退職の手続きがされてない|会社の期限は雇用保険が10日以内

前の会社が退職の手続きをする期限は、雇用保険が10日以内、健康保険・厚生年金が5日以内です*1*3。期限を過ぎても離職票が届かないときは、会社に問い合わせたうえで、ハローワークに被保険者でなくなったことの確認を請求できます*2。離職票は、失業保険の手続きに使う書類です。
協会けんぽ(全国健康保険協会)に入っていた人は、健康保険の資格を失った日の証明も、本人から日本年金機構に請求できます*4。源泉徴収票が退職後1か月を過ぎても来なければ、税務署へ届け出られます*5。まず会社に、手続きをした日を尋ねてください。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 雇用保険の資格喪失届(保険の資格がなくなったことを知らせる届)は、会社が10日以内にハローワークへ出します。離職票は、そのとき添える離職証明書をもとにハローワークが作る書類です。
- 健康保険と厚生年金の資格喪失届は、会社が5日以内に日本年金機構へ出します。協会けんぽの被保険者だった人は、会社を通さずに資格喪失日の証明を受けられます。
- 源泉徴収票の交付期限は、中途で辞めた人なら退職後1か月です。過ぎても届かないときは、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出せます。
1. 雇用保険は10日以内・健康保険と厚生年金は5日以内
会社が退職の手続きを済ませる期限は法令で決まっていて、雇用保険が10日以内、健康保険・厚生年金が5日以内です*1*3。期限を過ぎても書類が来ないときは、会社への問い合わせと並べて、ハローワークに確認を請求できます*2。確認の請求とは、雇用保険に入っていたか、抜けたかをハローワークに確認してもらう手続きです。会社の返事を待っているあいだにも、この請求は出せます*2。
雇用保険の期限は、雇用保険法施行規則第7条が定めています*1。会社は、退職日の翌日(資格がなくなる日)の次の日から数えて10日以内に、資格喪失届をハローワーク(公共職業安定所)へ出します*1。離職が理由のときは、この届に「雇用保険被保険者離職証明書」と賃金台帳などを添えます*1。
離職証明書は、ハローワークが離職票を作るもとになる書類です。そのため、会社が届と離職証明書を出すまで、離職票は作られません。「退職の手続きがされてない」と感じたときは、まず10日以内の期限が過ぎたかを数えます。
健康保険と厚生年金では、会社が「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を、資格を失った日から5日以内に日本年金機構へ出します*3。資格を失う日は雇用保険と同じく退職日の翌日で、3月31日に辞めた人なら4月1日です*3。
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2. 返事が無ければ本人から窓口に請求する
期限を過ぎていたら、最初に前の会社の担当者へ連絡してください。聞くのは、ハローワークと日本年金機構に届を出した日と、離職票などの書類を本人あてに送った日の2つです。届を出した日が分かれば、書類が会社の中で止まっているのか、送られてくる途中なのかの見当がつくためです。
問い合わせはメールで送ると、送った日と文面が手元に残ります。文面は短くてかまいません。たとえば「3月31日まで在籍していた者です。雇用保険と健康保険の資格喪失届を出した日と、離職票を送った日を教えてください」と書けば、聞きたいことが伝わります。
源泉徴収票もまだ来ていないなら、同じメールに「源泉徴収票を送った日」も1行足します。交付期限は退職後1か月なので、それより前なら送る予定の日を聞いてください*5。1通にまとめておけば、会社の返事も窓口で見せる記録も1通で済みます。
一方、返事が来ないときや、届を出した日を会社が答えられないときは、会社の返事を待たずに本人が動けます。雇用保険はハローワーク、協会けんぽの健康保険は日本年金機構、源泉徴収票は税務署が窓口です*2*4*5。どの窓口に行くときも、会社に問い合わせた日とその返事の中身を伝えてください。
ただし、手続きをした日の返事があったときは、その日を起点に書類が届くのを待ちます。届が期限の内側に出ていれば、会社は期限を守っています。待つあいだに引っ越しをしたら、新しい住所を会社へ伝えておくと書類の行き違いを防げます。
3. 会社を通さずに本人が出せる2つの請求
雇用保険法第8条は、被保険者と、被保険者であった人が、いつでも確認を請求できると定めています*2。確認の中身は、雇用保険に入ったことと、雇用保険から抜けたことの2つです*2。会社を辞めた人が使うのは後者で、在職していなくても請求できます*2。
そのため、会社からの返事が無いまま離職票も来ないときは、ハローワークに相談し、資格を失ったことの確認を求めてください*2。請求に使う書式の名前や窓口での手順は、相談したハローワークで案内を受けられます。相談の場では、辞めた日が分かる書面と雇用保険被保険者証を見せると、どの会社のどの期間の話かが伝わります。
健康保険の側にも、会社を通さずに本人が出せる書類が用意されています。協会けんぽの被保険者だった人は、「健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)」を日本年金機構へ出せます*4。資格喪失日などを証明してもらう書類で、国民健康保険に入る手続きで会社の証明が来ないときのためのものです*4。
確認請求書は、協会けんぽに入っていた人向けの案内です*4。健康保険組合に入っていた人は、日本年金機構ではなく組合の手続きになります。前の会社が加入していた組合に、資格喪失を証明する書類の出し方を問い合わせます。
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4. 資格を失う日から数える3つの期限
期限の起点は、退職日ではなく資格を失う日です。健康保険・厚生年金も雇用保険も、資格を失うのはその翌日です*1*3。在籍の最後の日が3月31日なら、雇用保険の10日は4月2日を1日目として数えます*1。
ただし、雇用保険の10日と健康保険・厚生年金の5日が過ぎるまでは、会社はまだ期限の内側にいます*1*3。この間に書類が来ないのは、手続きの遅れとは限りません。会社へ問い合わせるのは、それぞれの期限の最後の日を過ぎてからにしてください。
源泉徴収票は、資格ではなく会社を辞めた日から数えます。中途で辞めた人への交付期限は、退職後1か月です*5。1か月たっても来なければ、「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署へ随時出せます*5。
退職から1か月が過ぎた時点で、3つの期限はすべて過ぎています。その時点で離職票も健康保険の証明も源泉徴収票も届いていなければ、会社に連絡してから、書類ごとの窓口へ本人から請求します。期限の日付は、辞める日が決まった時点で手帳やカレンダーに書き込んでおくと数え間違えません。
5. 届かない書類ごとに変わる請求先
届かない書類によって、本人が請求する先は変わります。会社に直接請求するのは退職証明書だけで、ほかの3つは会社の返事が無くても本人から窓口へ持ち込めます*2*4*5。退職証明書とは、辞めた人の求めに応じて会社が出す、在籍していた事実と辞めた事実を証明する書面です*6。
離職票や源泉徴収票が届かないときの請求先
| 届かないもの | 会社の期限 | 本人が請求する先 |
|---|---|---|
| 離職票 | 10日以内*1 | ハローワーク(確認の請求)*2 |
| 健康保険の資格喪失の証明 | 5日以内*3 | 日本年金機構(協会けんぽの人)*4 |
| 源泉徴収票 | 退職後1か月*5 | 税務署(不交付の届出)*5 |
| 退職証明書 | 請求したら遅滞なく*6 | 会社 |
「源泉徴収票不交付の届出書」を出すときは、給与支払明細書が残っていればその写しを添えます*5。明細は辞めたあとも捨てずに保存しておくと、どの月の給与が支払われたかを示せます。届出書の出し方は、国税庁の「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」の案内に載っています*5。
一方、退職証明書を会社が交付するのは、本人から請求があったときです*6。離職票が届くまでのあいだに辞めた事実を書面で示したいときは、会社へ退職証明書を請求してください。請求の連絡も、離職票の問い合わせと同じメールにまとめられます。
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6. 問い合わせの前に手元へそろえる書面は3つ
会社に連絡するときも窓口で相談するときも、辞めた日と給与と雇用保険の番号が分かる書面があると話が通じます。
会社に問い合わせる前に手元にそろえるもの
- 退職日が分かる書面(退職届の控え・辞めることを合意したメール):期限を数え始める日を示す書面です
- 最後の給与明細:税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出すとき、写しを添えます*5
- 雇用保険被保険者証(持っていれば):被保険者番号が書かれていて、相談のときに番号を伝えられます
そろえた書面に加えて、問い合わせをした日付と相手の名前も控えておきます。窓口に相談するときに、会社とのやりとりを日付の順に説明できます。問い合わせをメールで送っていれば、そのメールが記録として残っています。
退職届の控えが無い人が代わりに使えるのは、辞めると合意したときのメールや、会社から届いた手続きの案内です。紙の書類が無いときは、そうしたメールを印刷するか、画面ですぐ開けるようにしておきます。雇用保険被保険者証が見当たらないときは、その旨を窓口で伝えたうえで相談します。
7. よくある質問
Q1. 離職票が届かないと失業保険はどうなりますか?
A. 離職票を待ち続けなくても、ハローワークに確認の請求を出せます*2。請求できるのは被保険者であった人で、在職中である必要はありません*2。相談の場では、前の会社へ連絡した日と返ってきた答えを伝えます。
Q2. 国民健康保険に入るのに会社の書類が来ないときはどうすればよいですか?
A. 協会けんぽに加入していた人なら、日本年金機構に「健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)」を出します*4。資格喪失日などの証明を、会社を通さずに受けられます*4。健康保険組合の加入者だった場合は、その組合に問い合わせてください。
Q3. 源泉徴収票が来ないと年末調整や確定申告はどうしますか?
A. 交付期限の退職後1か月を過ぎたら、「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署に出します*5。届出書には、残っている給与支払明細書の写しを添えます*5。
Q4. 退職証明書は会社に頼めば出してもらえますか?
A. 請求すれば出してもらえるのが法律の決まりです。労働基準法第22条は、辞めた人が請求したら、会社は遅滞なく交付しなければならないと定めています*6。証明を頼める事項は、使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由です*6。
8. まとめ:会社の期限を数えてから窓口に相談
離職票や源泉徴収票が届かないときに覚えておくこと
- 雇用保険の資格喪失届と離職証明書は、会社が10日以内に出す
- 健康保険と厚生年金の届は、資格を失った日から5日以内
- 会社の返事が無ければ、ハローワークに確認を請求できる
- 源泉徴収票は退職後1か月を過ぎたら、税務署に不交付の届出を出せる
辞める日が決まったら期限の日付を書き出し、過ぎても書類が来なければ、会社への問い合わせのメールを送ってから窓口に相談してください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 雇用保険法施行規則 第7条
*2 雇用保険法 第8条
*3 日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」
*4 日本年金機構「7-6:国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき」
*5 国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」
*6 労働基準法 第22条
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