在宅勤務の通信費の申告方法|手当と実費の違いと申請先
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

在宅で働く日が続くと、自宅の回線を業務でも使うことになります。その費用をどう申告するかは、勤め先の定めによって分かれます。毎月の手当として定額で支給される形もあれば、使った分を申告して精算する形もあります。どちらの形かによって、そろえる書面も、出す窓口も変わります。申告の前にどこを見ればよいかを、順に見ていきます。
在宅の通信費で先に効くのは、金額の計算よりも、定額の手当か実費の申告かという出し方の型を見分けることです。金額の水準は勤め先ごとに定められているため、ここでは扱いません。
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この記事のポイント
- 出し方は、定額の手当として出る形と、実費を申告して精算する形に分かれます
- そろえる書面は、明細を添えるかどうかで変わります
- 提出先と対象の範囲は、在宅勤務について定めた規程に書かれています
1. 在宅の通信費は、提出先を先に見ます
在宅の通信費でまず見るのは、出し方の型と提出先です。毎月の手当として定額で支給される形と、使った分を申告して精算する形があり、どちらに当たるかでそろえる書面も出す窓口も変わります。型は、在宅勤務について定めた規程に書かれています。
在宅で働く日があると、自宅の回線を業務でも使うことになります。私用と業務が同じ回線に乗るため、その費用をどう扱うかが決まっている必要があります。
扱いは大きく2つに分かれます。1つは、在宅勤務手当のような形で、毎月一定の額が支給される形です。もう1つは、実際にかかった費用のうち業務にあたる分を申告し、精算する形です。
定額で支給される形では、申告そのものが要らないことがあります。支給の条件を満たしていれば、毎月の給与とあわせて支給されます。
実費を申告する形では、対象の範囲を自分で分ける作業が入ります。私用と業務が混ざった回線をどう分けるかは、規程に書かれた方法に沿って進めます。
どちらの形かは、在宅勤務について定めた規程で分かります。手当の定めがあれば定額の形、精算の定めがあれば実費の形になります。
ここから、申告から支給までの流れ、書き添えることの違い、そろえておきたい4点、出し方の4つの型、迷いやすい場面の問い合わせ先という順に見ていきます。
定額の手当と実費の申告を組み合わせている職場もあります。基本の部分を手当で支給し、それを超えた分だけ申告で受け付ける形です。この場合は、どこまでが手当に含まれるかを先に見ておくことになります。
2. 申告から支給までは4つの段でつながります
最初の段は、提出先を見ることです。通信費の扱いは、在宅勤務について定めた規程か、経費の精算について定めた規程のどちらかに書かれています。どちらに書かれているかで、出す窓口も変わります。
2つ目の段は、対象を分けることです。自宅の回線は私用と業務が混ざるため、業務にあたる分をどう出すかが決まっています。日数で分ける方法や、一定の割合で分ける方法があり、どちらを採るかは規程に書かれています。
3つ目の段は、書面をそろえることです。実費の申告では、回線の契約や利用の明細を添えることが求められる場合があります。何を添えるかは、申告の書式に書かれています。
4つ目の段は、出して控えを残すことです。出した日と内容を控えておくと、支給が遅れているときに経過を聞く手がかりになります。
この4段は、実費を申告する形のときに進む流れです。定額の手当として支給される形では、申告そのものが発生しないため、この流れには入りません。
段の間で止まりやすいのは、2つ目の対象を分けるところです。分け方が規程に書かれていない場合は、提出先の窓口に方法を聞く形になります。
提出先が2つに分かれている場合もあります。通信費の扱いが在宅勤務の規程にあり、精算そのものは経費の窓口が受けるという分かれ方です。書面の提出先と、内容の問い合わせ先が別になります。
3. 定額の手当と実費の申告では、書き添えることが変わります
定額の手当として支給される形では、金額があらかじめ決まっています。毎月の支給額が定められているため、使った額を書き添える必要はありません。
この形で書き添えるのは、支給の条件にあたるかどうかを示すものです。在宅で働いた日数に応じて支給される定めであれば、その日数が支給の根拠になります。
実費を申告する形では、業務にあたる分を示すものを書き添えます。回線の利用明細や、業務で使った日数の記録が、その根拠になります。
在宅で働く人の割合は、業種によって差があります。正社員全体のテレワーク実施率は22.5%、情報通信業では56.3%です*1。情報通信業は、業種別で最も高い水準にあります*1。
この数字はテレワークの実施状況を示すもので、通信費が支給されるかどうかを示すものではありません。支給の有無と金額は、勤め先ごとの定めによって決まります。
エンジニアの職場は情報通信業に含まれることが多いため、在宅で働く日そのものは生じやすい環境にあります。それでも、通信費の扱いは会社ごとに別々に定められています。
立て替えた費用を精算するという進め方は、出張の場面でも出てきます。立替と締めの関係は、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 出張の精算はどう進むか|立替と締め
4. 申告の前にそろえておきたい4点
通信費を申告する前にそろえておきたいことを、4点に分けて示します。
それぞれをどこで確かめられるかも、あわせて挙げます。
【表1】申告の前にそろえておきたいことと、どこで確かめられるか
| そろえておきたいこと | どこで確かめられるか |
|---|---|
| 提出先 | 在宅勤務について定めた規程、または経費の精算の規程 |
| 対象の範囲 | 同じ規程。業務と私用を分ける方法が書かれている |
| そろえる書面 | 申告の書式。明細を添えるかどうかが示されている |
| 出す時期 | 経費の締めの日。給与の支給日とは別に決まっている |
表の4点のうち、上の2点は何をどこへ出すかに関わり、下の2点は出すものと出す時期に関わります。
提出先は、通信費の扱いがどの規程に書かれているかで決まります。在宅勤務の規程に書かれていればその窓口、経費の精算の規程に書かれていれば精算の窓口です。
対象の範囲は、業務と私用をどう分けるかという話です。分ける方法が規程に書かれていれば、その方法に沿って出します。
そろえる書面は、申告の書式に示されています。明細を添える書式であれば、回線の明細を先に手元に用意しておくことになります。
出す時期は、経費の締めの日に合わせます。締めを過ぎると次の期に回るため、支給の時期も一巡後ろにずれます。
4点のうち、提出先と対象の範囲は一度押さえれば毎回使えます。毎回変わるのは、そろえる書面と出す時期です。
支給に関わる社内の決まりを規程で確かめるという進め方は、昇給の場面でも同じです。昇給の決まり方は、別の記事で扱っています。
対象の範囲に上限が定められていることもあります。月あたりの上限額や、対象になる回線の種類が規程に書かれている場合、その範囲を超えた分は申告の対象から外れます。
あわせて読みたい | 昇給の決まり方|どこで分かるか
5. 出し方は、定額か実費かと、明細の有無で分かれます
通信費の出し方を、2つの軸で4つに分けて示します。
左下は、定額の手当として支給され、明細も要らない形です。条件を満たしていれば毎月支給されるため、手を動かす場面がいちばん少なくなります。
左上は、定額で支給されるものの、対象の回線を届け出る形です。金額は定額のままで、どの回線を業務に使っているかだけを示します。
右上は、実費を明細とともに出す形です。使った分を示す明細が必要になるため、そろえる書面がいちばん多くなります。
右下は、実費を出すものの、明細までは求められない形です。日数や一定の割合で分けた額を出す進め方になります。
同じ会社のなかでも、在宅の頻度によって区分が変わることがあります。在宅が中心の人と、出社が中心で在宅が時々の人とで、扱いを分けている場合です。
自分がどの区分に当たるかは、規程と申告の書式の2つを見れば決まります。書式に明細を添える欄があれば、上の段のどちらかに当たります。
区分が切り替わる時期は、規程で決まっていることがあります。在宅の頻度が変わった月から切り替わる形と、次の期から切り替わる形があり、どちらかによって申告の出し方が変わる月が決まります。
6. 迷いやすい場面ごとに、問い合わせ先を挙げます
通信費の申告で迷いやすい場面を挙げ、それぞれの問い合わせ先を示します。
迷いやすい場面と問い合わせ先
- 分け方が規程に書かれていないとき:提出先の窓口に、分ける方法を聞きます
- 回線が家族と共用のとき:業務にあたる分の出し方を、窓口に確かめます
- 締めを過ぎてしまったとき:次の期に回るかどうかを、精算の窓口に聞きます
- 在宅の頻度が変わったとき:区分が変わるかどうかを、規程で見ます
- 支給が見当たらないとき:出した控えを添えて、提出先の窓口に聞きます
問い合わせ先を場面ごとに分けておくと、申告の途中で止まらずに済みます。考え方は、提出先の窓口にそのまま聞くという一点です。
分け方が規程に書かれていない場合は、自分で決めずに窓口に聞きます。決め方をそろえておかないと、次に出すときの根拠も変わってしまいます。
回線を家族と共用している場合も、考え方は同じです。業務にあたる分をどう出すかを窓口に確かめ、その方法を毎回使います。
締めを過ぎた場合は、次の期に回る扱いになることがあります。支給の時期が後ろにずれるため、いつ支給されるかも聞いておくと見当がつきます。
在宅の頻度が変わったときは、区分そのものが変わることがあります。頻度に応じて扱いを分けている職場では、規程に切り替えの条件が書かれています。
支給が見当たらないときは、出した控えを添えて聞きます。出した日と内容が残っていれば、どこで止まっているかをたどれます。
支給の仕組みを等級から確かめる進め方もあります。給与テーブルの見方は、別の記事で扱っています。
申告の内容を直したいときも、提出先の窓口が問い合わせ先です。締めの前であれば差し替えができ、締めのあとであれば次の期での扱いになります。
あわせて読みたい | 給与テーブルの見方|等級と上がり方を確かめる
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 通信費の扱いは、どの書面を見れば分かりますか。
A. 在宅勤務について定めた規程か、経費の精算について定めた規程のどちらかに書かれています。手当の定めがあれば定額の形、精算の定めがあれば実費を申告する形です。
Q2. 自宅の回線は私用と混ざりますが、どう分けますか。
A. 分ける方法は規程に書かれています。日数で分ける方法や、一定の割合で分ける方法があります。規程に書かれていない場合は、提出先の窓口に聞いて、その方法を毎回使う形になります。
Q3. 明細は毎回添える必要がありますか。
A. 申告の書式によって変わります。明細を添える欄がある書式であれば必要になり、割合で分けて出す書式であれば求められないことがあります。
Q4. 締めの日を過ぎたら、その分は出せなくなりますか。
A. 次の期に回る扱いになることがあります。扱いは精算の窓口が判断するため、過ぎたと分かった時点で窓口に聞く形になります。
8. まとめ:通信費の申告は、出し方の型で決まります
この記事の要点
- 出し方は、定額の手当として出る形と、実費を申告する形に分かれます
- そろえる書面は、明細を添えるかどうかで変わります
- 業務と私用を分ける方法は、規程に書かれています
- 出す時期は経費の締めに合わせ、過ぎると次の期に回ります
在宅の通信費で先に効くのは、金額の計算よりも、定額か実費かという出し方の型を見分けることです。提出先と対象の範囲を一度押さえておけば、毎回そろえるのは書面と時期だけになります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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