VBからC#へ転職するとき資産になる経験は何か
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

VBで書かれた業務システムを担当してきたITエンジニアが、C#の求人に応募するとき、何を実績として伝えればよいか迷う場面があります。言語の文法の違いを気にする前に、既存システムをどう読み解き、どう移行させてきたかという実務の積み重ねを整理しておくと、応募の土台になります。
2024年度の転職入職率は9.7%でした*1。使用言語だけを理由に選考から外れるとは限らない市場のなかで、求人側が確かめたいのは、既存システムをどう動かしてきたかという実務の記録です。
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この記事のポイント
- 転職入職率は9.7%です*1。転職は特別な少数派の行動ではなく、一定の割合で起きている選択です。
- 2025年の転職者数は330万人、転職等希望者数は1,023万人でした*2。実際に動いた人数より、動きたいと考えている人数のほうが大きいという差があります。
- 業務システムでの実務経験は、仕様の読み解きや段階移行の設計として棚卸しすれば、C#の求人でも資産として伝わります。
1. VBの業務経験は、C#の求人でも資産として数えられます。
VBで書かれた業務システムを担当してきた実務は、C#の求人でも資産として数えられます。2024年度の転職入職率は9.7%でした*1。年に約10人に1人が転職している市場のなかで、使用言語だけを理由に選考から外れるとは限りません。求人側が確かめたいのは、既存システムの仕様をどう読み解き、どの順序で移行を進め、どこまでを引き継ぎ、どこから改善するかを判断してきた記録です。言語そのものよりも、その実務の積み重ねが評価の対象になります。
VBの求人からC#の求人に応募するとき、文法の違いを気にする場面があります。ただし面接で聞かれるのは、文法よりも実務の進め方です。既存システムのどこを読み解き、どの範囲を段階的に移行させたか、という順序のほうが判断材料になります。
業務システムを担当してきたエンジニアは、仕様書が整っていない状態でも、動いているシステムから挙動を読み解いてきた経験を持っています。これは新規開発の求人でも必要とされる力です。C#で新しく書く場面でも、既存の業務ルールを聞き取り、整理してから実装に進む工程は変わりません。
求人側が新規開発の経験だけを見ているとは限りません。既存システムの仕様を読み解いた記録、段階移行の設計、現行の仕様を踏襲する部分と改善する部分の線引きには、新規開発の求人でも評価される順序があります。この順序に沿って実務を並べ直すことが、転職の出発点になります。
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2. 仕様を読み解いた記録は、言語を超えて評価の対象になります。
業務システムの担当者は、要件が明文化されていない状態で、動いている仕様を読み解く場面に立ち会います。画面の入力チェックがどう動くか、バッチ処理がどの順番で走るか、例外をどこで受け止めているかを、コードと実際の挙動の両方から確かめていく作業です。
この読み解きの記録は、C#で新しく書く場面でも同じ形で必要になります。新規開発であっても、既存の業務ルールを聞き取り、整理し、実装に落とし込む工程は避けられません。仕様を読み解いてきた経験は、聞き取りの精度としてそのまま引き継がれます。
段階移行の設計も、同じように資産になります。VBの業務システムを一度に置き換える判断は難しく、機能を分けて動作を確かめながら進める設計が求められます。どの順序で移行すればリスクを小さくできるかを組み立てた経験は、新規開発の設計段階でも同じ考え方で使えます。
現行の仕様を踏襲する部分と、改善する部分の線引きも実務に含まれます。動いているシステムをそのまま置き換えるだけでは、既存の不具合や無駄な処理まで引き継ぐことになります。どこまでを踏襲し、どこから直すかを判断した記録は、C#の求人が確かめたい実務そのものです。
3つの実務要素は、まとめて一括りにすると強みが薄れます。読み解き、移行の設計、線引きをそれぞれ別の実績として並べておくことが、C#の求人で経験を資産として伝える下ごしらえになります。
3. 経験の要素と評価されるポイントを、表で整理します。
業務システムの実務で積んできた経験を、C#の求人が確かめたいポイントと並べて整理します。3つの実務要素がそれぞれ何を裏付けるかを、表で確認します。
【表1】VBでの実務要素とC#の求人で評価されるポイント
| 実務の要素 | VBでの内容 | C#の求人で評価される点 |
|---|---|---|
| 仕様の読み解き | 仕様書がない状態から挙動を確認した記録 | 新規開発でも要件を聞き取る力として評価 |
| 段階移行の設計 | 機能ごとに分けて移行した順序 | 既存システムを止めずに進める設計力として評価 |
| 現行踏襲と改善の線引き | そのまま残す部分と直す部分を分けた判断 | 保守と改善のバランスを取る判断力として評価 |
表のとおり、実務は3つの要素に分けられます。仕様の読み解き、段階移行の設計、現行踏襲と改善の線引きは、それぞれ別の場面で積み重ねられてきた経験です。まとめて「VBの経験」と一括りにすると、この3つの違いが伝わりません。
C#の求人が確かめたいのは、要素ごとに対応する評価ポイントです。新規開発の求人であっても、要件を聞き取る力や、既存システムを止めずに進める設計力、保守と改善のバランスを取る判断力は同じ形で求められます。
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4. 転職者数と転職等希望者数を、並べて確認します。
転職市場の規模を、実際に転職した人数と、転職を希望している人数の両方で確認します。
2025年の転職等希望者数は1,023万人、実際に転職した人数は330万人でした*2。希望している人数と実際に動いた人数には、3倍以上の差があります。転職を考えている段階で止まっている人が多いという構図が、この差から見えてきます。
VBの業務システムを担当してきたエンジニアも、この転職等希望者数のなかに含まれている可能性があります。差を埋めているのは、応募のタイミングというより、実務をどう伝えるかという準備の有無です。
差を埋める方法は、応募数を増やすことだけではありません。仕様の読み解き・段階移行の設計・現行踏襲と改善の線引きという3つに分けて実務を伝えられれば、C#の求人でも判断材料として扱われます。
5. 資産が積み上がる順序を、4段の流れで示します。
VBの実務を、C#の求人でどう並べて伝えればよいかを、4段の流れで示します。
4段の流れは、実務をC#の求人に伝える順序です。最初の段は、仕様を読む力です。動いているシステムの挙動を確かめ、どこにどんな業務ルールが埋め込まれているかを記録した経験がここに入ります。
次の段は、段階を分ける力です。業務システムの移行は、一度に置き換えるより、機能ごとに分けて進める設計が求められます。どの順序で移行すればリスクを抑えられるかを組み立てた経験が、この段に当たります。
3段目は、線引きする力です。現行の仕様をそのまま残す部分と、直す部分を分けた判断は、保守と改善のどちらか一方に偏らない実務の記録です。最後の段は、この3つを求人に伝える段階です。
6. 求人に伝える前に、棚卸ししておきたい項目です。
VBの実務をC#の求人に伝える前に、棚卸ししておきたい項目を整理します。
求人に伝える前の棚卸しリスト
- 読み解きの記録:仕様書がない状態から挙動を確認した具体例を、1つ以上挙げられるようにします。
- 移行の設計:どの順序で機能を移行したか、判断の理由まで含めて振り返ります。
- 踏襲と改善の線引き:どこを残し、どこを直したかを、具体的な事例で説明できるようにします。
- C#での言い換え:これまでの実務用語を、C#の求人が使う言葉に置き換えて伝える準備をします。
棚卸しは、経歴書に書く前の準備です。仕様の読み解き、段階移行の設計、現行踏襲と改善の線引きの3つを、それぞれ具体的な場面で振り返っておくと、面接で聞かれたときにも同じ内容で答えられます。
これまでの実務用語のまま伝えると、C#の求人の担当者に意図が伝わらない場合があります。「モジュールを分けた」ではなく「機能ごとに移行の単位を分けた」のように、判断の内容が伝わる言葉に置き換えておく準備が必要です。用語を言い換えるだけで、同じ実績が読み手に伝わりやすくなります。
棚卸しした内容は、経歴書の1行にまとめるのではなく、面接で深掘りされたときに答えられる形で用意しておきます。担当した範囲や、判断に迷った場面まで具体的に振り返っておくと、質問が変わっても同じ実務の記録から答えられます。
4つの項目はどれも単独では実績として弱く見えます。読み解きの記録・移行の設計・線引き・言い換えの準備を合わせて示すことで、これまでの実務がC#の求人でも伝わる1つの流れになります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. VBとOfficeのマクロ言語は同じものと考えてよいか。
A. 同じではありません。ここで扱うVBは業務システムの開発に使われる言語で、Officeのマクロ機能として使われるVBAとは用途が異なります。求人票でどちらを指しているかを、先に確認しておく必要があります。
Q2. C#の実務経験がまだない場合でも、応募できる求人はあるか。
A. 求人によって異なります。新規開発を主とする求人でも、既存システムの仕様を読み解いた実務や、移行を設計した実務を評価する求人があります。求人票や面談で、何を実績として見ているかを確認しておくとよいでしょう。
Q3. 現行の仕様を踏襲する判断は、どう伝えればよいか。
A. どこを残し、どこを直したかを、理由とセットで伝えます。「動いているので触らなかった」ではなく、「変更した場合の影響範囲を確認した上で残した」のように、判断の根拠まで含めて説明すると、実務の厚みが伝わります。
Q4. 段階移行の設計は、どこまで細かく伝える必要があるか。
A. 移行した順序と、その順序を選んだ理由の2点が伝われば十分です。工程をすべて列挙するより、判断の理由を明確に示すほうが、設計力として評価されやすくなります。
Q5. 求人票にある「使用言語不問」は、これまでの実務経験をどう扱うということか。
A. 使用言語を選考の絶対条件にしないという意味です。ただし実務の中身は別に見られます。仕様の読み解きや段階移行の設計を、具体的な場面で説明できるかどうかが、実際の選考では判断材料になります。
8. まとめ:VBの実務は、順序で並べればC#の求人に伝わります。
この記事の要点
- 業務システムで積んできた実務は、仕様の読み解き・段階移行の設計・現行踏襲と改善の線引きという3つに分けて棚卸しできます。
- 2024年度の転職入職率は9.7%でした*1。使用言語の違いだけで選考から外れるとは限りません。
- 2025年の転職等希望者数は1,023万人、転職者数は330万人でした*2。希望者数と実際に動いた人数には差があります。
- 3つの実務要素を、これまでの言葉のままではなく、C#の求人が使う言葉に置き換えて伝える準備が、応募の土台になります。
VBからC#への転職は、言語の書き換えではなく、実務の並べ替えから始まります。仕様を読み解いた記録、段階移行の設計、現行踏襲と改善の線引きを、棚卸ししてから、求人に応募する準備を整えていきましょう。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「雇用動向調査(令和6年上半期・下半期)」(2025年公表)
*2 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」(2026年公表)
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