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「50代エンジニアは詰み」は本当か|賃金のピークは55〜59歳

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

「50代エンジニアは詰み」は本当か|賃金のピークは55〜のイメージ写真

50代のエンジニア転職。「年齢の壁」という言葉を聞くたびに、応募する前から選択肢を狭めてしまいます。求人票を開く前に、諦める理由を自分自身で作ってしまってはいないでしょうか。

厚生労働省の統計を見ると、賃金は50代で頭打ちになるどころか55〜59歳がもっとも高い水準にあります。まず数字で確認しましょう。

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数字で見る「50代エンジニアの転職」 この記事の要約 月額賃金のピーク *1 396.2 55〜59歳 単位:千円(2025年) 全年齢計340.6を上回る ピーク後の水準 *1 329.3 60〜64歳 単位:千円(2025年) 下がることも事実 DX人材不足 *4 85.5% 「不足」と回答した企業(2025 年度) IPA DX動向2026 経験が必要とされる場面は多い 50代は「賃金が下がる年代」ではなく、いま動くかどうかで差がつく年代です *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 一般労働者の賃金(月額)は55〜59歳が396.2千円で全年齢のピーク。全年齢計340.6千円を大きく上回ります*1
  • ピークは60〜64歳で329.3千円まで下がります。上がり続けるわけではない点も事実として押さえておく必要があります*1
  • DX人材が大幅に不足していると答えた企業は85.5%(2025年度)。50代の経験を必要とする場面は縮んでいません*4

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1. 50代のエンジニア転職、賃金データは「詰み」を否定します

50代のITエンジニアの転職を「年齢の壁」だけで諦める必要はありません。厚生労働省の令和7(2025)年賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の賃金(月額)は55〜59歳が396.2千円でもっとも高く、全年齢計の340.6千円を大きく上回ります*1。50代は賃金が下がっていく年代ではなく、データの上ではピークにあたる年代です。

「50代のエンジニアは転職市場で厳しい」という言葉は、根拠を確認しないまま広まっています。厚生労働省の統計を年代別に見ると、賃金は40代から50代にかけて上がり続け、55〜59歳で396.2千円のピークを迎えます*1。

ただし、この水準がそのまま続くわけではありません。60〜64歳では329.3千円まで下がります*1。ピークのあとに下がるという事実を隠さずに見ておくことが、50代の転職を考えるうえでの出発点になります。

転職の相談の場でも、経歴の中身を見る前に「50代は厳しいかもしれません」という言葉が先に出てくることがあります。しかし、実際の賃金水準を確認しないまま難しさを決めてしまうのは、根拠のない前提にすぎません。

まず自分の年代がデータの上でどの位置にあるかを確認し、そのうえで職務経歴と照らし合わせる。この順番を守ることが遠回りを避ける近道です。次の章では、この賃金カーブがどのように形づくられているかを見ていきます。

賃金がピークにあるという事実は、選考の土台としてすでに手元にある材料です。年齢を理由に応募をためらう前に、この事実を踏まえてどう動くかを考えてみてください。

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2. 年代別の賃金カーブで確認する、55〜59歳がピークになる根拠

厚生労働省の統計から、40代以降の賃金カーブを年代別に並べます。ピークがどこにあり、そのあとどう動くかを、まず数字で確認しておきましょう。

一般労働者の賃金(月額・2025年、年代別) 40〜44歳 364.3千円 45〜49歳 377.9千円 50〜54歳 388.8千円 55〜59歳 396.2千円 60〜64歳 329.3千円 55〜59歳の396.2千円がピーク。60〜64歳では329.3千円まで下がります*1 *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

40〜44歳の364.3千円から、50〜54歳の388.8千円、55〜59歳の396.2千円へと、賃金は50代の後半まで上がり続けます*1。50代は「賃金が下がり始める年代」ではなく、統計の上ではもっとも高い水準に達する年代です。

一方で60〜64歳では329.3千円まで下がります*1。ピークを過ぎれば下がるという事実は、良い数字だけを見せて終わるわけにはいきません。この下がり方を先に知っているかどうかで、50代のうちに何をすべきかの判断が変わります。

年代別の推移をこうして並べて見ると、賃金は年齢とともに一様に下がっていくわけではないことがわかります。ピークがどこにあるかを確認しないまま「年齢が上がるほど不利になる」と決めつけるのは、手元にある数字を見ないまま結論を出しているのと同じです。

3. 全年齢計・ピーク・ピーク後を並べて見る位置関係

「50代は厳しい」という印象と、実際の統計にはどれだけの差があるのか。全年齢計・ピーク時・ピーク後の3つを並べて見ます。

【表1】一般労働者の賃金(月額・2025年)

区分賃金(月額)
全年齢計340.6千円
55〜59歳(ピーク)396.2千円
60〜64歳(ピーク後)329.3千円

全年齢計340.6千円に対して、55〜59歳のピーク396.2千円は上回り、60〜64歳のピーク後329.3千円は下回ります*1。3つの数字を並べると、50代のなかでも位置によって水準が大きく変わることがわかります。

同じ50代でも、55〜59歳と60〜64歳とでは前提が変わります。この表の3つの数字を、次の章以降で経歴を整理するときの起点として見てください。

4. 50代がリモート求人で見られているのは、年齢ではありません

50代の転職では、賃金カーブより先に、企業が候補者をどう絞り込んでいるかという実態を確認しておく価値があります。パーソル総合研究所の調査では、情報通信業のテレワーク実施率は56.3%で、全業種のなかでもっとも高い水準にあります*2。勤務地を理由に応募者を絞る場面は、他業種に比べて少ないと考えられます。

DX人材の不足感(2025年度) 85.5% DX人材が「不足」と回答した企業 2025年度・IPA DX動向2026 「大幅に不足」の回答は2023→2025年度で62.1%→50.1%と3年連続で低下*4 「不足」全体では85.5%と、すそ野の広さは変わっていません*4 人手を十分に確保できない局面では、勤務地や年齢で絞る優先順位は下がりや すくなります 人手を選べない局面ほど、年齢より経験の中身が見られます *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

IPAの調査では、DX人材が不足していると回答した企業は85.5%にのぼります(2025年度)*4。候補者を選ぶ余裕が小さい局面では、勤務地と年齢という2つの条件を先に持ち出して人を落とす優先順位が下がりやすくなります。50代が見られているのは年齢そのものではなく、経験をどう言葉にできるかという中身です。

ただし、この状況がそのまま続くとは言い切れません。「大幅に不足」と回答した企業の割合は、2023年度62.1%から2024年度58.5%、2025年度50.1%へと3年連続で低下しています*4。深刻さそのものは和らぎつつあり、需要が無条件に続くと考えるのは早計です。

だからこそ、年齢を理由に応募を控える判断も、需要が続くという楽観も、どちらも根拠のない前提です。いま企業がどれだけ人を選べる状況にあるかを確認したうえで、経歴をどう伝えるかに力を注ぐほうが、50代の転職では意味を持ちます。

求人票を確認する際は、勤務地に関する条件だけでなく、どのような業務を任せられるのかを具体的に読み取ることが大切です。年齢や居住地を理由に応募をためらう前に、企業が必要としている経験と自分の経歴が重なる部分を、まず探してみてください。

経験を言葉にするというと難しく聞こえますが、実際にはこれまで対応してきた場面を具体的に思い出す作業です。年齢を先に見せるのではなく、担当してきた範囲や任されてきた判断を先に伝えることで、選考の入り口で不利になることを防げます。

人手をどれだけ選べるかは、企業や部署ごとに事情が異なります。応募先を検討する際は、求人票に書かれた条件だけで判断せず、実際にどのような経験を求めているかを面接で具体的に確認しておくと、選考の見通しを立てやすくなります。

5. 50代の経歴を、求人票の言葉に置き換える

50代の経歴は情報量が多くなりがちです。項目ごとに粒度をそろえて書き出すことで、求人票の要件と照らし合わせやすくなります。

50代の経歴を整理する4つのポイント

  • 経歴をひとまず書き出す:担当範囲・裁量・育成実績を、思い出せる限り並べます
  • 粒度をそろえる:抽象的な項目と具体的な項目の書き方をそろえます
  • 求人票の要件と照らす:書き出した内容を、応募先の要件と1つずつ突き合わせます
  • 技術の更新歴を年で区切る:直近で身につけた技術を、年ごとに区切ってまとめます

とくにリモートワーク対応の求人では、裁量をもって仕事を進めてきた実績が、対面の評価に代わる材料になります。曖昧な言葉で済ませず、場面を具体的に書き出しておきましょう。

技術の更新歴は、古い技術のまま止まっていないことを示す材料になります。年ごとに区切って書き出しておくと、選考の場でも説明がしやすくなります。

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6. よくある質問(Q&A)

Q1. 50代からのエンジニア転職は厳しいと聞きますが、本当ですか?

A. 賃金データを見る限り、そうとは言い切れません。一般労働者の賃金(月額)は55〜59歳が396.2千円で全年齢のピークにあたり、全年齢計の340.6千円を上回ります。年齢だけを理由に選択肢を狭める必要はありません*1。

Q2. 60代に入ると賃金は下がりますか?

A. 60〜64歳では329.3千円まで下がります。ピークの55〜59歳と比べると差が生まれるため、ピークのうちにどう評価されるかを考えておく意味があります*1。

Q3. 50代でもリモートワーク対応の求人に応募できますか?

A. 「全国どこからでも勤務可」と明記された求人であれば、年齢は選考の直接の障害にはなりません。裁量をもって仕事を進めてきた実績を、選考の場で具体的に示すことが評価につながります。

Q4. 実務経験は何年あればリモート転職できますか?

A. 目安は実務3年です。50代であればこの年数を大きく超えている場合がほとんどのため、経験年数そのものより、経験の中身をどう言語化するかが選考の焦点になります。

Q5. 50代で新しい技術を学び直す必要はありますか?

A. 求人ごとに求められる技術は異なります。担当してきた領域の周辺技術を中心に、直近で身につけたものを職務経歴書にまとめておくと、選考の場で説明しやすくなります。

Q6. 未経験の技術領域に挑戦する転職も可能ですか?

A. 求人によって異なります。まったくの未経験からでは選択肢が限られますが、これまでの経験に近い周辺技術であれば、実務経験がなくても選考の対象になる場合があります。

Q7. 50代の転職で、年収が下がることはありますか?

A. 求人や条件によって変わります。全年齢計の340.6千円やピーク時の396.2千円といった水準を踏まえたうえで、応募先が提示する条件を具体的に確認することが必要です*1。

Q8. 職務経歴書は50代でも1枚にまとめるべきですか?

A. 枚数の決まりはありません。長い経歴を無理に1枚へ圧縮するより、担当範囲・裁量・成果が伝わる分量を優先し、求人票の要件に近い部分を前半に配置する構成が読みやすくなります。

7. まとめ:50代は賃金データの上でピークにある年代

この記事の要点

  • 一般労働者の賃金(月額)は55〜59歳が396.2千円で全年齢のピーク。全年齢計340.6千円を上回ります*1
  • 60〜64歳では329.3千円まで下がります。ピークが続くわけではありません*1
  • DX人材が大幅に不足していると回答した企業は85.5%(2025年度)。経験を必要とする場面は縮んでいません*4
  • 50代の経歴は、担当範囲・裁量・育成実績・技術の更新歴に分けて棚卸しすると求人票と照らし合わせやすくなります
  • リモートワーク対応の求人であれば、居住地を条件にせずこの賃金水準にあたることができます

「50代は厳しい」という言葉を、確認しないまま受け入れる必要はありません。賃金データはピークにあることを示し、同時にピークのあとに下がることも示しています。この両方を見たうえで、いま動く意味を考えてください。年齢ではなく、経歴をどう言葉にするかが、次の選考を左右します。

賃金のピークを、いまの転職先選びに生かす

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出典・参考情報

*1 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*2 パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年7月実施)
*3 国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査」(令和7年3月公表)
*4 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026 広がるAI導入、DXは変われるか」(2026年7月公表)

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