社内の印章の保管と持ち出し|記録の残し方と在宅勤務
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

契約書や請求書に押す印章は、担当者が個人で管理するのではなく、保管場所と持ち出しの手続きを会社として定めています。社印や角印、実印など呼び方はいくつかあり、どこに保管され、誰の承認を経て社外に持ち出せるのかは、会社ごとの規程に書かれています。持ち出す前に何を確認すればよいかを、順に見ていきます。
印章の保管で最初に効くのは、置き場所の呼び方よりも、持ち出すときに何を記録するかという運用です。呼び方や置き場所は部署によって変わりますが、持ち出しの記録は規程に定められています。
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この記事のポイント
- 保管場所と持ち出しの手続きは、印章管理規程や文書管理規程に書かれています
- 使い方は、社内利用か持ち出しか、記録の有無かで4つに分かれます
- 返却までの流れと、迷ったときの問い合わせ先を確認できます
1. 印章の保管場所は、規程に明記されます
保管場所と持ち出しの手続きは、文書管理規程や印章管理規程に書かれています。社印・角印・実印・銀行印など呼び方はいくつかありますが、どれを誰が管理するかは会社ごとに定められています。持ち出す際に必要な承認や記録の残し方も、同じ規程に定められています。
契約書や請求書、稟議書など、業務では複数の書類に押印する場面があります。押す場面が多いほど、誰がどこで管理しているかを把握しておく必要があります。
保管場所は、総務部門などの管理部署が持つ金庫や、施錠できるキャビネットに置かれます。部署によって呼び方は変わっても、施錠された場所で管理するという扱いは共通しています。
実印にあたる代表者印は重要な契約で使われ、角印は日常の請求書などで使われます。用途によって管理の厳しさが変わることもあります。
日々の押印は担当者の手元で完結することが多く、都度の記録までは求められない場合があります。一方で、重要な契約に使うものは、使用のたびに記録を残す運用になっていることがあります。
規程の置き場所は、入社時のオリエンテーションで案内されることがあります。案内がない場合は、総務部門に置き場所を確認します。
持ち出す場面は、印章を社外の取引先へ持参して契約を交わすときや、他部署に一時的に貸し出すときなどに発生します。持ち出しの前に確認しておきたいことを、ここから見ていきます。
ここから、使う場面ごとの扱いの違い、持ち出し前にそろえる書類、エンジニア求人の動向、持ち出しから返却までの流れ、迷いやすい場面の問い合わせ先という順に見ていきます。
2. 使う場面によって、扱いが4つに分かれます
印章の使い方を、社内か持ち出しか、記録の有無かの2つの軸で4つに分けます。
左上は、社内で使いながら記録も残す形です。使用簿に押印した日時と書類名を記入し、あとから確認できるようにします。
右上は、社外に持ち出しながら記録も残す形です。持出簿に承認者の名前や返却予定を記入し、承認を得てから持ち出します。
左下は、社内で使うだけで記録までは求めない形です。担当者の手元に置いたまま、都度押して使います。
右下は、持ち出しながら記録を求めない形です。件数としては少なく、多くの規程は持出し時の記録を求めています。
代表者印は持ち出す機会が少なく、角印は社内で使う場面が中心になります。どちらに当たるかは、種類によっても変わります。
自分の会社がどの区分に当たるかを確認するには、管理規程を見るか、管理を担当する部署に聞く方法があります。
区分をまたいで運用する会社もあります。通常は社内利用のみでも、繁忙期や特定の取引先向けには持ち出しの記録を求める形に切り替わることがあります。
記録を残すという考え方は、会議の文字起こしでも同じです。文字起こしの記録がどう残るかは、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 文字起こしをどう扱うか|残る記録
3. 持ち出しの前にそろえる書類を確認します
持ち出す前にそろえておきたいことを、4点に分けて示します。
それぞれをどこで確認できるかもあわせて挙げます。
【表1】持ち出しの前にそろえておきたいことと、どこで確認できるか
| そろえておきたいこと | どこで確認できるか |
|---|---|
| 承認者の押印または署名 | 管理規程に定められた承認フロー |
| 持出簿への記入 | 使用簿・持出簿の書式(管理部署が保管) |
| 持ち出す書類との対応 | 稟議書や契約書に記載された用途 |
| 返却の予定日 | 持出簿の返却欄、または口頭での取り決め |
表の4点のうち、上の2点は持ち出す前に整える手続きに関わり、下の2点は持ち出した後の扱いに関わります。
承認者の押印または署名は、管理規程に定められた承認フローに沿って得ます。承認者が不在の場合の代理の扱いも、同じ規程に書かれています。
持出簿への記入は、いつ・誰が・どれを持ち出すかを残す作業です。書式は管理部署が保管しています。
持ち出す書類との対応は、稟議書や契約書に記載された用途と、持ち出す対象が合っているかを確認する作業です。
返却の予定日は、持出簿の返却欄に書く形と、口頭で取り決める形があります。予定日を過ぎても戻らない場合は、管理部署に連絡する運用です。
4点のうち、承認者の押印と持出簿への記入は持ち出すたびに必要です。返却の予定日は、社外での用件の長さによって変わります。
承認や持ち出しの記録は、あとで振り返る場合に備えて一定期間保管されることがあります。保管する期間は、文書管理規程に定められています。
印章そのものをどこで管理しているかは、契約書の保管とは別の話です。契約書の保管場所は、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 契約書はどこに置くか|控えの残り方
4. エンジニア求人の動向を、数字で押さえます
ここまで見てきた保管と持ち出しの手続きは、印章を扱う部署であれば職種を問わず共通する内容です。ここでは少し角度を変えて、エンジニアの求人動向を数字で見ておきます。
情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1(令和7年12月・全国計、常用のうち除パート)。
この数値は求人の動向を示すもので、保管や持ち出しの手続きがどれだけ厳しいか、あるいは緩いかを示すものではありません。求人倍率と社内の運用は、別の指標として扱う数字です。
社内の印章の管理や持ち出しの手続きは、求人の動向とは関係なく、各社の文書管理の考え方に沿って規程で定められています。
入社を考えるときに求人倍率の数字を参考にする一方で、入社後の日々の業務手続きは、規程を読むか担当部署に確認することでしか分かりません。
求人倍率のような外部の指標と、社内の管理規程のような内部の情報は、確認する場所も更新される頻度も異なります。両方を別々に確認しておくと、入社後の見通しが立てやすくなります。
就業規則や関連の管理規程は、入社後に人事や総務へ確認する方法のほか、社内のポータルで公開されている場合もあります。
5. 持ち出しから返却までは4つの段階です
最初の段階は申し出です。誰が、いつ、何のために持ち出すのかを、管理部署に伝えます。
2つ目の段階は承認です。承認者は管理規程で定められており、部署の責任者があたる場合があります。
3つ目の段階は持出しです。持出簿に日時と書類名を記入し、対象の印章を受け取ります。この時点で、承認の記録と持出しの記録がそろいます。
4つ目の段階は返却です。使用を終えたら速やかに返却し、持出簿に返却した日を記入します。返却が遅れる場合は、その時点で管理部署に連絡します。
4つの段階のうち、承認と持出しの記録は同じ持出簿にまとめて記入します。
段階の呼び方は会社によって異なることがありますが、申し出・承認・持出し・返却という順序そのものはおおむね共通しています。
この流れは、社外に持ち出す場面を想定しています。社内でだけ使う場合は、承認や持出しの段階を経ずに、使用簿への記入だけで済むことがあります。
6. 持ち出す場面ごとに、問い合わせ先を挙げます
持ち出しで迷いやすい場面を挙げ、それぞれの問い合わせ先を示します。
迷いやすい場面と問い合わせ先
- 承認者が不在のとき:代理の承認者を管理規程で確認します
- 返却が予定日に間に合わないとき:管理部署に連絡し、持出簿に理由を記入します
- 誤って違う印章を持ち出したとき:気づいた時点で速やかに返却し、正しいものを借り直します
- 持出簿が見当たらないとき:管理部署に書式の保管場所を確認します
- 社外で紛失した可能性があるとき:直ちに管理部署へ連絡します
- 複数の印章を同時に持ち出すとき:それぞれの持出簿に個別に記入します
問い合わせ先を場面ごとに分けておくと、持ち出しの途中で判断に迷わずに済みます。考え方は、管理部署にそのまま確認するという一点です。
承認者が不在の場合は、自分で判断せずに代理の承認者を確認します。代理の扱いは管理規程に書かれています。
返却が予定日に間に合わない場合は、遅れると分かった時点で管理部署に連絡します。持出簿に理由を記入しておくと、後から経緯をたどれます。
誤って違う印章を持ち出した場合は、気づいた時点で速やかに返却します。正しいものを借り直す手続きは、通常の持ち出しと同じ流れです。
持出簿が見当たらない場合は、管理部署に書式の保管場所を確認します。書式そのものが更新されていることもあります。
社外で紛失した可能性があるときは、直ちに管理部署へ連絡します。連絡が早いほど、その後の対応にかけられる時間が長くなります。
複数を同時に持ち出す場合は、まとめて1件として記録するのではなく、それぞれの持出簿に個別に記入します。あとから確認するときに、どれがどの用途で持ち出されたかを区別できるようにするためです。
持ち出しが禁止されている作業もあります。どの作業が対象になるかは、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 持ち出しが禁止の作業|線引きと代わりの手順
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 保管場所は、誰でも確認できますか。
A. 確認できる範囲は会社によって異なります。管理規程を読むか、管理を担当する部署に問い合わせることで確認できます。
Q2. 持ち出す際に、管理規程が見当たらない場合はどうしますか。
A. 総務部門など管理を担当する部署に、持ち出しの手続きを確認します。口頭での取り決めであっても、承認者と返却予定を確認しておくと、あとで経緯をたどれます。
Q3. 社内で使うだけの場合も、記録は必要ですか。
A. 会社によって扱いが分かれます。使用簿への記入を求める運用もあれば、手元での管理だけで足りる運用もあります。どちらに当たるかは、管理規程で確認できます。
Q4. 持ち出した印章を紛失した場合、どうすればよいですか。
A. 気づいた時点で、直ちに管理部署へ連絡します。連絡の後の対応は会社の規程によって定められているため、担当部署の指示に沿って進めます。
Q5. 管理規程は、入社後すぐに確認できますか。
A. 社内規程は、入社時に配布される資料や社内ポータルから確認できる場合があります。方法が分からないときは、総務部門に聞く形になります。
8. まとめ:印章の保管と持ち出しは記録で分かります
この記事の要点
- 保管場所と持ち出しの手続きは、管理規程や文書管理規程に書かれています
- 社内利用か持ち出しか、記録の有無かで、扱いは4つに分かれます
- 持ち出す前には、承認・持出簿への記入・返却予定日をそろえます
- 迷ったときの問い合わせ先は、管理を担当する部署です
印章の保管で最初に効くのは、置き場所そのものよりも、持ち出すときにどう記録を残すかという運用です。承認と持出簿への記入をそろえておけば、返却までの流れは迷わず進められます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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