年下上司はやりにくい?エンジニアの評価と転職の判断軸
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

年下の上司の下で働くようになったとき、多くの人は「評価が下がったのではないか」と感じます。しかし賃金のデータを見る限り、年齢に応じた賃金水準と、役職の有無は同じ軸で動いているわけではありません。
この記事が中心に置くのは、何で評価されるかを軸に考える見方です。年下上司の有無そのものを問題にはしません。
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この記事のポイント
- 年下上司の下で働くことと、賃金が下がることは、直接結びつく話ではありません
- 一般労働者の賃金は年齢とともに上がり続け、55〜59歳の396.2千円でピークになります*1
- 役職の有無ではなく、専門性を深める道と任せられる範囲を広げる道のどちらで評価されるかを見極めることが軸になります
1. 年下上司の下で働くことは、賃金の面では損とは言えません
年下の上司の下で働くことになっても、それ自体が賃金の低下を意味するわけではありません。厚生労働省の統計では、一般労働者の賃金は年齢とともに上がり続け、55〜59歳の396.2千円でピークになります*1。役職の有無と、年齢に応じた賃金水準は別の軸で動いています。
「年下の上司についた」という事実は、社内の役職構成が変わったことを示しているだけであり、自分の市場価値や賃金水準が下がったことを示すものではありません。しかし、この2つを同じことのように感じてしまう人は少なくありません。
役職は、組織の中でその人に何を任せるかという配置の結果です。一方、賃金は年齢や経験に応じて積み上がっていく面が大きく、役職の有無だけで決まるものではありません。この2つを分けて考えることが、年下上司との関係を捉え直す出発点になります。
感情として気まずさを覚えることは自然なことです。ただし、その気まずさの原因を「自分の実力が否定された」ことと直結させる必要はありません。まずは賃金のデータを見て、年齢と評価の関係を確認しておきましょう。
とくに同じ職場で長く働いてきた人ほど、年功の感覚が根強く残っている場合があります。しかし年功序列という考え方と、実際の賃金カーブは、必ずしも同じ動きをするとは限りません。データを見たうえで、どこまでが実態でどこからが感覚なのかを切り分けることが大切です。
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2. 年齢とともに賃金がどう変わるかをデータで見る
一般労働者の賃金は、25〜29歳の279.4千円から40〜44歳の364.3千円、50〜54歳の388.8千円と、年齢とともに一貫して上昇を続けます*1。ピークは55〜59歳の396.2千円で、その後60〜64歳では329.3千円まで下がります*1。
この数字が示しているのは、年齢を重ねること自体が賃金の面で不利には働いていないという事実です。年下上司がついたタイミングと、賃金カーブの位置は別の話であり、年下上司の存在が賃金の伸びを止めるという関係を示すものではありません。
ただし、このデータは年齢階級別の平均値であり、個々の役職や評価制度の違いまでは示していません。あくまで、年齢を重ねることと賃金が下がることが直結しないという参考として捉えてください。
60〜64歳で賃金が下がる点も、正直に見ておく必要があります。この数字は年齢階級別の平均値であって、下がった理由を個人の役職や能力と結びつけて説明するものではありません。理由を決めつけず、ピークを過ぎたあとの水準として捉えておくことが誠実な見方です。
3. 役職と専門性、どちらで評価されるか
組織には、マネジメントの成果で評価される道と、専門性の深さで評価される道の2つがあります。年下上司がついたという状況は、前者の道における配置の変化にすぎず、後者の道での評価を左右するものではありません。
専門性で評価される働き方を選んでいる場合、年下上司との関係は「役割分担」として捉えやすくなります。マネジメントは年下上司が担い、技術的な判断は自分が担うという形であれば、年齢の上下は評価の軸に入りません。
どちらの道が優れているという話ではありません。自分がこれまでどちらの道で評価を積み重ねてきたかを把握しておくと、年下上司との関係を捉え直しやすくなります。
組織によっては、この2つの道が制度として明確に分かれていない場合もあります。その場合は、評価面談で自分がどちらの成果を評価されているのかを確認しておくと、年下上司との関係で迷いにくくなります。
4. 年下上司との向き合い方を、場面ごとに並べる
年下上司との関係でよくある場面を、起きやすい捉え方と、置き換えたい捉え方で比べます。
【表1】年下上司との向き合い方
| 場面 | 起きやすい捉え方 | 置き換えたい捉え方 |
|---|---|---|
| 技術的な指示を年下上司から受ける | 経験を否定された気持ちになる | 専門性を補い合う関係だと捉える |
| 評価面談で年下上司から評価される | 年齢が逆転した気まずさを感じる | 評価の基準が役職ではなく成果であるかを見る |
| 昇進のタイミングが年下より遅れる | 自分の実力を疑ってしまう | 昇進の基準がマネジメントの道と専門性の道で異なることを踏まえる |
同じ場面でも、捉え方によって次の行動が変わります。「経験を否定された」と捉えると気持ちの整理に時間がかかりますが、「専門性を補い合う関係」と捉えると、次に何をすればよいかが見えやすくなります。
とくに評価面談は、年齢が逆転したことそのものより、評価基準が何に基づいているかを確認するほうが建設的です。役職ではなく成果や専門性で評価されているのであれば、年下上司との関係は評価そのものを脅かすものではありません。
昇進のタイミングについても、マネジメントの道での昇進が遅れているだけで、専門性の道での評価まで下がったと決めつける必要はありません。2つの道の基準が違うことを踏まえれば、遅れそのものを不安の材料にしすぎずに済みます。
5. 自分の評価軸を整理する
マネジメントの道と専門性の道、どちらで評価を積み重ねてきたかを見極めるための観点を挙げます。
評価軸を見極める観点
- これまでの成果:チームの成果として評価されてきたか、個人の技術的な成果として評価されてきたか
- 裁量の範囲:人の配置や予算を動かしてきたか、技術的な判断を任されてきたか
- 次に伸ばしたい方向:組織運営を担いたいか、専門性をさらに深めたいか
- 年下上司との役割分担:マネジメントと専門性、どちらを相手に譲れるか
この4つを整理すると、年下上司との関係が「上下関係の逆転」ではなく「役割分担」として見えてきます。これまで専門性で評価されてきた人ほど、年下上司の存在そのものは評価に影響しにくい傾向があります。書き出す際は、成果を思いつく順に並べるのではなく、チームの成果か個人の成果かで分類してから見比べると、比重の違いに気づきやすくなります。
逆に、これまでマネジメントの道で評価されてきた人が年下上司の下につく場合は、役割そのものが変わる局面にあります。この場合は、専門性の道に軸足を移すかどうかを、あわせて考える必要が出てきます。管理する立場から外れることを後退と捉えず、担う役割が変わっただけだと整理しておくと、次の判断がしやすくなります。
どちらの道を選ぶにしても、いま勤めている組織の中だけで判断材料を集める必要はありません。求人票に書かれている評価制度や、専門職としてのポジションの有無を見るだけでも、自分の市場価値がどちらの軸で見られているかの参考になります。
6. 年下上司との関係は、キャリアの終わりではない
年下上司がついたことを、キャリアの停滞や終わりと結びつけて考える必要はありません。賃金のデータが示すとおり、年齢に応じた賃金水準は役職の有無とは別に積み上がっていきます*1。
DX推進人材が不足していると回答した企業は85.5%にのぼります(2025年度)*2。専門性を持つ人材への需要は、役職の有無にかかわらず小さくありません。年下上司との関係を理由に専門性を諦める必要はないということです。
年下上司との関係に違和感を覚えたときこそ、自分がどちらの道で評価されたいのかを見直す機会だと捉えると、次の一歩を考えやすくなります。
見直しの過程で、いまの組織では専門性が評価されにくいと感じることもあるかもしれません。その場合は、組織そのものを変えることも選択肢の1つとして考えられます。年下上司の存在は、その気づきのきっかけにすぎません。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 年下上司の下で働くと、賃金は下がりますか?
A. 下がるとは限りません。一般労働者の賃金は年齢とともに上がり続け、55〜59歳でピークになります*1。役職の有無と賃金水準は別の軸で動いています。
Q2. 年下上司との関係がうまくいかない場合、転職を考えるべきですか?
A. 関係だけを理由にする必要はありません。まず自分がマネジメントと専門性のどちらの道で評価されたいかを整理し、それに合う環境かどうかを判断材料にしてください。
Q3. 専門性で評価されたい場合、どんな求人を探せばよいですか?
A. 役職ではなく技術的な成果や貢献を評価軸としている求人を確認してください。求人票の評価制度に関する記載が参考になります。
Q4. 年齢を重ねてから専門性の道に軸足を移すのは遅いですか?
A. 遅いとは言えません。DX推進人材が不足していると回答した企業は85.5%にのぼり(2025年度)*2、専門性への需要は年齢を問わず続いています。
Q5. 年下上司との年齢差は、面接で聞かれることがありますか?
A. 聞かれる場合もあります。その際は、年齢差そのものより、役割分担をどう捉えているかを具体的に答えられるようにしておくとよいでしょう。
Q6. マネジメントと専門性、どちらの道を選ぶか決めきれない場合はどうすればよいですか?
A. 無理に一方へ決める必要はありません。これまでの成果や裁量の範囲を書き出し、どちらの比重が大きいかを確認しながら、時間をかけて見極めても構いません。
8. まとめ:年齢と評価は同じ軸で動くとは限らない
この記事の要点
- 年下上司の下で働くことと、賃金が下がることは直接結びつく話ではありません
- 一般労働者の賃金は年齢とともに上がり続け、55〜59歳の396.2千円でピークになります*1
- 評価には、マネジメントの成果で評価される道と、専門性で評価される道の2つがあります
- 年下上司との関係は、役割分担として捉えると次の行動が見えやすくなります
- DX推進人材が不足していると回答した企業は85.5%(2025年度)。専門性への需要は年齢を問わず続いています*2
年下上司の下で働くことは、賃金や評価そのものが下がることを意味しません。データが示すとおり、年齢に応じた賃金水準は役職の有無とは別に積み上がっていきます。大切なのは、自分がマネジメントと専門性のどちらの道で評価されてきたか、そしてこれからどちらを深めたいかを整理することです。年下上司との関係は、その整理をするきっかけとして捉えてみてください。役職の上下に気を取られるより、何を評価されたいのかを自分の言葉で言えるようにしておくことのほうが、この先の働き方には役立ちます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*2 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026 広がるAI導入、DXは変われるか」(2026年7月公表)
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