転職エージェントの返金とは?早期退職と求職者の手数料

転職エージェントの返金(返戻金制度)は、早期離職の際に事業者が雇用主へ手数料を返す制度です*2。返す先は雇用主で、求職者が払う・受け取る制度ではありません*2。求職者が転職エージェントへ費用を払う場面は、原則として生じません*1。
例外は、芸能家・モデルや、賃金が一定額を超える科学技術者・経営管理者・熟練技能者に限られます*2*4。上限は就職後6か月以内の賃金の11%です(免税事業者は10.3%)*2。返戻金制度は、求職者に請求する制度ではありません*2。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 有料職業紹介事業者は、原則として求職者から手数料を受け取ってはならないと定められています*1(職業安定法第32条の3第2項)。手数料が発生するのは、芸能家・モデルや、就職後1年の賃金が700万円相当を超える科学技術者・経営管理者・熟練技能者に紹介された場合に限られます*2*4(施行規則第20条第2項)。
- 返戻金制度は、事業者が雇用主から受け取った手数料を、早期離職などの際に雇用主へ返す仕組みです*2(施行規則第24条の5第1項第2号)。返す先は雇用主であり、求職者が事業者へ払ったり受け取ったりする制度ではありません*2。
- 返戻金制度を設けることは望ましいとされていますが、義務ではありません*3(指針・第五の五)。無期雇用として就職した人には、就職日から2年間、事業者が転職を勧めてはならないと定められています*3。
1. 転職エージェントの返金は原則不要で例外は一部の職種に限られる
転職エージェントの返金(返戻金制度)は、事業者が雇用主から受け取った手数料を、早期離職などの場合に雇用主へ返す制度です*2。有料職業紹介事業者は原則として、求職者から手数料を受け取ってはならないと定められています*1(職業安定法第32条の3第2項)。そもそも職業紹介に関しては、法律が定める場合を除き、いかなる名義でも手数料や報酬を受けられない決まりです*1(同条第1項)。例外は、芸能家・モデルや、就職後1年の賃金が700万円相当を超える科学技術者・経営管理者・熟練技能者に限られます*2*4(施行規則第20条第2項)。上限額は、就職後6か月以内に支払われた賃金の11%で、免税事業者は10.3%です*2。
2. 手数料と返戻金の流れは雇用主と事業者の間で完結する
求人者(雇用主)は、紹介を受けて採用が決まると、契約に基づいて事業者へ手数料を支払います。求職者がこの段階で費用を負担することはありません*1。紹介を受けて入社した人が早期に離職したときなどは、返戻金制度が適用されることがあります*2(施行規則第24条の5第1項第2号)。その場合、事業者は受け取った手数料の全部か一部を雇用主へ戻します。この流れの中に、求職者へお金を渡す場面や、求職者からお金を受け取る場面は入っていません*2。
返戻金制度を設けるかどうかは、有料職業紹介事業者ごとの判断に委ねられています*3。設ける場合は、その中身を求人者と求職者の両方へ知らせることになっています*3。手数料表や返戻金制度についての書面は、事業所内の掲示やウェブサイトなど、確認しやすい方法で公開する決まりです*2(施行規則第24条の5第4項)。求職者が知りたい内容は、この書面を見れば分かります。
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3. 返戻金制度は義務ではなく明示と情報提供の対象になる仕組み
返戻金制度を設けること自体は、有料職業紹介事業者にとって任意であり、法令上の義務ではありません*3(指針・第五の五)。無期雇用の形で就職した人には、一定期間、転職の勧奨を受けない期間も定められています*3。
有料職業紹介事業者は、無期雇用で就職した人のうち、就職後6か月以内に離職した人(解雇を除く)の数を情報提供します*2(施行規則第24条の8第3項)。この人数は、返戻金制度の事項と並んで、人材サービス総合サイトで情報提供する項目の1つに挙げられています*2。離職した人数が分かれば、早期離職がどの程度起きているかを、応募する前に見ておけます。この人数も、返戻金制度に関する事項と同じく、書面で確認できる情報の1つです。
4. 手数料が発生するのは原則から絞り込まれた例外に限られる
手数料を求職者から受け取ってよいかどうかは、土台の原則から上へ絞り込んで見ると分かりやすくなります。
例外に当てはまるかどうかは、紹介される職種と、就職後の賃金の水準で決まります*2(施行規則第20条第2項)。科学技術者(技術者)として紹介され、賃金がその基準を超える場合は、この例外に当たり得ます*2*4。
自分が受ける紹介がこの例外に当たるかどうかは、契約前に事業者へ聞いておくと迷いにくくなります。職種名だけでなく、想定される賃金の水準まで併せて聞いておくと、上限に触れるかどうかが分かりやすくなります。
5. 早期離職に関わる規定の内容と当てはまる人
紹介で就職した人が早期に離職した場合に関わる規定は、次の4つです。手数料の負担者と返戻金の返還先は、規定によってそれぞれ変わります。
早期離職に関わる規定の内容と当てはまる人
| 規定 | 内容 | 当てはまる人 |
|---|---|---|
| 求職者への手数料の原則 | 有料職業紹介事業者は求職者から手数料を受け取ってはならない*1(職業安定法第32条の3第2項) | 紹介を受けるすべての求職者 |
| 手数料を取れる例外 | 就職後1年の賃金が700万円相当を超える人などに限り上限は就職後6か月以内の賃金の11%(免税事業者は10.3%)*2*4(施行規則第20条第2項) | 芸能家モデルや高収入の科学技術者経営管理者熟練技能者 |
| 返戻金制度 | 早期離職などの場合に事業者が雇用主へ手数料を返す制度*2(施行規則第24条の5第1項第2号) | 設けるかどうかは事業者の任意*3(指針・第五の五) |
| 転職勧奨の禁止 | 無期雇用として就職した人には就職日から2年間転職を勧めてはならない*3(指針・第五の五) | 無期雇用として紹介を受けた人 |
表の4つの規定は、いずれも求職者本人が事業者へお金を払ったり受け取ったりする場面を定めたものではありません。手数料の負担も返戻金の受け渡しも、雇用主と事業者との契約の中で処理されます。求職者に関わるのは、手数料を負担しない立場であることと、無期雇用の場合は一定期間、転職を勧められない立場であることの2点です。
手数料表や返戻金制度に関する事項は、求人者と求職者の双方へ明示される決まりになっているため*3、疑問点があれば応募先の事業者に問い合わせてみてください。
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6. 早期退職を控えた求職者が押さえておく3つのこと
早期に退職する場合の返金や手数料の扱いは、次の3つを押さえておくと確認できます。無期雇用で就職したときの勧誘規定も、この3つに含まれます。
早期退職の前に押さえておく3つのこと
- 手数料の原則:求職者からの手数料は原則として発生しないことを押さえます*1。ただし賃金が一定の水準を超える科学技術者・経営管理者・熟練技能者への紹介などは、手数料の例外に当たり得ます*2*4
- 返戻金制度の有無:事業者のウェブサイトなどで、手数料表と返戻金制度に関する書面が示されているかを見ます*2
- 無期雇用の場合の勧奨禁止:無期雇用として就職した場合は、就職日から2年間、事業者が転職を勧めてはならないと定められていることを押さえます*3(指針・第五の五)
3つのうち、最初に押さえておきたいのは手数料の原則です。手数料を求職者が負担することは、法令上、原則として想定されていません*1。早期に退職したという事情があっても、この原則そのものが変わるわけではありません。
返戻金制度は、早期離職などの際に、事業者が受け取った手数料を雇用主へ戻す仕組みであり、求職者本人にお金の出入りが生じる制度ではありません*2。無期雇用として就職した場合は、転職を勧められない期間があらかじめ決まっています*3。分からない点は、担当のエージェントに直接尋ねてみてください。
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7. よくある質問
Q1. 転職エージェントに手数料を払うことはありますか
A. 通常はありません*1。ただし、賃金が一定の水準を超える科学技術者などは、手数料の例外に当たり得ます*2*4。契約前に、手数料の有無を書面で確認してください。
Q2. 早期に退職したら返金を求められますか
A. 返戻金制度で戻るのは雇用主が支払った手数料であり、求職者に請求される仕組みではありません*2。求職者から手数料を取れるのは、例外の場合だけです*1。
Q3. 返戻金制度はすべての事業者にありますか
A. 事業者ごとに異なります。返戻金制度を持つかどうかは事業者が任意に選べる仕組みで、法令上の義務ではありません*3(指針・第五の五)。設けているかどうかは、事業者ごとの手数料表や返戻金制度に関する書面で見分けられます*2。
Q4. 無期雇用で入社した後にすぐ転職を勧められることはありますか
A. 事業者は、紹介で無期雇用として就職した人に、就職日から2年間、転職を勧めてはならないと定められています*3(指針・第五の五)。
8. まとめ:転職エージェントの返金は雇用主と事業者の間の制度
転職エージェントの返金についてのまとめ
- 有料職業紹介事業者は、原則として求職者から手数料を受け取ってはなりません*1
- 例外は、芸能家・モデルや、就職後1年の賃金が700万円相当を超える科学技術者・経営管理者・熟練技能者に限られ、上限は賃金の11%です(免税事業者は10.3%)*2*4
- 返戻金制度は、事業者が雇用主から受け取った手数料を早期離職の際に雇用主へ返す制度で、求職者が払う・受け取る制度ではありません*2
- 返戻金制度を設けることは望ましいとされていますが義務ではなく、無期雇用として就職した人には就職日から2年間、転職を勧めてはなりません*3
- 手数料表や返戻金制度に関する事項は、求人者と求職者の双方へ明示され、事業所内の掲示やウェブサイトなど確認しやすい方法で公開する決まりです*2*3
- 科学技術者・経営管理者・熟練技能者などとして紹介され、賃金がその基準を超える場合は例外に当たり得るため、契約前に手数料の有無を書面で確認しておきます*2*4
手数料や返戻金の規定は、求職者ではなく雇用主と事業者の側で処理されるものです。制度の有無や書面の置き場所が分からない場合は、応募前に、事業者のウェブサイトや担当者への問い合わせを通して確認しておいてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 職業安定法(e-Gov法令検索)
*2 職業安定法施行規則(e-Gov法令検索)
*3 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者…が適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号・厚生労働省 法令等データベース)
*4 職業安定法施行規則第二十条第二項の規定に基づき厚生労働大臣の定める額(厚生労働省)
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