ウォーターフォールだけの経験から転職するときの違い
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

工程が分かれた開発だけを経験してきたエンジニアが、区切りの少ない開発を任せる企業への転職を考えるとき、身につけた技術がそのまま通じるのか気になるところです。変わるのは使う道具ではなく、物事を決める単位と、決めたことをどれくらいの頻度で見直すかという前提です。この違いを先に整理しておくと、面談での伝え方も定まります。
情報通信業でテレワークを実施している割合は56.3%で、正社員全体の22.5%を上回ります*1*2。区切りの少ない開発を任せる働き方は、リモートワーク対応の正社員求人のなかでも選びやすくなっており、決め方を切り替える転機になり得ます。
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この記事のポイント
- 工程が分かれた開発と、区切りの少ない開発の違いは、決める単位の大きさと決め直す頻度にあります。使う道具の違いではありません。
- 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%、正社員全体は22.5%です*1*2。区切りの少ない働き方を任せる企業は、リモートワーク対応の求人のなかで選びやすくなっています。
- これまで大きな単位で決め、決めたことを守ってきた経験は、小さく決めた場面を書き出すことで、面談で言葉にできます。
1. ウォーターフォールの経験は、決める単位を変えれば通用します。
ウォーターフォールしか経験していない方が区切りの少ない開発に移るとき、変わるのは使う道具ではなく、決める単位の大きさと決め直す頻度です。パーソル総合研究所の調査では、情報通信業のテレワーク実施率は56.3%、正社員全体では22.5%でした*1*2。区切りの少ない開発を任せる企業は、リモートワーク対応の求人のなかで増えており、決め方の切り替えを面談で伝えられるかどうかが、選考の分かれ目になります。
ウォーターフォールで積んだ経験は、工程ごとに大きな単位で仕様を決め、その決定を最後まで守り切る力を鍛えます。決めた範囲が広いほど、後から変えないという前提が評価の軸になります。
区切りの少ない開発では、決める範囲を意図的に小さく切り、動かしながら決め直すことが前提になります。ウォーターフォールで守ってきた「決めたら変えない」という前提とは、決め方そのものが違います。
この違いを大きい・小さいという優劣で語ると、ウォーターフォールの経験を古い進め方として片付けてしまいます。実際に問われるのは、決める単位を切り替えられるかどうかであり、経験の量ではありません。
面談でこの違いを言葉にできないと、区切りの少ない開発に対応できるかどうかを判断する材料が伝わらず、実際に持っている力より低く見積もられることがあります。決め方の違いを先に整理しておく理由は、ここにあります。
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2. 決める単位と、決め直す頻度を2軸で整理します。
区切りの少ない開発への転職を考える前に、決める単位の大きさと決め直す頻度という2つの軸を先に整理しておくと、これまでの経験がどこに位置するかを面談でも説明しやすくなります。
この図は、決める単位の大きさと、決め直す頻度という2つの軸で決め方を整理したものです。ウォーターフォールで評価されてきたのは、左下の「大きく決めて守り切る」という組み合わせです。
区切りの少ない開発で求められるのは、右上の「小さく決めて素早く直す」という組み合わせです。ウォーターフォールの経験だけでは、この組み合わせに慣れる機会が少なかったという事情はあります。
左上の「大きく決めて何度も直す」は、決めた範囲が広いまま頻繁に見直すため、手戻りが大きくなりやすい組み合わせです。ウォーターフォールの現場でも、要件が固まらないままこの状態に陥る場面はあります。
右下の「小さく決めて変えない」は、範囲を細かく切っているぶん、見直しの必要が生じにくい組み合わせです。細かい単位の作業に慣れていても、見直す前提を持たずに進めると、状況が変わった場面で戸惑いが大きくなります。
3. 決め直す頻度が上がると、評価される力も変わります。
ウォーターフォールの現場で高く評価されるのは、決めたことを守る力です。要件定義や設計の段階で決着した内容を、実装や試験の段階まで変えずに運ぶことが期待されます。
区切りの少ない開発では、決めたことを守る力より、決め直す前提で小さく決める力が求められます。最初の決定を正解として固定せず、動かしてわかったことをもとに決め直すことが前提になっています。
この切り替えを難しくするのは、決める単位の大きさです。慣れている単位は、要件書1本・設計書1本といった大きな単位です。小さな単位で決めた場面がまだ少ないと、どこまで細かく切ればよいかの感覚がつかみにくくなります。
決め直す頻度が上がるというのは、最初の決定の精度を下げてよいという意味ではありません。小さく決めて、外れたときに直す前提を持つという意味です。ウォーターフォールで培った「決めたことを検証する姿勢」は、この前提のなかでも生かせます。
小さく決め直す前提のもとでは、決めた内容を短い間隔で確認し、外れていれば早く直す仕組みが求められます。確認する間隔が短くなるほど、決め直す頻度も自然に上がっていきます。この確認の視点そのものは、工程が分かれた開発のなかでも育てられます。
4. 働き方の数字を、表で確認します。
区切りの少ない開発を任せる働き方が、テレワークの実施率や賃金の面でどう位置づけられるかを、表で確認します。数字を先に把握しておくと、面談で条件を確認する際の基準にもなります。
【表1】テレワーク実施率と賃金の比較(2025年)
| 指標 | 値 | 比較対象 | 出典 |
|---|---|---|---|
| テレワーク実施率(情報通信業) | 56.3% | 全国の情報通信業 | *1 |
| テレワーク実施率(正社員全体) | 22.5% | 全国の正社員全体 | *2 |
| 一般労働者の賃金(全国計) | 340.6千円 | 月額 | *3 |
情報通信業のテレワーク実施率は56.3%で、正社員全体の22.5%より高い水準です*1*2。区切りの少ない開発を任せる求人は、テレワーク対応が進んだ業種のなかで見つけやすくなっています。
一般労働者の賃金は全国計で月340.6千円です*3。ウォーターフォールで積んだ経験を、区切りの少ない開発でどう伝えるかによって、選考で評価される条件も変わります。
賃金の実際の額は、勤務先の所在地や求人ごとの条件によって幅があります。表の340.6千円は全国計であり、応募先ごとの条件を確認するための出発点として見ておくと役立ちます。
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5. 面談では、決め方の変化を3つの手順で言葉にします。
決め方の変化は、抽象的に説明するほど伝わりにくくなります。ウォーターフォールの現場で経験した具体的な場面を書き出すことが、最初の手順になります。
次に、その中から小さく決めて動いた場面を探します。工程が分かれた開発のなかにも、仕様が固まる前に小さく判断した場面は含まれています。
最後に、その場面を使って面談で言葉にします。ウォーターフォールしか経験していないという言い方ではなく、どの単位で何を決めてきたかを具体的に伝えることが、選考での評価につながります。
面接官が重ねて確認するのは、決めた単位の大きさそのものより、直した理由です。何を確認して決め直したかまで話せると、決め方の変化がより具体的に伝わります。
6. 面談前に確認しておきたい点を書き出します。
決め方の変化を面談で伝える前に、確認しておきたい点を整理します。
面談前に確認する点
- 決めた単位:これまでの業務で、要件定義や設計をどれくらいの範囲でまとめて決めていたかを確認します。
- 決め直した場面:仕様変更や不具合対応で、小さく決めて動いた経験がどこにあったかを確認します。
- 伝える言葉:決める単位を切り替えられることを、抽象的な言い方でなく具体例で伝えられるかを確認します。
- 働き方の条件:区切りの少ない開発を任せる求人が、どの程度の出社頻度や働き方で応募できるかを確認します。
- 試用期間の扱い:入社後しばらくは決め直す頻度が上がりやすい時期であるため、その間の確認体制がどうなっているかも確認します。
5つの確認点は、面談の直前にまとめて確認するものではありません。これまでの業務を振り返る段階から、少しずつ整理しておくと、面談で言葉にする手順がスムーズになります。
ウォーターフォールの経験は、決めた単位と決め直した場面を分けて振り返ることで、区切りの少ない開発でも伝えられる内容に変わります。
5つの確認点を面談前に書き出しておくと、その場で聞かれたときに、抽象的な言い方に頼らず具体的な言葉で答えやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. ウォーターフォールしか経験していない場合、応募できる求人はあるか。
A. 応募できます。区切りの少ない開発を任せる求人でも、決める単位を切り替えられることを面談で伝えられれば、これまでの経験は評価の対象になります。
Q2. 決め直す頻度が高い開発で、最初に注意する点は何か。
A. 決める範囲を小さく切ることです。大きな単位のまま決め直す頻度だけを上げると、見直すたびの手戻りが大きくなり、負担が増えます。
Q3. 面談で決め方の変化をどう伝えればよいか。
A. これまでの業務のなかで、小さく決めて動いた具体的な場面を挙げて伝えます。抽象的に「対応できます」と述べるより、場面を1つ挙げるほうが伝わりやすくなります。
Q4. テレワークで働ける求人は、区切りの少ない開発に限られるか。
A. 限られません。情報通信業のテレワーク実施率は56.3%で、正社員全体の22.5%を上回ります*1*2。開発の進め方にかかわらず、テレワーク対応の求人は選べます。
Q5. 小さく決めた場面を思い出せない場合、面談でどう答えればよいか。
A. 直近のトラブル対応や仕様変更を振り返ると、小さな決定の跡が見つかります。範囲を絞って、その場面を1つ思い出すことから始めます。
8. まとめ:ウォーターフォールの経験は、決める単位を変えて伝えられます。
この記事の要点
- 工程が分かれた開発と、区切りの少ない開発の違いは、決める単位の大きさと決め直す頻度にあります。使う道具の違いではありません。
- ウォーターフォールで評価されるのは決めたことを守る力、区切りの少ない開発で求められるのは小さく決め直す力です。
- 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%、正社員全体は22.5%です*1*2。開発の進め方にかかわらず、テレワーク対応の求人は選べます。
- 面談では、これまでの業務のなかで小さく決めて動いた場面を挙げて、決める単位を切り替えられることを伝えます。
ウォーターフォールしか経験していないことは、選考で不利にはなりません。決める単位を切り替えられることを、具体的な場面で伝えられるかどうかが、次の一歩を分けます。書き出す作業は面談の前日ではなく、応募先を選ぶ段階から少しずつ始めておくと、当日の言葉にする負担が軽くなります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 パーソル総合研究所「第十回テレワークに関する調査」(2025年公表)
*2 パーソル総合研究所「第十回テレワークに関する調査」(2025年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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