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Webディレクターへの転職|決めることを決める役割

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

Webディレクターへの転職|決めることを決める役割のイメージ写真

Webディレクターへの転職では、スケジュール管理の経験が重視されると考えられがちですが、実際に評価されるのは、何を先に決め、何を後回しにするかという判断です。制作や開発の現場で担ってきた経験が、この役割でどう活きるかを整理します。

変わるのは、進行を管理する仕事ではなく、決めることを決める仕事だという点です。使うツールの操作方法や資格、年収の相場は、検証済みの数値がないため扱いません。

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数字で見るWebディレクターへの転職 この記事の要約 転職後の賃金 40.5 % 厚生労働省 減少は29.4%*1 役割の分かれ目 2 つの役割 管理と判断 評価の観点が違う 足せる要素 3 つの要素 職務経歴書に 書き加えられます 決める順番を選べるかどうかが、進行管理からこの役割へ移る際の分かれ目です *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • Webディレクターという役割の中心は、進行の管理ではなく、決める順番を決めることです
  • 転職入職者全体で賃金が増加した割合は40.5%、減少は29.4%です*1
  • 職務経歴書には、判断の基準・決めた記録・保留の理由という3つの要素を足せます

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1. ディレクターの仕事は、決める順番を決めることです

Webディレクターの役割は、スケジュールを管理することではありません。何を先に決め、何を後回しにするかという順番そのものを決めることです。進行の遅れの多くは、決める順番を誤ったところから始まります。

進行管理と聞くと、ガントチャートやスケジュール表を整えることだと考える人もいます。表を整えること自体は、決める役割の中心ではありません。

スケジュールが遅れる場面の多くは、担当者の作業が遅いことではなく、決めるべき順番が先に決まっていなかったことが原因です。仕様と予算のどちらを先に固めるか、外部の制作会社とのやり取りをいつ始めるか。この順番を決める作業が、進行そのものを左右します。

決める役割には、条件が全て揃っていない段階で判断を下す場面が含まれます。条件が整うのを待っていては、進行そのものが止まります。

この役割で評価されるのは、ツールの操作に慣れているかどうかではなく、決める順番を選べるかどうかです。エンジニアや制作の現場で判断を担ってきた経験は、この基準に沿って読み替えることができます。

求人票の「進行管理経験」という表記だけでは、決める役割としてどこまで裁量があるかは分かりません。募集要項に書かれた決裁の範囲を確認したうえで、自分の経験と照らし合わせる作業が必要になります。

決める役割は、必ずしも役職名に「ディレクター」と付くとは限りません。プロジェクトリーダーやプロダクトオーナーといった肩書きのなかにも、同じ役割が含まれることがあります。

2. 進行を管理する役割と、決める役割の違い

進行を管理する役割と、決める役割は、担う内容が近く見えても、評価される観点が異なります。

進行を管理する役割と、決める役割の違い 進行を管理する役割 スケジュール通りに進んでいるかを確認する 遅れが出た箇所を洗い出す 各担当への進捗確認を行う 決める役割 複数の選択肢から一つを選ぶ 情報が揃わない場面で判断を下す 決めた理由を後で説明できる形にする 進行の管理は状態を映す仕事、決める役割は状態を作る仕事です

進行を管理する役割は、現在の状態を正確に把握することが目的です。遅れや滞りを早く見つけて、関係者に共有する仕事です。

決める役割は、状態を把握したうえで、次にどうするかを選ぶ仕事です。条件が全て揃うのを待たず、その時点で分かっている範囲から結論を出します。

この2つは対立するものではありません。進行を管理してきた経験は、状態を正しく捉える力として、決める役割でも土台になります。

評価される観点が変わるのは、状態を映す力から、状態を動かす力へと軸が移るためです。面談では、進行を管理した経験だけでなく、その中でどんな選択をしたかを聞かれる場面が増えます。

評価の軸が変わったからといって、これまでの経験が無意味になるわけではありません。状態を把握する力は、決める役割に移ってからも、判断の材料を集める場面で使われ続けます。

この違いを面談前に整理しておくと、自分がどちらの経験を多く積んできたかを、迷わず説明できるようになります。

3. 制作や開発の経験は、この役割でこう読み替えられます

制作や開発で担ってきた経験は、言葉を選び直すことで、決める役割の経験として伝えられます。

経験の読み替え

これまで担っていたことこの役割での意味面談で添えること
仕様の優先順位をチームで調整してきたこと複数の要望から一つを選ぶ経験何を優先したかという基準
トラブル対応で判断してきたこと情報が揃わない場面で決める経験何を根拠に決めたかという説明
レビューで意見が割れた場面をまとめてきたこと異なる意見を一つの結論にする経験誰の意見をどう扱ったかという経緯
納期の制約のなかで作業の順番を組み替えてきたこと制約のなかで優先順位を決め直す経験何を先に進め、何を後にしたかという判断

表の左列は、制作や開発の現場であれば、多くの人が経験している内容です。右に進むほど、決める役割としての意味が明確になります。

中央の列までで説明が止まる職務経歴書は少なくありません。担当した作業の内容は書かれていても、それが決める役割としてどう活きるかまでは書かれていないことが多いためです。

4行はいずれも、制作や開発の経験から書ける内容です。担当してきた業務のなかから、実際に判断を下した場面を思い出しながら、当てはまる行を選べます。

面談でこの内容を聞かれた場合は、表の行を順番に説明するよりも、自分が実際に経験した行から話し始めると、経験の実感が伝わりやすくなります。

複数のプロジェクトを担当してきた場合は、それぞれで何を優先して決めたかを比べておくと、担当してきた領域の幅も合わせて伝えられます。

表に書いた4行以外にも、担当してきた業務のなかには読み替えられる場面が残っていることがあります。振り返る際は、何を決めたかという視点で業務を見直すと、新たな行を見つけやすくなります。

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4. 決めない判断も、記録に残ります

決める役割には、その場で結論を出す判断だけでなく、今は決めないという判断も含まれます。条件がまだ十分ではない段階で無理に決めることは、後の手戻りにつながります。

保留するという選択も、判断の一つです。ただし、なぜ今は決めなかったのかという理由を残さなければ、後から見たときにただ止まっていただけの時間になります。

理由を記録する相手は、自分自身でもあります。数か月後に同じ場面を振り返ったとき、当時どの条件が揃っていなかったから保留したのかを思い出せるかどうかで、次の判断の速さが変わります。

面談では、決めた場面だけでなく、あえて決めなかった場面についても聞かれることがあります。保留した理由を言葉にできることは、決める役割としての力量の一部です。

保留の記録は、詳細な議事録である必要はありません。決めなかった理由と、次に何が揃えば決められるかという条件を、短くてもよいので残しておくことが大切です。

保留した判断がその後どうなったかを追うことも役に立ちます。条件が整って決められた場合も、結局保留のままだった場合も、どちらも次の判断の参考になります。

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5. 実務に近い側と、決める側のあいだ

制作や開発で担ってきた経験は、「手を動かす側」から「決める側」までの間のどこかに位置します。自分の経験がどのあたりにあるかを確かめます。

実務に近い側と、決める側のあいだ 今の立ち位置 手を動かす側 決める側 決めた理由まで自分で説明してきたかどうかで、位置が変わります 自分の立ち位置を言葉にできることが、面談での説明につながります

手を動かす側にあるのは、決められた仕様や指示に沿って作業を進める経験です。決める側にあるのは、仕様そのものや進め方を選ぶ経験です。

多くの担当者は、この2つの間のどこかに位置します。作業を担当してきた場合でも、その中で優先順位の判断を求められた場面があれば、位置は右側に寄ります。

自分の立ち位置を確かめる目安は、決めた理由を自分の言葉で説明できるかどうかです。指示された作業をこなしていたのか、その作業の順番や範囲を決める側にいたのかで、立ち位置は変わります。

立ち位置は、担当するプロジェクトが変わるたびに動くことがあります。新しい現場では作業から始め、慣れた段階で決める側に関わる場合もあります。

立ち位置を確かめる作業は、一度で終わるものではありません。担当するプロジェクトごとに振り返ることで、自分がどちら側に寄っているかを継続して把握できます。

使っているツールやプロジェクト管理の手法が同じでも、立ち位置が同じとは限りません。判断をどこまで自分で担ってきたかで、位置は変わります。

6. 職務経歴書に足せる3つの要素

制作や開発からディレクターへ移る際、職務経歴書に書き加えられる要素を3つに整理します。

職務経歴書に足せる3つの要素

  • 判断の基準:何を優先して決めたか、その基準を書きます
  • 決めた記録:決定した内容と理由を記録した経験を書きます
  • 保留の理由:決めなかった判断について、保留した理由を書きます

3つはいずれも、担当した作業の一覧に一行を足すだけでは書けません。判断を下した場面を思い出す作業が必要です。

転職に伴う待遇の変化は、判断材料の一つとして押さえておける情報です。厚生労働省の調査では、転職入職者のうち賃金が増加した割合は40.5%、減少は29.4%、変わらないが28.4%です*1。ただしこの数字は転職入職者全体の集計であり、職種の変更による差を示すものではありません。ディレクターへの異動に限った数値ではないため、条件を判断する材料の一つとして扱うにとどめます。

3つの要素は、全ての場面について書く必要はありません。判断が特に大きく問われた場面を選び、そこに絞って書くほうが読み手には伝わりやすくなります。

書き終えたら、3つの要素が別々の場面を指しているかを確認します。同じ場面から3つとも書いてしまうと、経験の幅が狭く見えることがあるため、担当してきた業務のなかから異なる場面を選ぶようにします。

3つの要素を書く際は、担当した業務の名称よりも、そのときに何を優先して決めたかという判断の中身を先に書くと、読み手に伝わりやすくなります。

担当してきた業務の幅が広い場合は、決める役割に近い場面を優先して選びます。3つの要素すべてを同じ業務から書く必要はありません。

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7. よくある質問(Q&A)

Q1. ディレクター未経験でも、この役割への異動はできますか。

A. 制作や開発の現場で、優先順位や仕様に関する判断を担った経験があれば、異動の際の評価材料になります。決める役割は、職種名よりも判断を担った経験で見られます。

Q2. 進行管理の経験は評価されませんか。

A. 進行管理の経験も評価対象ですが、それだけでは判断を担う役割の説明にはなりません。管理してきた進行のなかで、何を優先すると決めたかまで話せると、判断の経験として伝わります。

Q3. 資格を持っていたほうがよいですか。

A. 資格の有無よりも、判断を担った経験の具体例が重視されます。面談では、資格名よりも実際に決めた場面を聞かれることが多くなります。

Q4. この役割の求人は、リモートワーク対応の求人にも含まれますか。

A. 含まれます。決める役割としての範囲は求人ごとに異なるため、募集要項の記載を確認することが必要です。

8. まとめ:決めた記録が、この役割の実績になります

この記事の要点

  • Webディレクターという役割の中心は、進行を管理することではなく、決める順番を決めることです
  • 進行を管理する役割と、決める役割は、評価される観点が異なります
  • 制作や開発で担ってきた判断は、決める役割としての経験に読み替えられます
  • 決めなかった判断も、理由を記録しておくことで実績として説明できます
  • 職務経歴書には、判断の基準・決めた記録・保留の理由という3つの要素を足せます

決めたことだけでなく、決めなかったことの理由も言葉にできることが、この役割で評価される実績になります。

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出典・参考情報

*1 厚生労働省「雇用動向調査」(令和6年)

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