使われていても、根拠が変われば確認すべき点も変わります。
厚生労働省の調査では、一般労働者の賃金は25〜29歳で月279.4千円でした*3。これはこの働き方の場合の金額ではなく、勤務時間を区別しない一般的な集計です。求人票の給与欄を確認するときは、この数字を大まかな水準の目安としたうえで、実際の計算方法を別途確認する必要があります。
求人票に「時短勤務」という言葉が使われていなくても、勤務時間の短い正社員求人が募集されていることがあります。言葉の有無だけで判断せず、勤務時間欄そのものを確認することが大切です。
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5. 確認する時期を3つに分けます
選考のどの段階で確認するかによって、得られる情報が変わります。
求人票の勤務時間欄だけでは、どの制度にあたるのか、最初から短い時間の求人なのかを見分けられないことがあります。応募前の段階で使えるのは、求人票に書かれている情報だけです。
面談では、制度の名前と対象になる理由を直接尋ねられます。「時短勤務相談可」という表記が、育児・介護休業法にもとづく制度を指すのか、会社独自の制度を指すのかを、この段階で確認できます。
内定後は、適用できる期間や延長の可否を書面で確認できました。口頭での説明と書面の内容が異なる場合もあるため、入社前に確認しておくことが、後のずれを防ぎます。
面談担当者が制度に詳しくない場合は、人事部門へ確認できるかどうかを、あわせて尋ねておくと後の手戻りを防げます。
6. 求人票と面談で聞く4つの項目
時短勤務の求人に応募するとき、求人票と面談の両方で聞いておく項目は4つです。
確認する項目
- 制度の名前:育児・介護休業法にもとづく短時間勤務か、会社独自の制度か、所定労働時間そのものが短い求人かを確認します。
- 対象になる理由:子の年齢や介護の必要性など、対象理由が限定されているかどうかを確認します。
- 適用できる期間:いつまで利用できるか、延長できるかどうかを確認します。
- 給与の扱い:勤務時間に応じて計算するのか、別の基準があるのかを求人票と面談の両方で確認します。
4つの項目は、どれか1つだけ分かっても答えになりません。制度の名前が分かっても、対象になる理由や期間が分からなければ、いつまで今の働き方を続けられるかが見通せません。
求人票に「時短勤務相談可」とだけ書かれている場合、制度の名前までは読み取れないことがあります。面談で名前を尋ねることが、確認の起点になります。
給与の扱いも会社によって異なります。勤務時間に比例して計算する会社もあれば、別の基準を設けている会社もあるため、求人票の給与欄だけで判断しない方がよい項目です。
求人票の記載内容と面談での説明が食い違う場合は、内定通知や雇用契約書に明記してもらうよう依頼することもできます。
4つの項目をすべて一度に尋ねる必要はありません。求人票で分かる範囲を先に読み、面談では求人票に書かれていなかった点だけを尋ねると、限られた時間でも足ります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 時短勤務は正社員の身分のまま利用できるか
A. 制度によって異なります。会社独自の制度や、所定労働時間そのものが短い求人であれば、正社員の身分のまま働ける場合があります。求人票や面談で確認が必要です。
Q2. 時短勤務はいつまで利用できるか
A. 会社の規定によって異なります。対象理由が限定されている制度もあれば、期間を区切らずに運用している会社もあるため、就業規則や面談で確認する必要があります。
Q3. 短時間勤務にすると給与はどう変わるか
A. 会社ごとに計算方法が異なります。勤務時間に応じて計算する会社もあれば、別の基準を設ける会社もあるので、求人票の給与欄か面談で聞いてください。
Q4. 転職先を選ぶときに何を確認すればよいか
A. 制度の名前、対象になる理由、適用できる期間の3点を、求人票と面談の両方で確認しておくと、入社後のずれを防げます。
Q5. 短時間勤務にすると雇用形態も変わるか
A. 会社によって違います。正社員の身分のまま勤務時間だけを短くする制度もあれば、契約社員やパートタイムへの転換を伴う制度もあるため、求人票や面談で確認する必要があります。
8. まとめ:正社員のまま働ける制度は名前で決まります
この記事の要点
- 時短勤務には、育児・介護休業法にもとづく制度、会社独自の制度、所定労働時間そのものが短い求人の3つがあります。
- 対象になる理由も、いつまで使えるかという期間も、制度によって異なります。求人票の一文だけでは判断できません。
- 厚生労働省の雇用動向調査では、転職によって働き方を変える人は全体の9.7%でした*1。この働き方を続けられる会社を探して転職する道は、珍しい選択ではありません。
- 求人票と面談で、制度の名前・対象になる理由・適用できる期間・給与の扱いの4点を確認しておくことが、入社後のずれを防ぐ土台になります。
時短勤務という同じ言葉でも、根拠になる制度が違えば、いつまで使えるかも変わります。求人票を読むときは、書かれている言葉の先にある制度の名前まで聞いてください。制度の名前が分かれば、対象になる理由も、いつまで使えるかという期間も、あわせて確認できるようになります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
*2 パーソル総合研究所「第十回テレワークに関する調査」(2025年)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*4 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(令和6年12月改訂)
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