住居費が全国で最も低い県|岐阜のエンジニアが年収を守る方法
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

岐阜で暮らしながら正社員としてキャリアを続けたい。そう考えたとき、地元の求人だけを見ていると、選べる仕事の幅はどうしても狭くなります。
リモートワーク対応の正社員求人まで視野に入れれば、話は変わります。岐阜は住居費が全国で最も低い県のひとつで、固定費を抑えたまま働き方を選べます。公的データをもとに、その中身を整理します。
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この記事のポイント
- 岐阜県の住居費は物価指数81.3で全国最低(47位)。東京都の127.2との差は45.9ポイントで、全国で最も大きい差です*2
- 一般労働者の賃金は全国計が月340.6千円。上回るのは東京都など4都府県のみで、リモート正社員なら岐阜在住のままこの水準の求人に応募できます*1
- 岐阜県の移住支援金は単身60万円・世帯100万円ですが、テレワークで移住する場合は支給額が半額になる点に注意が必要です*5
1. 岐阜のエンジニア転職、鍵は「住居費が全国最低」という事実
岐阜在住のITエンジニアが年収を落とさずに転職する方法は、リモートワーク対応の正社員求人を選ぶことです。総務省の消費者物価地域差指数(2024年)では、岐阜県の住居は81.3で全国最低(47位)、東京都の127.2との差は45.9ポイントと全国で最も大きくなっています*2。厚生労働省の調査では一般労働者の賃金の全国計は月340.6千円で、これを上回るのは4都府県のみでした*1。リモート正社員なら、岐阜に住んだままこの水準の求人に応募できます。
「岐阜で働く=県内企業に就職する」と考えると、選べる求人は県内の企業数に縛られます。しかしパーソル総合研究所の調査では、情報通信業のテレワーク実施率は56.3%と全業種で最も高い水準です*3。ITエンジニアは、勤務地と居住地を分けて考えやすい職種だといえます。
住居費の低さは岐阜で働くうえでの前提条件のようなものです。この前提のうえに、全国基準の賃金水準を重ねられるかどうかが、転職の設計を左右します。県内求人だけを見ていては、この重ね合わせが起きません。
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2. 住居費が全国最低。東京都との差は45.9ポイント
総務省統計局の消費者物価地域差指数(2024年結果)によると、岐阜県の住居は81.3で全国最低(47位)でした。東京都の127.2との差は45.9ポイントで、全都道府県のなかで最も大きい差になります*2。
住居費だけを見れば、岐阜は全国でもっとも固定費を抑えやすい県のひとつです。県内企業に転職しても、この住居費の低さは変わりません。ただし賃金水準にも地域差があり、住居費の低さがそのまま年収の高さにつながるわけではない点は押さえておく必要があります*1。
リモートワーク対応の正社員求人であれば、住居費の低さと、全国基準の賃金水準を両方とも手にできる可能性があります。岐阜に住みながら、東京や大阪の企業に所属するという選び方です。
45.9ポイントという差は、住居費に関する限り、岐阜が全国のなかでもっとも有利な条件にある県のひとつであることを示しています。この条件を活かせるかどうかは、勤務先をどこまで広げて探すかにかかっています。
3. 岐阜×東京:物価を費目別に比べる
岐阜の物価を費目別に見ると、住居以外の水準も見えてきます。総務省の消費者物価地域差指数(2024年)から、東京都と岐阜県を比較します。
【表1】消費者物価地域差指数の比較(2024年・全国平均=100)
| 費目 | 東京都 | 岐阜県 | 全国順位 |
|---|---|---|---|
| 総合 | 104.0 | 97.1 | 44位 |
| 住居 | 127.2 | 81.3 | 47位(全国最低) |
| 食料 | 103.0 | 97.7 | 39位 |
表のとおり、岐阜県は総合・食料も全国平均をやや下回りますが、突出しているのは住居費の低さです。「岐阜は何でも安い」ではなく、住居費が際立って低いというのが正確な見方です。生活費全体を安易に見積もらず、費目ごとに確認することが大切です。
食料は97.7で全国39位、総合は97.1で全国44位です。どちらも全国平均をやや下回る程度にとどまり、住居費の47位(全国最低)ほどの突出はありません。生活費の中心が住居費なのか食費なのかによって、体感の差は変わってきます。
4. 賃金の全国計を、岐阜に住んだまま受け取る方法
厚生労働省の令和7(2025)年賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の賃金(月額)の全国計は340.6千円です。この全国計を上回ったのは東京都・神奈川県・愛知県・大阪府の4都府県のみで、最も高い東京都は418.3千円でした*1。
43の道府県は全国計を下回っており、その地域の企業に勤める限り、賃金の地域差から逃れにくいのが実情です。岐阜県内の企業も例外ではありません。
逆にいえば、4都府県の企業にリモートで所属できれば、居住地に関係なくその企業の賃金水準で評価されます。岐阜の低い住居費と、都市部基準の賃金を組み合わせるという選び方が可能になります。
賃金の地域差は、転職先の企業の所在地によって決まります。勤務地ではなく所在地が基準になる点を理解しておくと、なぜリモートワーク対応の正社員求人が岐阜在住者にとって有利なのかが見えてきます。
5. 岐阜県の移住支援金、テレワーク移住は半額という条件
転職とあわせて確認しておきたいのが、岐阜県の移住支援金です。条件を満たせばまとまった一時金を受け取れますが、テレワークでの移住は金額が変わる点を先に押さえておく必要があります。移住のタイミングと転職のタイミングが前後するだけで、受け取れる金額が変わる可能性がある点にも注意しておきましょう。
岐阜県の主な移住支援金
- 岐阜県移住支援金:単身60万円、世帯100万円が支給されます。18歳未満の子ども1人につき30万円が加算されます*5
- テレワーク移住の場合:移住先で仕事を変えず、移住元の業務をテレワークで続ける場合、支援金は上記の半額になります*5
- 対象となる転入元:東京23区在住、または東京圏(条件不利地域を除く)在住で23区へ通勤していた方が対象です。移住直前の10年間で通算5年以上、または直前に連続1年以上という期間要件があります*5
- 申請先:移住先の市町村にある移住支援金の担当窓口です。金額や運用が市町村ごとに異なる場合があるため、転入予定の市町村で確認してください*5
テレワークのまま移住すると支援金が半額になるという条件は、見落としやすいポイントです。転職を伴う移住かテレワーク移住かで受け取れる金額が変わるため、申請前に自分がどちらに該当するかを確認しておきましょう。
支援金はあくまで転職後の生活を後押しする一時金です。金額の大小だけで移住や転職のタイミングを決めるのではなく、住居費の低さや賃金水準といった継続的な条件とあわせて、総合的に判断することが望まれます。
6. 岐阜からリモート転職を成功させる4ステップ
リモート求人の選考では、技術力に加えてリモート適性が見られます。テキストコミュニケーションの工夫や、離れていても仕事が進む働き方を具体的に言語化しておきましょう。
「リモート可」と「リモート前提」は似て非なるものです。求人票では、出社頻度・リモート勤務の対象者・全国採用の実績という3点を確認してください。
住居費の差額を条件に組み込む際は、実際の手取り額をもとに試算することが欠かせません。額面の年収だけを比較すると、住居費の低さという岐阜の強みを見落としたまま転職先を選んでしまうことになります。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 岐阜在住のまま、東京の企業のリモート求人に応募できますか?
A. 応募できます。「全国どこからでも勤務可」と明記された求人であれば、居住地は選考のハンデになりません。全国採用の実績がある企業かどうかを求人票や面談で確認しましょう。
Q2. 移住支援金はテレワーク移住でも満額もらえますか?
A. 満額にはなりません。テレワークで移住元の業務を続ける場合、支援金は単身60万円・世帯100万円の半額になります。転職を伴う移住かどうかで条件が変わるため、申請前に確認してください*5。
Q3. 実務経験は何年あればリモート転職できますか?
A. 目安は実務3年です。リモート環境では自走力が重視されるため、指示がなくてもタスクを進められる経験の厚みが問われます。3年未満でも、クラウドやテスト自動化などの掛け合わせがあれば評価される場合があります。
Q4. 「リモート可」と書かれていれば、岐阜から働き続けられますか?
A. 求人票の「リモート可」は、制度としてリモートを認めているという意味にとどまる場合があります。出社頻度、リモート勤務の対象者、全国採用の実績という3点を確認してください。
Q5. 岐阜県内でも住居費に差はありますか?
A. あります。県全体の物価指数は平均値であり、市街地とそれ以外のエリアとでは水準が異なります。移住や転職を検討する際は、実際に住む予定の地域の相場もあわせて確認しておきましょう。
Q6. 移住支援金の申請はいつ行えばよいですか?
A. 転職や移住の計画が具体的になった段階で、早めに移住先の市町村の窓口へ相談することをおすすめします。テレワーク移住か転職を伴う移住かで条件が変わるため、事前確認が欠かせません。書類の準備にも時間がかかる場合があります*5。
8. まとめ:岐阜は住居費で選び、賃金は全国基準で選ぶ
この記事の要点
- 岐阜県の住居費は物価指数81.3で全国最低(47位)。東京都との差45.9ポイントは全国で最も大きい差です*2
- 一般労働者の賃金は全国計が月340.6千円。上回るのは4都府県のみで、リモート正社員なら岐阜在住のままこの水準に届きます*1
- 総合97.1・食料97.7も全国平均をやや下回りますが、際立っているのは住居費の低さです*2
- 岐阜県の移住支援金は単身60万円・世帯100万円。ただしテレワーク移住は半額になります*5
- 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%と業種別トップ。エンジニアは居住地と勤務地を分けやすい職種です*3
住居費を抑えることと、賃金の水準を保つことは、岐阜であれば両立させられます。次の一歩は、これまでの経歴がリモート求人でどう評価されるかを知ることです。移住支援金の条件も含めて、早めに情報を整理しておきましょう。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*2 総務省統計局「消費者物価地域差指数 -小売物価統計調査(構造編)2024年(令和6年)結果-」(2025年6月公表)
*3 パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年7月実施)
*4 国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査」(令和7年3月公表)
*5 ふふふぎふ(岐阜県移住・定住ポータルサイト)「支援・補助金(県)」
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