転職サイトの退会で個人情報は消える?本人が消去を請求できる

転職サイトを退会しても、登録した個人情報がすぐに消えるとは限りません。サイトにとって使う必要がなくなった情報は、本人が消去を請求できます*2。転職サイトなどは、要らなくなった登録情報を破棄・削除する措置をとり、求めれば措置の内容を説明してもらえます*1。
請求の根拠は個人情報保護法35条5項で、利用停止(情報を使うのをやめさせること)も同時に求められます*2。消してほしい情報は、項目を具体的に挙げて伝えてください。退会の前には、選考中の企業の連絡先を手元に残しておきます。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 退会で登録情報を使う必要がなくなれば、本人は利用停止や消去を請求できます*2。事業者が応じるのは、本人の権利利益の侵害を防ぐのに必要な限度です*2。
- 転職サイトなどには、保管の必要がなくなった求職者の情報を破棄または削除する措置が求められています*1。いつ、どう消すかは措置の内容として、求めれば説明を受けられます*1。
- 退会の前に、応募した求人と選考の状況、企業の連絡先、登録したメールアドレスを控えておいてください。退会後に画面から見返せなくなっても、選考の連絡や消去の請求に使えます。
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1. サイトが使わなくなった登録情報は本人が消去を求められる
転職サイトを退会し、登録した個人情報をサイトが使う必要がなくなった場合、本人はその消去を請求できます*2。個人情報保護法35条5項は、利用する必要がなくなった場合などに、本人が利用停止・消去・第三者提供の停止を求められると定めています*2。請求の対象は保有個人データ(事業者が開示や消去などに応じられる個人データ)です*2。事業者は、本人の権利利益の侵害を防ぐのに必要な限度で請求に応じます*2。
一方、転職サイトの退会の手続きだけで登録情報まで消えるとは言い切れず、いつ、どの方法で消すかはサイトごとの措置です。職業安定法に基づく指針は、保管の必要がなくなった求職者の個人情報を破棄または削除する措置を求めています*1。講じている措置の内容は、求職者から求められれば説明する決まりです*1。
なお、登録した人の情報を集めて求人情報を届ける転職サイトは、特定募集情報等提供事業を営む事業者です*3。特定募集情報等提供事業とは、求人情報などを提供する事業のうち、仕事を探す人の情報を集めて提供に使うものを指します*3。令和4年10月1日施行の改正職業安定法で、この事業には事前の届出が必要になりました*3。指針が個人情報の取扱いを定める対象にも、届け出た特定募集情報等提供事業者が含まれています*1。
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2. 退会の前後でサイトがとる措置と本人の請求
退会する前、サイトは登録された個人情報を、集めた目的のためだけに保管し使う決まりです*1。本人の同意を得た場合や、ほかの法律に定めがある場合は、この限りではありません*1。どんな目的で集めて使うのかも、求職者が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に示すことになっています*1。
ただし、業務に必要な分を超えて集めることへの同意を、職業紹介や求人情報の提供の条件にしてはいけません*1。指針は、個人情報を正確で最新に保つこと、漏えいや、情報が失われたり壊れたりするのを防ぐこと、権限の無い人のアクセスを防ぐことも求めています*1。登録の画面で同意を求める項目が多いときは、どの目的で使うのかを規約の該当箇所で読んでおいてください。
そのため、登録内容の誤りは、退会する前でも訂正・追加・削除を請求できます*2。退会したあとは、それに加えて、サイトが使う必要のなくなった情報の利用停止や消去も求められます*2。請求しても応じてもらえるのは必要な限度までなので、消してほしい情報を項目ごとに書き出して伝えてください*2。
図の下の段のとおり、本人の請求は退会の前後で入れ替わるのではなく、重なっていきます。誤りの訂正は退会したあとも請求でき、使う必要がなくなったことを理由にした利用停止・消去が、そこに加わります*2。根拠の条文は訂正が34条、利用停止・消去が35条なので、請求の文面にはどちらを求めるのかを書き添えてください*2。
3. 消去を求める前に開示で登録内容を見る
消去を請求する前に、サイトが自分のどの情報を持っているかを知りたいときは、保有個人データの開示を請求できます*2。開示の方法は、電磁的記録(データのファイル)の提供を含めて、本人が指示できる決まりです*2。データで受け取っておけば、消してほしい項目を選ぶときにファイルを見ながら書き出せます。
一方、サイトがとっている措置の内容は、開示とは別に、求職者が求めれば説明を受けられます*1。説明を求められる措置には、情報の正確さを保つことや漏えいの防止、不要になった情報の破棄・削除などです*1。退会後の登録情報がいつ消えるのかを知りたいなら、まずこの説明を求めてください。
つまり、退会した人がとれる手は、開示で中身を見る、消去を請求する、措置の説明を求めるの3つです。3つとも本人から求めることが出発点で、何もしなければサイトの措置の中身は分かりません。求めるときは、どの情報について、開示・消去・説明のどれを求めるのかを分けて書くと、返事の食い違いを防げます。
4. 規約を読んでから退会し消去を請求する
まず、退会する前に転職サイトの利用規約とプライバシーポリシーで、個人情報を何に使うと書かれているかを読んでください。使い道を書いておくのはサイト側の務めで、指針は求職者が想定できるくらい具体的に示すよう求めています*1。退会したあとの情報の扱いについて書かれた箇所があれば、そこも読んでおいてください。
次に、応募中の選考がある場合は、選考が終わってから退会するほうが連絡の行き違いを防げます。消去の請求は退会したあとに出し、どの情報を消してほしいかを具体的に書きます。そのうえで、サイトがとる破棄・削除の措置の内容を尋ねてください*1。
なお、転職サイトの退会と消去の請求は、法律の上では別の手続きです。退会はサイトの利用をやめる手続きで、消去の請求は個人情報保護法35条にもとづいて本人が事業者に求めるものです*2。退会の画面で消去もまとめて求められるかどうかは、サイトの案内で見てください。消去を求める文面に退会した日と登録していたメールアドレスを書いておくと、サイトが本人の登録を探しやすくなります。
5. 本人が請求できることと条件
個人情報保護法は、本人が請求できることを条文ごとに分けて定めています*2。退会したかどうかに関係なく使えるものと、登録情報が不要になった後に使えるものがあるので、自分の状況に合う行を探してください。利用停止・消去の請求は、令和2年の改正法で請求できる場合が広がり、令和4年4月から施行されています*2。
個人情報保護法で本人が請求できること
| 請求できること | どんなとき | 条文 |
|---|---|---|
| 訂正・追加・削除 | 登録した内容に誤りがあるとき | 34条 |
| 利用停止・消去 | 利用目的を超えて使われた・不適正に使われた・不正な手段で取得されたとき | 35条1・2項 |
| 第三者提供の停止 | 本人の同意なく第三者に提供されているとき | 35条3・4項 |
| 利用停止・消去・第三者提供の停止 | 利用する必要がなくなったとき・一定の漏えい等が生じたとき・本人の権利または正当な利益が害されるおそれがあるとき | 35条5・6項 |
表の4行目が、転職サイトを退会した人に当てはまりやすい請求です*2。退会で登録情報を使う必要がなくなったなら、ほかの行の条件に当たらなくても、この行で利用停止や消去を求められます*2。情報が同意なく他の会社へ渡っているなら、3行目の第三者提供の停止もあわせて求めてください*2。
6. 退会の前に手元に残すもの
転職サイトの退会のあとは、サイトに残していた記録を見返せなくなることがあるので、退会の前に次の3つを控えておきます。
退会の前に控えておくこと
- 応募した求人と選考の状況:どの企業に応募し、選考がどこまで進んだかをメモしておく。退会後に企業から連絡が来たときに、どの求人の話かが分かる
- 企業とのやり取りで要る連絡先:面接の日程を調整した担当者の名前とメールアドレスを控えておく。退会後に選考や入社の連絡を続けるときに使う
- 登録したメールアドレス:どのアドレスで登録したかを書き留めておく。退会後に開示や消去を請求するとき、自分の登録を探してもらう手がかりになる
3つとも、退会したあとにサイトの画面から見られるとは限らない情報です。入社が決まったあとも、入社日や書類の提出で企業とのやり取りは続くので、連絡先は入社の手続きが終わるまで残しておいてください。次の転職で同じ職務経歴を使うなら、登録していた経歴の文面も自分の手元に写しておくと書き直す手間が減ります。
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7. よくある質問(転職サイトの退会と個人情報)
Q1. 転職サイトを退会すれば個人情報はすぐに消えますか
A. 退会した日のうちに消えるかは分かりません。サイトの側は要らなくなった情報を消す措置をとることになっていますが、いつ消すかは各サイトの措置によります*1。措置の内容は求職者が求めれば説明してもらえるので、気になるならサイトに尋ねてください*1。
Q2. 消去を請求できるのはどんなときですか
A. 登録した情報を事業者が使う必要がなくなったときや、一定の漏えい等が生じたとき、本人の権利または正当な利益が害されるおそれがあるときなどです*2。目的を超えて使われた場合や、不正な手段で取得された場合も、利用停止や消去を求められます*2。事業者が応じるのは、本人の権利利益を守るのに必要な分までです*2。
Q3. 退会したあとに同じ転職サイトをまた使いたくなったらどうしますか
A. あらためて登録の扱いになるかを、そのサイトのよくある質問や案内の画面で見てください。退会の前に経歴の文面を手元に写しておけば、登録し直すときにもその文面を使えます。
Q4. 退会の前に登録内容の誤りに気づいたらどうしますか
A. 退会を待たずに、訂正・追加・削除を請求できます*2。誤りがあるときの請求は個人情報保護法の34条によるもので、使う必要がなくなったかどうかは問われません*2。
8. まとめ:退会で不要になった個人情報は消去を請求できる
この記事のまとめ
- 退会して登録情報を使う必要がなくなれば、本人は利用停止・消去を請求できる(*2)
- 転職サイトなどは不要になった求職者の情報を破棄・削除する措置をとり、求めれば内容を説明する(*1)
- いつ消すかは各サイトの措置で、開示や措置の説明を求めれば中身が分かる(*1*2)
- 退会の前に、応募の状況・企業の連絡先・登録したメールアドレスを控えておく
つまり、転職サイトの退会とは別に、個人情報を消してほしいときは本人から消去を請求します。消してほしい項目を書き出し、破棄・削除をどう進めているかもあわせて尋ねてください。請求の前に開示を求めておけば、サイトが持っている情報を見ながら項目を選べます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省 職業安定法に基づく指針(平成11年労働省告示第141号・最終改正令和6年)
*2 個人情報保護委員会「個人情報保護法の基本」(令和5年9月)
*3 厚生労働省「募集情報等提供事業について」
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